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育児介護休業法について解説!育児や介護を目的とした休業とは?

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リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「育児や介護が大変。仕事を休みたいけれど……」

育児介護休業法により、労働者は、育児や介護のために仕事を休むなど、さまざまな権利を認められています。
また育児休業や介護休業については、一定の要件を満たせば、休業中に給付金を貰うことができます。

育児介護休業法の解説とともに、育児休業中・介護休業中に貰える給付金などについて、弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

育児介護休業法とは?

「育児介護休業法」とは育児や介護をしなければならない労働者が「仕事と育児」「仕事と介護」を両立できるように支援する法律です。

育児介護休業法では、事業者が、育児と介護を行う労働者に対して、労働者の労働時間を見直したり、介護休業や育児休業の申請に対応する義務などが規定されています。

育児介護休業法は1992年4月1日に施行されましたが、社会や働き方の変化によって改正を繰り返しているため、制度が変わりやすく、最新の情報に注意する必要があります。

2021年にも育児介護休業法が改正され、その内容が大きく変わりました。
2021年の法改正については、後で詳しくご説明します。

育児休業の制度内容

「育児休業」とは、育児に専念するために会社を休める制度です。
育児休業に関し、さまざまな権利が法によって保護され、休業中の収入減に対する給付制度(育児休業給付金)もあります。

育児休業と似た言葉として、「育児休暇」がありますが、両者は異なる制度です。
育児休暇は、会社が独自に定める制度です。
このため、育児介護休業法上の権利の保障や給付制度がありません。
育児休暇の内容は会社によって異なりますので、就業規則などを確認しましょう。

(1)育児休業を取得できる期間

原則として、出産した女性労働者は、「育児休業開始日(出産日から数えて58日目)~子どもが1歳の誕生日の前日」まで、育児休業を取得できます。
男性労働者は、原則として「出産予定日~子どもが1歳の誕生日の前日」の期間中の1年間、育児休業を取得できます(ただし、育児休業給付の開始日は、出産日以降です)。
※パパ・ママ育休プラス制度を利用する場合には、一定の要件を満たせば、原則1歳2ヶ月(出産日から1年2ヶ月後)の前日まで育児休業休暇を取得できます(ただし、育児休業を取得できる期間は、原則1年)。

保育所に入れないといった特別な理由がある場合は、子供が1歳6ヶ月に達するまで延長できます。さらに2017年より、同様に特別な理由があるなら再延長の申し出が可能となり、最長2年まで育児休業期間を延長できるようになりました。

そして、2020年10月1日からは、育児介護休業法の改正により、夫婦とも分割して2回育児休業を所得することが可能とされ(取得の際にそれぞれ申し出ることが必要とされます)ました。
また、子の1歳以降の育児休業の延長について、それまで育児休業の開始日が子の1歳及び1歳半のときに限定されていましたが、その限定がなくなり、柔軟に開始日を定めることも可能となりました。
これらにより、夫婦が途中交代して育児休業を取得することができるようになりました。

さらに、2022年10月1日から、育児介護休業法の改正によって創設された出生時育児休業制度(産後パパ育休と呼ばれます)がスタートしました。
これにより、原則として2週間前までに申し出ることで、これまでの育児休業とは別に、父親が子の出生後8週間の範囲内で4週間まで休業することができます。

この出生時育児休業は、分割して2回取得することができますが、初めにまとめて申し出ることが必要です。

参考:育児休業制度|厚生労働省

(2)育児休業給付金の金額

育児休業中は、給料を貰えない人も多いですが、一定の要件を満たすと雇用保険から育児休業給付金が支給されます。

大まかにいえば、育児休業給付金として貰える金額は以下の通りです。
育児休業開始から6ヶ月⇒賃金の67%(原則)
それ以降⇒賃金の50%(原則)

(※育児休業中に賃金を得ると、育児休業給付金が減額されたり、不支給となることがあります)

具体的には、1ヶ月あたりの支給額は、原則として次のような計算式で求められます。

【育児休業開始から180日まで】
休業開始時の賃金日額(※1)×支給日数(※2)×67%

【育児休業開始から181日以降】
休業開始時の賃金日額×支給日数×50%

※1 「休業開始時の賃金日額」は申請時に提出する「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」をもとに、育児休業を開始する前6ヶ月間の賃金を180で割った金額のことです。
この場合の賃金とは、保険料などが控除される前の「総支給額」のことで、手取り金額ではありません。
また、ここでいう賃金には賞与は含まれません。

なお、2023年7月31日までは、賃金日額の上限が1万5190円、下限が2657円とされます。

※2 支給日数は30日
ただし、育児休業終了日の属する支給対象期間は、当該支給対象期間の日数が支給日数となります。

(2-1)育児休業給付金の上限額、下限額

支給単位期間の1ヶ月あたりの支給額には、次の上限額があります(毎年8月に改定)

  • 180日までが30万5319円
  • 181日目以降が22万7850円

(2022年8月1日~2023年7月31日まで)

また、育児休業給付金の金額を算出する際に用いられる「休業開始時の賃金月額」(=休業開始時の賃金日額×30)の下限額は、7万9710円となっております(2022年8月1日~2023年7月31日まで)。

