インターネットやSNS上で「独身税」という言葉が話題になっています。「独身税が課されるのではないか?」と不安に感じている方も多いかもしれません。
実際、日本で「独身税」が導入されるというのは本当なのでしょうか?
本コラムでは、「独身税とは何か」「なぜ独身税の導入が話題になっているのか」について詳しく解説します。また、独身税の話題の発端となった「子ども・子育て支援金」についても掘り下げていきます。
ぜひ最後までお読みください。
この記事を読んでわかること
- 独身税とは
- 【2026年4月導入】子ども・子育て支援金とは
ここを押さえればOK!
日本で独身税導入の噂が広まった背景には、「子ども・子育て支援金」の導入があります。これは未婚者だけでなく、既婚者や子どもがいる人も支払うもので、独身税とは異なります。
2026年4月から導入予定の「子ども・子育て支援金」は、少子化対策のための財源確保を目的とし、医療保険料に上乗せして徴収される予定です。この支援金は、児童手当の拡充や妊婦・乳児への支援、育児休業の支援などに使われる計画です。支援金の徴収額は医療保険の加入者や所得、世帯の状況によって異なり、全世帯平均では月額250~450円、年間3000円~5400円の負担増が見込まれています。
この新しい支援金制度は、日本の少子化・人口減少に対応するためもので、少子化・人口減少対策の財源として使われます。
早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。
独身税はデマ?独身税とは何か?
日本にも「独身税が導入される」とネットやSNS上で話題になっています。
しかし、厳密には現在、日本で「独身税」が導入される予定はありません。
「独身税とは何か?」「なぜ独身税の導入が話題になっているのか」を知っておきましょう。
(1)独身税とは?
独身税とは、一般的に未婚者に対して課される税金をいいます。過去には少子化対策を目的として、独身税が導入されていた国もあるようです。
(2)日本で独身税導入はデマ?
日本で独身税導入が話題となったきっかけは「子ども・子育て支援金の導入」です。
子ども・子育て支援金が導入されると、未婚者にとってはメリットがないにもかかわらず、ただ負担が増えるだけとも思えます。そのため、「子ども・子育て支援金=独身税」と言われるようになったのです。
しかし、子ども・子育て支援金は、未婚者のみに課されるものではありません。既婚者や子どもがいる人も払うものですので、一般的に「独身税」には当たりません。
【2026年4月導入】子ども・子育て支援金とは?
では、2026年4月から導入予定の「子ども・子育て支援金」とはいったいどういう税制なのでしょうか?
子ども・子育て支援金の導入の背景や徴収額などについて詳しく見ていきましょう。
(1)子ども・子育て支援金とは?
子ども・子育て支援金とは、少子化対策の財源確保のためのお金です。
医療保険料と上乗せして徴収されることが予定されています。
児童手当の拡充といった子ども・子育て支援のための財源の一部に使われることが計画されています。
(2)子ども・子育て支援金が導入される背景とは?
子ども・子育て支援金が導入される背景には、「日本の少子化・人口減少」があります。
日本では少子化が進み、若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでが少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスと言われています。
こうした状況を踏まえて、政府は約3.6兆円規模に及ぶ「子ども・子育て支援加速化プラン」をとりまとめました。子ども・子育て支援金は3.6兆円のうちの1兆円程度の確保が見込まれています。
(3)子ども・子育て支援金はいくら徴収される?
子ども・子育て支援金は、子育て世代や高齢者も含む全世代か徴収されることが予定されています。
支援金の徴収額は、加入する医療保険制度や所得、世帯の状況などによって異なります。
【子ども・子育て支援金に関する試算(医療保険加入者1人当たり平均金額)】
加入者1人当たりの支援金額 | |||
2026年度見込み額 | 2027年度見込み額 | 2028年度見込み額 | |
全制度平均 | 250円 | 350円 | 450円 |
被用者保険 (会社員、公務員) | 300円(被保険者1人当たり450円) | 400円(被保険者1人当たり600円) | 500円(被保険者1人当たり800円) |
国民健康保険(自営業者) | 250円(1世帯当たり350円※) | 300円(1世帯当たり450円※) | 400円(1世帯当たり600円※) |
後期高齢者医療制度 (75歳以上の高齢者) | 200円 | 250円 | 350円 |
全世帯平均では月額250~450円で、年間3000円~5400円の負担増(目安)になります。
【被用者保険の試算額(医療保険加入者1人当たり平均金額)】
加入者1人当たりの支援金額 | |||
2026年度見込み額 | 2027年度見込み額 | 2028年度見込み額 | |
協会けんぽ(中小企業) | 250円 (被保険者1人当たり400円) | 350円 (被保険者1人当たり500円) | 450円 (被保険者1人当たり700円) |
健保組合(大企業) | 300円 (被保険者1人当たり500円) | 400円 (被保険者1人当たり700円) | 500円 (被保険者1人当たり850円) |
共済組合(公務員) | 350円 (被保険者1人当たり550円) | 450円 (被保険者1人当たり750円) | 600円 (被保険者1人当たり950円) |
(4)子ども・子育て支援金は何に使われる?
子ども・子育て支援金は、次の事業に使われることが予定されています。
- 児童手当の抜本的な拡充
- 妊婦のための支援給付(出産・子育て応援交付金)
- 乳児などのための支援給付(こども誰でも通園制度)
- 出産後休業支援給付(育休給付率の手取り10割相当の実現)
- 育児時短終業給付(育児期の時短勤務の支援)
- 国民年金第1号被保険者の育児期間に係る保険料の免除措置
【まとめ】日本に独身税の予定なし|子ども・子育て支援金は2026年度から導入予定
インターネットやSNSで「独身税」が話題となっています。
そもそも独身税とは未婚者に対して課される税金を指し、過去には少子化対策として導入された国もありますが、日本ではその予定はありません。
日本で独身税が話題になったきっかけは、「子ども・子育て支援金」の導入です。子ども・子育て支援金は2026年4月から導入予定で、少子化対策のために全世代から徴収されることになっています。
徴収される月額の平均額は数百円(試算)かもしれませんが、積み重なると大きな金額になります。国には少子化改善に向けて大切に使ってほしいですね。