「不倫相手に別れ話を切り出した後、不倫相手がストーカー化してしまった。」
「配偶者の不倫相手から嫌がらせを受けるようになった。」
ストーカー行為や嫌がらせ行為をする不倫相手に対しては、慎重な対処が必要です。もっとも、あなたが配偶者に不倫された立場であるなら、配偶者や不倫相手に慰謝料請求が可能なだけでなく、ストーカー行為や嫌がらせを理由に、不倫相手が支払うべき慰謝料が増額される場合があります。
この記事を読んでわかること
- ストーカー規制法の改正内容
- ストーカー行為や嫌がらせ行為に対する対処法
- 不倫相手のストーカー行為が慰謝料の増額要素とされた裁判例
ここを押さえればOK!
ストーカー行為には、つきまといや待ち伏せ、位置情報の無承諾取得などが含まれ、法律で規制されています。被害を受けた場合は証拠を集め警察や弁護士に相談し、必要に応じて警告や禁止命令を出してもらうことが可能です。
弁護士は不倫相手に対する慰謝料請求や交渉をあなたに代わり行います。不倫相手からのストーカー行為や嫌がらせ行為が慰謝料の増額要因となることがあります。不倫相手に対する慰謝料請求でお悩みの方はアディーレ法律事務所にご相談ください。
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法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件部にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。
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不倫相手からストーカー行為や嫌がらせ行為を受けることはレアなケースではない

不倫相手がストーカー行為をすることや嫌がらせ行為をしてしまうことは必ずしもレアなケースとは言い切れません。
例えば、既婚者には家庭があり、不倫相手と頻繁に会うことができないため、不倫相手はその寂しさやもどかしさからストーカーや嫌がらせに走ってしまうケースがあります。
また、不倫関係を続けていくうちに、独占欲が強まり、離婚を迫るようになったり、ストーカーや嫌がらせに走ったりするケースもあります。
別れ話を切り出されたことにより、ストーカーや嫌がらせに走ってしまうケースもあるようです。
そして、ストーカーや嫌がらせの対象は、不倫をしていた本人に限らず、その配偶者や子どもにまで及ぶことも少なくありません。
「ストーカー行為」とは

どのような行為が「ストーカー行為」にあたるのでしょうか。
『ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)』では、次の行為がストーカー行為に当たりうることが規定されています。
- 「つきまとい等」
- 「位置情報無承諾取得等」
それぞれ簡単にまとめると、次のとおりです。
【つきまとい等】 | 【具体例】 |
1.つきまとい、待ち伏せ、押しかけ、うろつき等 |
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2.行動を監視していると告げる等 |
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3.面会や交際等の要求 |
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4.乱暴な言動 |
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5.無言電話、拒否した後の連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNS・文書等 |
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6.汚物等の送付 |
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7.名誉を傷つける |
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8.性的しゅうち心の侵害 |
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近年、元交際相手の自動車などに勝手にGPS機器をつけたり、スマホに位置情報アプリを勝手にダウンロードしたりして、その位置情報を得て、つきまとう事案が複数発生しました。
そこで、2021年に法改正がなされ、次の「位置情報無承諾取得等」についてもストーカー規制法の規制対象行為とされることになりました(下記9、10)。

【位置情報無承諾取得等】 | 【具体例】 |
9.GPS機器等を用いて位置情報を取得する行為 |
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10.GPS機器等を取り付ける行為等 |
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参考:ストーカー規制法|警視庁
そして、これらの「つきまとい行為」又は「位置情報無承諾取得等」を同一人物に対して反復してすることを「ストーカー行為」(※)といいます(ストーカー規制法第2条第4項)。
(※)なお、上記1~4および5の電子メール・SNSの送信に係る部分については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限って、「ストーカー行為」に該当します。
また、ストーカーは「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」により、その者やその配偶者などに対して行うことが必要です。対象が異性か同性かは問いません。
ストーカー行為に対する警告・禁止命令

つきまとい等や位置情報無承諾取得等の被害を受けた場合、まずは警察に相談することをお勧めします。
警察に相談すると、悪質な行為については、さらに反復してつきまとい等や位置情報無承諾取得等をしてはいけないことについて、警察署長などから「警告」あるいは公安委員会から「禁止命令」を出してもらえる可能性があります。
なお、禁止命令の効力は禁止命令をした日から1年間とされています(場合によっては、さらに1年間延長することも可能です)。
ストーカー行為に対する刑事罰

