「既婚者との不倫が不倫相手の配偶者にバレてしまった…。不倫していた期間が長いと、慰謝料は高額になる?」
不倫が発覚してしまった場合、慰謝料の金額は気になるポイントの1つです。
慰謝料の金額を決定する際、不倫していた期間の長いと不利になるのでしょうか。
一般的に、不倫の慰謝料の金額は、婚姻期間の長さや、夫婦が離婚に至ったかどうかなど、さまざまな要素を総合して決められます。
そうした要素のうちの1つに、不倫していた期間の長さがあり、その期間が長ければ長いほど、慰謝料が増額される傾向があります。
ただし、不倫の期間が長ければ必ず慰謝料が高額になるとはかぎりません。
請求された金額にもよりますが、減額事由として主張できる事情があれば、慰謝料の減額を交渉できる可能性があります。
今回の記事では、次のことについて弁護士が解説します。
この記事を読んでわかること
- 不倫の慰謝料の相場
- 慰謝料の金額を左右する主な事情
- 慰謝料が減額されやすいケース
ここを押さえればOK!
一般的に、不倫期間が長いほど慰謝料は高額になる傾向がありますが、必ずしもそうとは限りません。
慰謝料の金額を左右する主な要素には、不倫期間、不貞行為の回数、夫婦の婚姻期間、不倫による妊娠の有無、夫婦間の幼い子どもの有無、もともとの夫婦仲、不倫による夫婦仲への影響などがあります。
また、相手が既婚者だと知らなかった場合や、婚姻関係が既に破綻していた場合には、慰謝料が減額される可能性があります。
慰謝料の相場は、不倫が原因で離婚した場合は100万~300万円、離婚しない場合は数十万~100万円です。
不倫の慰謝料請求でお悩みの方は、一度アディーレ法律事務所にご相談ください。。

法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件部にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。
【Xアカウント】
@ikeda_adire_law
そもそも不倫の慰謝料とは?
慰謝料は、民法第709条が定める「不法行為」に基づく損害賠償の一つです。
法律上、慰謝料請求が認められる不倫のことを「不貞行為」といいます。
不貞行為をすると、不貞行為をされた側の配偶者から慰謝料を請求されるリスクがあります。
「不貞行為」とは何ですか?
不貞行為とは基本的に、自由な意思に基づいて、既婚者または配偶者以外の者と性行為を行うことです。
不貞行為があると、不貞行為をされた側の配偶者が精神的苦痛という損害を受けるため、不貞行為は民法上の不法行為に該当し、損害賠償の対象となります。
また、性行為まではなかったとしても、あまりに頻繁に会うことを繰り返しており、それが平穏な夫婦生活を侵害するほど親密な交際と判断された場合には、慰謝料請求が認められる可能性があります。
慰謝料請求が認められ得る行為について詳しくはこちらの記事もご覧ください。
不倫の慰謝料の相場
当事者同士の話合いで解決する場合、過去の裁判例を踏まえつつ、個別の事情や、いかに早期解決するかなどを考慮して、慰謝料の金額を決めることになります。
慰謝料についての話合いがまとまらなければ、通常は裁判で慰謝料請求し、最終的には裁判所が慰謝料の金額を決定します。
裁判で決まる慰謝料の金額は、支払う側や受け取る側に財産があるかないかは関係ありません。
あくまで過去の裁判例を参考としつつ、精神的苦痛の大きさを裁判所が客観的に認定したうえで、慰謝料の金額を決定します。
不倫の慰謝料の相場(裁判になった場合)は、基本的に次のとおりです。
不倫の慰謝料の裁判上の相場(目安) | |
不倫が原因で離婚した場合 | 100万~300万円 |
離婚しない場合 | 数十万~100万円 |
これはあくまで裁判になった場合の相場であり、裁判をせずに話合いで解決する場合には、これより高額になることも低額になることもあります。
なお、経済的に苦しく、慰謝料を一括で支払うことができない場合には、交渉次第では分割払いを認めてもらうことができる場合があります。
また、あとでご説明するとおり、減額を主張できる事情があることも少なくないため、請求された金額にもよりますが、減額交渉が成功するケースは数多くあります。
不倫期間が長いと、慰謝料も高くなりがち
慰謝料の金額は、個別の事情や状況によって異なるため、一概にいくらとはいえません。
もっとも、不倫していた期間は、裁判でも慰謝料の金額を算定する際に考慮されることが多いです。
不倫期間が「長い」といえるのはどのくらいから?
もちろん、法律に明確な基準があるわけではないですし、当該夫婦の婚姻期間の長さにも関係します。
たとえば、不倫期間も夫婦の婚姻期間も同じ2年間で、結婚してからほぼすべての期間において不倫していた場合と、夫婦の婚姻期間が30年であり、そのうち2年間不倫していた場合では、同じ2年という不倫期間であっても、その評価は異なるはずです。
もっとも、不倫期間が10年以上にわたる場合は、一般的にそのような長期間にわたって夫婦関係を侵害されたために受けた精神的苦痛も大きいだろうと考えられるため、慰謝料の増額要素とされる可能性が高いでしょう。
ただし、不倫期間が数年など比較的長いといえる場合であっても、不貞行為の回数が少ないなどの事情があれば、減額要素として考慮される可能性があります。

