「妊娠したのは、夫ではなく不倫相手の子どもかもしれない!お互い既婚者のダブル不倫なので、夫にも、不倫相手の奥さんにも、知られたら大変なことになる…」
このような状況になれば、考えなければならないことが多過ぎて、まず何から対処すればいいのか分からなくなってしまっても不思議ではありません。
しかし、少なくとも子どもを産むかどうか、ダブル不倫の関係をどうするのか、今後の夫婦関係をどうするのかについては、検討しなければならないでしょう。
この記事を、ご自身の将来にとって後悔の少ない選択をするための参考にしていただければ幸いです。
今回の記事では、次のことについて弁護士が解説します。
- ダブル不倫で妊娠したらすべきこと
- 出産する場合・中絶する場合それぞれの問題点
- 妊娠中に慰謝料を請求されたときの対処法

法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件部にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。
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ダブル不倫中「妊娠したかも」と思ったらまずすべきこと
不倫相手と肉体関係を持っており、妊娠の兆候を感じたのであれば、慌てふためいてしまうかもしれません。
まずは、冷静になって、ひとつひとつ順番に対処していきましょう。
本当に妊娠しているのか確認する
妊娠の兆候を感じたのであれば、まずは薬局などで売っている妊娠検査薬で妊娠しているか確認することが多いでしょう。
ただし、稀に偽陽性になることもあるようですので、病院でも本当に妊娠しているのかを確認するようにしましょう。
父親が誰なのか特定する
妊娠したこと自体は間違いないとしても、不倫相手とも夫との性生活がある場合、父親がどちらなのか分からない場合があります。
妊娠周期から受精時期を計算し、その時期に両方と妊娠するような形で性行為に及んだ場合、父親を特定することは困難です。
父親を特定するには、「出生前親子鑑定」という方法があります。
出生前親子鑑定では、夫に知られずに鑑定してもらえるのですか?
検査機関は、基本的に検体(口の中を綿棒でぬぐって細胞を採取するのが一般的)を提出する男性の同意が必須であるとしています。
しかし、不倫相手の検体を提出して、不倫相手の子どもかどうかを検査するのであれば、不倫相手の同意があれば足りるため、夫に知られずに検査することは可能でしょう。
お腹にいる子どもをどうするのか、不倫相手と今後について話し合う
お腹の子の父親が不倫相手であると分かった場合、話し合うべきことは大きく次の2点です。
- 子どもを産むのか、中絶するのか
- 今後の2人の関係をどうするのか
具体的には(1)不倫を終わらせて別れる、(2)不倫関係を継続する、(3)お互い離婚して、再婚する、といった選択肢が考えられます。
ダブル不倫で妊娠!出産を選択した場合の問題点
不倫相手との子どもを出産することを選択した場合、法的な問題が生じ得ます。
次に、離婚しない場合と離婚した場合に分けて、それぞれご説明します。
離婚せずに出産する
結婚している女性が出産した場合、基本的に子どもは夫の子として法律上推定されることになります(嫡出推定 民法772条1項、2項)。
夫に黙って夫の子として出産することは、道徳的・倫理的にも問題がありますし、子どもが自分の本当の父親を知る権利を奪ってしまうことになりかねないため、妥当ではありません。
もし離婚せず、不倫相手との子どもを出産したいということであれば、夫との話し合いは避けられないでしょう。
※次で説明するように、離婚後300日以内に出産した場合も法律上夫の子であると推定されますので、話し合いが必要という点では、同様です。
法律上、夫の子であると推定される期間は、次の図のとおりです。

離婚して出産する
離婚する場合であっても、離婚後300日以内の出産であれば、元夫との子であると法律上推定されます。
何も手続きなどをしなければ、法律上の子どもの父親は元夫ということになりますから、実の父親(不倫相手)と子どもの間には法律上の親子関係は生じず、養育費の請求もできないことになります。
法律上の親子関係を否定するためには、不倫された夫の方が、子どもの出生を知った時から1年以内に嫡出否認の手続きを取る必要があります
