「B型肝炎ウイルスに長年かかっているのだけど、特に症状はない。それでもB型肝炎給付金はもらえるの?」
B型肝炎給付金は、現在、症状のない無症候性キャリアの方も、最大600万円のB型肝炎給付金をもらえる可能性があります。
今回の記事でわかること
- 無症候性キャリアの意味
- B型肝炎給付金をもらうための要件
- 無症候性キャリアがもらえるB型肝炎給付金の額
- 無症候性キャリアの病態が進行した場合にもらえる追加給付金

香川大学、早稲田大学大学院、及び広島修道大学法科大学院卒。2017年よりB型肝炎部門の統括者。また、2019年よりアスベスト(石綿)訴訟の統括者も兼任。被害を受けた方々に寄り添うことを第一とし、「身近な」法律事務所であり続けられるよう奮闘している。東京弁護士会所属。
ここを押さえればOK!
無症候性キャリアも所定の要件を満たせばB型肝炎給付金を受け取れます。一次感染者は1941年7月2日~1988年1月27日生まれで、満7歳までに集団予防接種等を受け、注射器の使い回しによって感染したことが条件です。二次感染者は母子感染または父子感染が原因であることが必要です。
給付金として、感染から20年以内なら600万円、20年を超えると50万円と定期検査費等がもらえます。 また、無症候性キャリアが慢性肝炎や肝硬変、肝がんを発症した場合、追加給付金(650万~3600万円)を請求できます。追加給付金の請求手続きは初回より簡易で、請求期限も設けられていません。
B型肝炎給付金の請求には弁護士への相談・依頼がおすすめです。弁護士は必要資料の収集や裁判手続きを代行するため、専門知識がなくてもスムーズに手続きを進められます。
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無症候性キャリアとは?
B型肝炎ウイルスへの感染は、6ヶ月未満の感染でおわる一過性感染と、6ヶ月以上にわたり感染したままになってしまう持続感染とがあります。
B型肝炎ウイルスに感染した場合のほとんどは一過性感染となりますが、免疫機能が未発達な胎児や乳幼児がB型肝炎ウイルスに感染すると持続感染することがあります。
持続感染した方のうち、慢性肝障害を伴わない(症状のない)状態のことを、「無症候性キャリア」といいます。
B型肝炎ウイルスに持続感染した方のうちの約10~15%の方が慢性肝炎等の慢性肝障害を発症しますが、持続感染者の多くは慢性肝障害を発症することなく生涯を過ごします。
どんな無症候性キャリアの人がB型肝炎給付金をもらえる?(要件)
無症候性キャリアの方も、所定の要件を満たせば、B型肝炎給付金をもらうことができます。
B型肝炎訴訟給付金の対象となる方は、次の方です。

(1)一次感染者の要件
一次感染者としてB型肝炎給付金をもらうためには、次の要件を全て満たす必要があります。
- 1941年(昭和16年)7月2日~1988年(昭和63年)1月27日までに生まれていること
年齢でいえば、2023年に誕生日を迎えると、35~82歳になる方です。 - 満7歳の誕生日の前日までに集団予防接種等を受けていること
多くの集団予防接種等は、満7歳の誕生日の前日までに行われています。
- 集団予防接種等における注射器の使い回しによってB型肝炎ウイルスに持続感染していること(集団予防接種等以外にB型肝炎ウイルスへの感染原因がないこと)
1948年7月1日~1988年1月27日の40年もの間、集団予防接種等で注射器の使い回しがされていました。
(2)二次感染者の要件
二次感染者の場合、感染原因が「母子感染」なのか「父子感染」なのかにより要件が異なります。
【母子感染・父子感染とは】
母子感染 | 母親の胎内でうつってしまう「胎内感染」や、産道で母親の血液に触れることによってうつる「産道感染」のことをいいます。 |
父子感染 | 日常生活において、父親の汗やつばなどの体液を通じて、父から子にうつることをいいます。 |
B型肝炎給付金をもらうためには、それぞれについて次のすべての要件を満たす必要があります。
