「夫がオンラインゲームに長時間熱中しており、おかしいと思って調べてみたら、オンラインゲームのプレイヤーと浮気していた…」
近年、オンラインゲームなどがきっかけで浮気が始まることは少なくないようです。
配偶者の浮気が肉体関係を伴うものであれば、配偶者やその浮気相手に慰謝料を請求できるのが原則です。
ただし、オンラインゲームを通じた浮気の場合、配偶者のゲームのアカウントに勝手にログインしないよう注意しましょう。
場合によっては、違法行為に該当する可能性があります。
この記事を読んでわかること
- オンラインゲームが浮気の発端となりやすい理由
- 浮気で慰謝料を請求できるケースとできないケース
- 浮気の慰謝料の相場
- 浮気の慰謝料請求に効果的な証拠と証拠集めのポイント

法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件部にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。
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オンラインゲームが浮気の発端となりやすい理由
不特定多数の人が同時接続するオンラインゲームは、時として浮気の発端となります。浮気の発端となる理由は、主に次の3つです。
- 細かく練られた世界観やストーリー展開といった仕掛けによって、ユーザーが心理的にオンラインゲームの世界に入り込みやすく、プレイが長時間になりやすい。
- プレイヤー同士がチーム(パーティー)を組んで、協力しながらゲームを進める設計になっているものが多く、プレイヤー同士が仲良くなりやすい。
- テキストや音声でのチャット機能によって、プレイヤー同士のコミュニケーションが活性化するようにつくられている。このことにより、個人的な連絡先の交換やオフ会の開催につながりやすい。
特に、オンラインゲームでは個人的な連絡先の交換やオフ会の開催がされることが、しばしばあります。このオフ会などをきっかけとして、浮気が始まることも少なくありません。
浮気で慰謝料を請求できるケースとできないケース
日常用語で「浮気」と一言で言っても、さまざまな形の「浮気」があり、人によって「浮気」と感じる内容には違いがあります。
そこで、法律上、浮気で慰謝料を請求できるケースとできないケースについてご説明します。
(1)慰謝料を請求できるケース
法律上、浮気を理由に慰謝料を請求できるのは、基本的には「不貞行為」があったときに限られます。
不貞行為とは、婚姻共同生活を侵害・破壊に導く可能性のある行為のことを言います。
具体的には、肉体関係を結ぶことのほか、肉体関係に準ずる行為を行うこと(性交類似行為や衣服の中に直接触れて愛撫する行為など)がこれに含まれます。
このことから、単にオフ会をするというだけでなく、実際に肉体関係を結ぶなど不貞行為に及んでいた場合には、浮気の慰謝料を請求できる可能性があります。
(2)慰謝料を請求できないケース
これに対して、例えばゲーム内で親しげにチャットをしているだけでは、原則として不貞行為とは認められません。
「あなたのことが大好きです」などといった恋愛感情を伝えるメッセージを送り合っている場合でも、不貞行為がなければ、恋愛感情のメッセージを理由に慰謝料請求をすることは難しいでしょう。
また、オフ会などを通して実際に会っていた場合でも、単に会っていただけでは不貞行為にはあたりません。
一緒に食事をしたりデートをしたりしていただけだという場合には、慰謝料請求をすることは難しいと考えるべきでしょう。
不貞行為の判断基準について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
浮気の慰謝料は誰に対して請求できる?
あなたの配偶者が、オンラインゲームを通じて知り合った相手と不貞行為に及び、慰謝料請求ができる浮気をしていた場合、次に誰に請求をするのか考える必要があります。
原則として、不貞行為は浮気相手と配偶者の「共同不法行為(民法719条1項)に該当し、慰謝料は、浮気の当事者双方、あるいは片方だけに請求することができます。
また、離婚しない場合であっても、慰謝料を請求することは可能です。

もっとも、 離婚をしないのであれば、家計が実質的に同一で慰謝料請求の意味がないことなどから、配偶者には慰謝料請求をしないことが多いです。
代わりに、浮気相手だけに慰謝料請求をします。
なお、浮気相手と配偶者の両方に対して慰謝料請求をする場合には、もらえる額が2倍になるというわけではないので注意しましょう。
「もらえる額が2倍になるというわけではない」というのはどういうことですか?
たとえば、本来もらえる慰謝料の合計金額が全部で120万円である場合について考えてみましょう。
この場合、2人に請求したら、120万円×2=240万円をもらえるわけではないということに注意してください。
もらえるのは、2人合わせて計120万円となります。
浮気の慰謝料の相場はいくら?
浮気の慰謝料として、どれくらいの金額を請求できのかは、誰しも気になるところです。
実は、慰謝料の金額について、法律上はっきりとした基準があるわけではありません。
もっとも、全く基準がないというわけでもなく、裁判になった場合にはどれだけの額が認められるのかという、裁判上の相場というものが存在します。
浮気の慰謝料の裁判上の相場は、次のとおりです。
- 離婚しない場合:数十万~100万円
- 浮気が原因で離婚する場合:100万~300万円

浮気の慰謝料請求は証拠集めがポイント!

