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生活費をくれない夫!モラハラ&経済的DVの対処法

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リーガライフラボ

夫婦には、お互いに生活を助け合う義務があります。

仮に、離婚に関する話し合いや、裁判所での手続を行っている間であったとしても、法律上は夫婦であることに変わりはありません。
例えば別居中であっても、夫が生活費を入れてくれないといった場合には、生活費をしっかり払ってもらう権利があるのです。
そのようなときは、「婚姻費用分担請求」の手段を考えましょう。

今回の記事では次のことについて、弁護士が解説します。

  • 経済的DVの特徴
  • 生活費をくれない夫への対処法
  • 生活費をくれない夫との離婚について
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

生活費をくれないことは経済的DV

モラハラ夫の中には、妻に生活費を渡さない、お金を自由に使わせないといったケースもあります。
そもそも、モラハラとは、倫理や道徳といった意味を持つ「モラル」と、いやがらせという意味を持つ「ハラスメント」を合わせた「モラルハラスメント」を略した言葉です。
つまり、倫理や道徳に反して相手に嫌がらせを行うことをさします。

夫婦にはお互いに生活を助け合う義務があり、生活費は収入の大小などに応じて夫婦が分担する義務を負っています(民法752条)。
したがって、収入の低い側には、基本的に生活費を払ってもらう権利がありますので、生活費を入れてくれないということは経済的DVとなり得ます
この際に行うのが、「婚姻費用分担請求」というものです。

モラハラ夫の経済的DVの特徴をチェック

モラハラ夫から生活費をもらえないなどの経済的DV被害には、さまざまなケースがあります。
妻の金銭的な自由を奪い、支配するといった意図がある可能性もあります。
そもそも、DVとは、「ドメスティック・バイオレンス」という英語の「domestic violence」をカタカナで表記したものです。それが、略して「DV」と呼ばれることがあります。
「ドメスティック・バイオレンス」の用語については、明確な定義はありませんが、日本では「配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれる暴力」という意味で使用されることが多いです。
次に、「経済的DV」の具体例について説明していきます。

(1)生活費をくれない、または十分な生活費をくれない

生活費を全くくれないといったケースだけでなく、十分でない金額しか生活費をくれないといったケースもあります。

妊娠などで妻が仕事をやめて専業主婦になっても、それまでと同額の生活費しかくれないといったケースや、子供の成長などで必要な費用が増えても、生活費を増やしてくれない、というようなこともあります。

(2)家計を厳しく管理し、過度の節約を強いる

レシートや家計簿を、必要以上に細かくチェックする場合などがあります。
また、レシートと引き換えでしかお金をくれないといったケースもあります。
さらに、「もっと節約できるはず」と過度の節約を強制する場合もあります。
こういった場合には、自分のためにはお金を使いますが、家族には使わせないという傾向もあります。

(3)妻に自由にお金を使わせない

必要最低限の生活費しかもらえず、妻が自由にできるお金がないというケースです。

(4)妻に仕事を辞めさせる、働くことを許さない

妻が働きたいのに働かせない、妻の働きにくい環境を作るといったケースになります。
もともと夫の収入が少なく十分な生活費がないにもかかわらず、妻が働きに出ることを許さないというのが、一番の問題になります。

(5)「俺が働いて稼いだ金だ!」等のお金に関する暴言

直接的な行動だけでなく、「俺が養ってやっている」「俺が稼いだ金は俺のもの」「俺の金を使わせてやっている」といったお金に関する暴言を発するような場合です。

(6)その他

「勝手に高額の買い物をする」「借金を作る」「妻に借金をさせる」「自分だけ高価なものを購入し、家族には安いものを購入させる」など、多岐にわたります。

生活費をくれないモラハラ&経済的DV夫への対処法

生活費をくれない夫にできる対処法としては、まずは理由を理解し、夫婦で話し合いをおこなうことが良いでしょう。
それでも解決できない場合には、別居や離婚も視野に入れる必要が出てきます。

(1)生活費を払う義務があることを説明する

まずは、必要な生活費の金額を、家計簿などを見せて説明するようにしましょう。
この場合には、生活費は、収入の大小などに応じて夫婦が分担する義務を負っていることを説明していきます。
共働きの場合は、お互いの収入や支出を確認し合うことになります。

(2)親族や公的機関に相談する

夫婦だけで解決できない場合には、実家の両親や親族、役所の相談窓口などに相談するのがよいでしょう。

どこに相談したらいいか分からない場合は、内閣府の「DV相談ナビ」または「DV相談+(プラス)」であれば、全国どこからでも相談することができます。
生活費の請求など、根本的な解決には、弁護士に相談することをおすすめします。

参考:DV相談について│内閣府 男女共同参画局

(3)別居する

当事者双方で相談しても解決しない場合には、別居することもひとつの方法です。
別居していても、夫婦であるかぎり生活費を請求することはできますので、実家や親族のもとで生活することなどを考えてもよいでしょう。