ストーカー行為に対する刑事罰を簡単にまとめると、次のようになります。
違反行為 | 刑事罰 |
ストーカー行為をした者 | 1年以下の懲役 または 100万円以下の罰金 |
・禁止命令に違反して、ストーカー行為をした者 ・禁止命令を受けた行為でない他のつきまとい等又は位置情報無承諾取得等をすることにより、ストーカー行為をした者 | 2年以下の懲役 または 200万円以下の罰金 |
禁止命令に違反した者 | 6ヶ月以下の懲役 または 50万円以下の罰金 |
参考:ストーカー規制法|警視庁
ストーカー行為や嫌がらせ行為に対する対処法

ストーカー行為や嫌がらせ行為への対処を失敗すると、ストーカーや嫌がらせ行為をしていた不倫相手が逆上し、さらに当該行為が悪質になってしまう可能性も否定できないため、対処は慎重に行う必要があります。
自分で解決しようとはせずに、警察や弁護士に相談するようにしましょう。
(1)ストーカー行為や嫌がらせ行為の証拠を集める

不倫相手から連続してSNSやメール、電話がくる場合には、SNSやメールの履歴、通話履歴を残しておくことでストーカー行為や嫌がらせ行為を受けた証拠になります。
また、スマートフォンに通話を録音できるアプリをダウンロードするなどして、電話のやり取りを残しておくこともできます。
不倫相手が自宅付近や職場をうろついている場合には、監視カメラがあれば、監視カメラ映像なども証拠とすることができます。
ストーカーや嫌がらせを受けている相手から来たメールなどを残しておくことは、感情的に抵抗があるかもしれませんが、のちのち重要な証拠となる可能性もありますので、残しておくようにしましょう。
(2)警察に相談する

不倫相手から受けているストーカー行為や嫌がらせ行為が、法律が定める「ストーカー行為」に当たる場合には、犯罪になりますので、被害届を出すことができます。
まずは警察に相談して、警察署長などからストーカー行為をやめるように、警告や禁止命令を出してもらうことも検討してもらいましょう。
また、警察からストーカー被害を防止するための対策についても教えてもらうことができる場合もあります。
警察署に行くのは勇気がいることだと思いますが、被害がより深刻になる前に警察に相談することをおすすめします。
参考:警察署一覧|警視庁
(3)弁護士に相談する