(まずは嫡出否認の調停を申立てる必要があり、調停では解決できなかった場合には、嫡出否認の訴えを提起する必要があります)。
離婚後に妊娠が発覚したケースについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ダブル不倫の場合、お互いに離婚して再婚し、現在の不倫相手が子どもを認知すれば、ある意味丸くおさまるかもしれません。
しかし、不倫相手も離婚を希望するとはかぎりませんし、離婚を希望しても実際に離婚ができるともかぎりません。
その場合、不倫相手と子どもとの間に法律上の親子関係を生じさせるためには、不倫相手に認知を求め、不倫相手が認知に応じてくれなければ、強制認知の手続きを取ることになります。
ただし、その過程で不倫相手の奥さんにダブル不倫が発覚することは十分にあり得ることですし、不倫相手の奥さんから慰謝料を請求される可能性もあります。
なお、認知することに同意してもらえなかったとしても、不倫相手との間で養育費の支払いのような取り決めをすることは可能です。
不倫が原因で離婚することになった場合、夫からも離婚時に慰謝料を請求される可能性があるので、経済的に自立できるかどうかについても検討する必要があります。
シングルマザーになった場合に受けられる公的支援について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ダブル不倫で妊娠!中絶を選択した場合の問題点
ダブル不倫で妊娠しても、出産して育てていくことが難しいこともあるでしょう。
中絶を選択した場合には、中絶できる期限や費用の問題が生じることになります。
中絶できる時期は限られているので速やかに話し合いを
人工妊娠中絶ができる期限は、妊娠21週まで(満22週未満)とされています。
また、中絶の時期が遅ければ遅いほど、母体への負担や影響が大きくなると考えられますので、中絶をするのであれば、少しでも早いうちに行うことをおすすめします。
そのためにも、不倫相手とはなるべく早く話し合いの場を持つべきです。
中絶には夫の同意が求められる場合も
中絶を希望する女性が結婚している場合、法律上は中絶には配偶者の同意が必要とされています(母体保護法第3条1項)。
ただし、配偶者によるDVがあるケースや、婚姻関係が実質的に破綻していて、配偶者の同意を得ることが難しいなど、場合によっては配偶者の同意を求めない医療機関もあるようですので、一度相談してみると良いでしょう。
中絶にかかる費用
妊娠12週未満の時期の中絶の場合、費用はおよそ15万円以内であることが多く(医療機関により異なります)、問題なければ日帰りで、通常の場合、入院は必要ありません。
妊娠12週以降になると、人工妊娠中絶の方法が変わり、費用の相場も20万~50万円となります(医療機関により異なります)。
なお、中絶前後に行う検査費用や、入院費用が別途必要な場合がありますし、原則として自由診療になるため、ある程度の出費は覚悟しなければなりません。
中絶は女性に肉体的・精神的な負担を与えるため、中絶にかかる費用は不倫相手に負担してもらえるよう、話し合うと良いでしょう。
ダブル不倫の今後の関係についての選択肢
次に、今後の2人の関係について考えることになります。
2人とも離婚して再婚する
不倫した側からの離婚請求は、認められないのが原則ですので、不倫された側の配偶者が離婚に同意しない場合、離婚することは困難になります。
また、離婚には応じてもらえた場合でも、離婚時に配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。
さらに、お互いが既婚者のダブル不倫の場合、自分の配偶者だけでなく、不倫相手の配偶者からも慰謝料を請求される可能性もあります。
不倫相手と再婚する場合について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
離婚せずに不倫相手と別れる
今まで築いた家庭を大事にしようと決心し、不倫相手と別れることを選択する場合もあるでしょう。
ただし、不倫相手が子どもを認知した場合、不倫相手の戸籍に認知した旨が記載されます。
そのため、不倫相手の奥さんが、将来何らかの機会で戸籍を見ることがあれば、不倫に気付くと考えられます。
したがって、そのことをきっかけにあなたとの不倫が発覚し、慰謝料を請求される可能性があります。
