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育休中の年末調整は必要?受けられる控除や手続き方法を解説

作成日:更新日:
y.kanno

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

育児休業中でも、年末調整は欠かせない手続きの1つです。 

特に、育休中の収入や控除についての知識がないと、不必要な税負担を背負ってしまうことがあります。しかし、年末調整をしっかり行うことで、払いすぎた税金が還付され、家計の助けとなる可能性が高いのです。 

このコラムでは、育休中の年末調整についてわかりやすく解説し、あなたが経済的な安心感を得られるようサポートします。具体的な手続き方法や控除などをしっかり押さえ、適切な準備をしていきましょう。 

この記事を読んでわかること 

  • 育休中に年末調整をすべき場合 
  • 年末調整に必要な書類・手続き 
  • 年末調整をすることで受けられる控除 
  • 手当金や給付金の年末調整での取り扱い 
  • 育休中に年末調整を忘れた場合の対処法 
  • 育休中の年末調整でよくあるQ&A 

ここを押さえればOK!

年末調整とは、年間の所得税を正確に計算し、税金の過不足を精算する手続きのことです。 育休中でも収入がある場合には年末調整が必要になります。
年末調整で受けられる主な控除
・基礎控除
・扶養控除
・配偶者控除・配偶者特別控除
・保険料控除
・住宅ローン控除
手当金の年末調整での取り扱い
・出産手当金:産前産後休業中の所得補償として支給される非課税。
・出産育児一時金:出産にかかる費用の補助として支給される非課税。
・育児休業給付金:育児休業中の所得補償として支給される非課税。
年末調整を忘れた場合の対応
・会社に相談:年末調整の申請が間に合わなかった場合、総務部門や人事部門に相談。
・確定申告:年末調整ができなかった場合、確定申告を行うことで税額の調整が可能。
育休中でも年末調整を忘れずに行うことが重要です。控除を適用することで税金還付が期待でき、経済的負担を軽減できます。必要な書類を準備し、会社の総務部門や税務署に確認してスムーズに手続きを行いましょう。
この記事の監修弁護士
弁護士 山内 涼太

東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。

育休中の年末調整とは? 

年末調整は、年間の所得税を正確に計算し、税金の過不足を精算する手続きです。 

そして、産休中や育休中の方でも1月から育休取得まで仕事をして収入がある場合には、年末調整が必要となります(合計所得金額が2000万円以下の場合)。 

年末調整で受けられる控除とは? 

産休中や育休中で収入が少なくなっている場合でも、年末調整をして控除を受けることで税金が還付される可能性があります。 

年末調整で受けられる主な控除には、基礎控除、扶養控除、配偶者控除・配偶者特別控除、保険料控除、住宅ローン控除などがあります。ここでは、年末調整で受けられる主な控除について簡単に説明します。 

(1)基礎控除 

基礎控除とは、合計所得金額が2500万円以下の場合に受けられる控除です。 

合計所得金額控除額
~2400万円48万円
2401万円~2450万円32万円 
2451万円~2500万円16万円

(2)給与所得控除 

給与所得控除とは、年間の給与所得から一定額の範囲で受けられる控除です。 

給与などの収入金額 (源泉徴収票の支払い金額) 給与所得控除額(2020年分以降) 
162万5000円以下 55万円 
162万5000円を超えて180万円以下 収入金額×40%-10万円 
180万円を超えて360万円以下 収入金額×30%+8万円 
360万円を超えて660万円以下 収入金額×20%+44万円 
660万円を超えて850万円以下 収入金額×10%+110万円 
850万円を超えて 195万円(上限) 

(3)扶養控除 

扶養控除とは、生計を同一とする年齢16歳以上の親族(居住者)のうち、合計所得金額48万円以下の人がいる場合に受けられる控除です(給与所得だけの場合は、給与の収入額103万円以下)。 

控除の種類 控除額 
一般の控除対象扶養親族 38万円 
特定扶養親族 63万円 
老人扶養親族(同居老親など) 48万円(58万円) 

(4)配偶者控除・配偶者特別控除 

配偶者控除・配偶者特別控除は、合計所得金額が133万円以下で生計を同一とする配偶者がいる場合に適用される控除です(給与所得者の合計所得金額が1000万円以下の場合)。 

配偶者の年間所得が48万円以下(給与収入103万円以下)であれば配偶者控除が適用され、給料所得者の合計所得金額に応じて最高38万円が控除されます。 

また、配偶者の年間所得が48万円を超え、133万円以下(給与収入103万円超 201万6000円未満)であれば配偶者特別控除が適用され、給与所得者と配偶者の合計所得金額に応じて最高38万円が控除されます。 

(5)保険料控除 

保険料控除とは、社会保険料や生命保険料、地震保険料を支払っている場合に受けられる控除です。 

控除の種類 控除額 
社会保険料控除 支払った保険料の全額 
生命保険料控除(一般の生命保険料の場合) 旧契約 新契約 両方 
最高5万円 最高4万円 最高4万円 
地震保険料控除 地震保険料のみ 旧長期損害保険料のみ 両方 
最高5万円 最高1万5000円 最高5万円 

※旧契約とは、平成23年12月31日以前に締結した保険契約等をいい、新契約とは、平成24年1月1日以後に締結した保険契約等をいいます。 

(6)住宅ローン控除 

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して自宅を購入し、返済をしている場合に適用される控除です。 

住宅ローンを受けるための手続きとしては、初年度は確定申告で住宅ローン控除適用の申請を行います。そして、2年目以降は年末調整で「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」を提出します。 

年末調整の手続き方法とは? 

