働いているときに事故やケガに遭ってしまったら、どうすればいいのか心配ですよね。
実は、そんな時に役立つのが「労災保険」です。正社員だけでなく、アルバイトやパートの方でも利用できるこの制度について詳しく知っておくと、いざという時に安心です。
このコラムでは、労災保険の基本から利用方法、受け取れる補償の内容まで、わかりやすく解説していきます。もしもの時に備えて、ぜひ一度読んでみてください。
この記事を読んでわかること
- 労災とは
- 労災保険を利用する流れ
- 労災保険を利用させてもらえない場合の対処法
ここを押さえればOK!
労災が発生したらまず病院で適切な治療を受け、労働基準監督署に申請します。
会社が労災保険の利用を拒否した場合は、労働基準監督署や弁護士に相談することが推奨されます。
弁護士に依頼すると、適切な補償を受け取るための手続きをサポートしてもらえます。
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東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。
労災とは
労災とは、労働災害の略語で、労働者が仕事や通勤中の出来事を原因として起こる病気やケガのことをいいます。
(1)業務災害
業務災害とは、労働者が業務を遂行する過程(業務時間内、休憩時間、出張中など)で発生した出来事で生じた病気やケガを指します。
例えば、工場で働いているときに機械に巻き込まれてケガをした場合や、飲食店で働いている際に火傷を負った場合が該当します。
(2)通勤災害
通勤災害とは、労働者が自宅から勤務先、または勤務先から自宅に帰る途中で発生した出来事で発生した病気やケガを指します。
例えば、通勤中に交通事故に遭った場合や、駅の階段で転倒してケガをした場合が該当します。
ただし、家と勤務先との間の通勤ルートを逸脱・中断して仕事に関係ない行為をした場合には、「通勤」とはなりません。例えば、私的な飲み会に行ってそこでケガをした場合には「労災」には当たりません。
アルバイトでも「労災保険」は利用できる
業務中や通勤中の出来事が原因となって病気やケガをした労働者は、労働基準監督署から「労災認定」を受けると労災保険を利用することができます。
正社員だけでなくアルバイトやパートであっても労災保険を利用することができ、労災保険を利用するとさまざまな補償(給付金)を受け取ることができます。
労災保険から受け取れる保険金とは
- 療養(補償)給付:
- 病気やケガの治療費をカバーします。労災指定病院で治療を受ける場合、窓口での治療費の支払いは不要です。
- 休業(補償)給付:
- 労働者が病気やケガで働けない期間の休業4日目から休業1日当たり、労災保険として給付基礎日額60%相当額+給付基礎日額20%相当額(休業特別支給金)も支給されます。つまり、合計80%の収入が補償されることになります。
- 障害(補償)年金・障害(補償)一時金:
- ケガや病気が原因で後遺障害が残った場合に支給される保険金です。後遺障害の程度に応じ、年金または一時金として支給されます。
- 傷病(補償)年金:
- ケガや病気の治療が1年6ヵ月以上の長期にわたり、かつそれが一定以上の重い傷病である場合に支給される年金です。傷病の程度により金額が変わってきます。
- 介護(補償)給付:
- ケガや病気が原因で重度の障害を負い、現に介護を受けているときに支給される補償です。
- 遺族(補償)年金・遺族(補償)一時金:
- 労働者が労災により死亡した場合、その遺族に対して支給される保険金です。遺族年金や一時金が支給されます。
- 葬祭料(葬祭給付):
- 労働者が労災により死亡し葬祭が行われたときに支給される保険金です。31万5000円に給付基礎日額の30日分を加えた額(その額が給付基礎日額の60日分に満たない場合は、給付基礎日額の60日分)が支給されます。
アルバイトが労災保険を利用する流れとは
アルバイトが労災保険を利用するための基本的な流れは次の通りです。
(1)病院を受診
労災が発生したら、まずは病院を受診して適切な治療を受けます。
(1-1)労災指定医療機関の場合
診療を受ける際に、診療に労災保険を使用したい旨を申し出ましょう。
その後、療養を受けている労災指定医療機関等に、療養補償給付たる療養の給付請求書(業務災害の場合)または療養給付たる療養の給付請求書(通勤災害の場合)を提出すれば、労災保険から給付を受けることができます。
(1-2)労災非指定医療機関の場合
災害にあった際に、近くに労災指定医療機関がないなどの理由で、労災非指定医療機関で治療を受けることもあります。労災非指定医療機関病院で診療を受けた場合には、労災から療養の給付(療養の現物給付)を受けることはできず、療養の費用の支給を受ける形で、保険診療を受けることになります。
この場合、受診者は診療費の全額を立替払し、後日、労災保険に対し、支払った診療費の支払いを請求します。
(2)労働基準監督署への申請
次に、労働基準監督署に申請を行います。申請は労働者自身が行うことも可能ですが、事業主が代行することもできます。申請の際には、事前に必要な手続きを確認し、書類の不備がないように注意します。
(3)審査の結果通知
労働基準監督署で審査が行われ、結果が通知されます。審査が通れば、保険金が支給されます。審査には時間がかかる場合があるため、申請後は進捗状況を確認することが重要です。
アルバイト先に労災保険を利用させてもらえない場合
会社が「アルバイトは労災が使えない」などと言い、労災保険を利用させてもらえない場合があります。この場合次の対応をとることをおすすめします。
- 労働基準監督署に相談: 労災保険の利用を拒否された場合は、まず労働基準監督署に相談します。労働基準監督署は、労働者の権利を守るための機関です。
- 弁護士に相談: 労災を扱う弁護士に相談することで、適切な法的対応を取ることができます。弁護士は、労働者の権利を守り、適切な補償を受け取るための手続きをサポートします。
労災保険の利用は労働者の権利です。適切な手続きを行い、自身の権利を守るために行動しましょう。
労災は弁護士に相談すると受け取れるお金が増える可能性がある
労災保険からの各種給付や、会社側から支払われる損害賠償などは、申請内容や交渉内容によっては、本当は得られたはずの金額よりも少なくなる可能性があります。
しかし、弁護士に依頼すると、その法的知識と経験を活かして、依頼者の方が本来受け取るべき金額での解決を実現できるように対応してもらうことができます。
また、弁護士に依頼することで、複雑な申請手続を任せて、ご自身は治療に専念していただくことが可能になります。
【まとめ】アルバイト中のケガには労災保険を!困った場合には弁護士へ相談
働く中で事故やケガに遭った際、労災保険が重要な役割を果たします。正社員だけでなく、アルバイトやパートでも労災保険を利用でき、さまざまな補償(給付金)を受け取ることが可能です。労災保険の主な補償には、療養給付、休業給付、障害給付などがあり、労災認定を受けることでこれらの保険金を受け取れます。
また、会社から労災保険の利用を拒否された場合は、労働基準監督署や弁護士に相談することが推奨されます。
もしもの時に備えて、労災保険についてしっかり理解し、適切な対応が取れるようにしておきましょう。
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