「不倫相手の配偶者から慰謝料を請求された。突然のことで不安でいっぱいだけれど、示談交渉をする際に知っておくべきことって何?」
不倫の慰謝料を請求されて不安になるのは、当然のことです。
しかし、不安にかられて、言われるがまま払ってしまうのは、少し待ってください。
必ずしも請求されたとおりに慰謝料を支払う必要がないことも多いです。
不倫の慰謝料は、交渉次第で減額できる可能性があります。また、事情によっては、不倫の慰謝料を支払わなくてもよい場合もあるのです。
この記事を読んでわかること
- 不倫相手が既婚者であることを落ち度なく知らなかった場合や、不倫をする前から夫婦関係が破綻していた場合などは慰謝料を支払う必要はない
- 請求されている慰謝料額が裁判上の相場からかけ離れて高額である場合やすでに慰謝料を受け取っている場合などは慰謝料額の減額を求めることができる可能性がある
- 慰謝料以外の要求に応じる必要はなく、念書のサインは慎重になろう
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ポイント1|慰謝料は支払を拒絶・減額できる可能性がある
不倫慰謝料は、基本的に請求されたとおりの額をそのまま支払う必要がないことは多いです。
不倫慰謝料の支払を拒絶・減額できる事情がある場合も少なくないからです。
不倫慰謝料の支払を拒絶・減額できる可能性のあるケースとは、次のような場合です。
- 不貞行為がなかった場合:支払いを拒絶できる可能性あり
- 不貞行為の前から夫婦関係が壊れていた場合:支払いを拒絶できる可能性あり
- 既婚者だと知らなかった場合:拒絶又は減額できる可能性あり
- 慰謝料の額が裁判上の相場からかけ離れて高額である場合:減額できる可能性あり
- すでに十分な慰謝料を受け取っている場合:拒絶又は減額できる可能性あり
- 慰謝料の時効期間を過ぎている場合:拒絶できる可能性あり
詳しく見ていきましょう。
(1)不貞行為がなかった場合
日常用語では「浮気」「不倫」という言葉をよく使います。
この「浮気」「不倫」のうち、慰謝料を支払う義務が発生するのは「不貞行為」がある場合です。
「不貞行為」とは、婚姻共同生活を侵害・破壊に導く可能性のある行為のことを言います。
具体的には、自由な意思に基づいて既婚者と性行為(肉体関係)を行うことや、肉体関係に準ずる行為(直接体に触れて愛撫する行為などの性交類似行為)を行うことをいいます。
この不貞行為がない場合には、不倫慰謝料の請求を拒むことができます。
(2)不貞行為の前から夫婦関係が壊れていた場合
不貞行為の時点ですでに不倫相手の婚姻関係が破綻していた場合には、不倫慰謝料の請求を拒むことができます。
婚姻関係が破綻していた場合としては、例えば、単身赴任や長期入院といった正当な理由がないのに5年以上などの長期間にわたって別居が続いているような場合などがあります。
(3)既婚者だと知らなかった場合
既婚者だと知らなかった場合には、不倫慰謝料の請求を拒むことができます。
ただし、不倫相手が既婚者であることを知らなかったものの、不倫相手が既婚者であると知りえた場合には、不倫慰謝料を支払う必要があります。例えば、不倫相手と同じ会社で勤務している場合などです。
不倫相手が既婚者だと知りえた場合であっても、不倫相手から既婚者であると騙された場合など事情によっては、慰謝料を減額を請求できる可能性もあります。
(4)慰謝料の額が裁判上の相場からかけ離れて高額である場合
請求されている慰謝料の額が裁判上の相場からかけ離れて高額である場合には、慰謝料の減額を求めることができる可能性があります。
裁判になった場合の不倫慰謝料の相場(目安)は、次のとおりです。
- 慰謝料の請求者が、離婚しない場合:数十万~100万円程度
- 慰謝料の請求者が、不倫が原因で離婚する場合:100万~300万円程度
この裁判上の相場からかけ離れて高額な慰謝料を請求されている場合には、減額できる可能性があります。
裁判上の相場からかけ離れて高額というのは具体的にはどれくらいの金額ですか?
例えば500万円以上の請求を受けている場合には、裁判上の相場からかけ離れて高額だと考えられ、減額の可能性が高くなります。
(5)すでに十分な慰謝料を受け取っている場合
慰謝料の請求者がすでにもう一方の不倫相手から十分な慰謝料を受け取っている場合には、慰謝料の支払を拒絶・減額できる可能性があります。
そもそも不倫の慰謝料は不倫当事者2人が背負うべきものです。どちらか一方が慰謝料の請求者に対して慰謝料を支払った場合には、その分だけ慰謝料の支払義務がなくなります。
例えば、妥当な慰謝料金額が100万円である場合で考えてみましょう。あなたの不倫相手が、すでに100万円を慰謝料の請求者(不倫相手の配偶者)に対して支払ったとします。そうすると、あなたの不倫慰謝料を支払う義務は消滅しているということになります。

