「慰謝料を不倫相手に請求したら、『収入がないから支払えない』と言われた!」
このような対応をされると、反省していないと感じ、怒り心頭の方もいるかもしれません。
もちろん、「収入がない」と言っていても、それが事実かどうかはわかりません。
また、事実であったとしても、分割払いであれば慰謝料を払えるケースや、実は財産があるケースなど、お金がないとはかぎらず、慰謝料を獲得できる場合があります。
不倫相手から「収入がない」と言われても、すぐに慰謝料請求を諦めることはせず、慰謝料請求のポイントや財産の探し方について知っておきましょう。
この記事を読んでわかること
- 「収入がない」と言っている不倫相手への慰謝料請求
- 不倫相手の財産の探し方
法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件ドメイン(現:慰謝料請求部)にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。
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不倫相手が「収入なし」と思われる場合の4つの対処法
法律上、慰謝料の支払い義務があるのに、収入や資産がないことを理由に支払いを免れることは許されません。
不倫相手に収入がない場合には、次の4つの対処法をとることをおすすめします。
- 分割払いを提案する
- 公正証書を作成する
- 預金以外の財産を差し押さえる
- 財産開示を求める
(1)分割払いを提案する
収入や資産がまったくない不倫相手から慰謝料を支払ってもらうためには、不倫相手の状況に応じて、一括ではなく「分割による支払いの合意」が必要なケースがあります。
分割払いでなければ支払えないような不倫相手に対して、一括払いで慰謝料請求をしたとしても、不倫相手に資産がなければ慰謝料を受け取ることもできません。
不倫相手の支払い能力を考えれば、分割払いに応じる方が現実的に慰謝料を受け取れる可能性が高い場合もあります。
不倫相手から分割払いを持ちかけられたときの対処法についてはこちらの記事をご覧ください。
(2)公正証書を作成する
分割での支払いが長期にわたる場合には、不倫相手が将来、支払いを怠った場合に、すみやかに給料や財産を差し押さえたりすることができるよう、公正証書の作成をおすすめします。
公正証書は、公証役場で公証人により作成される公文書のことです。
慰謝料の合意内容について強制執行認諾文言(民事執行法22条5号)付きの公正証書を作成しておくと、滞納が生じたときに、裁判手続きを経由することなく不倫相手の財産(給与や預金等)の差押えを裁判所に申立てられるため、強制執行がスムーズになります。
公正証書について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(3)預金以外の財産を差し押さえる
強制執行認諾文言のある公正証書を作成したり、判決(和解調書)を取得したりしておけば、不倫相手の預金以外にも、将来就職した場合の給与や、めぼしい財産を差し押さえることが可能になります。
不倫相手の財産を差し押さえることによって、不倫相手の都合にかかわらず強制的に財産から慰謝料を回収することが可能になりますので、不倫相手が支払いを怠った場合にも慰謝料の回収が可能となります。
差押え可能な財産について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(4)財産開示を求める
財産開示手続は、裁判所への申立てにより、相手方が裁判所に出頭して、財産状況について陳述する手続きをいいます(なお、申立手数料が必要になります)。
不倫相手が慰謝料を支払いたくないがために嘘をついていたり、財産を隠していたりする可能性がありますが、財産開示を求めることにより、預金や有価証券などの財産が判明する可能性があります。
ただし、財産開示手続を申立てるためには、その前に判決(和解調書)を取得しておいたり、公正証書を作成しておいたりする必要があります。
なお、不倫相手が裁判所に出頭しなかったり、自分の財産について嘘を言ったりした場合には刑事罰(6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金)が科される場合があります。
※なお、2020年4月の民事執行法の改正に伴い、公正証書により財産開示手続を利用できるようになったほか、罰則が設けられた経緯があります。
参考:財産開示手続を利用する方へ|裁判所 – Courts in Japan
参考:東京地裁民事執行センターからのお知らせ 第三者からの情報取得手続|裁判所 – Courts in Japan
<コラム> 第三者からの情報取得手続ってなに?