浮気によって慰謝料を請求できるかどうかは、基本的には不貞行為の有無にかかっています。
また、慰謝料請求では、請求する側に「不貞行為があったという事実」を証明する責任があります。
もしあなたの配偶者や浮気相手が、不貞行為の事実があったことを認めた場合には、証拠によって不貞行為の事実があったことを証明する必要は基本的にありません。
しかし、配偶者や浮気相手が不貞行為の事実があったことを否定した場合には、浮気をされたあなたが不貞行為があったという事実について、証拠をもって証明する必要が生じます。
(1)浮気の慰謝料請求に効果的な証拠
配偶者が、オンラインゲームで出会った浮気相手とLINEや電話をしていた場合には、そのことを証拠に残しておきましょう。
通話履歴やLINEのトーク画面を写真に撮っておくなどの方法があります。
証拠として使える可能性のあるものには、次のものがあります。
- メール、LINE
- 通話履歴
- SNSへの投稿
- 性行為の最中を記録した写真、動画
- 浮気を自白した録音
- ラブホテルなどの領収書
- ラブホテルに出入りする写真
- 調査会社の報告書
特に、メールやLINEでは、不貞行為があったことを直接うかがわせる内容のものであれば証拠としての価値が高くなります。
直接的に不貞行為をうかがわせる内容の証拠がなかったとしても、親密なやりとりを重ねていることを示す証拠を積み上げていくことで間接的に浮気の事実を証明していくことができる場合もあります。
ですから、直接的な証拠が見当たらなかったからといって諦めないでください!
浮気の慰謝料請求に効果的な証拠について、詳しくはこちらの記事ご覧ください。
(2)証拠集めの注意点
証拠の種類や入手方法次第では、裁判になった際に浮気の証拠として認められない可能性があるので注意が必要です。
例えば、次のものは浮気の証拠として認められない可能性があります。
- 違法性の高い手段で集めた証拠(浮気相手の家に侵入して盗撮など)
特に、オンラインゲーム経由での浮気では、違法な手段で証拠を集めてしまわないように注意することが大切です。
違法な手段の典型例は、配偶者のアカウントで勝手にオンラインゲームにログインする行為です。
このような行為は、不正アクセス行為の禁止等に関する法律(いわゆる「不正アクセス禁止法)2条4項、同3条に違反する違法な行為です。
このため、配偶者のアカウントでゲームにログインして集めた証拠は、違法に集めた証拠として、裁判において証拠として認められなくなる可能性があります。
「そこに証拠があるかもしれない」と思うと、どうしても配偶者のオンラインゲーム内でのやり取りをのぞき見たくなるかもしれません。
しかし、違法な手段で証拠を収集して結果的に証拠として使えなければ意味がありません。
また、不正アクセス禁止法に違反する不正ログイン行為は、刑事罰もある犯罪です。オンラインゲームによってはログイン履歴が残りますので、配偶者が不審なログインがあるとして警察に相談した場合には、刑事事件に発展してしまうおそれもあります。
決して不正なログインなどの行為はしないようにしましょう。
浮気の証拠がない場合の証拠の集め方について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(3)浮気の証拠が集められない場合には弁護士に相談・依頼するという選択肢も
浮気の証拠を一人で集めることは、難しいかもしれません。
また、オンラインゲーム経由の浮気であれば、浮気相手の素性や住所などが全く分からないという場合もあるでしょう。
このような場合には、弁護士に相談・依頼するという選択肢もあります。
たとえば、通話履歴だけは見つかっており、浮気相手の電話番号が分かっているが住所や氏名が分からず、証拠集めが進まない場合があります。
このような場合には、弁護士に依頼すれば、弁護士が弁護士会照会(23条照会)という手続きで電話会社に情報照会を行うことができます。
これにより、電話番号から浮気相手の住所や氏名が判明するという可能性もあります。
弁護士会照会には、必ず慰謝料請求などの目的が必要であり、単に「浮気相手の住所や氏名を知りたい」等という理由で弁護士会照会だけを弁護士に依頼することはできません。慰謝料請求まで含めて弁護士に依頼することになります。
弁護士会照会制度について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【まとめ】オンラインゲームがきっかけの浮気が発覚しても、不正なログインはしないように!
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- オンラインゲームはプレイヤー同士のコミュニケーションが活性化するようにつくられており、個人的な連絡先の交換やオフ会の開催につながりやすい。
- ゲーム内で親しげにチャットをしているだけだったり、オフ会で単に会っていただけなら、慰謝料請求をすることは難しい。慰謝料請求には基本的には肉体関係を伴う「不貞行為」が必要。
- 浮気の慰謝料請求に効果的な証拠として、不貞行為を直接うかがわせるメールやLINE、性行為の最中を記録した写真や動画などがある。
- 違法性の高い手段で集めた証拠は、浮気の証拠として認められない可能性がある。
特に、オンラインゲーム経由での浮気では、配偶者のアカウントで勝手にログインしないように注意。 - 浮気相手の電話番号しか分からなくても、慰謝料請求を弁護士に依頼すれば、弁護士会照会で住所や氏名まで調べられることがある。
オンラインゲームをきっかけに始まった浮気の場合、浮気相手の素性がわからず、慰謝料請求を断念せざるを得ないことも少なくありません。
しかし、弁護士に依頼すれば、弁護士の権限に基づく調査により、浮気相手の住所や氏名が判明することがあります。
そのため、すぐに諦めてしまうのではなく、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。
アディーレ法律事務所では、浮気の慰謝料請求につき、相談料、着手金をいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。
原則として、この報酬は獲得した賠償金等からのお支払いとなりますので、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要がありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
(以上につき、2023年6月時点)
浮気の慰謝料請求でお悩みの方は、浮気の慰謝料請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。
