「不倫の慰謝料を請求されたが、払えそうにない……。ローンを組むべき?」
まだ示談が成立していないならば、ローンを組むことを考える前に、次の4つについて検討してみましょう。
- 慰謝料を拒否できる可能性はないか?
- 慰謝料を減額できる可能性はないか?
- 不倫相手に慰謝料を「求償」できる可能性はないか?
- 分割払いに応じてもらえる可能性はないか?
示談を成立させてしまっていたら、相手が同意しない限り、基本的には、その内容を撤回したり変更したりすることはできません。
たしかに、ローンを組むということも選択肢の一つではありますが、ローンには高い利息がつきものです。
返済不能となってしまうおそれがある以上、あくまで最後の手段とするべきでしょう。
この記事を読んでわかること
- 支払いのめどが立たないうちに示談を成立させてはいけない理由
- 示談成立前に検討するべき4つの事項
- 慰謝料を支払うためにローンを組むべきか
ここを押さえればOK!
1) 慰謝料を拒否できる可能性がないか
2) 慰謝料を減額できる可能性がないか
3) 不倫相手に慰謝料を求償できる可能性がないか
4) 分割払いに応じてもらえる可能性がないか
示談が成立してしまうと、相手の同意なしに撤回や変更は難しいため、支払いのめどが立たないうちに示談を成立させるべきではありません。
ローンを組むことは高い利息が伴い、返済が困難になる可能性があるため、最後の手段とするべきです。まずは減額交渉や分割払いを試み、必要であれば弁護士に相談することをおすすめします。
不倫の慰謝料を請求された方は、1人で悩まず一度アディーレ法律事務所にご相談ください。

法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件部にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。
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支払いのめどが立たないうちに示談を成立させてはいけない
示談は、法律上、和解契約(民法695条)にあたります。
和解契約が成立した場合、当事者の片方が一方的にその内容を撤回したり、変更したりすることはできません。
相手方が、撤回や変更について、同意をした場合に限り、これらを行うことが可能となります。
示談が成立したにもかかわらず、決まった日にちに慰謝料の支払いをしなかったとしましょう。
その場合、裁判を起こされる可能性があります。
また、裁判で相手方の勝訴判決が確定すれば、それをもとに強制執行という手続きを利用して、支払いを強制してくる可能性があります。強制執行により、あなたが働いていたり財産があれば、例えば、あなたの給料の一部を差し押さえられたり、財産を差し押さえられたりします。
なお、示談書が「強制執行認諾文言付き」の公正証書で作成されている場合には、裁判を経由することなく、強制執行が申し立てられる可能性が高いでしょう。
示談が成立後に決まった内容通り慰謝料を支払わないと、このようなリスクがあります。
そのため、支払いのめどがたたないうちに、示談を成立させることはやめた方がよいでしょう。
示談成立前に検討すべき4つの事項
「じゃあ、ローンを組んで何とか工面しようかな……」
もし、示談が成立前である場合は、ローンを組まずに対処できる可能性があります。
示談を成立させる前に、まずは次の4つの事項について検討するようにしましょう。
- 慰謝料を拒否できる可能性はないか?
- 慰謝料を減額できる可能性はないか?
- 不倫相手に慰謝料を「求償」できる可能性はないか?
- 分割払いに応じてもらえる可能性はないか?
(1)慰謝料を拒否できる可能性はないか?

不倫に厳密な定義はありません。人によっては、配偶者以外の第三者と食事に行ったり、遊びに行ったりするだけで不倫と考える人もいます。
しかし、不倫の慰謝料は、「不貞行為」があった場合に限り、慰謝料を支払わなければならない法律上の義務が発生します。
「不貞行為」とは、婚姻共同生活を侵害・破壊に導く可能性のある行為のことをいいます。
具体的には、既婚者が配偶者以外の者と自由な意思に基づいて性行為を行うこと(肉体関係を持つこと)や、肉体関係に準ずる行為(性交類似行為を行う、体を直接触って愛撫するなど)のことをいいます。
したがって、2人きりで会う、食事をする、手をつなぐという行為だけでは、基本的に不貞行為にはあたりません。
そのため、不貞行為がないにもかかわらず、慰謝料を請求されている場合には、支払い自体を拒否できる可能性があります。
不貞行為にあたる | 不貞行為にあたらない |
---|---|
・肉体関係をもつこと ・性行為類似行為を行うこと(手淫や口淫など) | ・2人きりで会う ・2人で食事をする ・手をつなぐ など |
(2)慰謝料を減額できる可能性はないか?