なお、不倫相手の奥さんからの慰謝料請求の時効は、次のうち早く訪れた時点で成立します。
- 不倫相手の配偶者(慰謝料を請求する側)が、不倫の事実とあなたを知った日から3年
(不倫相手の配偶者が、あなたの顔は知っていても、名前や住所までは知らず、不倫の相手があなただと特定できていない場合は慰謝料請求が難しいため、時効期間のカウントは開始されません) - あなたと不倫相手の交際が始まった日から20年

離婚せずにダブル不倫を継続する
不倫相手との子どもを中絶したり、出産したりした後も、不倫関係を継続するケースがあります。
しかし、ダブル不倫を継続すれば、どちらかの配偶者が不倫に気付くリスクは高まりますし、そのことでお互いの家庭に悪影響が生じたり、慰謝料を請求されたりするリスクも高まるでしょう。
ダブル不倫での妊娠中に慰謝料を請求されたときの対処法
では、ダブル不倫による妊娠中に、不倫相手の奥さんに不倫が発覚して慰謝料を請求された場合にはどのように対処すれば良いのでしょうか。
体調を最優先し直接話し合うことは避ける
何より大事なのは自分やお腹の子どもの健康です。
請求を無視すれば、誠意がない対応をしたとして慰謝料の増額事由として主張されてしまう可能性がありますので、返事をすること自体は問題ありません。
しかし、安易に支払いの約束をしたり、具体的な金額について話し合ったりすることは避けるべきでしょう。
慰謝料の金額に影響する可能性があるため、不倫相手の奥さんが知らない事実を自分から認めたり、不倫が始まった時期について話したりすることも避けてください。
また、慰謝料を支払う約束を記載した合意書などに署名や押印をしてしまうと、後からその内容を覆すことが非常に難しくなってしまいます。
双方が既婚者であるダブル不倫は、当事者が多く法律関係も複雑です。
自分にとって不利な事実を、そうとは知らずに話してしまうリスクもあるため、自分が直接対応することはやめておいた方が良いでしょう。
減額できる可能性があるので速やかに弁護士に相談を

不倫の慰謝料の相場(裁判になった場合)は、不倫が原因で離婚になった場合でおよそ100万~300万円程度、離婚しない場合で数十万~100万円程度であることが一般的です。
そのため、請求されている金額が相場を大きく超えるのであれば、減額できる可能性が高いでしょう。
また、相場を大きく超える金額を請求されているわけではなかったとしても、法的に減額を主張できる事情があるかもしれないため、慰謝料を請求されたら一度弁護士に相談してみることをおすすめします。
ダブル不倫での慰謝料請求について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【まとめ】ダブル不倫で妊娠した場合、子どもを産むかどうか速やかに決断すべき
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- ダブル不倫中に不倫相手の子どもを妊娠したら、不倫相手とお腹の子どもをどうするか話し合う
- 結婚している女性が出産した場合、基本的に子どもは夫の子として法律上推定される
- 離婚後300日以内の出産であれば、元夫との子であると法律上推定される
- 人工妊娠中絶ができる期限は、妊娠21週まで(満22週未満)とされている
- ダブル不倫の今後の関係には、(1)2人とも離婚して再婚する(2)離婚せずに不倫相手と別れる(3)離婚せずにダブル不倫を継続する、といった選択肢が考えられる
- 妊娠中に不倫相手の奥さんから慰謝料を請求された場合でも、自身の体調を最優先し直接話し合うことは避ける
ダブル不倫によって妊娠した場合、考えるべきことが多すぎてパニックになってしまうかもしれません。
しかし、中絶できる時期には期限がありますし、ダブル不倫が双方の配偶者に発覚すれば離婚や慰謝料請求のリスクもあります。
ダブル不倫は当事者が多く法律関係も複雑なため、慰謝料を請求された場合には減額交渉を弁護士に依頼することをおすすめします。
減額交渉を弁護士に依頼するメリットについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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(以上につき、2022年11月時点)
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