「夫が不倫している……。すぐに離婚するつもりはないけど、許せないから不倫相手には慰謝料を請求したい。決定的な証拠がないけれど、この状態で慰謝料請求は難しい?」
このようにお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
たとえ決定的な証拠を入手できない場合であっても、複数の証拠を組み合わせることで不倫(不貞行為)を立証できる可能性があります。
不貞行為は、決定的な証拠で直接的に立証する方法(例えば、夫や不倫相手の自白や、肉体関係の最中の動画など)もありますが、複数の証拠によって、間接的に不貞行為の事実を立証していく方法もあります。
このことを知っておくと、証拠収集で効果的な証拠を集めることができたり、得られた証拠で交渉を有利に進められる可能性が高まるでしょう。
決定的な証拠がないからといって、慰謝料請求を諦めるのは早すぎます!
この記事を読んでわかること
- 不貞行為の慰謝料請求の基礎知識と証拠が必要な理由
- 不貞行為の立証が難しいときの証拠集めのポイント
- 証拠集めの段階で弁護士に相談することをお勧めする理由

法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件部にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。
【Xアカウント】
@ikeda_adire_law
離婚、浮気・不倫の慰謝料に関するご相談はアディーレへ!
費用倒れの不安を解消!「損はさせない保証」あり
ご相談・ご依頼は、安心の全国対応。国内65拠点以上(※1)
知っておきたい!不貞行為の慰謝料請求の基礎知識
不倫を理由に慰謝料を請求できることは、広く一般的に知られています。
しかし、「不倫」という法律用語はありません。
ここで、慰謝料の法的な位置付けと、証拠の重要性についてご説明します。
(1)基礎知識1|慰謝料は、不貞行為の損害賠償金
法律上、不倫を理由に慰謝料を請求できるのは、基本的に「不貞行為」があった場合に限られています。
不貞行為とは、配偶者以外の人、あるいは既婚者と自由な意思でおこなう性行為・性交類似行為のことです。
不倫した配偶者に請求する場合 | 不倫相手に請求する場合 | |
不貞行為とは | 配偶者以外の人と性行為・性交類似行為をおこなうこと | 既婚者と性行為・性交類似行為をおこなうこと |
そのため、デートをしたり、キスをしたにとどまる場合には、「不貞行為」があったとは言えず、原則として慰謝料の請求は認められません。
配偶者に不倫をされた側が、不貞行為により精神的苦痛を受けたことを根拠として、不倫の当事者(不倫をした配偶者・不倫相手)に対する損害賠償請求権が発生します。これがいわゆる慰謝料です。
(2)基礎知識2|不貞行為の慰謝料額は、法律で決まっているわけではない
不貞行為を原因とするものに限らず、精神的な苦しみは客観的に算定することが難しい性質のものです。
不貞行為の慰謝料額についても法律で決まっているわけではなく、明確な算定基準も存在しません。
そのため、裁判における不貞行為の慰謝料の相場も、次のように幅のある金額になっています。
裁判における不貞行為の慰謝料の相場
- 離婚しない場合:約数十万~100万円
- 不貞行為が原因で離婚に至った場合:約100万~300万円
※あくまでも裁判上の相場であり、具体的な事情に応じて決まるものであって、常に相場上限の300万円が狙えるわけではないことにご注意ください。
また、慰謝料額を決める事情としては、次のようなものが考慮されています。

(3)基礎知識3|慰謝料請求では、被害者側(請求する側)に立証責任がある
民事裁判では、慰謝料を請求された相手が不貞行為の事実を認めれば、請求する側は証拠により不貞行為の事実を証明する必要はありません。
しかし、相手が不貞行為の事実を否定するのであれば、請求する側が、証拠により不貞行為の事実を証明しなければいけません。
つまり、不貞行為の事実が証明できなければ、裁判において不貞行為の事実は認められず、その結果、慰謝料請求も認められなくなるということです。
このことを、請求する側に「立証責任がある」といいます。
また、裁判ではなく、示談交渉(話し合いによる解決を目指すこと)をする場合であっても、不貞行為の証拠をつかんでおけば、有利に交渉を進められる可能性が高くなります。
裁判ではなく、示談交渉であっても証拠が必要なのですか?
示談交渉でも、相手が不貞行為の事実を認めて慰謝料の支払いに応じるのであれば証拠がなくても問題はないのですが、素直に事実を認めない相手もいます。
そういった場合に、こちらが証拠をつかんでおけば、「示談がまとまらなければ裁判を起こすけれど、そうなれば負けるのはあなたの方ですよ。」と、裁判も辞さない覚悟を示すことで、有利に交渉を進められる可能性が高まります。
証拠といってもさまざまなものがありますが、証拠は基本的に「量より質」が重要です。
ここで「質」とは、より不貞行為の事実などを証明する力が強いものをいいます。
ただし、決定的な証拠がない場合でも、複数の証拠を組み合わせることによって、不貞行為を間接的に立証できる場合があるのです。
決定的な証拠とは、どんなものですか?
それだけで、不貞行為を証明できる証拠です。
例えば、性行為を撮影した動画などで、画像から配偶者と不倫相手の特定が可能であればそれだけで不貞行為の決定的な証拠になります。
そのような決定的な証拠がなければ、複数の証拠を組み合わせて不貞行為を立証することになります。
必要な証拠はどう集める?
ここでは、不貞行為の立証に役立つかもしれない証拠の具体例と、証拠を集める際に注意しておくべきポイントについてご紹介します。
(1)不貞行為の立証に役立つ可能性のある証拠の具体例
具体的な証拠としては、次のようなものが挙げられます。
- メール、LINE、SNSのダイレクトメールなどでのやり取り
- 写真、動画
- 不貞行為について自白した録音
- 電話の通話記録や通話履歴
- ラブホテルの領収書
- 調査会社の報告書 など
メールなどのやり取りであっても、それが客観的に肉体関係の存在を示すような内容ではない場合には、基本的に不貞行為の証拠としては認められにくい傾向にあります。
しかし、内容によっては、他の証拠と組み合わせることにより、不貞行為を立証できる可能性があります。
他の証拠と組み合わせて不貞行為を立証する、とはどういうことでしょうか?
例えば、居住地から離れた観光地で撮影されたツーショット写真があったとします。
この写真だけでは、デートの証拠にしかなりません。
しかし、この写真のほかに、配偶者がその観光地にあるホテルに宿泊料金を支払ったことがわかる支払履歴や領収証も発見できたとします。
そして、宿泊日が写真の撮影された日の当日や翌日など近接している場合には、配偶者と不倫相手が二人で旅行していたことの証拠になる可能性があります。
二人で旅行していた、ということが証明できれば、両者の間の不貞行為の立証に大きく役立つといえるでしょう。

