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高年齢求職者給付金とは?65歳で退職したら押さえておきたい受給方法と支給額

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リーガライフラボ

内閣府の実施している調査によると、1980~2016年にかけて労働力人口に占める65歳以上の割合は増加傾向にあります。

このように65歳を迎えても「仕事をしたい」「仕事をしなければならない」人のために用意されているのが「高年齢求職者給付金」です。

今回は、どのような人がどのような手続きを経ていくらの高年齢求職者給付金を受け取れるのかなどを弁護士がお伝えします。

参考:第1章 高齢化の状況(第2節 4)|内閣府

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

高年齢求職者給付金は65歳以上の失業保険

「失業保険」とは、失業した人が経済的に安定した生活を送り、再就職を目指せるための保険です。

「高年齢求職者給付金」は、いわば65歳以上の失業保険で、雇用保険に加入している65歳以上に達した被保険者が失業したときにもらえるお金のことです。

高年齢求職者給付金の受給資格

高年齢求職者給付金を受給するには、次の3つの条件を満たしていなければなりません。

  • 離職の時点で65歳以上に達した雇用保険の被保険者であり(※)、短期雇用特例被保険者や日雇労働被保険者でない
    ※65歳の誕生日の前日に、「65歳以上に達した」ということになります。
  • 離職の日以前1年間で雇用保険に加入していた期間(賃金支払基礎日数11日以上の月)が合計6ヶ月以上であること
  • 就職する意思・能力があるにもかかわらず職業に就けない状態にあること

参考:高年齢求職者給付金を受けようとする方へ|厚生労働省

これらの条件を満たしたうえで、ハローワークで受給申請する必要があります。

2017年1月1日以降、65歳以上の人でも雇用保険に加入できるようになりました。
また、高年齢求職者給付金には年齢の上限がないため、条件を満たす限り75歳や80歳であっても受給できます。
さらに、回数の制限がないため条件を満たす限り失業するたびに受給することができます。

高年齢求職者給付金の計算方法

高年齢求職者給付金として受給できる金額(基本手当日額の日数分に相当する金額)は次の通りです。

雇用保険の被保険者期間受給できる金額
(=基本手当日額の日数に相当する金額)
1年未満30日分
1年以上50日分

(1)賃金日額と基本手当日額

基本手当日額を計算するには、まず賃金日額(1日あたりの賃金)を割り出します。

賃金日額:退職直前の6ヶ月の賃金の合計÷180日

賃金は残業代、通勤手当、役職手当といった各手当を含めた総支給額です(ただし、ボーナスなど臨時の賃金及び3ヶ月を超える期間ごとに支払われた賃金は含まれません)。
この賃金日額に所定の給付率(50~80%※)をかけて基本手当日額を算出します。

※賃金日額により給付率は異なります。

賃金日額が2746円以上5110円未満⇒給付率80%
賃金日額が5110円以上1万2580円以下⇒給付率50~80%

※基本手当日額=0.8×賃金日額-0.3×{(賃金日額-5110)/7470}×賃金日額
賃金日額が1万2580円超1万3890円以下⇒給付率50%
賃金日額が1万3890円超⇒基本手当日額は6945円
基本手当日額には上限額・下限額がそれぞれ決められています(2024年2月時点:2196~6945円)。

参考:雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和4 年8 月 1 日から~|厚生労働省

(2)高年齢求職者給付金の計算例

いくつか具体的なケースを想定して、高年齢求職者給付金の金額を計算してみましょう。
基本手当日額は、雇用保険受給資格者証に記載されているので、確認してみてください。
ハローワークで求職の申込みをして説明会に参加すると、雇用保険受給資格者証を受け取ることができます。

【例】
退職直前の半年間の賃金の合計144万円(月24万円)、雇用保険の被保険者期間8ヶ月
賃金日額:退職直前の6ヶ月の賃金の合計÷180日
=144万円÷180日
=8000円

基本手当日額=0.8×賃金日額-0.3×{(賃金日額-5110)/7470}×賃金日額
=0.8×8000円-0.3×{(8000円-5110)÷7470}×8000円
※1円未満切り捨て
=6400円-928円
=5472円

基本手当日額に相当する額の30日分受給できるので、受給額は、30日×5472円=16万4160円です。

高年齢求職者給付金を受給する方法

高年齢求職者給付金を受給するための方法を解説します。
なお、高年齢求職者給付金に所得税は課税されません。

(1)ハローワークで申請する

まずは、お住まいの地域にあるハローワークにて、受給手続きを行います。

(2)受給手続き時に必要なもの

受給手続きの際は、ハローワークに次の書類を持参してください。
ハローワークによって必要書類が異なる可能性があるため、あらかじめハローワークに確認しておくのがスムーズでしょう。

  • 離職票
  • 顔写真2枚(縦3cm×横2.5cm正面上半身のもので撮影後3ヶ月以内)
  • 給付金を受け取る金融機関指定届または本人名義の預貯金通帳
  • 印鑑(ネーム印、ゴム印、スタンプ印は不可)
  • 身分証明書(いずれか1種類)
    運転免許証
    パスポート
    住民基本台帳カード(写真付き)
    ※上記3種類のうち、いずれも持っていない場合には次のいずれか2種類を提示します。
    住民票記載事項証明書(住民票、写真のない住民基本台帳カード、印鑑証明書)
    年金手帳
    国民健康保険証または健康保険被保険者証
    身分証(地方自治体が証明するもの)
    官公庁または自治体などが発行する各種免許証
    身体障がい者手帳

