「不倫相手に別れ話を切り出した後、不倫相手がストーカー化してしまった。」
「配偶者の不倫相手から嫌がらせを受けるようになった。」
ストーカー行為や嫌がらせ行為をする不倫相手に対しては、慎重な対処が必要です。
もっとも、あなたが配偶者に不倫された立場であるなら、配偶者や不倫相手に慰謝料請求が可能なだけでなく、ストーカー行為や嫌がらせを理由に、不倫相手が支払うべき慰謝料が増額される可能性もあります。
この記事を読んでわかること
- 不倫相手からストーカー行為や嫌がらせ行為は珍しいことではない
- ストーカー行為になりうるのは、つきまとい等や位置情報を取得する行為などである
- ストーカー行為を禁止する警告や命令を出してもらうように警察署に申し出ることができる
- 不倫相手からのストーカー行為や嫌がらせ行為は不倫の慰謝料の増額要素となる
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不倫相手からストーカーや嫌がらせを受けるのはレアではない
不倫相手がストーカー行為をすることや嫌がらせ行為をしてしまうことは必ずしもレアなケースとは言い切れません。
例えば、既婚者には家庭があり、不倫相手と頻繁に会うことができないため、不倫相手はその寂しさやもどかしさからストーカーや嫌がらせに走ってしまうケースがあります。また、不倫関係を続けていくうちに、独占欲が強まり、離婚を迫るようになったり、ストーカーや嫌がらせに走ったりするケースもあります。
別れ話を切り出されたことにより、ストーカーや嫌がらせに走ってしまうケースもあるようです。
法律で禁止される「ストーカー行為」に当たる行為とは
『ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)』では、次の行為がストーカー行為に当たりうることが規定されています。
【つきまとい等】 | 【具体例】 |
1.つきまとい、待ち伏せ、押しかけ、うろつき等 |
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2.行動を監視していると告げる等 |
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3.面会や交際等の要求 |
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4.乱暴な言動 |
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5.無言電話、拒否した後の連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNS・文書等 |
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6.汚物等の送付 |
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7.名誉を傷つける |
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8.性的しゅうち心の侵害 |
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近年、元交際相手の自動車などに勝手にGPS機器をつけたり、スマホに位置情報アプリを勝手にダウンロードしたりして、その位置情報を得て、つきまとう事案が複数発生しました。そこで、2021年に法改正がなされ、次の「位置情報無承諾取得等」についてもストーカー規制法の規制対象行為とされることになりました(下記9、10)。
【位置情報無承諾取得等】 | 【具体例】 |
9.GPS機器等を用いて位置情報を取得する行為 |
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10.GPS機器等を取り付ける行為等 |
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参考:ストーカー規制法|警視庁
これらの「つきまとい行為」又は「位置情報無承諾取得等」を同一人物に対して反復してすることを「ストーカー行為」(※)といいます(ストーカー規制法第2条第4項)。
(※)なお、上記1~4および5の電子メール・SNSの送信に係る部分については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限って、「ストーカー行為」に該当します。
ストーカー行為に対して出せる警告・禁止命令とは
つきまとい等や位置情報無承諾取得等の被害を受けた場合、まずは警察に相談することをお勧めします。
警察に相談すると、悪質な行為については、さらに反復してつきまとい等や位置情報無承諾取得等をしてはいけないことについて、警察署長などから「警告」あるいは公安委員会から「禁止命令」を出してもらえる可能性があります。
禁止命令の効力は禁止命令をした日から1年間とされています(場合によっては、さらに1年間延長することも可能です)。
ストーカー行為に対する刑事罰とは
ストーカー行為に対する刑事罰を簡単にまとめると、次のようになります。
違反行為 | 刑事罰 |
ストーカー行為をした者 | 1年以下の懲役 または 100万円以下の罰金 |
・禁止命令に違反して、ストーカー行為をした者 ・禁止命令を受けた行為でない他のつきまとい等又は位置情報無承諾取得等をすることにより、ストーカー行為をした者 | 2年以下の懲役 または 200万円以下の罰金 |
