交通事故に遭い、無事に治療が終わっても、それで終わりではありません。
加害者との示談交渉を乗り越え、示談書に署名してはじめて一連の手続きが完了します。
しかし、示談書がいつ届くのか、どんな内容をチェックすればよいのかなど、わからないことだらけで不安に感じる方もいるのではないでしょうか。
このコラムでは、交通事故の示談書について、そもそも示談書とは何なのかといった基本から、届くまでの期間、そして示談書が届いた際に必ず確認すべきポイントまで、詳しく解説していきます。また、示談書がなかなか届かない場合の対処法についても紹介します。
ここを押さえればOK!
示談書に一度署名・押印すると内容の取り消しや無効を主張することは困難になるため、送られてきた際は内容をよく確認することが重要です。特に、損害賠償項目の漏れがないか、示談金の金額が妥当か(弁護士基準の慰謝料が最も高額)、過失割合が正しく認定されているかの3点は必ずチェックしましょう。
示談書は、交通事故の解決において非常に重要な書類です。内容を十分に理解し、納得した上で署名することが、後のトラブルを防ぐ鍵となります。示談書の内容に不安がある場合や、示談金の金額に納得がいかない場合にはアディーレへご相談ください。
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交通事故の示談書とは
加害者(加害者が加入する任意保険会社)と被害者の間で示談交渉がまとまると、交渉の結果をまとめた示談書が作成されます。
| 示談書に記載される事項(例) |
|---|
| ・加害者・被害者の氏名・住所 ・事故の詳細(事故の発生日時・場所、車両登録ナンバー、事故の状況など) ・損害額(事故によって生じた損害額) ・過失割合(事故が発生したことについての各当事者の過失(=不注意)の割合) ・示談条件(支払われるべき示談金の金額や、その計算の根拠) ・決済方法(示談金の支払期日・支払方法) ・期日どおりに支払われなかった場合の対応(違約金の額など) ・留保条項(例「示談書の作成後に後遺症が新たに発生した場合、改めて協議する」など) ・清算条項(示談によって争いが解決し、以後お互いに金銭請求などは一切しないことを定めた条項) ・示談書を作成した日付 ・加害者・被害者双方の署名・押印 |
交通事故の示談書はいつ届く?
交通事故の示談書が届くのは、被害者からの治療報告後から最短でも約1ヶ月半程度かかるでしょう。
示談書の前に示談案が届きます。示談案とは、簡単に言うと加害者側の保険会社が提示する示談条件のことで、被害者側がその示談案に納得すれば、示談書が届く流れとなります。
被害者からの治療終了の報告を受けた加害者側の保険会社から示談案が届くのに約1ヶ月程度かかります(後遺障害が残ったり、過失割合で揉めている場合には、1ヶ月以上かかるケースもあります)。その後、送られてきた示談案の内容に問題がなければ、被害者側から保険会社に合意することを伝え、その後1~2週間で示談書が送られてくる流れになるででしょう。
交通事故で示談書が届いたら必ずチェックすべきポイント
送られてきた示談書に一度署名・押印して返送してしまうと、示談に合意したことになります。その後は、当事者の都合で一方的に取消しや無効を主張することはできません。
示談書が届いてもすぐに署名・押印せず、内容をよく確認することが重要です。
(1)損害賠償項目(示談金の内訳)
交通事故による損害賠償項目は多岐にわたり、かなり細かい項目に分かれています。
例えば、次のような項目です。
- 入院費
- 入院付添費
- 文書料
- 通院費
- 装具代(松葉杖やギプスなど)
- 通院交通費
- 休業損害
- 車やバイクの修理代の物損に関するもの
- 慰謝料
- 逸失利益 など
それぞれの項目が全て把握されて漏れがないかチェックします。
(2)示談金の金額
項目に問題がなければ、示談金の金額が妥当かどうかをチェックします。
慰謝料の金額を算出するための基準には、「自賠責の基準」「任意保険の基準」「弁護士の基準(裁判所の基準)」の3つがありますが、どの基準を用いるかによって慰謝料の額が変わります。
3つの基準を金額の順に並べると、自賠責の基準<任意保険の基準<弁護士の基準となることが一般的です。

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慰謝料計算機では、本来受け取れるはずのおおよその慰謝料金額を知ることができます。
「保険会社から慰謝料を提示されたけれど、本当にこれで示談していいのだろうか?」といった疑問をお持ちであれば、まずは慰謝料計算機を使ってみていただければと思います。
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(3)過失割合
通常、示談書には加害者・被害者それぞれの過失割合が明記されます。
交通事故が発生した時、被害者にも過失(不注意や落ち度です)がある場合、その割合に応じて損害賠償額が減額されます。例えば、被害者がシートベルトをしていなかったために、車外に投げ出されてけがが重くなった場合などをイメージしていただければ分かりやすいかと思います。
交通事故の損害賠償は、まずは、損害賠償項目と賠償金額を決定した後、被害者の過失割合に応じて賠償額からその分の割合が減額されます。
例えば、交通事故が発生した原因について、被害者に2割の過失があったとします。損害賠償額は、総額で500万円であった場合、そこから2割の過失分が減額されますので、最終的に被害者に支払われる損害賠償額は400万円ということになるのです。

もっとも、この過失割合が正しく認定されているとは限らず、加害者側の過失割合が不当に低くなっているケースもあります。記載されている過失割合に納得できない場合は弁護士に相談し、警察から実況見分調書を取り寄せて分析してもらうなどして、客観的な証拠を揃えて保険会社と再度交渉すべきです。
交通事故の後に示談書が届かない理由|その場合の対処法とは
治療終了の報告後、示談書が送られてくるのにあまりに時間がかかる場合は、発送が遅れている理由がある可能性があります。
(1)保険会社側に理由がある場合
保険会社の担当者は複数の案件を抱えていることが多く、多忙で示談案や示談書の作成まで手が回っていない可能性があります。
そこで、どこでどのような理由で手続きが滞っているのか、いつ送付できるかを確認しましょう。
また、送ったのに届いていないという場合は、すぐに再送してもらいましょう。
保険会社の担当者の対応に不満がある場合などの対処法について詳しくはこちらの記事もご参照ください。
(2)加害者に理由がある場合
加害者が保険会社の提示する示談案(または示談書)の内容に納得していないことがあります。
「過失割合に不満がある」などを理由に、示談書を保険会社に返送していないこともあり得ます。
このような場合は弁護士に相談し、保険会社を通じて加害者に示談書を返送してこない理由をヒアリングしてもらうとともに、必要に応じて再度示談交渉をしてもらうのがよいでしょう。
【まとめ】示談書が届くのは、原則として全ての損害賠償金額が確定した後
交通事故の示談書は、原則として治療が終了し、損害賠償額が全て確定した後に作成されるものです。
示談書には、事故の詳細、損害額、過失割合など重要な項目が記載されており、一度署名・押印してしまうと後から内容を覆すことは非常に困難です。そのため、示談書が届いたらすぐに署名せず、損害賠償の内訳、金額、過失割合が適切かどうかをしっかりと確認することが大切です。
もし、示談書の内容に不満があったり、なかなか届かなかったりして不安を感じたら、一度弁護士に相談してみましょう。アディーレ法律事務所では、交通事故に関するご相談を随時受け付けております。専門家である弁護士に相談することで、示談交渉をスムーズに進め、適正な賠償金を得られる可能性が高まります。
保険会社から示談の提示があった時は、それが本当に適正な金額なのか、弁護士が交渉することにより増額の可能性がないのか、まずはアディーレの弁護士にご相談ください。