会社は産休中や育休中の社員も含めて、年末調整を行います。 

従業員は会社の総務部門や人事部門に提出します。 

通常は12月末までですが、会社によって異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。

 必要な書類 

まず、年末調整に必要な書類を準備することが重要です。主な書類は次の通りです。 

  • 扶養控除等(異動)申告書(扶養親族がいない人でも提出が必要) 
  • 基礎控除申告書 
  • 配偶者控除等申告書 
  • 保険料控除申告書 
  • 住宅借入金等特別控除申告書 など 

これらの書類は、会社から配布されるか、税務署のウェブサイトからダウンロードできます。必要な控除を受けるために、各種証明書も忘れずに準備しましょう。具体的には、生命保険料控除証明書や地震保険料控除証明書などがあります。 

手当金や給付金の年末調整での取り扱いとは? 

次に、出産手当金、出産育児一時金、育児休業給付金の取り扱いについて説明します。

(1)出産手当金 

出産手当金は、産前産後休業中の所得補償として健康保険から支給されるお金です。 

基本的に、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から、出産の翌日以降56日までの間で休んだ期間を対象に支払われます。 

出産手当金は非課税であり、年末調整の対象にはなりません。 

(2)出産育児一時金 

出産育児一時金も、出産にかかる費用の補助として健康保険から支給されるお金です。 

妊娠85日以上(4カ月)の妊婦が出産した場合、出産児1人につき42万円が支払われます。 

出産育児一時金も非課税であり、年末調整の対象にはなりません。 

(3)育児休業給付金 

育児休業給付金は、育児休業中の所得補償として雇用保険から支給されるお金です。 

育児休業給付金も非課税であり、年末調整の対象にはなりません。

育休中に年末調整を忘れた場合の対処法 

年末調整の申請を忘れてしまった場合でも、会社に相談したり、確定申告を行ったりすることで対応可能です。 

  • 会社に相談:まずは勤務先の総務部門や人事部門に相談し、年末調整の申請が間に合わなかったことを伝えましょう。場合によっては、遅れても申請を受け付けてもらえることがあります。 
  • 確定申告を行う:年末調整ができなかった場合、確定申告を行うことで税額の調整が可能です。これにより、払いすぎた税金の還付を受けることができます。 

給与所得者でも医療費控除を受ける場合や最初の住宅ローン控除を受ける場合などには、確定申告を行わなければなりません。 

育休中の年末調整でよくある質問 

最後に、産休中や育休中の年末調整でよくある質問について回答します。 

Q育休期間中だけ配偶者控除や配偶者特別控除を受けられる? 

育休期間中でも、出産手当金や育児休業給付金などの手当金を除いて育休中の年間所得が133万円以下(給与収入 201万円6000円未満)であれば、夫の配偶者控除や配偶者特別控除を受けることができます。 

夫の配偶者控除や配偶者特別控除を受けるためには、夫が年末調整で配偶者控除や配偶者特別控除の申告をする必要があります。 

Q103万円の壁、201万円の壁とは何ですか? 

これらの「壁」は配偶者控除や社会保険の扶養に関する所得基準を指します。具体的には次の通りです。 

  • 103万円の壁:年間所得が103万円以下の場合、所得税を支払う必要がなくなり、源泉徴収で先に引かれていた場合には還付される可能性があります。なぜならば、給与収入が年間103万円以下の場合、所得控除額55万円と基礎控除48万円を給与収入(年)から差し引くと、給与所得(課税の対象)が0円となるからです。 
  • 201万円の壁:給与収入が、年間103万円超え201万6000円未満の場合は、所得税や住民税がかかってくる可能性がありますが、一定の要件を満たせば配偶者特別控除(最高38万円)を受けることができます。 

Q出産や育児で会社を退職した場合も年末調整は必要? 

基本的に退職した場合、次の人を除き年末調整の対象にはなりません。 

  • 12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人 
  • いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人(退職後その年に他の勤務先から給与の支払を受ける見込みのある人は除きます。) 

ただし、年末調整の対象とならない場合でも、収入がある場合には確定申告が必要です。 

翌年の確定申告期間(通常は2月16日から3月15日)に確定申告を行うようにしましょう。 

【まとめ】育休中でも年末調整を忘れずに行おう! 

育休中でも年末調整は重要な手続きです。 

特に控除の適用を受けることで、税金の還付が期待でき、経済的な負担を軽減することができます。 

この記事では、育休中の年末調整の具体的な手続きや控除の種類、さらに年末調整を忘れた場合の対処法について解説しました。この記事を読んで疑問が解消された方は、今すぐ手続きを始めましょう。会社の総務部門や税務署に確認し、必要な書類を揃えることで、スムーズに年末調整を行えます。 

この記事の監修弁護士
弁護士 山内 涼太

東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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