不貞行為があれば、慰謝料の支払義務が発生することは先ほど解説したとおりです。
しかし、不貞行為があったとしても、慰謝料の支払義務が法律上発生しない場合もあります。
次のようなケースです。
- 不貞行為があった時点で、婚姻関係が破綻していた
- 不貞行為があった時点において、相手が婚姻していることを過失なく知らなかった
- 請求者が、すでに不倫の一方当事者から十分な慰謝料を受け取っている
これらのケースの場合には、不貞行為があったとしても慰謝料の支払い自体を拒否できる可能性があります。
ただし、慰謝料の支払い自体を拒否できるケースかどうかを判断するには、法律知識が必要となります。
また、たとえそのようなケースであったとしても、慰謝料支払い自体を拒否するとなると、請求者からの大きな反発が予想されます。過去の裁判例なども含めた法的な見地から説得的な主張を行い、有力な証拠を提示しなければ、交渉を成功させることは難しいでしょう。
また、支払い自体を拒否できるケースではないとしても、不倫していた期間が数か月など短い場合や、肉体関係を持った回数が少ない場合などは、慰謝料の金額が減額方向に傾く事情となります。慰謝料の支払い自体を拒否できるケースや、減額を主張できるケースかもしれないと感じたら、一度弁護士に相談することをおすすめします。
(3)不倫相手に慰謝料を「求償」できる可能性はないか?
不倫慰謝料は、不倫当事者のどちらに対しても、相当と認められる慰謝料の全額を請求することが基本的に可能です。(ただし、どちらかが全額を支払えば、他方が慰謝料を支払う義務はなくなります。)
仮に、あなたが慰謝料の全額を支払ったとしましょう。
しかし、あなたの不倫相手にも責任はあるし、請求者との関係では、慰謝料の全額を支払う義務を負っていたはずです。
そうすると、不倫相手に対して、すでに支払った慰謝料の一部をこちらに支払えと言いたくなるでしょう。
それを可能とするのが求償権です。
基本的には、本来認められるべき慰謝料額の半分程度を、他方の不倫当事者に対して請求することができます。
例えば、本来認められるべき慰謝料額が120万円だったとします。
不倫当事者二人の負担割合が、50:50であった場合、どちらかが請求者に120万円全額支払ったときには、支払っていない方に対して60万円を請求することができます。

(※金額は一例です。必ず負担割合が50:50になるわけではありません。)
請求者が離婚しない場合には、交渉の際に請求者から「求償権を放棄して不倫した配偶者に求償しないことを約束してほしい」と言われることがあります。この場合、不倫相手が求償権を放棄する代わりに、慰謝料の減額に応じてもらうことができる場合があります。
求償権の放棄が、減額交渉の材料になる場合もあるということをおさえておきましょう。
求償権を放棄するメリットについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(4)分割払いに応じてもらえる可能性はないか?
請求者が慰謝料の分割払いに同意すれば、慰謝料を分割で支払っていくことができます。
請求者としても、相手に一括で払える余裕がないにもかからず、一括払いの合意をしたところで、結局、支払われなくなるだけです。そのため、無理に一括払いの合意をしても意味はありません。
したがって、交渉では、月の手取りや預貯金などを正直に話し、一括で払える余裕がないということを伝えてみましょう。
一括で払える余裕がないことが明白であれば、分割払いの合意に応じてくれるかもしれません。
なお、支払いを怠った時の遅延損害金をどの程度つけるか、「強制執行認諾文言付き」の公正証書を作成するかどうかは、請求者が分割払いに応じてくれるかどうかを分ける重要なポイントになり得ます。

慰謝料を支払うためにローンを組むべき?