【母子感染の場合】
- 母親が一次感染者の要件をすべて満たしていること
- 二次感染者(一次感染者である母親の子)がB型肝炎ウイルスに持続感染していること
- 二次感染者の感染原因が母子感染であること(母子感染以外の感染原因がないこと)
【父子感染の場合】
- 父親が一次感染者の要件をすべて満たしていること
- 二次感染者(一次感染者である父親の子)がB型肝炎ウイルスに持続感染していること
- 二次感染者の感染原因が父子感染であること
無症候性キャリアの場合、何がもらえる?(給付金等)
無症候性キャリアの方の場合、次のB型肝炎給付金等をもらうことができます。
B型肝炎ウイルスに感染したときから20年を経過していない場合 | 600万円 |
B型肝炎ウイルスに感染したときから20年を経過している場合 | 50万円 + 定期検査費等 |
期間制限を経過しているかどうかによって、もらえる金額が異なります。
無症候性キャリアの場合、B型肝炎ウイルスに感染したときから20年間を経過すると、期間制限等を経過していることになります。
そして、集団予防接種等の際の注射器の使いまわしによってB型肝炎ウイルスに感染する可能性があったのは1988年1月27日までですので、一次感染者の場合、すべての方が20年間の期間制限を経過していることになります。
これに対して、二次感染者や三次感染者のうち母子感染者の場合は、出生日が期間制限の起算点(スタート地点)となりますので、出生から20年間を経過している方は、期間制限を経過していることとなります。
なお、二次感染者や三次感染者のうち父子感染者については、B型肝炎ウイルスに感染していることを客観的資料により確認できる最初の時点、または、満7歳になる誕生日の前日のいずれか早い方の日が期間制限の起算点となります。
無症候性キャリアの一部の方がもらえる定期検査費等とは?
無症候性キャリアの方のうち、20年間の期間制限を経過した方については、50万円の給付金に加え、定期検査費等をもらえます。
具体的には下記のようなものがあります。
- 定期検査および定期検査に付随する診療行為等に要する費用
- HBVの母子感染を防止するためにかかる費用(ワクチン・グロブリン投与費用、検査費用およびこれらに付随する診療行為等に要する費用)
- 同居家族に対するHBVの水平感染を防止するためにかかる費用(ワクチン投与費用、検査費用)
- 定期検査手当 定期検査1回につき1万5千円(定額) ※年2回まで

無症候性キャリアの方がB型肝炎給付金を請求するメリット(追加給付金)
もう期間制限を過ぎているし、50万円+定期検査代等だけしかもらえないのだったら、B型肝炎給付金を請求するのをやめたほうがいいかな
ちょっと、お待ちください。それはもったいないかもしれません。
無症候性キャリアの方の一部は、慢性肝炎や、肝硬変、肝がんなどになることがあります。
無症候性キャリアとして和解をした後に、慢性肝炎や、肝硬変、肝がんなどになった場合、追加の給付金(650万~3600万円)を請求することができます(特措法8~10条)。
実は、初回のB型肝炎給付金の請求手続きに比べ、追加の給付金の請求手続きは簡易化されています。
すなわち、B型肝炎給付金をもらうためには、国を相手に裁判を起こして、裁判上の和解を締結する必要があります。裁判手続きでは、原告が和解要件を証明するための資料を提出した上で、国が和解要件を充足しているか否かを審査することになりますが、この審査にはかなりの期間を要し、裁判を起こしてから給付金を受給するまでには、1年以上かかることも少なくありません。
これに対して、追加の給付金を請求する場合には、再度、裁判を起こす必要はありません。提出する資料も、主に病態が進行したことを明らかにするための資料だけですので、比較的簡易かつ短期間の手続きで追加の給付金をもらうことができます。また、B型肝炎訴訟制度には請求期限がありますが、追加給付金請求手続きには、現在のところは、請求期限は特に設けられていません。