第三者からの情報取得手続とは、裁判所を通じて金融機関などから相手方の財産についても情報を提供してもらう手続きのことをいいます(手数料が必要となります)。
ただし、この手続きを利用する場合にも事前に判決(和解調書)を取得しておいたり、公正証書を作成しておいたりする必要がありますので、注意が必要です。
なお、2020年4月の民事執行法改正に伴い、第三者からの情報取得手続という制度が新設されました。
不倫相手が「収入なし」の場合に弁護士に依頼する4つのメリット
不倫相手が収入なしと言っている場合でも、財産を隠していたり、嘘をついていたりする可能性も少なからずあります。
そのため、不倫相手の財産を調査したり、こちらの本気度を伝えたりするためにも、慰謝料交渉を弁護士へ依頼することをおすすめします。
不倫相手が「収入なし」の場合に弁護士に依頼することで次の4つのメリットがあります。
- あなたの本気が不倫相手に伝わる
- 弁護士があなたに代わって不倫相手と交渉してくれる
- 公正証書の作成のサポートをしてくれる
- 財産がどこにあるか調査をしてくれる
不倫相手が「収入がない」と言っていたからといって諦めることなく、弁護士に相談するなどして、やれるだけのことをやることが大切です。
(1)あなたの本気が不倫相手に伝わる
不倫相手は、「お金がないのだから仕方ない」などと開き直っており、あなたにしたことを重く考えていないことがあります。そのため、あなたから慰謝料請求が来ても無視したり、適当にあしらったりすることもあります。
しかし、弁護士からの書面が届くと、あなたの本気度が伝わって態度が一変し、ことの重大さに気が付いてきちんと対応するようになるケースがあります。
(2)弁護士があなたに代わって不倫相手と交渉してくれる
弁護士依頼した場合、弁護士が交渉を代行します。
弁護士を立てず、自ら不倫相手と交渉しなければならない場合、肉体的にも精神的にも大きい負担がかかります。一方、弁護士に依頼すれば、基本的には弁護士が交渉を代行するため、あなたにかかる負担を減らすことができます。
(3)公正証書の作成のサポートをしてくれる
公正証書を作成する公証役場では、中立・公正な立場から法律的に有効な書面の作成についてアドバイスをしてくれますが、当事者どちらかの立場に立って、どちらかに有利・不利となるアドバイスをすることはありません。
弁護士であれば、あなたの立場に立って有利・不利な点を説明し、親身にアドバイスすることができますし、代わりに内容を作成し、代理人として公証役場に出向くことができます。
(4)財産がどこにあるか調査をしてくれる
弁護士は、弁護士法23条の2に基づく、弁護士会を通じた「弁護士会照会」という制度を利用することができます。
弁護士会照会制度を利用することにより、銀行に不倫相手が口座を持っているのか、持っている場合には残高はいくらあるのかを問い合わせることができます(銀行によっては回答しない場合もあります)。
弁護士会照会制度は弁護士しか利用することができません。弁護士へ依頼することで、弁護士会照会制度を利用することができ、不倫相手の預金の有無や残高について調べることができる場合があります。
「弁護士会照会制度」について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【まとめ】不倫相手が「収入がない」と言っていても慰謝料を獲得できる可能性はある
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- 不倫相手が「収入なし」といっている場合の対処法
- 分割払いを提案する
- 公正証書を作成する
- 預金以外の財産を差し押さえる
- 財産開示を求める
- 不倫相手が「収入なし」の場合に弁護士に依頼する4つのメリット
- あなたの本気が不倫相手に伝わる
- 弁護士があなたに代わって不倫相手と交渉してくれる
- 公正証書の作成のサポートをしてくれる
- 財産がどこにあるか調査をしてくれる
不倫相手に慰謝料請求した際に、「お金がないから支払えない」「収入がない」などと言われ、支払いから逃れようとされるケースは少なくありません。
しかし、本当にお金や収入がないのかは、調べてみなければわかりませんし、本当だとしても、法律上の支払い義務を免れるわけではありません。
不倫相手が支払い能力を理由に慰謝料の支払いを拒否している場合は、弁護士に依頼して、代わりに交渉してもらうことをおすすめします。
アディーレ法律事務所では、不倫の慰謝料請求につき、相談料、着手金をいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。
原則として、この報酬は獲得した賠償金等からのお支払いとなりますので、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要がありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
(以上につき、2023年5月時点)
不倫の慰謝料請求でお悩みの方は、不倫の慰謝料請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。