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【弁護士監修】ペアローンは離婚したらどうなる?対処法や注意点を解説

作成日:
川手雅

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

人生で最も高い買い物であるマイホームのために、多くの人が住宅ローンを利用します。しかし、収入の関係で1人では審査が通らず、夫婦でペアローンを組むことがあります。

ペアローンは夫婦それぞれで住宅ローン控除を受けられたり、団信信用生命保険に加入できたりメリットもあり、多くの人が利用している制度です。

しかし、ペアローンを組んで家を購入すると、「離婚が大変」という話を聞いたことがあるでしょう。

実際、ペアローンを組んで離婚をする場合、ペアローンの解消はとても大変です。

この記事では、離婚でペアローンを解消する方法について説明します。
この記事を読めば、ペアローンの解消の大変さやあなたに合ったペアローンの解消方法が見つけられるでしょう。

この記事を読んでわかること

  • 離婚でペアローンを解消する方法(ローンの1本化、住宅の売却)
  • ペアローンを離婚後もそのまましておくとリスクがある

ここを押さえればOK!

離婚時には共有財産を分ける必要がありますが、ペアローンの解消は簡単ではありません。

1. 住宅ローンを一本化する
o どちらかが住宅ローンを引き受ける:一方がもう一方のローンを引き受ける方法。ただし、金融機関の承諾が必要で、収入や資産が高い場合に限られます。
o 住宅ローンの借り換えを行う:新たにローンを借りて既存のローンを返済する方法。借り換え先の銀行の審査が必要です。

2. 住宅を売却する
o アンダーローンの場合:住宅の査定金額がローン残額を上回る場合、売却してローンを返済し、利益を分けます。
o オーバーローンの場合:査定金額がローン残額を下回る場合、売却してもローンが残るため、解消が難しいです。
ペアローンを組んでいる場合の離婚は弁護士に相談をしてみることをおすすめします。
弁護士に相談することで、状況に見合った解決策を提示してもらえます。
面倒な交渉や手続きを任せられ、あなたにとって有利な条件で離婚できる可能性が高まります。

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この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

ペアローンとは?

ペアローンとは、1つの物件につき、家族(夫婦や親子など)がそれぞれ契約者となってローンを組むことをいいます。

例えば、夫婦でペアローンを組んだ場合、夫と妻がそれぞれ契約者となり住宅ローンを組み、それぞれが連帯保証人となります。そして、万が一どちらかが払えなかった場合には、もう一方が保証人となって支払わなければなりません。

ペアローンを解消するための方法や注意点

夫婦が離婚をする場合には、夫婦が共有する財産を分ける必要があります。
婚姻期間中に購入した住宅も夫婦で分けるべき財産の一つです。

ただ、ペアローンを組み、離婚をする場合、ペアローンの解消は簡単ではありません。

なぜなら、離婚したからと言って、それだけでは銀行が夫妻それぞれのローンを1本化に応じてはくれないからです。ペアローンを解消するためには、次の方法をとることになります。

(1)住宅ローンを一本化する

住宅ローンの一本化には、次の2つの方法があります。

  • どちらかが住宅ローンを引き受ける
  • 住宅ローンの借り換えを行う

それぞれ見ていきましょう。

どちらか一方が住宅ローンを引き受ける

どちらか一方がもう一方の住宅ローンを引き受け、ローンを一本化する方法です。
例えば、夫が妻の借り入れたローンも引き受け、夫だけがローンを背負う形にします。

しかし、この方法はローンを借り入れた金融機関の承諾も必要となります。
ただ、この方法は金融機関としてはローンを払ってくれる人が減ることになります。そのため、承諾してもらうのは難しいでしょう。

例えば、まとまったお金を入金することを求められたり、引き受ける側に高い収入があったりしないと、ローンの引き受けの承諾をもらうのは難しいです。

住宅ローンの借り換えを行う

新たにローンを借りて、ローンを返済し、ペアローンを解消する方法です。

例えば、A銀行から夫が4000万円、妻が3000万円借りて、ペアローンを組んでいたと考えてみましょう。この場合、夫がB銀行から7000万円を借りてローンを組み、A銀行から借りたローンを返すことで、ペアローンを解消する方法です。

【借り換え前】       
A銀行
夫:4000万円
妻:3000万円

【借り換え後】
B銀行
夫:7000万円

この方法は、A銀行の承諾は不要ですが、B銀行の審査を通る必要があるので、借り換えを行う夫もしくは妻にある程度の資産や収入があることが必要になります。

どうしても家を手放したくない方は、「リースバック」を利用して、住んだまま家を売るという方法もあります。リースバックを利用すると、不動産業者に持ち家を買い取ってもらい、不動産業者に家賃を支払いながら住み続けることができます。