- ストーカー被害を警察に相談したが、とりあってくれなかった場合
- 警察に話して大ごとにはしたくないと考えている場合
- ストーカー規制法が定める「ストーカー行為」には当たらないが嫌がらせ行為を受けているという場合
このような場合には、ストーカー被害への対応を取り扱っている弁護士に相談することをおすすめします。
例えば、ストーカー被害や嫌がらせ被害に対して、弁護士は次のようなことをしてくれます。
- 不倫相手に対してストーカーや嫌がらせをしないように警告した文書(内容証明郵便)を送る
- 不倫相手に対してストーカー被害や嫌がらせ被害についての慰謝料を請求する
- 不倫相手との交渉を代行する
(3-1)不倫相手に対してストーカーや嫌がらせをしないように警告した文書(内容証明郵便)を送る
不倫相手に対して、「ストーカー行為や嫌がらせ行為をやめなければ法的措置も辞さない」といった内容の文書を出すことで、ストーカー行為や嫌がらせ行為をやめるように求めることができます。
不倫相手は、ストーカー行為や嫌がらせ行為をしているという自覚がない場合があります。
しかし、弁護士の名前で書面が届くことで、ストーカー行為や嫌がらせ行為をしているという自覚を持つと同時に、ストーカー行為や嫌がらせ行為を続けると本当に法的措置がとられてしまうかもしれない、と態度を改めることがあります。
※内容証明郵便(配達証明付き)とは、いつ、だれが、だれに対して、どのような内容の文書を送付したか、ということを日本郵便会社が証明してくれる制度です。
(3-2)不倫相手に対してストーカー被害や嫌がらせ被害についての慰謝料を請求する
ストーカー被害や嫌がらせ行為を受けたことによって精神的ショックを受け、ひどい場合には、精神科に通院治療する場合もあります。
このような場合、不倫相手に対して、精神的ショックを受けたことに対する慰謝料や通院治療にかかった費用について損害賠償を請求できる場合があります。
また、後で説明する通り、不倫された側の配偶者は、不倫についても慰謝料を不倫相手に請求できるうえ、不倫相手による嫌がらせ行為があったことを理由に、不倫慰謝料の増額が認められる場合があります。
(3-3)不倫相手との交渉を代行する
弁護士に不倫相手への慰謝料請求を依頼した場合、弁護士が交渉すべてを代行しますので、自ら不倫相手と連絡を取る必要はありません。
不倫相手からのストーカー被害や嫌がらせ被害に遭っている場合、自ら不倫相手と連絡をとらなければいけないということは、肉体的にも精神的にも大きな負担がかかります。
弁護士が交渉を代行することで、あなたにかかる負担を減らすことができます。
【裁判例を紹介】不倫相手からのストーカー行為や嫌がらせ行為は不倫の慰謝料の増額要素となる
自分が配偶者に不倫をされてしまった立場の場合、自分の配偶者と不倫相手に対して、不倫の慰謝料を請求することができます。
また、先述のとおり、不倫にとどまらず、不倫相手によるストーカー行為や嫌がらせ行為があった場合には、不倫慰謝料の増額が認められる場合もあります。
なお、不倫の慰謝料とは別に、ストーカー行為や嫌がらせ行為を原因とした慰謝料を請求することも可能です(この場合、不倫した側の配偶者から不倫相手に対する慰謝料請求も可能な場合があります)。
(1)不倫の慰謝料とは
不倫の「慰謝料」とは、配偶者や不倫相手の不倫が原因で生じた精神的苦痛に対して支払われるお金のことをいいます。
慰謝料の額や相場が法律で定められているわけではないものの、例えば、不倫を原因とした慰謝料の裁判上の相場は、およそ数十万~300万円程度といわれています。
不倫慰謝料の相場について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(2)不倫相手からのストーカー行為や嫌がらせ行為が行為を慰謝料の増額要素とするとした裁判例
不倫相手からのストーカー行為や嫌がらせ行為を慰謝料の増額要素とするとした裁判例は次のとおりです。
なお、わかりやすくするため、不倫相手をY、夫婦のうち、不倫をしていた側をA、不倫された側をXとします。
裁判日付 | 内容 |
東京地裁判決 平成22年6月29日 | YとAは、出会い系サイトのチャットで知りあい、肉体関係を持つようになった。しかし、Aとの関係がうまくいかなくなると、Yは、Xに対して、多数回にわたり、無言電話や本文の記載のない電子メールを送るなどした。Yが、Xに電話をして、YがAの子を産んだなどと伝えたこともあった。 これらの行為の結果、事実上家庭内別居状態にあり、夫婦関係はすでに破綻し、Xは精神科への通院治療を余儀なくされた。 ⇒不倫行為のみならず、Xに対し、無言電話や電子メールを送ったことなども不法行為が成立し、慰謝料として250万円を認めました。 |
東京地裁判決 平成24年3月21日 | Yは、Aが既婚者であることを知りながら、肉体関係をもった。その後、Yは自身のブログで、Aと共に行った旅行や食事会について写真を掲載し、Aもブログで同じ写真を掲載していたこともあった。 Yは自身のブログで、(Xに対する中傷として)「先日、知人の奥様とお会いする機会がありました。この奥様、独身時代には国内線CAで結構人気があったという話(知人談)」「実際にお会いしたところ(略)どうみてもオバサンっぽく見える。」「彼女、年齢も私より1つ下だけに、考えちゃいましたよ」など掲載し、さらに別日には、「ブライドが高い『勘違い女性』がいるのですが、地元に帰ってしまいました。いなくなった途端、いろんな方々から悪い噂が出るわ、出るわ……随分と腹黒い女性だったようで」「周りのお友達も実は彼女のことはキライで」などと掲載した。 ⇒不倫行為のみならず、Xを中傷する記事を掲載した事情なども考慮して、慰謝料として350万円を認めました。 |
【まとめ】不倫相手から嫌がらせやストーカー行為を受けた場合には、警察や弁護士に相談を!
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- 不倫相手からストーカー行為や嫌がらせ行為をされることは珍しくなく、対象が配偶者などの家族に及ぶこともある
- 嫌がらせ行為である考えていた行為が、法律上「ストーカー行為」に当たる場合もある
- ストーカー行為になりうるのは、つきまとい等や位置情報を取得する行為など
- ストーカー行為に対しては、罰則とまでいかなくとも、「ストーカー行為」を禁止する警告や命令を出してもらうように警察署に申し出ることができる
不倫相手からのストーカー行為や嫌がらせ行為についてお悩みの方は、警察やストーカー被害への対応を取り扱っている弁護士にご相談ください。
また、配偶者の不倫相手に対する慰謝料請求を検討している方は、弁護士に相談することをおすすめします。
アディーレ法律事務所では、不倫の慰謝料請求につき、相談料、着手金をいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。
原則として、この報酬は獲得した賠償金等からのお支払いとなりますので、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要がありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
(以上につき、2023年1月時点)
配偶者の不倫相手に対する慰謝料請求でお悩みの方は、不倫の慰謝料請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。