(2)証拠を集める際に注意したいポイント
たとえ有力な証拠であっても、その種類や入手方法によっては、裁判になった際に証拠としての価値が認められない場合があるため注意が必要です。
例えば、次のようなものが該当します。
- 加工、編集できる(改ざんしやすい)データ
- 違法に集めたもの(盗聴・盗撮・窃盗) など
改ざんしやすいデータかどうかの判断は難しい場合があります。また、これから証拠を集めようとしているけれども、違法に集めたということにならないかと迷うケースもあるでしょう。
違法に収集した証拠は、裁判ではそもそも証拠として認められない可能性がある上、基本的には収集行為自体が犯罪に当たりますので、絶対に違法な手段で証拠を集めることはしてはいけません。
そのような場合には、証拠集めの段階から弁護士に相談しておくことをお勧めします。

証拠の集め方について詳しくはこちらをご覧ください。
不貞行為の証拠集めが難しいときは、弁護士に相談しましょう
これまでご説明したように、有力な証拠といえるかの判断や、必要となる証拠の種類・内容・組み合わせなどについての判断には難しいものがあります。
証拠集めについては、弁護士に相談すると良いでしょう。
また、不倫問題に詳しい弁護士に相談しておくことで、その後に慰謝料請求を依頼する場合にも、交渉を有利に進めてもらいやすくなるというメリットがあります。
決定的な証拠がない場合であっても、弁護士のアドバイスにより交渉を有利に進める証拠を準備できる可能性があります。
どんな証拠に価値があるのか分からない、証拠の集め方が分からない…そんな方は、一度弁護士に相談されることをお勧めします。
また、そもそも不倫相手の名前や連絡先さえもわからない場合でも、弁護士に不倫相手の慰謝料請求を依頼すれば、「弁護士会照会制度」を利用できるため、不倫相手を特定できる可能性が高まります。
「弁護士会照会」について詳しくはこちらをご覧ください。
弁護士依頼のメリットについて詳しくはこちらをご覧ください。
【まとめ】決定的な証拠がなくても諦めないで!不貞行為の立証は弁護士に相談を
今回の記事のまとめは、次のとおりです。
- 不倫で慰謝料を請求できるかどうかの鍵は、不貞行為の有無
- 裁判における不貞行為の慰謝料の相場
- 離婚しない場合:約数十万~100万円
- 不貞行為が原因で離婚に至った場合:約100万~300万円
※具体的事情によるため常に300万円の上限を請求できるわけではない。
- 決定的な証拠を入手できずに立証が難しい場合でも、複数の証拠を組み合わせることで不貞行為を立証できる可能性がある
- 証拠の種類や入手方法によっては、不貞行為の証拠として認められない可能性があるので注意が必要
- 証拠の重要性についての判断や入手方法は、弁護士に相談しておくことをお勧めする
配偶者が不倫をしているみたい……そんな時、すぐにでも配偶者を問い詰めたくなるでしょう。
まずは配偶者に不倫を止めさせることが目的で、離婚や慰謝料請求は全く考えていない、という場合には、それでも良いかもしれません。ですが、少しでも離婚や慰謝料請求をする可能性があるのなら、まずは証拠を集めてご自身の優位な立場を固めるということはとても大切です。
アディーレ法律事務所では、不貞行為の慰謝料請求につき、相談料、着手金をいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。
原則として、この報酬は獲得した賠償金等からのお支払いとなりますので、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要がありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
(以上につき、2023年4月時点)
不貞行為の慰謝料請求において、証拠の検討・収集はとても重要な意味を持ちます。
不貞行為の慰謝料請求でお悩みの方は、不貞行為の慰謝料請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。
