「保険会社から提示された賠償金の増額交渉を弁護士に依頼したいけれど、大して増額できずに費用倒れになってしまうかもしれない…」
このような心配をされる方も多くいらっしゃいます。
費用倒れのリスクをなるべく回避するためには、あらかじめ受け取れそうな賠償金額の見通しを立てておくことが大切です。
その見通しを立てるためにも、交通事故の示談交渉については一度弁護士に相談しておくことをおすすめします。
また、その際には弁護士費用についてもしっかりと説明してもらうようにしましょう。
今回の記事では、次のことについて弁護士が解説します。
- 交通事故で費用倒れになりやすいケース
- 弁護士費用の内訳
- 費用倒れを防ぐポイント
- 交通事故を弁護士に依頼するメリット
岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。
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弁護士への相談をためらわせる「費用倒れ」の可能性
「費用倒れ」をおそれて弁護士への依頼をためらう方も少なくないでしょう。
そこで、費用倒れの意味と、交通事故において費用倒れになりやすいケースを紹介します。
(1)費用倒れとは
費用倒れとは、かかった弁護士費用が、得られた利益を超えてしまい、依頼者(交通事故の被害者)にとってマイナスの結果となってしまった状態のことをいいます。
例えば、最初に提示された示談金が100万円で、弁護士に依頼することで150万円に増額したが、弁護士費用が60万円かかったという場合、手元に残る金額は90万円で、弁護士に依頼する前の100万円よりも減ってしまっているということがあります。
(2)交通事故で費用倒れになりやすいケース
交通事故において費用倒れになりやすいケースは次のとおりです。
ただし、次のケースに当てはまれば必ず費用倒れになるというわけではありませんので、当てはまっていてもひとまず弁護士に相談することをおすすめします。
(2-1)弁護士費用特約に未加入
弁護士費用特約とは、自動車保険についている特約で、交通事故における紛争についてかかった弁護士費用を、保険会社が一定の保障金額の限度で保障してくれるものです。
自動車保険以外にも、医療保険や火災保険、バイク保険、個人賠償責任保険などに弁護士費用特約がついていることがあり、これらの保険についた弁護士費用特約の補償範囲に自動車事故にかかる弁護士費用が含まれることもあります。
弁護士費用特約があれば、300万円までは保険会社に弁護士費用を支払ってもらえることが多いですが、未加入の場合はすべて自分で支払うことになります。
加害者側の提示がすでに比較的高額である場合には増額の余地が小さいため、費用倒れになることがあります。
弁護士費用特約の必要性について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(2-2)加害者が無保険
事故の加害者が任意保険に未加入で、自賠責保険にだけ加入している場合、保険会社に請求できる損害賠償額には上限があり、それを超える分は加害者本人に請求することになります。
加害者に不足分を支払えるだけの資金力がない場合、強制執行を試みても、充分な賠償金が回収できないことがあります。
(2-3)被害者の過失割合が大きい
被害者に過失があると、その過失割合に応じて賠償金額が減額されることになります。
そのため、被害者の過失割合が大きい場合には、予想していた賠償金額よりも大幅に減額された金額しか受け取れない場合があります。
被害者の過失割合を考慮せず賠償金額の見通しを立てていると、費用倒れになるかどうかの判断を誤ることになりますので、実際に受け取れる金額の見通しをたてるためにも、一度弁護士に相談しておくことをおすすめします。
過失割合について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
交通事故における弁護士費用の内訳
費用倒れが起きるのは、弁護士費用のなかに、「着手金」など成果に関係なく請求される固定料金が含まれているためです。
弁護士費用については、各弁護士、各法律事務所が独自で報酬基準を定めています。
そこで、交通事故における弁護士費用の内訳を次でご説明します。
(1)相談料
これは、法律相談にかかる費用です。
交通事故など何らかの問題で弁護士の力を借りる際には、まず弁護士に相談をして、弁護士を見極めてから依頼する流れが一般的です。
(2)着手金
着手金は、弁護士に依頼した段階で支払う費用になります。
弁護活動の結果に関係なく支払うものとなりますので、不成功に終わっても返還されないということになっています。
ただし、弁護士によっては、着手金が無料になっている場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