慰謝料の金額を左右する主な事情
慰謝料の金額を左右する事情には、さまざまなものがあります。

たとえば次のような事情が、慰謝料の金額を決める考慮要素になり得ます。
(1)不倫していた期間
基本的には長ければ長いほど、慰謝料は増額方向に傾きます。
もっとも、先ほどもご説明したように、同じ不倫期間であっても、夫婦の婚姻期間によってその評価は異なります。
過去の裁判例をみるに、おおむね10年以上であれば「長い」、数ヵ月であれば「短い」と判断される可能性が高いでしょう。
(2)不貞行為の回数
不貞行為の回数も考慮要素であり、多ければ多いほど増額方向に傾きます。
一般的に、不倫していた期間と不貞行為の回数は比例すると考えられますが、不倫していた期間が長いといえる場合であっても、不貞行為の回数が少ない場合はあります。
たとえば「数年間にわたって交際していたけれど、肉体関係を持ったのは2、3回のみ」といったケースであれば、減額事情として考慮される可能性があるでしょう。
(3)夫婦の婚姻期間
一般的に夫婦の婚姻期間が長ければ長いほど、慰謝料は増額方向に傾きます。
一般的に、平穏な夫婦生活は一朝一夕に構築されるものではなく、婚姻期間が長く続くことにより安定し強固になっていくと考えられているからでしょう。
(4)不倫による妊娠の有無
不倫による妊娠や出産があった場合、慰謝料は増額方向に傾きます。
不倫されていただけでなく、不倫によって子どもまでできた場合、不倫された側の配偶者の精神的苦痛はより大きくなると考えられるためです。
(5)夫婦間の幼い子どもの有無
夫婦間に幼い子どもがいることを慰謝料の増額事情として認めた裁判例が複数存在します。
また、夫婦間に幼い子ども(あるいは子ども)がいないことを慰謝料の減額事情として認めた裁判例も複数存在します。
家庭内にまだ幼い子どもがいるにもかかわらず不倫することは、その家庭の平穏を侵害する度合いが強いからだと考えられます。
(6)もともとの夫婦仲がどうだったのか
不倫が始まる前は夫婦仲が良好だったといえる場合、慰謝料は増額方向に傾きます。
一方、不倫が始まる前から夫婦間の仲が険悪になっていた場合には、不倫が平穏な家庭を侵害したといえる度合いが比較的小さいと考えられるため、慰謝料は減額方向に傾きます。
さらに、不倫が始まる前に婚姻関係がすでに破綻していた場合には、慰謝料の請求は認められません。
すでに平穏な家庭生活が存在していなかった場合、不倫によってそれが侵害されたとはいえないからです。
ただし、夫婦関係の破綻が認められるケースはそう多くありません。
たとえ夫婦仲に多少の問題があったとしても、同居を継続している場合には、客観的に破綻していたと判断されない可能性が高いでしょう。
また、別居していたとしても、夫婦の具体的な状況次第では破綻していないと判断されることもあるため注意が必要です。
そもそも不倫相手の言う「妻(夫)とはうまくいっていない」「いずれ離婚したいと思っている」という言葉が真実とは限りません。
その言葉を本当に信じていたとしても、信じたことに落ち度がある(過失)と判断されることもあるため、ご注意ください!
(7)不倫による夫婦仲への影響
先述した不倫慰謝料の相場のとおり、慰謝料の金額を決めるうえでもっとも重要な要素です。
ここでは「不倫が原因で離婚した場合」「離婚しない場合」とおおまかにしか記載できませんが、実際のケースは千差万別でしょう。
たとえば、同じ「離婚しない」にしても、平穏に同居を継続している場合と、夫婦仲が大いに悪化した場合、なかには別居に至った場合などさまざまです。
もちろん、夫婦仲への影響が大きいほど、慰謝料は増額方向に傾きます。
そのため、慰謝料を請求された際には、請求側の「離婚予定」などの言葉を安易に信じず、「もう別居しているのか」「引越しはいつごろか」などの事情を確認するようにしましょう。
そもそも相手が既婚者だと知っていましたか?
既婚者と肉体関係をもったことが事実だとしても、その時点で相手が既婚者だと過失なく知らなかった場合、慰謝料を支払う義務はありません。
もっとも、不倫相手と同じ職場で働いている場合や、不倫相手が普段から結婚指輪を付けていたなど、既婚者だと気付かなかったことに過失があると判断される場合、慰謝料を支払う責任が生じる可能性はあります。
ただし、過失があったとしても本当に既婚者とは知らなかったといえる場合には、慰謝料の減額事情になるでしょう。
なお、交際当初は過失なく既婚者だと知らなかったとしても、既婚者だと知ってからも交際を続けたのであれば、それ以降の不貞行為については慰謝料を支払う責任が生じます。
しかし、交際当初は既婚者であると知らなかったことが減額交渉の材料になる可能性はあるため、弁護士に減額できないか相談するとよいでしょう。
【まとめ】不倫が長いほど慰謝料も高くなる傾向だが、事情によっては減額できる可能性がある
今回の記事のまとめは、次のとおりです。
- 既婚者と不倫した場合、不倫相手の配偶者から慰謝料を請求される可能性がある
- 不倫の慰謝料の相場は、基本的には次のとおり
不倫の慰謝料の裁判上の相場(目安) | |
不倫が原因で離婚した場合 | 100万~300万円 |
離婚しない場合 | 数十万~100万円 |
- 不倫が始まる前に婚姻関係が破綻していた場合は、慰謝料請求が認められない可能性がある
アディーレ法律事務所では、不倫慰謝料を請求された事件の相談料は何度でも無料です。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため、費用倒れの心配はありません。
(以上につき、2024年3月時点)
不倫の慰謝料請求をされてお悩みの方は、不倫の慰謝料請求への対応を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。