参考:令和4年8月1日から支給限度額が変更になります。|厚生労働省

(2-2)出生時育児休業給付金について

なお、2022年10月1日からスタートする出生時育児休業を取得した場合も、出生時育児休業給付金が支給されます。

出生時休業給付金の計算式は、育児休業給付金における育児休業開始から180日までのものと同じですが、支給日数の上限は28日となります。

休業開始時の賃金日額(※1)×支給日数(上限は28日)×67%

※1 2023年7月31日までは、賃金日額の上限が1万5190円、下限が2657円とされます。

出生時育児給付金の支給上限額は、支給日数の上限が28日であるため、以下のとおりとなります。

休業開始日の賃金日額の上限1万5190円×28日×67%
=28万0964円。

参考:育児休業給付の内容と支給申請手続|厚生労働省

(3)子どもの看護休暇

「子どもの看護休暇」とは、子どもが病気やケガをして看護が必要な時に利用できる制度です。(育児介護休業法第16条の2)
子どもの看病や通院、検診、予防接種などのシーンで利用できます。

子どもが小学校に入学するまで、当該子どもの看護休暇を取得することが可能です。

子どもの看護休暇は、1年に5日(子が2人以上の場合は10日)まで取得でき、原則として、1日又は時間単位で取得が可能です。
ただし、次の労働者の場合、会社によっては、労使協定により、1日単位での取得のみとされることがあります。

  • (労使協定がある場合)半日単位での取得が困難と認められる業務に従事する労働者

ただし、時間単位で看護休暇を取得する場合、業務の途中で抜けて、子どもの看護休暇を取る権利までは法律上、認められていません。
この中抜けが許されるかどうかは会社によって異なります。

参考:子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります!(施行は令和3年1月1日です)|厚生労働省

(3-1)子どもの看護休暇をとれる人は誰?

子どもの看護休暇を取ることができるのは、その子どもを養育する労働者です。
ただし、日雇い労働者の場合は、子どもの看護休暇を取得できません。
また、労使協定により、次の労働者には看護休暇を取らせないとすることが可能です。

  • 入社6ヶ月未満の労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

(3-2)看護休暇を取ったら給料はどうなる?

育児介護休業法では、看護休暇を取ったことに対し、給料を支払うよう定めていないので、会社によって、給料が貰えるかどうかは異なります。
就業規則を確認してみましょう。

介護休業、介護休暇の制度内容

育児介護休業法では、介護休暇と介護休業の2つの制度があり、休暇と休業で取得できる日数が異なります。
また、介護休業の場合は、雇用保険から一定の場合に給付金が貰えますが、介護休暇の場合は給付金を貰えないという違いもあります。

(1)介護休業

「介護休業」は病気やケガ、もしくは身体・精神の障害などの理由で2週間以上の「常時介護が必要」(※)な家族を介護する場合に取得できる休暇です(育児介護休業法第11条)。

※「常時介護が必要」な状態と認められるためには、一定の要件を満たす必要があります。

介護休業の対象となる「家族」とは、配偶者(事実婚を含む)、両親、子(養子を含む)、配偶者の両親、祖父母、兄弟姉妹、孫のことをいいます。

介護休業の対象となる家族1人につき3回まで、通算93日まで取得可能です。

(1-1)介護休業をとれる人は誰?

介護休業を取ることができるのは、対象家族を介護する労働者です。
ただし、日雇い労働者は介護休業を取ることができません。
また、労使協定により次のいずれかに該当する労働者に介護休業を取らせないことができます。

  • 入社1年未満
  • 申出の日から93日以内に雇用期間が終了
  • 1週間の所定労働日数が2日以下

雇用期間に定めがある労働者の場合は、介護休業を申請する時点において、次の要件を満たすことが必要です。

  • 「介護休業開始予定日から数えて93日を経過する日」から6ヶ月経過する日までに雇用約期間が満了となり、雇用契約が更新されないことが明らかでないこと

※令和4年4月1日以降の介護休業の申出については、法改正により、入社1年以上との要件は撤廃されましたが、労使協定により、入社1年未満の者を対象外とすることができるとされます。

(1-2)介護休業給付金の金額

介護休業中は、賃金をもらえない人も多いですが、一定の要件を満たした場合、雇用保険から介護休業給付金が支給されます。
これにより、おおよそ、賃金の67%を貰うことができます。

具体的には、介護休業給付金は次の通り計算します(原則)。
休業開始時の賃金日額×支給日数×67%

ただし、給付額には一定の上限があります。

雇用保険が基本手当日額の算定の基礎となる賃金日額の上限と下限を設定しており、既にご説明した育児休業給付金の計算にも使用されております。

介護休業給付金については、雇用保険が設定した45~59歳までの賃金日額が計算に使用され、その賃金日額の上限が2023年7月31日までは1万6710円とされていることから、一支給単位期間における介護休業給付金の上限額は、33万5871円とされます。