禁止命令に違反した者 | 6ヶ月以下の懲役 または 50万円以下の罰金 |
参考:ストーカー規制法|警視庁
ストーカー行為や嫌がらせ行為に対する対処法とは

ストーカー行為や嫌がらせ行為への対処を失敗すると、ストーカーや嫌がらせ行為をしていた不倫相手が逆上し、さらに当該行為が悪質になってしまう可能性も否定できないため、対処は慎重に行う必要があります。
自分で解決しようとはせずに、警察や弁護士に相談するようにしましょう。
(1)ストーカー行為や嫌がらせ行為の証拠を集める
不倫相手から連続してSNSやメール、電話がくる場合には、SNSやメールの履歴、通話履歴を残しておくことでストーカー行為や嫌がらせ行為を受けた証拠になります。
ストーカーや嫌がらせを受けている相手から来たメールなどを残しておくことは、感情的に抵抗があるかもしれませんが、のちのち重要な証拠となる可能性もありますので、残しておくようにしましょう。
(2)警察に相談する
不倫相手から受けているストーカー行為や嫌がらせ行為が、法律が定める「ストーカー行為」に当たる場合には、犯罪になりますので、被害届を出すことができます。
まずは警察に相談して、警察署長などからストーカー行為をやめるように、警告や禁止命令を出してもらうことも検討してもらいましょう。警察署に行くのは勇気がいることだと思いますが、被害がより深刻になる前に警察に相談することをおすすめします。
参考:警察署一覧|警視庁
(3)弁護士に相談する
弁護士に相談するのもおすすめです。特に次の場合にはすぐに弁護士に相談しましょう。
- ストーカー被害を警察に相談したが、とりあってくれなかった場合
- 警察に話して大ごとにはしたくないと考えている場合
- ストーカー規制法が定める「ストーカー行為」には当たらないが嫌がらせ行為を受けているという場合
ストーカー被害や嫌がらせ被害に対して、弁護士からストーカーや嫌がらせをしないように文書を送ったり、慰謝料を請求したりできる可能性があります。
不倫相手からのストーカーや嫌がらせは不倫慰謝料の増額理由に
自分が配偶者に不倫をされてしまった立場の場合、自分の配偶者と不倫相手に対して、不倫の慰謝料を請求することができます。そして、不倫にとどまらず、不倫相手によるストーカー行為や嫌がらせ行為があった場合には、不倫慰謝料の増額が認められる可能性があります。
(1)不倫の慰謝料とは
不倫の慰謝料とは、配偶者や不倫相手の不倫が原因で生じた精神的苦痛に対して支払われるお金のことをいいます。
慰謝料の額や相場が法律で定められているわけではないものの、例えば、不倫を原因とした慰謝料の裁判上の相場は、およそ数十万~300万円程度といわれています。
(2)不倫相手からのストーカー行為や嫌がらせ行為が行為を慰謝料の増額要素とするとした裁判例
不倫相手からのストーカー行為や嫌がらせ行為を慰謝料の増額要素とするとした裁判例は次のとおりです。
わかりやすくするため、不倫相手をY、夫婦のうち、不倫をしていた側をA、不倫された側をXとします。
裁判日付 | 内容 |
東京地裁判決 平成22年6月29日 | YとAは、出会い系サイトのチャットで知りあい、肉体関係を持つようになった。しかし、Aとの関係がうまくいかなくなると、Yは、Xに対して、多数回にわたり、無言電話や本文の記載のない電子メールを送るなどした。Yが、Xに電話をして、YがAの子を産んだなどと伝えたこともあった。 これらの行為の結果、事実上家庭内別居状態にあり、夫婦関係はすでに破綻し、Xは精神科への通院治療を余儀なくされた。 ⇒不倫行為のみならず、Xに対し、無言電話や電子メールを送ったことなども不法行為が成立し、慰謝料として250万円を認めました。 |
東京地裁判決 平成24年3月21日 | Yは、Aが既婚者であることを知りながら、肉体関係をもった。その後、Yは自身のブログで、Aと共に行った旅行や食事会について写真を掲載し、Aもブログで同じ写真を掲載していたこともあった。 Yは自身のブログで、(Xに対する中傷として)「先日、知人の奥様とお会いする機会がありました。この奥様、独身時代には国内線CAで結構人気があったという話(知人談)」「実際にお会いしたところ(略)どうみてもオバサンっぽく見える。」「彼女、年齢も私より1つ下だけに、考えちゃいましたよ」など掲載し、さらに別日には、「ブライドが高い『勘違い女性』がいるのですが、地元に帰ってしまいました。いなくなった途端、いろんな方々から悪い噂が出るわ、出るわ……随分と腹黒い女性だったようで」「周りのお友達も実は彼女のことはキライで」などと掲載した。 ⇒不倫行為のみならず、Xを中傷する記事を掲載した事情なども考慮して、慰謝料として350万円を認めました。 |
【まとめ】不倫相手から嫌がらせやストーカー行為を受けた場合には、警察や弁護士に相談を!
不倫相手からストーカー行為や嫌がらせ行為は、決して珍しいことではありません。ストーカー行為や嫌がらせ行為をする不倫相手に対しては、警察や弁護士に相談するなど慎重な対処を行うようにしましょう。
不倫相手からのストーカー行為や嫌がらせ行為を受けていても、慰謝料請求は諦めたくないという方もいらっやるかもしれません。
慰謝料請求をすることでストーカー行為や嫌がらせがさらに過激になることを心配されているかもしれませんが、弁護士に依頼することで弁護士が盾となってあなたに代わり慰謝料交渉を行います。
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