不倫中の妊娠が発覚した場合、「不倫中に妊娠が発覚し、これからどうすればいいのか」と不安な気持を抱えていることでしょう。
ただ、今この時もお腹にいる子供は大きくなり、時は待ってくれません。
中絶をするのであれば、早めに決めなければなりません。
出産する場合でも認知はどうするのか、養育費はどうするのかなど様々なことを決める必要があります。
この記事では、中絶の有無、今後の離婚の有無などいろいろなパターンに分けて、今後どうするべきなのかを書いています。 この記事を読んで、今後どう行動をするのかを考える参考にしてください。
この記事を読んでわかること
- 不倫で妊娠が発覚した場合に取るべき行動
- 不倫で慰謝料を請求された場合に取るべき対応と相場
ここを押さえればOK!
中絶を選ぶ場合は、早めに手続きを進めることが重要です。出産を選ぶ場合は、子供の認知や養育費についても話し合う必要があります。
また、今後の2人の関係についても話し合い、離婚して再婚するか、別れるか、関係を続けるかを考えます。配偶者から慰謝料を請求された場合には、本当にこちらが払うべき慰謝料なのかを確認した上で、配偶者と慰謝料の金額についても話し合う必要があります。

法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件部にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。
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不倫中に妊娠が発覚!どうしたらいい?
ここでは、妊娠が発覚した際に取るべき行動について解説します。
(1)妊娠の有無を確認する
「妊娠した」と判断した根拠を確認しましょう。
「生理が遅れている」だけだと、たまたま遅れている場合や病気の可能性もあります。必ずしも「生理が遅れている=妊娠」ではありません。
まずは妊娠検査薬で妊娠の有無を確認しましょう。市販されている妊娠検査薬では、妊娠5週目(生理予定日から1週間経過した日)からの検査を推奨しています。 そして、妊娠可能なのは、女性の排卵日(月経開始から12~14日であることが多い)前後だけです。排卵日の前後で、不倫相手と妊娠するような形で性交渉をもったのかも確認しましょう(※)。
※ ただし、精子の寿命にも個人差がありますので、排卵日よりも数日前の性交渉でも妊娠の可能性があります)。
女性の排卵日前後に性交渉を持った可能性があり、かつ、妊娠検査薬で陽性の結果が出たら、産婦人科を受診して、妊娠の有無を診断してもらいましょう。
不倫相手が妊娠した場合には、不倫相手自身が妊娠を勘違いしている可能性や男性の気を引くために噓をついているケースもありえます。そのため、不倫相手とともに病院に行って自分自身の目で確認することをおすすめします。
(2)お腹にいる子供をどうするのか話し合う
妊娠が間違いないと判明したら、お腹にいる子供をどうするのかを話し合わなければなりません。
選択肢は、中絶するか出産するかのどちらかです。
中絶する場合、タイムリミット(妊娠21週6日まで)があります。 実際には、それより前に病院を受診して、手術日を決める必要があります(受診した日に手術できるとは限りません)。そのため、もっと早く中絶するかどうかを決める必要があります。
お腹の子供をどうするのかは重大な決断ではありますが、早めに決めなければなりません。
(3)【中絶する場合】中絶の予約を早めにとる
中絶を選んだことは決して責められることではありません。
人には「経済的に育てられない」など様々な事情があり、必ずしも子供を産むことが正解ではないからです。
ただ、 中絶はどんな場合も行えるものではなく、次のいずれかの条件に当てはまる必要があります(母体保護法14条1項)。
- 「妊娠の継続または分娩が身体的または経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのある」
- 「暴行若しくは脅迫によって抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠した」
実際には、1つ目の条件の「経済的理由」が広く理解されていて中絶を希望した場合に、条件を満たさないために中絶手術を受けられない、というケースはないようです。
中絶する場合は、妊娠経過週数により、中絶手術などが次のように変わります。負担の少ない中絶をするためには、早めに行動する必要があります。
妊娠初期(~妊娠11週6日まで) | 妊娠中期(妊娠12週~21週6日まで) | |
手術内容 | 吸引や掻把(人工妊娠中絶) | 薬で陣痛を起こした上で分娩 (人工死産) |
所要時間 | 5~15分程度 | 1日以上(入院が必要) |
必要な手続 | 特になし | 7日以内に役所に死産届を提出 火葬許可証を受け取り、火葬の処置 |
(4)【出産する場合】認知や養育費について話し合う
不倫中に妊娠した子供を出産すると決めた場合には、認知や養育費についてどうするのかを話し合う必要があります。
(4-1)認知をどうするのかを話し合う
女性が独身で不倫中に妊娠した場合と、女性が既婚者で不倫中に妊娠した場合で分けて説明します。
(4-1-1)女性が独身で不倫中に妊娠した場合