(4)内容証明郵便で生活費を請求する

婚姻生活を営む上で通常必要とされる生活費(食費、住居費、医療費、娯楽費、交際費等)のことを、婚姻費用といいます。
別居の際に、婚姻費用の分担請求を内容証明郵便で夫に送ることになります。
内容証明郵便とは、「文書の内容」と「誰から誰あてに差し出された」を郵便局が証明してくれる制度です。
専用書式の内容証明文書を3通(受取人へ送付するもの、差出人が保存するもの、郵便局が保存するもの)用意し、内容証明を差し出すことができる郵便局の窓口やインターネットで申し込むことになります。
婚姻費用の支払い義務は「請求したとき」からとされているので、別居前に準備しておき、別居後すぐに婚姻費用分担請求をした方がよいでしょう。

また、一般的に「請求したとき」とは「婚姻費用の分担請求調停の申立て時」とされています。

したがって、内容証明郵便を送っても話し合いがうまくいかない場合には、すみやかに次で述べる婚姻費用分担調停を申し立てることをおすすめします。

(5)家庭裁判所へ婚姻費用分担調停を申立てる

家庭裁判所に、婚姻費用分担の調停・審判を申立てるという方法もあります。
これは、夫婦の間で、夫婦や未成熟子の生活費など、婚姻生活を維持するために必要な費用(婚姻費用)の分担について、当事者間の話合いがまとまらない場合や話合いができない場合に、家庭裁判所にこれを定める調停又は審判の申立てをすることができるという制度です。
調停手続では、当事者双方から事情を聴いたり、必要に応じて資料等を提出してもらって事情をよく把握し、解決案を提示したり、解決のために必要な助言をするなどして、合意を目指して話合いを進めることになります。
なお、話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には、審判手続が開始され、裁判官が必要な審理を行った上、審判をすることになります。

参考:婚姻費用の分担請求調停│裁判所 – Courts in Japan

婚姻費用の分担請求調停について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

婚姻費用調停で聞かれる5つのこととは?事例も交えて弁護士が解説

生活費をくれない夫との離婚を考えたときは

生活費をくれない夫との離婚を考えたときには、まずは協議離婚で解決を目指すのがよいでしょう。
協議離婚で合意できなかった場合は、調停離婚や裁判離婚の手続きが必要となってきます。
離婚に関する話し合いや、裁判所での手続きの間でも、法律上は夫婦であることに変わりなく、夫婦にはお互いに生活を助け合う義務があるため、その間も婚姻費用を払ってもらう権利があります。

(1)夫婦が話し合いをし、離婚する旨の合意が成立する場合は協議離婚

当事者同士が離婚することに合意すれば、理由にかかわらず離婚することができます。
協議離婚の場合も、財産分与・慰謝料・離婚後の養育費・別居期間等について十分に話し合いをし、決定しておく必要があります。
合意の内容は書面にしておき、離婚後に金銭の支払いを受ける場合は、支払ってくれなくなる場合に備えて、公正証書を作成するとよいでしょう。
公正証書とは、公証人という公務員が作成する公文書で、執行力を有しています。

公正証書について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

公正証書とは?作成するメリットや種類・作る手順を弁護士が詳しく解説

(2)協議離婚できなかった場合は「調停離婚」や「裁判離婚」

夫婦間で話し合いをしても離婚に合意できない場合や、相手が話し合いそのものにも応じない場合には、調停による離婚、すなわち「調停離婚」をめざすことになります。
その際、いわゆる離婚調停を申し立てることになりますが、同時に婚姻費用分担請求調停を申し立て、離婚と婚姻費用について一緒に話し合うことも可能です。

そして、調停離婚できなかった場合には、「裁判離婚」をめざすことになります。
この場合、裁判で離婚や慰謝料等を請求します。
裁判で離婚が認められるためには、法定離婚事由の存在が必要となるのですが、夫が生活費をくれないことは、法定離婚事由の1つである「悪意の遺棄」(民法770号1項2号)にあたる可能性があります

悪意の遺棄について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

弁護士に相談して別居中の生活費(婚姻費用)の支払いを認めさせた事例

「婚姻費用の支払に応じなかった夫も、弁護士が介入することで解決!」といった事例がありますので、次のウェブサイトをご覧いただければと思います。

【まとめ】生活費をくれないモラハラ夫には婚姻費用を請求できる可能性がある!お悩みの方は弁護士にご相談を

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 生活費をくれないことは経済的DVとなり得る
生活費をくれない夫への対処法
  1. 生活費を払う義務があることを説明する
  2. 親族や専門機関に相談する
  3. 別居する
  4. 内容証明郵便で生活費を請求する
  5. 家庭裁判所へ婚姻費用分担調停を申立てる
  • 夫が生活費をくれないことは「悪意の遺棄」にあたる可能性があり、「悪意の遺棄」は法定離婚事由の1つである
  • 協議離婚(話し合いによる離婚)ができなかった場合には「調停離婚」や「裁判離婚」となる

夫婦にはお互いに生活を助け合う義務があり、生活費は収入の大小などに応じて夫婦が分担する義務を負っています
生活費をくれない夫に対する婚姻費用請求や離婚でお悩みの方は、弁護士にご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年3月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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