慰謝料を支払うためにローンを組んだ方がいいのでしょうか。
結論から言えば、慰謝料を支払うためにローンを組むという選択はあくまで最後の手段とするべきです。
ここでは、慰謝料を支払うために利用できるローンについて簡単に説明した上で、ローンを組むことのメリット・デメリットについて解説していきます。
(1)慰謝料を支払うために利用できるローンは?
慰謝料を支払うために利用できるローンとしては、主に、消費者金融のローン、銀行の目的別ローンがあります。
消費者金融のローンについては、貸金業法による総量規制(貸金業法13条の2)を受ける点に注意が必要です。
総量規制とは、貸金業者からの借入総額を、原則、年収などの3分の1までとする規制をいいます。
例えば、年収が600万円であれば、貸金業者から200万円までしか借りることはできません。
また、銀行からの借り入れは、貸金業者からの借り入れにはあたらないので、総量規制を受けません。
そのため、銀行からは、年収の3分の1を超える借り入れをすることも可能です(※銀行の審査を通る場合)。
しかし、年収の3分の1を超える借り入れは返済できなくなるリスクが高くなります。借りる前に、本当に返済可能かきちんと計画を立てましょう。
参考:貸金業法Q&A|金融庁
(2)ローンを組むことによるメリット・デメリットは?
不倫の慰謝料を一括で支払うだけのお金を持っていなくても、ローンを利用すれば、慰謝料を一括で支払える可能性があります。
そして、慰謝料を一括で支払えば、被害者との関係を早期に断ち切ることができます。
そのため、ローンを組むことによるメリットとしては、被害者との関係が続いてしまうことによるストレスから解放されるという点が挙げられます。
以上に対して、デメリットは、言うまでもなく、利息です。
利息制限法では、次のように利息の上限が定められています。
借入総額 | 10万円未満 | 10万円以上~100万円未満 | 100万円以上 |
利息 | 20% | 18% | 15% |
消費者金融の場合、利息制限法の上限に近い値を利息として設定していることが多いです。
これに対して、銀行の多目的ローンの場合、利息は消費者金融よりも低いのが一般的ですが、消費者金融よりも審査基準が厳しい傾向があります。
(3)慰謝料を支払うためにローンを組むという選択は最後の手段にすべき
慰謝料を支払うためにローンを組むことも選択肢の一つではあります。
しかし、前述したとおり、ローンを組むことにはデメリットもあります。
返済が困難となり、借金に借金を重ね、多重債務状態に陥るという危険性も考慮しなければなりません。
このような事情から、慰謝料を支払うためにローンを組むという選択は、あくまで最後の手段とするべきでしょう。
先ほど解説したとおり、まずは減額交渉、分割交渉などをすることをおすすめします。
【まとめ】不倫で慰謝料を支払うためにローンを組むのは最後の手段とするべき
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- いったん示談を成立させてしまうと、相手が同意しない限り、撤回することは難しい。そのため、慰謝料支払いのめどがたたないうちに、示談を成立させることはないようにしよう
- ローンを組む前に検討すべき事項は次の4つ
- 慰謝料を拒否できる可能性はないか?
- 慰謝料を減額できる可能性はないか?
- 不倫相手に慰謝料を「求償」できる可能性はないか?
- 分割払いに応じてもらえる可能性はないか?
- ローンを組むと、高い利息により、返済が困難となってしまうおそれがある。そのため、慰謝料を支払うためにローンを組むという選択はあくまで最後の手段にするべき
不倫の慰謝料を請求する側は、大いに怒っていることが多く、法外に高額な請求をしていることが少なくありません。
慰謝料の支払い自体を拒否できるケースや、請求された金額によっては減額を請求できるケースもありますので、一度弁護士に相談してみると良いでしょう。
アディーレ法律事務所では、不倫慰謝料を請求された事件の相談料は何度でも無料です。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため、費用倒れの心配はありません。
(以上につき、2023年4月時点)
不倫の慰謝料請求をされてお悩みの方は、不倫の慰謝料請求への対応を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。
