「既婚者と不倫をしていたことが相手の配偶者にバレてしまった…。不倫をしていた期間が長いと、慰謝料は高額になる?」
既婚者と不倫(以下、法律用語として使われる言葉である「不貞行為」と呼びます)をした際にもっとも気になることの1つが、不貞行為をされた側の配偶者から請求される慰謝料の金額でしょう。
不貞行為に対する慰謝料の金額は、婚姻期間の長さや、離婚に至ったか否かなど、さまざまな要素を総合して決められます。
事案ごとに登場するさまざまな要素によって、慰謝料の金額は増減するわけです。
そうした要素のうちの1つに、不貞行為が行われていた期間の長さがあり、不貞行為の期間が長ければ、一般的には慰謝料が増額される傾向があります。
ただし、不貞行為の期間が長ければ必ず慰謝料が高額になるというわけではなく、その他、減額事由があれば慰謝料の減額交渉ができる可能性が十分にあります。
今回の記事では、
- 不貞慰謝料の相場
- 不貞慰謝料の増額・減額事由
- 不貞慰謝料の減額交渉できるケース
などについてご説明します。
法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件ドメイン(現:慰謝料請求部)にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。
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慰謝料の金額は、不貞行為の損害に応じて左右する
既婚者と不貞行為を行うと、不貞行為をされた側の配偶者から慰謝料を請求されるリスクがあります。
慰謝料は、法律的には、民法709条が定める「不法行為」に基づく損害賠償の1つです。
損害賠償の方法としてはすべて金銭によることになっていて、すなわち日本では金銭賠償主義がとられています。民法の条文では以下のように定められています。
損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。
引用:民法417条
第417条及び第417条の2(中間利息の控除)の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。
引用:民法722条1項
417条は、売買契約などの契約における債務不履行に関する損害賠償の規定ですが、契約関係のない不法行為の相手方に対する損害賠償請求においても、同じルールが適用されるということが722条1項において定められています。
ところで、慰謝料は、不法行為の一種である不貞行為という相手の加害行為によって生じた精神的苦痛という損害を金銭に換算したものです。したがって、慰謝料が請求されるかどうかの鍵は、不貞行為の有無ということになってきます。
「不貞行為」とはなんですか?
不貞行為とは、自由な意思で配偶者以外の者と性行為を行うことをいいます。
不貞行為があると、不貞行為をされた側の配偶者が大きな精神的苦痛という損害を受けるため、不貞行為は民法上の不法行為に該当し、損害賠償の対象となるわけです。
不貞の慰謝料請求
不貞行為がない場合であっても、例えば頻繁にデートを重ねてキスをしたりするなどして平穏な夫婦関係を害した場合には、相手の配偶者から慰謝料を請求される可能性がありますので、注意が必要です。
不貞行為がない場合の慰謝料請求について詳しくはこちらの記事もご参照ください。
不貞行為の慰謝料の相場
当事者同士の話し合いで慰謝料を決める場合、過去の事例によって形成されてきた相場を踏まえつつ、先方の精神的損害の大きさや、いかに早期解決するか等を考慮して、金額が決まることが多くなります。
話し合いで慰謝料の金額等がまとまらなければ、裁判で慰謝料を請求することになります。
裁判で決まる慰謝料の金額は、支払う方や受け取る方に財産があるかないかは関係ありません。
あくまで過去の裁判例を参考としつつ、被害者が受けた精神的苦痛の大きさを裁判官が客観的に認定したうえで、慰謝料の金額が決定されます。
裁判で決定される慰謝料の相場は、基本的には次のとおりです。
浮気・不貞の慰謝料の裁判上の相場(目安) | |
離婚をした場合 | 100万~300万円 |
離婚はしない場合 | 数十万~100万円 |
※裁判をせずに話し合いで解決する場合、慰謝料金額がこれより高額になること、低額になることもあります。
不貞期間が長いと、慰謝料も高くなりがち
慰謝料の金額は、個別の事情や状況によって異なるため、一概にいくらとは言えません。
もっとも、不貞行為の期間は、裁判でも慰謝料金額を算定する際に考慮されることが多いです。
特に、10年以上など長期間にわたる場合は、そのような長期間にわたって築き上げた夫婦関係を傷つられたために受ける精神的苦痛も大きいと考えられることから、慰謝料の増額要素とされる可能性が高いです。
また、そこまで至っておらずとも、交際期間5年(うち同棲期間3年以上)であった夫の不貞行為であって、相手との子どももいるなどの内容から、妻の精神的苦痛等を考慮して、450万円(+弁護士費用50万円)の慰謝料が裁判で認められたケースもあります(東京地裁判決平成15年9月8日)。
慰謝料が高額になるような場合は、一括払いができずに分割払いを認めてもらったり、分割払いをするにしても長期間にわたって慰謝料を返済していくという方式を認めてもらったりするということも交渉の内容に含まれてきます。
また、次の事例のように、不貞が数年にわたる場合であっても、不貞の回数が少ないなどの事情があれば、減額交渉ができる余地があります。
まずは弁護士に相談されることをお勧めします。
慰謝料の金額を左右する主な項目
不貞行為が行われていた期間のほかにも、慰謝料の金額を左右する項目があります。
例えば、次のような事情があると、慰謝料が増額・減額されることがあります。
慰謝料を減額してもらいたい時、どんな主張をしたら良いですか?