(3)報酬金
弁護活動が成功した場合に、事件終了の段階で支払う費用になります。
一部成功の場合は、成功度合いに応じて支払うことになります。
交通事故の損害賠償請求では、弁護士の介入によって獲得・増額できた賠償金の額から報酬金が決定されることが多いですが、その算定基準は弁護士事務所によって異なってきます(回収した全額をベースとするのか、増額分をベースとするのかなど)。
また、報酬金についても着手金と同様、事件の複雑さの程度に関する事情や弁護活動の内容によって金額に幅が出ることもあります。
(4)日当
日当は、弁護士が事務所を離れて対応する場合に支払う費用になります。
遠出して証拠を集めたり、裁判所に出廷したりするときに支払う必要が出てきます。
この費用は、移動にかかる時間や距離に応じて金額が異なってきます。裁判所に出廷せず、事務所で電話やオンライン会議で裁判所の期日に対応することがあり、別途その費用について取り決めのある事務所もあります。
(5)実費
切手代、郵送費、通信費、文書発行費、収入印紙代、その他手数料など、事務的な手続きにかかる費用になります。
どの程度の費用がかかるのかは、弁護活動の内容によって異なってきます。
費用倒れを防ぎつつ、弁護士のサポートを受けるためのポイント
交通事故の被害者が、費用倒れを回避しつつ弁護士のサポートを受けるためのポイントを、次で紹介します。
(1)弁護士費用特約を利用する
自動車保険の弁護士特約を利用することで、一定の補償金額の限度で保険会社が弁護士費用を支払ってくれるため、費用倒れを防げるケースが少なくありません。
自動車保険以外にも、医療保険や火災保険、バイク保険、個人賠償責任保険などに弁護士費用特約がついていることがあり、これらの保険についた弁護士費用特約の補償範囲に自動車事故にかかる弁護士費用が含まれることもあります。
ここでポイントとなるのが、「弁護士費用特約」は自身名義で弁護士費用特約に加入していなくとも、弁護士費用特約を利用できる場合がある、という点です。
- 配偶者
- 同居の親族
- ご自身が未婚の場合、別居の両親
- 被害事故に遭った車両の所有者
のいずれかが任意保険に弁護士費用特約をつけていれば、被害者自身も弁護士費用特約の利用が可能であることが通常です。しかし、弁護士費用特約が利用できるのに、そのことに気づいていない人が多いようです。
自分が弁護士費用特約を利用できるのかどうか、利用の条件などを保険会社に確認しておくとよいでしょう。
(2)なるべく早期に弁護士に相談する
損害賠償を受けるには、まず、通院記録や診断書、交通事故証明書、収入を証明する書面など、損害の根拠となるものをしっかりとそろえる必要があります。
早めに弁護士に相談することで、どういった書類などを取得・保管しておくべきか、という点について、早い段階からアドバイスを受けられることになります。
その結果、適正な額の賠償を受けられる可能性が高まり、費用倒れのリスクも低くできます。
(3)交通事故の対応実績が豊富な弁護士に依頼する
弁護士や法律事務所には、それぞれ注力している分野があります。
交通事故でしっかり損害賠償を受けるには、交通事故への対応実績が豊富な弁護士や法律事務所を選ぶことが大切です。
過去の実績をホームページに掲載している法律事務所も多いので、しっかり確認するのがおすすめです。
また、交通事故の「被害者側」に対応しているかを必ず確認するのがよいでしょう。
これは、加害者側を主なクライアントとする法律事務所もあるためです。
(4)固定費用の少ない弁護士事務所を選ぶ
相談料、着手金、日当、実費など、弁護活動が成功するかどうかに関わらず支払う必要のある、固定費用が少ない法律事務所を選ぶことも、費用倒れを防ぐために大切なポイントです。
固定費用が安い法律事務所を選ぶ際ももちろん、報酬金の算定基準をしっかり確認することが大切です。
固定費用が安ければ絶対に費用倒れにならないというわけではないからです。
(5)損をしないための制度がある弁護士事務所を選ぶ
弁護士への依頼によって加害者側の保険会社から提示された「示談金の増加額」が弁護士費用を下回ってしまった場合、その不足した分の弁護士費用をもらわないという制度をとっている弁護士もいます。
費用倒れを防ぐための制度が設けられている事務所を選ぶと安心できます。
交通事故にあったとき、弁護士に依頼するメリットは多い
次に、交通事故の被害者が弁護士に依頼することのメリットを紹介します。
(1)慰謝料を増額しやすい
交通事故の慰謝料には3つの算定基準があります。
それは、「自賠責保険の基準」「任意保険の基準」「弁護士の基準」の3つです。
自賠責保険の基準は、最低限の補償を目的に、国土交通大臣および内閣総理大臣が定めた基準になります(自動車損害賠償保障法16条の3)。
