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パートでも有給休暇は取れる!?会社に「ない」と言われても諦めないで

作成日:
LA_Ishii

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「パートだから有給はないよ」――会社からこう言われても、諦める必要はありません。

結論から言うと、パートやアルバイトであっても、条件を満たせば法律上、有給休暇を取得することができます。これは労働基準法で定められたルールであり、雇用形態によって変わるものではありません。
会社が「ない」と主張しても、それは法的に誤っている可能性があります。

このコラムでは、パートの方が有給休暇を取得するための条件や、もし会社に拒否された場合の具体的な対処法について、弁護士がわかりやすく解説します。
安心して働ける環境を手に入れるための一歩を踏み出しましょう。

ここを押さえればOK!

パートやアルバイトでも、6ヶ月以上継続勤務し、全労働日の8割以上出勤していれば、法律に基づいて有給休暇を取得することができます。会社が「パートだから有給はない」と主張するのは誤りであるか、違法行為である可能性があります。
有給休暇の付与日数は、週の所定労働日数や勤続年数によって異なりますが、週4日以下で週所定労働時間30時間未満のパートタイム労働者は、フルタイムの労働者とは異なる計算が適用されます。

会社は、労働者が希望する時期に有給休暇を与えるのが原則であり、「事業の正常な運営を妨げる場合」に限り、時季変更権を行使して取得時期をずらすことができます。単に忙しい、人手不足といった理由では拒否できません。

もし会社に有給休暇の取得を拒否された場合は、まず会社の担当部署に確認し、それでも解決しない場合は労働基準監督署に相談しましょう。状況が改善しない場合は、弁護士への相談も有効な手段です。自身の権利を行使し、安心して働ける環境を確保することが重要です。

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「パートだから有給はない」は間違い?基本的な知識を確認しよう

労働基準法第39条1項は、会社に対して、一定の条件を満たした労働者に対する年次有給休暇の付与を義務付けており、その対象にはパートタイム労働者も含まれます。

第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

参考:労働基準法 |e-Gov 法令検索

正社員だけでなく、パートタイムやアルバイトといった非正規雇用の労働者も、以下の2つの条件を満たせば、法律上当然に有給休暇が発生します。

(1)6ヶ月以上継続して勤務していること

雇用された日から6ヶ月間、同じ会社で継続して働いていることが条件の一つです。

(2)全労働日の8割以上出勤していること

また、雇入れの日から6ヶ月間(またはそれ以降の1年間)の全労働日のうち、8割以上出勤している必要があります。
例えば、週5日勤務のパートで1年間に出勤すべき日が250日だった場合、そのうち200日以上出勤していれば条件を満たします。

なお、労災休業期間、産前産後休業期間、育児介護休業期間は出勤したものとみなされます(労働基準法39条1項)。また有給休暇も出勤したものと考えられます(昭和22年9月13日発基17号)。

参考:労働基準法の施行に関する件(◆昭和22年09月13日発基第17号)|厚生労働省

あなたの有給休暇、何日もらえる?付与日数と計算方法

「1週間に3日働く」など、下記のように週の所定労働日数が少ないパートタイム労働者は、フルタイムの労働者とは有給休暇の計算方法や付与日数が異なります(労働基準法39条3項、労働基準法施行規則24条の3)。

【パートタイム労働者】

  • 週4日以下で30時間未満勤務
  • 週以外の期間によって労働日数を定めている場合には年216日以下

雇用形態がパートであっても、週所定労働日数が4日(年216日)を超える労働者、週4日以下でも週所定労働時間が30時間以上の者は、フルタイムで働く労働者と同じ付与日数となります。

(1)労働日数に応じたパート勤務の有給休暇の法定付与日数

週所定労働時間の短いパートタイム労働者の場合、具体的な有給休暇の付与日数は、以下の表のように定められています。

週所定労働日数1年間の所定労働日数労働継続年数6ヶ月1年6ヶ月2年6ヶ月3年6ヶ月4年6ヶ月5年6ヶ月6年6ヶ月以上
4日169日~216日7日8日9日10日12日13日15日
3日121日~168日5日6日6日8日9日10日11日
2日73日~120日3日4日4日5日6日6日7日
1日48日~72日1日2日2日2日3日3日3日