1万6710円×支給日数30日×67%=33万5871円

また、介護児休業期間中に賃金が支払われていると減額されたり、不支給となる場合があります。

正確な金額はハローワークに確認しましょう。

参考:Q&A~介護休業給付~|厚生労働省

(2)介護休暇

介護休暇は病気やケガ、高齢などの理由で要介護状態になった家族を介護や世話をする労働者に対して与えられる休暇です(育児介護休業法第16条の5)。

要介護状態にある対象家族1人につき、最大年5日、介護休暇を取得できます。
ただし対象家族が2人以上の場合は、最大年10日までとされており、要介護状態の家族が3人でも年10日を超える介護休暇は取得できません。

原則として、一日単位ではなく時間単位での取得も可能で、直接的な介護だけでなく、買い物の代行や書類の手続きを行うための休暇としても利用できます。
ただし、時間単位での取得が困難と認められている業務に従事している労働者については、労使協定により、1日単位でしか介護休暇を取得できないとすることもできます。

ただし、時間単位で介護休暇を取得する場合、業務の途中で抜けて介護休暇を取る権利までは法律上、認められていません。
この中抜けが許されるかどうかは会社によって異なります。

(2-1)介護休暇をとれる人は誰?

介護休暇を取ることができるのは、対象家族を介護する労働者です。
ただし、日雇い労働者は介護休業を取ることができません。
また、会社によっては、労使協定により以下のいずれかに該当する労働者に介護休業を取らせないことができます。

  • 入社6ヶ月未満
  • 1週間の所定労働日数が2日以下

(2-2)介護休暇を取ったら給料はどうなる?

育児介護休業法では、介護休暇中に、給料を支払うよう定めていないので、会社によって、給料が貰えるかどうかは異なります。
就業規則を確認してみましょう。

2021年に育児介護休業法が改正!何が変わる?

2021年に育児介護休業法が大きく改正されました。
改正の内容は、2022年4月1日から段階的に施行されます。

今回の改正で何が変わったのか、これまでの記述と重複になるところもありますが、改正の6つのポイントをご説明します。

参考:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内|厚生労働省

(1)育児休業を取得しやすい雇用環境の整備

育児休業と出生時育児休業の申出が円滑に行われるようにするために、会社は、次のいずれかの措置を実施しなければなりません。

  • 育児休業・出生時育児休業(以下、「産後パパ育休」といいます)に関する研修の実施
  • 育児休業・産後パパ育休に関する相談窓口の設置
  • 自社の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集と提供
  • 制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

(2)育児休業制度の個別の周知・取得意向確認の義務化

会社は、本人または配偶者が妊娠・出産したことを申し出た労働者に対して、次の事項の周知と休業の取得意向確認を個別に行わなければなりません。

  • 育児休業・産後パパ育休に関する制度
  • 育児休業・産後パパ育休の申し出先
  • 育児休業給付に関すること
  • 労働者が育児休業・産後パパ育休の期間中に負担する社会保険料の取扱い

(3)有期雇用労働者の育児介護休業取得要件の緩和

これまでは、有期雇用労働者の育児介護休業取得要件について、「引き続き雇用された期間が1年以上」という要件がありました。
しかし、今回の改正で、この要件が撤廃されることとなりました。

これにより、有期雇用労働者については、「1歳6ヶ月までの間に契約が満了することが明らかでない」という要件のみとなりました。

(4)産後パパ育休の創設

産後パパ育休は、既にご説明したとおり、育休とは別に取得することができる制度です。

子の出生後8週間以内に4週間まで取得することができます。

申し出期間は、原則休業の2週間前までで、分割して2回まで取得することができます(最初にまとめて申し出ることが必要です)。

(5)育児休業の分割取得が可能に

これまでは、育児休業の分割取得は原則としてできませんでした。

しかし、既にご説明したとおり、今回の改正で、育児休業は分割して2回取得することが可能となりました(取得の際にそれぞれ申出)。

(6)育児休業取得状況の公表の義務化

従業員が1000人を超える企業は、育児休業等の取得の状況を年1回公表することが義務付けられます。

【まとめ】労働者は育児・介護のために休業できる

この記事のまとめは次のとおりです。

  • 育児介護休業法とは、育児や介護をしなければならない労働者が「仕事と育児」「仕事と介護」を両立できるように支援する法律。
  • 育児休業とは、育児に専念するために会社を休める制度。
    休業中の収入減少に対する給付制度もある。
  • 介護休業とは、病気等の理由で2週間以上の常時介護が必要な家族を介護する場合に取得できる休暇。
  • 2021年に育児介護休業法が改正され、産後パパ育休制度が創設されるなどの改正がなされた。

育児介護休業法は育児や介護を目的とした休業を支援する制度です。
育児介護休業法により、さまざまな労働者の権利が保障されています。
また、一定の場合には休業中に給付金などが支給されます。
企業によって申請方法などは多少異なりますが、基本的に育児・介護休業や子どもの看護休暇・介護休暇を事業者は断れず、これらの休業や休暇を理由に不当な解雇をすることはできません。
育児・介護を目的とした休業に関し不安な方は専門家に相談しましょう。

参考:育児・介護休業法のあらまし|厚生労働省

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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