自賠責保険とは、上記の法令により、基本的に全ての自動車を運転する人に契約が義務付けられている保険で、自動車事故で他人を死傷させ、損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われます。
任意保険の基準は、各保険会社が独自に設定する基準になります。
交通事故で負ったケガの治療が終わったあと、保険会社との示談交渉が開始されることになります。
そのとき、保険会社は、自社で設定した「任意保険の基準」を使って賠償額を提示してきます。
しかし、その金額は、被害者の方が本来もらうべきものと比べて非常に低い水準の金額となってしまうことも多いようです。
弁護士の基準は、弁護士に依頼した場合や裁判になった場合に採用されるもので、これまで行われてきた交通事故の裁判の結果をもとに設定された基準です。裁判例をもとに作成されていることから、「裁判所の基準」と呼ばれることもあります。
「弁護士の基準」は、他の2つの基準に比べると、一般的に賠償額が最も高額になります。
そのため、弁護士に依頼すると賠償額が高くなる可能性が高いといえるでしょう。
慰謝料の算定基準について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(2)適切な過失割合を主張できる
交通事故の過失割合とは、発生した交通事故で生じた損害につき、加害者と被害者にそれぞれどれだけ責任(過失)があるかの割合のことをいいます。
当事者双方に過失がある事故の場合、通常は、当事者が契約している保険会社の担当者同士が話し合い、過失割合を決定することになります。
その話し合いの基準となるのは、過去の裁判例になります。
実際の事故と類似した過去の裁判例を基準として、実際の事故状況に応じて割合を修正しながら決定していきます。
先述のとおり、被害者の過失割合が大きくなれば大きいほど、被害者側の受け取れる賠償額が減額されてしまいます。
しかし、加害者側の保険会社が提示する過失割合が必ずしも正しいとは限りません。
弁護士に依頼することで、被害者側の状況や事情もきちんと考慮した、正しい過失割合を主張できることになります。
(3)弁護士による示談交渉で加害者側の態度軟化を期待できる
弁護士が示談交渉をおこなうことで、加害者側の保険会社の態度が軟化することが期待できます。
被害者本人が主張しても聞き入れてもらえなかったことを、弁護士が主張することで認められるケースもあります。
保険会社としては、裁判に持ち込まれるのを避けたいという思惑もあり、増額が認められることも少なくありません。
(4)適正な後遺障害等級の認定を受けやすい
後遺障害が残った場合には後遺障害の等級申請をおこなうことになりますが、そもそも認定されなかったり、低い等級の後遺障害と認定されてしまったりすることもあります。
後遺障害の認定の有無、そして等級によって、保険会社から得られる賠償額が異なってきますので、適正な後遺障害等級の認定を受けることはとても重要です。
交通事故の対応経験・知識が豊富な弁護士は、適正な後遺障害等級を得るために的確なアドバイスができます。
【まとめ】弁護士費用特約を利用できれば費用倒れを防ぐのに効果的
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- 費用倒れになる可能性があるケース
- 弁護士費用特約に未加入
- 加害者が無保険
- 被害者の過失割合が大きい
- 交通事故における弁護士費用の主な内訳
- 相談料
- 着手金
- 報酬金
- 日当
- 実費
- 費用倒れを防ぎつつ、弁護士のサポートを受けるためのポイント
- 弁護士費用特約を利用する
- なるべく早期に弁護士に相談する
- 交通事故の対応実績が豊富な弁護士に依頼する
- 相談料、着手金、日当、実費などの固定費用の少ない弁護士事務所を選ぶ
- 損をしないための制度がある弁護士事務所を選ぶ
- 交通事故を弁護士に依頼するメリット
- 慰謝料を増額しやすい
- 適切な過失割合を主張できる
- 弁護士による示談交渉で加害者側の態度軟化を期待できる
- 適正な後遺障害等級の認定を受けやすい
交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。
すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。
また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様に手出しいただく弁護士費用は原則ありません。
※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各弁護士事務所へご確認ください。
(以上につき、2024年9月時点)
交通事故の被害にあって賠償金請求のことでお悩みの場合は、交通事故の賠償金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。