(2)パートタイム労働者の有給休暇の計算例

例えば、週3日・1日8時間勤務で、入社して1年6ヶ月が経過し、かつ出勤率が8割以上のパート従業員であれば、年間で6日の有給休暇が付与されます。

もし会社がこの日数を与えない場合、それは法律違反となります。

「有給は認めない」と言われたら?会社が拒否できるケース・できないケース

会社が有給休暇の取得を拒否できるケースは非常に限定されています。「パートだから」という理由での拒否は認められません。

(1)有給は、取りたい時期に取れるのが原則

会社は、労働者が「この日1日有給で休みます」と届け出た際には、原則として、その時季に有給休暇を与えなければなりません(労働基準法39条5項本文)。

(2)会社が有給休暇の取得を拒否できるのは「時季変更権」を行使できる場合のみ

例外的に、会社が有給休暇の申請を拒否して別の時季に変更することができます。
しかし、変更できるのは「事業の正常な運営を妨げる場合」に限られます。この例外的に有給休暇の時期を変更できる権利のことを、「時季変更権」と呼びます(労働基準法39条5項但書)。

「事業の正常な運営を妨げる場合」とは、単なる「忙しいから」や「人手が足りないから」という理由では該当しません。
会社は、労働者が有給取得を届け出たら、代替要員を確保する努力をするなどして、その労働者の希望時期に有給をとれるよう配慮する義務があります。

同時期に多数の労働者が有給を届け出るなどして代替要員の確保が困難で、業務遂行に当該人物が不可欠などの事情がなければ、「事業の正常な運営を妨げる場合」として時季変更権を行使することはできません。

会社に「有給がない」と言われた時の具体的な対処法

もし会社から「有給はない」と言われたり、「みんな有給は取得しない」など申請を不当に拒否されたりした場合は、泣き寝入りする必要はありません。あなたの権利を守るために、段階的に具体的な行動を取りましょう。

(1)まずは会社の担当部署に確認してみよう

まずは、就業規則や雇用契約書を確認し、人事部や総務部の担当者に直接、有給休暇の制度について問い合わせてみましょう。
あってはならないことですが、会社の担当者が有給制度を誤解している可能性もあります。その際には、労働基準法でパートにも有給休暇が付与されることを冷静に端的に伝え、具体的な付与条件や日数を質問してください。

また、あなたが、有給が付与される条件を満たしていないかもしれません。勤務開始から6ヶ月経過しているか、全労働日の8割以上出勤しているかを確認しましょう。

あなたの計算違いで、付与された有給をすでに使い切ったのかもしれませんし、2年の時効で有給が消滅したのかもしれません(労働基準法115条)。

担当者に、「なぜ有給休暇がないのか」具体的な理由を聞いてみましょう。

(2)労働基準監督署への相談も有効な手段

会社との話し合いで解決しない場合は、労働基準監督署に相談することを検討しましょう。労働基準監督署は、労働基準法などの違反を是正して労働者の権利を守るための公的機関です。

相談すると、ケースによっては調査して会社に対して指導や勧告を行ってくれることもあります。
相談する際には、事前連絡の上、これまでの経緯や会社の対応を具体的に説明できるよう、メモや資料を準備しておくと良いでしょう。

(3)状況が改善しない場合は弁護士への相談も検討

労働基準監督署に相談しても状況が改善しない、あるいは会社との交渉がこじれてしまった場合は、弁護士に相談することを検討しましょう。
弁護士は、あなたの状況を法的な観点から分析し、あなたの権利を実現するためのサポートを行います。

会社の対応に失望して退職・転職を検討している方は、退職代行を行っている弁護士事務所もありますので、一度相談してみてください。

退職代行を弁護士に依頼するメリットについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

退職代行を弁護士に依頼するメリットと費用相場|選び方から退職代行の流れも解説

【まとめ】あなたの有給休暇の権利を守るために行動しよう

「パートだから有給はない」という会社側の主張は、法律上誤りである可能性があります。
会社に雇用されている労働者であるあなたには、パートであっても、条件を満たせば法律上当然に有給休暇が発生します。
有給休暇は、心身のリフレッシュを図り、より長く健康的に働き続けるために非常に重要です。
もし会社から不当な扱いを受けていると感じたら、会社への確認、労働基準監督署への相談、そして必要に応じて弁護士への相談といった具体的な行動を起こしましょう。

退職したいけど自分から伝えにくいと感じている方は、退職代行を積極的に扱っているアディーレ法律事務所にご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 山内 涼太

東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。

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