女性が独身で不倫中に妊娠した場合には、子供の認知をするのかしないのかも話し合う必要があります。
不倫である場合には、結婚はしていないので嫡出推定(夫の子どもであると推定すること)が及ばず、出産しても法律上の父子関係は当然には生じません。 不倫で妊娠した子供と男性が法的に親子(父子関係)となるためには、父親が胎児ないし生まれた子供を「認知」をする必要があるのです(民法779条)。
ただ、認知をすると、父親の戸籍にも認知したことがわかる記載がなされます。そのため、子供の存在が戸籍を見れば家族にも明らかとなってしまいます。
さらに、認知をした父親は、子供に対する法律上の扶養義務を負い、養育費を支払わなければなりません(民法877条)。また、父親が死亡した場合は、子供がその財産を相続することができます(民法887条1項)。
一方、認知をしないという選択肢もありますが、後に子供(法定代理人としてその母親)から「認知」を求められる可能性があります。この場合、あなたが認知を拒んでも、調停や裁判で認められれば、強制的に「認知」がされることになります。
(4-1-2)女性が既婚者で不倫中に妊娠した場合
では、女性が既婚者で不倫中に妊娠した場合は、どうなるのでしょうか。
この場合は、嫡出推定が及んで、そのお腹にいる子供は法律上「夫の子供」ということになります。
しかし、不倫相手の子供を「夫の子供」として育てていくことは、法的にも倫理的にも問題ですし、ずっと隠し続けることは難しいといえるでしょう。 また、夫にそのことが発覚した場合には、夫から「嫡出否認の訴え」や「親子関係不存在確認の訴え」が起こされる可能性があることにも注意してください。
なお、婚姻中に不倫をして妊娠した場合であっても、離婚してその後再婚をし、再婚後に生まれた子供であれば、例外的に法律上も「再婚後の夫の子供」とされることになります(嫡出推定の規定が改正され、2024年4月から施行されました)。
「認知」や「嫡出推定」について、さらにくわしく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
(4-2)養育費をどうするのかを話し合う
次に、お腹にいる子供を育てるのに必要な養育費をどうするのかを話し合う必要があります。
女性だけで育てることにした場合も、女性だけに養育費の負担を負わせるのはよくありません。認知の有無にかかわらず、男性も養育費は負担すべきでしょう。
養育費については、例えば次のようなことを話し合うとよいでしょう。
- 養育費の金額(例:毎月〇万円など)
- 支払い時期(例:月末にするなど)・支払い方法(例:振込など)
- 支払い期間(例:大学を卒業するまでなど)
- 臨時の費用(例:突然のケガや病気による治療費が必要なとき)
(5)今後の2人の関係をどうするかを話し合う
次に、今後の2人の関係をどうするかについても話し合う必要があります。
今後の二人の関係として考えられる道は、次の3つです。
- 離婚をして不倫相手と再婚をする
- 離婚をせずに不倫相手と別れる
- 離婚をせずに不倫相手とも関係を続ける
それぞれのパターンについて見ていきます。
(5-1)離婚をして不倫相手と再婚をする
1つ目は、離婚をして不倫相手と再婚をすることです。
ただ、ここで気を付けてほしいことは、簡単に離婚できない可能性があるということです。
あなたの不倫を理由に離婚をする場合には、あなたは離婚をする原因を作った人、いわゆる「有責配偶者」ということになります。 この場合に、あなたから離婚を求めても、あなたの配偶者が離婚を拒否し、「裁判」となってしまうと、有責配偶者からの離婚請求は認められず、離婚をすることが難しくなってしまうのです。
有責配偶者と離婚についてさらにくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
(5-2)離婚せずに不倫相手と別れる
2つ目は、離婚せずに不倫相手と別れることです。
不倫関係もやめ、離婚しないことで婚姻関係にある家庭を守り続けることができればよいですが、そのような結果になるとは限りません。 例えば、ここで不倫をやめても、過去の不倫がバレてしまえば、家庭が壊れてしまったり、慰謝料を請求されてしまったりするリスクがあるのです。
過去の不倫であっても、あなたと不倫相手の交際が始まった日から20年間以内であれば、慰謝料請求をされてしまう可能性があります(※)。
- 不倫の慰謝料請求の時効は、法律上、次のいずれか短いほうで完成します。
- 配偶者があなたの不貞行為および不倫相手を知ったときから3年間
- あなたと不倫相手の交際が始まった日から20年間
(5-3)離婚せずに不倫相手と関係を続ける
3つ目は、離婚せずに不倫関係を続けるということです。
この場合、不倫関係を続けるということになりますので、不倫をやめる場合に比べてより不倫がバレてしまうリスクが高いといえるでしょう。 また、不倫を長期間続けると、短期間の不倫よりも慰謝料がより高額となってしまう可能性もあります。
中絶するなら知っておくべき「お金」のこと
ここでは、中絶にかかる費用などをどちらが負担するのか、妊娠した側がさせた側に慰謝料請求できるのかなどについて説明します。
(1)中絶費用は、どちらが負担する?