もちろん、慢性肝炎や肝硬変、肝がんになってからB型肝炎訴訟をすることもできますが、肝炎の発症後に一から手続きをすることは、体調面からも、無症候性キャリアの状態で請求をする場合に比べて、より大変に感じる場合もあるでしょう。
そのため、無症候性キャリアとして、B型肝炎給付金をもらうことには、今後、病態が進行した場合の一種の「保険」としてのメリットもあります。
追加給付金の額
追加給付金の金額は、次のようになります。
和解後に発症した病態 | ||||||
死亡 | 肝がん | 肝硬変(重度) | 肝硬変(軽度) | 慢性肝炎 | ||
和解した病態 | 20年の期間制限を経過していない無症候性キャリア | 3000万円 | 3000万円 | 3000万円 | 1900万円 | 650万円 |
20年の期間制限を経過した無症候性キャリア | 3600万円 | 3600万円 | 3600万円 | 2500万円 | 1250万円 |
B型肝炎給付金手続きをお考えの方は弁護士に相談を
B型肝炎給付金の請求をお考えの方は、次の理由から、弁護士に依頼することをお勧めいたします。
(1)必要資料の収集を代行してもらえる
必要資料の収集は、B型肝炎給付金手続きの中で最も重要な作業ですが、これには専門的知識が必要になるため、多大な労力と時間を要することも稀ではありません。

もっとも、この必要資料の収集を代行している弁護士事務所もあります。母子手帳など、資料によっては収集を代行できないものもありますが、このような事務所に依頼をすれば、面倒な必要資料の収集を弁護士の関与の下、スムーズに進めることが可能です。
(2)裁判手続きも弁護士が代理で行う
B型肝炎給付金の手続きを弁護士に依頼した場合、裁判手続きも弁護士が代理して行います。
例えば、訴状の作成など、裁判所に提出する書類の作成を弁護士が代理して行ってくれます。そのため、法的知識に自信のないかたであっても、安心して手続きを進めることが可能です。
また、裁判期日に出席(出廷)することも、弁護士が代理して行いますので、裁判のために仕事を休んだり、裁判に出席するための準備をする必要もありません。
【まとめ】無症候性キャリアの方もB型肝炎給付金をもらえる
本記事をまとめると次のようになります。
- 無症候性キャリアとは、慢性肝障害を伴わない(症状がない)B型肝炎ウイルス持続感染者のこと
- 無症候性キャリアに対する給付等の内容は、次の通り
- 感染から20年経過前であれば600万円
- 感染から20年経過後であれば50万円のほか、定期検査費の支給等の政策的対応を受けることができる
- 無症候性キャリアとして和解をした後に病態が進行した場合、比較的簡易な手続きで追加給付金を請求することが可能
そのため、無症候性キャリアの段階でB型肝炎給付金請求の手続きをしておくメリットがある - 面倒な必要資料の収集のサポートや、裁判手続きの代理をしてもらえるので、B型肝炎給付金手続きをお考えの方は弁護士に依頼するのがおススメ
アディーレ法律事務所はB型肝炎訴訟の資料収集の代行(※)から、B型肝炎訴訟、同給付金の申請まで全て代わりに行います。
(※)母子手帳など、弁護士では収集できない一部資料を除きます。
また、アディーレ法律事務所では、B型肝炎訴訟・給付金請求に関し、着手金・相談料はいただいておらず、原則として、報酬は給付金受け取り後の後払いとなっております。
そのため、B型肝炎訴訟・給付金請求について、アディーレ法律事務所にご依頼いただく場合には、原則として、あらかじめ弁護士費用をご用意していただく必要はありません。
さらに、弁護士に依頼して、B型肝炎訴訟で和解した場合には、国から弁護士費用の一部として、訴訟手当金(給付金の4%)が支給されます。
※以上につき、2024年8月時点
B型肝炎訴訟・給付金請求に関しては、B型肝炎訴訟・給付金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。