参考:高年齢求職者給付金の支給を受けることができる方は|北海道ハローワーク

高年齢求職者給付金の受給日

会社都合退職か、自己都合退職かで、高年齢求職者給付金の支給対象となる日は、次のように異なります。

【受給開始が可能となる日数】※下記の待期期間・給付制限期間の経過後、更に振り込まれるまでに、通常は約1ヶ月前後かかります。

自己都合退職は失業手当(基本手当)を受給できるまで2~3ヶ月間の給付制限期間がありますので、その分、受給開始時期が遅くなります。

  • 会社都合退職:7日(待期期間)経過後

  • 自己都合退職:
    2020年9月30日までに離職→3ヶ月(給付制限期間)+7日(待期期間)経過後
    2020年10月1日以降に離職→原則2ヶ月(給付制限期間)+7日(待期期間)経過後
    例外(※)3ヶ月(給付制限期間)+7日(待期期間)経過後
    ※例外(3ヶ月+7日経過後)となるのは以下の場合です。
    • 自己の責めに帰すべき重大な理由で離職した場合(横領したことで離職した場合など)
    • 5年間で3回以上の正当な理由のない自己都合退職をした場合

次の理由で離職した場合は、「特定理由離職者」として、会社都合と同じように給付制限期間なしに受給できます(その他にも一定の要件を満たす必要があります)。

  1. 期間の定めのある雇用契約の期間が満了し、かつ、労働者が当該雇用契約の更新を希望しても、更新されないため離職した場合(当初から契約の更新をしないと明示されている場合は除く)

    「契約を更新することがある」など、雇用契約を必ず更新するとは明示されていない場合において、労働者が更新を希望したが、更新されず離職すると、これに該当します。

  2. 次のような正当な理由のある自己都合により離職した場合
    • 体力の不足、病気・ケガ等による離職
    • 妊娠、出産、育児等により離職し、受給期間延長の措置を受けた場合
    • 家庭の事情が急変したことによる離職
    • 通勤不可能又は困難となったことによる離職
    • 企業整備による人員整理等で希望退職に応じて離職した場合(特定受給資格者に該当しない場合) 等

なお、2020年2月25日以降に新型コロナウイルスの影響により、一定の事情に基づいて自己都合離職された方は、正当な理由のある自己都合離職として給付制限が適用されなくなりました(2022年2月時点)。
その他、災害等があると、特例的に、給付条件などが変更されることがありますので、最新情報にご注意ください。

どのような場合に、会社都合、自己都合となるかは、こちらをご覧ください。

失業保険で会社都合・自己都合の場合は何が違う?受給額や受給方法も解説

参考:「給付制限期間」が2か月に短縮されます|厚生労働省
参考:新型コロナウイルス感染症に伴う雇用保険求職者給付の特例のお知らせ|厚生労働省

高年齢求職者給付金と基本手当(失業手当)の違い

高年齢求職者給付金と基本手当(失業手当)の違いを解説します。

65歳を目前に自己都合退職をしようとする場合、高年齢求職者給付金と基本手当(失業手当)の違いも気になるでしょう。
結論としては、失業手当は最低でも90日分受け取ることができるため、高年齢求職者給付金よりも受け取れる金額が高くなる傾向にあります。

(1)受給時の年齢

高年齢求職者給付金は65歳以上に達した人が受け取れるのに対し、基本手当(失業手当)は65歳に達しない人が受け取れます。

(2)雇用保険の加入期間

高年齢求職者給付金を受給するには、「退職以前1年間で雇用保険に加入していた期間(賃金支払基礎日数11日以上の月)が合計6ヶ月以上であること」が必要であるのに対し、基本手当(失業手当)の加入期間は次の通りになっています。

会社都合退職、特定理由離職者:退職以前1年間で被保険者期間が6ヶ月以上
上記以外の自己都合退職:退職以前2年間で被保険者期間が12ヶ月以上

(3)受給できる金額

高年齢求職者給付金は雇用保険の加入期間に応じて基本手当日額の30~50日分受け取れるのに対し、基本手当(失業手当)は基本手当日額の90~330日分を受け取ることができます。もっとも、高年齢求職者給付金も基本手当も受給できるのは退職の翌日から1年間なので、手続きを開始した日によっては、必ずしも満額を受け取れるとは限りません。

(4)受給する方法

高年齢求職者給付金は一時金として一括支給されます。

(5)年金との併給

高年齢求職者給付金は一時金なので年金との併給が可能であるのに対し、基本手当(失業手当)は年金との併給はできません。

【まとめ】高年齢求職者給付金の仕組みや受給方法について事前に知っておきましょう

この記事のまとめは次のとおりです。

  • 高年齢求職者給付金は、65歳以上の方のための「失業保険」。
    65歳以上の被保険者が失業したときにもらえるお金。
  • 高年齢求職者給付金として受給できる金額は、基本手当日額の30日分または50日分。
  • 高年齢求職者給付金を受給するには、ハローワークに必要書類を持参して手続きを行う。
  • 高年齢求職者給付金と失業手当は、受給時の年齢や受給できる金額が異なる。

高年齢求職者給付金について、わからないことがあればハローワークなどの窓口に相談することをおすすめします。

参考:全国ハローワークの所在案内|厚生労働省

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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