中絶費用は、「どういった手術の方法で中絶を行うのか」や「どの病院で行うのか」によって金額が変わります。
そして、中絶については、男性と女性が「共同で行った性行為に由来し、その行為に源を発しその結果として生ずるものであるから、…等しくそれらによる不利益を分担すべき」であるとして、費用の負担については、半分ずつ負担すべきとした裁判例もあります(東京高裁2009年10月15日判決)。
しかし、中絶は女性に精神的にも身体的にも負担をかけるものですので、男性側が全額負担したり、多めに負担する方が多いかもしれません。そうすることで、女性のかかる負担を和らげることになり、のちのちのトラブルをさけることもできるでしょう。
(2)中絶を理由に女性から男性に慰謝料は請求できる?
中絶は、女性に精神的・身体的に大きな負担をかける行為ですが、女性から男性に慰謝料は請求できないのが原則です。
なぜなら、妊娠は双方の同意のもとの性行為によって発生したものであって、その妊娠によって中絶することになっても男性だけの責任ではないからです。
しかし、次のような場合には、中絶を理由に女性から男性に対し、慰謝料を請求できる可能性があります。
- 妊娠や中絶に対し、男性が不誠実な対応をとった場合
- 中絶を強要した場合
- 男性が避妊していると嘘をついて、女性が妊娠した場合
例えば、男性は話し合いをすることもせず、子供を産むか中絶するかの判断を女性に一方的にゆだねるだけの場合などが当てはまります。
今後に備えて知っておきたい「慰謝料」のこと
現在は不倫をしていることがバレていなくても、将来的に不倫がバレて慰謝料を請求されてしまうかもしれません。
今後慰謝料を請求された場合に備えて、「どのような対応をすべきか」、また「慰謝料の相場はどれくらいになるのか」を知っておきましょう。 事前に知っておくことで、慌てずにすむかもしれません。
(1)慰謝料を請求されたら、どうすればいい?
慰謝料を請求されたら、言われたままに慰謝料を払うことはおすすめしません。
なぜなら、相場を超えた不当に高額な慰謝料を請求されていたり、不倫をはじめたときにすでに夫婦関係が破綻していたなど慰謝料を払う必要がないケースもあったりするからです。
慰謝料を請求されたら、相場どおりの金額なのか、本当にこちらが慰謝料を払うべきなのかなどを確認する必要があります。
不倫を請求されたらすべきことについてさらにくわしく知りたい方は、「浮気・不倫の慰謝料を請求されたら?不貞行為がばれたら最初にすべきこと」をご覧ください。
(2)不倫の慰謝料の相場って、どれくらい?
不倫の慰謝料の金額は、婚姻期間、不倫をしていた期間、肉体関係を持った回数など、様々な事情を考慮して計算しますが、だいたいの裁判上の相場は次のとおりです。
【慰謝料相場(裁判になった場合)】
不倫で離婚した場合 | 離婚しない場合 |
---|---|
100万~300万円程度 | 数十万~100万円程度 |
ただし、今回のケースのように、不倫中に妊娠していたという場合には、より慰謝料が高額になってしまう可能性があります。なぜなら、不倫中に妊娠していた場合、不倫をされた側が受ける精神的ショックは大きくなるからです。
なお、裁判となった場合、裁判官によっては肉体関係をもった当然の結果であるとして増額理由になるとは考えない場合もあります。

(3)ダブル不倫の場合、慰謝料ってどうなるの?
不倫をしている同士が双方既婚者だった場合、双方の不倫をされた配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。 この場合、あなたの配偶者にも、相手の配偶者にも慰謝料を支払う必要があります。
ただし、双方が離婚しない場合には、夫婦双方でそれぞれ慰謝料を請求しないことを約束する「四者ゼロ和解」や不倫相手が慰謝料を支払い、あなたは慰謝料を支払わないなどという内容で「四者和解」などで解決するケースもあります。
ダブル不倫の慰謝料請求をされた場合の対処法についてさらにくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
【まとめ】不倫中の妊娠発覚!中絶するのか生むのかを早めに話し合おう
今回の記事のまとめは、次のとおりです。
- 不倫で妊娠した場合には、様々な問題が生じるため、話合いを先延ばしにせず、速やかに話し合って今後の方針を決定する必要がある。
- 出産する場合には、「認知をどうするのか」「養育費をどうするのか」を話し合う必要がある。
- 中絶する場合でも、中絶費用はどちらがどれくらい負担するのかなどを決める必要がある。
- 今後慰謝料を請求された場合には、請求された金額をそのまま払うのではなく、請求された金額が相場を超えた不当に高額な金額になっていないか、そもそも払う必要のあるものなのかを確認する必要がある。
慰謝料を請求されたら弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談することで、不当に高額な慰謝料を払わずに済む可能性があります。また、弁護士があなたにかわって交渉することで、感情的な相手も冷静になって、あなたの言い分を聞いてくれるケースも多々あります。 相手が弁護士を立ててきた場合でも、対等に交渉することが可能です。
アディーレ法律事務所では、不倫慰謝料を請求された事件の相談料は何度でも無料です。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため、費用倒れの心配はありません。(以上につき、2025年2月時点)
「不倫の慰謝料を請求されて、どうすればいいかわからない」「相手が感情的になって話し合いができず、困っている」などお悩みの方は、不倫の慰謝料請求への対応を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。