慰謝料の減額を交渉しやすい事情と解決事例をご紹介しますので、参考になさってください。
1.不貞相手の夫婦仲が良くなかった(夫婦関係が破綻していた)場合
2.不貞に至った経緯について、不貞相手の方が責任が重い場合
3.不貞相手が離婚しなかった場合
4.反省等が認められる場合(真摯な反省の態度が見られたり、会社を退職することをはじめ社会的制裁がすでにあったりした場合など)
ところで、不貞行為が発覚する前に婚姻生活がすでに破綻していた場合には、慰謝料の請求は認められません。
慰謝料というものは、平和な家庭生活を過ごす権利を不貞行為によって奪われ、精神的損害というダメージを受けたからこそ、不貞相手や配偶者に請求できるものです。
不貞行為があった時点ですでに平和な家庭というものが存在していなかった場合には、不貞行為によって平和な家庭生活を過ごすという権利が奪われたとは言えません。
また離婚に至ったとしても、離婚に至った原因や、受けた精神的損害が不貞行為によって生じたものとも認められません。
つまりこのケースの不貞行為は、そもそも不法行為にあたらないのです。
ただし、夫婦関係の破綻が認められるケースはそう多くありません。
たとえ夫婦仲に多少の問題があったとしても、同居を継続している場合には、客観的に破綻していたとは言えないと判断されることが多いです。
また、別居していたとしても、夫婦の具体的な状況次第では破綻していないと判断されることもありますので注意が必要です。
また、不貞行為の相手が、相手を既婚者と知らなかった場合や、既婚者であることを知らなかったことに相当の理由があるような場合も、慰謝料の請求は認められません。
このような場合は、不貞行為をすることについての故意や過失が認められないため、これも不法行為の要件をみたさないからです。
交際当初は既婚者であると知らなかったことも減額交渉の材料になります!
【まとめ】不貞が長くなると慰謝料も高くなる傾向があるが、減額事由があれば減額交渉ができる可能性がある
今回の記事のまとめは、次のとおりです。
- 既婚者と不貞(配偶者以外の相手と自由な意思で性行為を行うこと)に及んだ場合、不貞をされた側の配偶者は不貞をした配偶者とその不貞相手に慰謝料の請求ができる。
- 裁判で決定される慰謝料の相場は、基本的には次のとおり。
浮気・不貞の慰謝料の裁判上の相場(目安) | |
離婚をした場合 | 100万~300万円 |
離婚はしない場合 | 数十万~100万円 |
- 慰謝料には増額・減額事由がある。減額事由の主なものは次のとおり。
1.不貞相手の婚姻関係が破綻していた
2.不貞に至った経緯について、不貞相手の責任の方が重い
3.不貞相手が離婚していない
4.反省している・社会的制裁を受けているなど - 不貞関係に至る以前に婚姻関係が破綻していた場合は、慰謝料請求が認められない可能性がある。
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(以上につき、2022年8月時点)
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