すでに支払われている額が少なく慰謝料全額には満たないために場合でも、すでに支払われている額に相当する分について慰謝料が減額できる可能性もあります。慰謝料の支払をする前に、あなたの不倫相手(不倫のもう一方の当事者)がすでに慰謝料を支払っていないかどうか、確認するようにしましょう。
ただし、不倫相手が慰謝料を払ってくれたら、もうその分はあなたがお金を支払わなくてよくなるというわけではありません。不倫相手があなたに慰謝料の負担を請求してきた場合には、不倫相手が支払った慰謝料のうち、いくらかはあなたが負担しなければならない場合があります。
(6)慰謝料の時効期間を過ぎている場合
慰謝料の時効期間が過ぎている場合には、消滅時効を援用(意思表示)すれば慰謝料を支払う義務が消滅しますので、たとえ慰謝料を請求されたとしても、支払を拒絶することができます。
不倫の慰謝料請求権の消滅時効は、次のいずれか短いほうで完成します。
- 慰謝料の請求者が不貞行為があったことおよび不貞行為の相手が誰であるかを知った時から3年
- 不貞行為があったときから20年

ただし、時効完成の効果は、時効の援用(意思表示)をしなければ発生しません。そのため、時効が完成していると考えられる場合であっても、請求を放置せずに「時効が完成しているから払わない」などと時効を援用するようご注意ください。
本当に時効が完成しているかどうかの判断や、時効の完成を理由とする支払い拒絶には法的な知識が必要ですので、弁護士に相談しておくことをおすすめします。
ポイント2|慰謝料以外の要求に応じる法的義務はない

たとえ実際に不倫をしていたとしても、慰謝料の支払以外の要求に応じなければならない義務はありません。
不倫慰謝料を請求されるのと合わせて、次のように慰謝料以外の要求を受けるケースも少なくありません。
- 直接会って対面で謝罪すること
- 謝罪文を書くこと
- 現在の職場を退職すること など
しかし、法的には、不倫の償いは全て慰謝料というお金の支払によるというルールとなっています。
慰謝料支払以外の理不尽な要求をされ、到底受け入れることができないという場合には、きっぱりと拒絶するべきでしょう。
謝罪文を書くことを求められています。
謝罪文を書かないと相手を怒らせて解決しないのではないでしょうか?
謝罪文を書いても、その内容に納得してもらえるとは限りません。
むしろ謝罪文を書くことで、何度も書き直しを要求されたり、謝罪文が慰謝料交渉の不利な証拠になったりするなどのリスクがありますので、謝罪文を書くかどうかは慎重に検討すべきです。
ポイント3|念書にはすぐサインするべきではない
不倫慰謝料の請求を受けるのと合わせて、「念書」などを渡されサインを求められることがあります。
しかし、この念書へのサインはするべきではありません。
(1)不倫慰謝料の念書とは
「念書」とは、一般的に、当事者の一方が相手方に対して、一定のことについて約束・確認する書面のことを言います。
不倫慰謝料の念書には、例えば次のようなことを記載するよう求められることがあります。
- 実際に不倫(不貞行為)の事実があったこと
- 不倫の際に、不倫相手が既婚者であることを知っていたこと
- 不倫相手と二度と会ったり連絡を取ったりしないこと
- 慰謝料として一定の額以上を支払うこと など
(2)念書へはサインしない対応をとるべき
一旦念書にサインすると、記載してある事実を認めた証拠になってしまい、後から覆すことは難しい場合もあります。そのため、念書へのサインを求められたとしても、安易に念書にサインをしないようにしましょう。
念書にサインをしてしまいました。
サインをしてしまった以上はもう念書に書いたことを覆すことはできないのでしょうか?
いったん念書にサインしてしまった場合であっても、記載内容によっては後から念書に書いたことを覆すことができる可能性もあります。
このような場合には諦めずに弁護士に相談するようにしましょう。
後から念書に書いたことを覆すことができる場合とはどのような場合ですか?
次のような場合などには、サインをした念書を後から覆せる可能性があります。
- 不倫を理由に現在の職場を退職するなど義務のないことを約束させられた場合
- 慰謝料の額が1000万円以上などのように裁判上の相場からかけ離れて高い額の慰謝料を支払うことを約束させられた場合
不倫慰謝料を請求されたら弁護士への相談・依頼がおすすめ!
不倫慰謝料を請求されたら、自分で対応するのではなく、弁護士に相談・依頼するという方法もあります。
不倫慰謝料請求への対応を弁護士に相談・依頼するメリットには、次のようなものがあります。
- 弁護士が請求者との交渉を代わりに行ってくれることで、直接交渉するストレスが軽減される。
- 慰謝料の支払い拒絶や減額を請求者が納得しやすいように説明してくれる。
- 仮に裁判に発展したとしても裁判手続を代わりに行ってくれる。
【まとめ】不倫慰謝料はすぐに応じない!拒絶・減額できるかも
不倫の慰謝料を突然請求されると、不安な気持ちでいっぱいになってしまうもの。
不安な気持ちから、つい請求されたとおりに支払ってそれで全て終わりにしてしまいたくなるかもしれません。
ですが、不倫慰謝料は、請求されたからといって必ずしも支払う義務があるとはかぎりませんし、支払う義務があるとしても、減額できる余地があるケースは少なくありません。
本当に不倫慰謝料を支払う必要があるのか、減額はできないのか、一度不倫の慰謝料請求への対応を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。