(2)住宅を売却する

住宅を売却することで、ペアローンを解消できる場合があります。

アンダーローンの場合

アンダーローンの場合には、住宅を売却することでペアローンの解消ができます。

アンダーローンとは、住宅の査定金額よりもローンの残額が下回ることをいいます。この場合、住宅を売却し、住宅ローンを返済することでペアローンを解消できます。

この場合、ローンを返済しても、住宅の売却で得た利益が残ります。この残った利益も夫婦で分ける財産です。売買の手数料などを差し引いた残りを2人で分割することになります。

オーバーローンの場合

オーバーローンの場合には、住宅を売却してもペアローンの解消ができません。

オーバーローンとは、住宅の査定金額よりもローンの残額が上回ることをいいます。この場合、住宅を売却しても住宅ローンが残り、ペアローンを解消することができません。

処分後の支払がわずかであり完済できる見込みなのであれば、支払いを完了する方法も選択肢もあります。しかし、残額が大きく支払が見込めない場合には、ローンの引き受けや借り換えが必要になります。

住宅ローンを組んでいる場合、銀行から住宅に抵当権がつけられていることが一般的です。そのため、住宅の売却には銀行の承諾が必要となります。しかし、オーバーローンの場合には、銀行が住宅の売却には承諾してくれないこともありますので、注意が必要です。

「ローンを払い続けることができない」という場合には、「自己破産」という方法もあります。自己破産をすると、ローンの支払いを免れることができます。

ペアローンをそのままにしておくリスクとは?

ペアローンの解消が大変だと、「離婚後もペアローンをそのままにしておきたい」と思うかもしれません。

しかし、離婚後もペアローンをそのままにしておくことには、次の3つリスクがあります。
それぞれ見ていきましょう。

(1)返済が遅れると追い出される可能性がある

例えば、妻が住宅に住み続けて、夫と妻でペアローンを組んでいる場合を考えましょう。

この場合、夫は住宅から出ているので、ローンの返済をやめてしまうおそれがあります。
夫がローンの返済をやめてしまうと、妻に未払い分の支払いが求められたりします。そして、妻も支払ができないと住宅が競売されて家から追い出されたりする可能性があります。

(2)住宅をスムーズに売却できない

ペアローンをそのままにしておくと、離婚後に住宅を売却できない可能性があります。

住宅の売却には、住宅の名義人双方の同意が必要です。
例えば、夫婦でペアローンを組み、夫婦双方が住宅の名義人となっている場合には、元配偶者の同意がない限り、住宅の売却はできません。

また、住宅の名義人であった元配偶者が亡くなった場合には、その持ち分は遺族に相続されます。そのため、元配偶者が死亡後に家を売却するには、元配偶者の遺族(相続人)に連絡を取り、売却の同意を得る必要があります。

(3)ローンの契約に違反する可能性がある

住宅ローンは、自分がその住宅に住むことを条件として、低利・長期の返済が認められていることが多いです。例えば、夫婦それぞれの名義の住宅ローンで、夫がその住宅から退去するとなると、住宅ローンの契約に違反する可能性があります。

また、住宅ローンは控除(減税)制度がありますが、この控除制度も、住宅ローンのかかる住居に居住していることが条件の一つとなっています。そのため、退去すると控除制度を受けられなくなる可能性があります。

ペアローンを組んでいる場合の離婚は弁護士に相談を

住宅ローンの残る住宅の財産分与は、金融機関や夫婦での相談が必要となります。

金融機関や夫婦での相談で解決できればいいですが、住宅以外の財産分与や親権、養育費でもめてしまったり、話し合い自体がうまくいかなかったりすることはよくあります。この場合には、離婚問題を取り扱う弁護士への相談をおすすめします。

(1)状況に見合った解決策を提示してくれる

弁護士に相談することで、ペアローンについても状況に見合った解決策を提示してくれます。

例えば、夫婦でペアローンを組んでいる場合、家を売却するのか残すのか、ローンの支払いをどうするのかなど、様々なことを夫婦で話し合い、決める必要があります。しかし、どの方法も金融機関の承諾や審査が必要になるため、簡単に決めることは難しいでしょう。

弁護士であれば、あなたの状況に見合った解決策を提示してくれ、アドバイスをもらうことができるでしょう。

(2)面倒な交渉や手続きを任せられる

離婚をする場合、夫婦が抱える問題はペアローンだけではありません。
例えば、住宅以外の財産分与や親権、養育費なども決める必要があります。

しかし、離婚に向けた話し合いを夫婦だけで行うと、感情的になってしまい、双方に大きなストレスを与えてしまうこともあります。

弁護士に依頼すれば、配偶者との交渉や面倒な手続きを任せることができ、あなたが受けるストレスを軽減することができるでしょう。さらに、調停や裁判となっても、弁護士であれば、任せることができます。

(3)有利な条件で離婚できる可能性が高まる

弁護士に依頼すれば、あなたにとって有利な条件で離婚でき、人生の再スタートをもっとも幸せな形で始めることができる可能性が高まります。

例えば、弁護士に相談せずに、離婚の手続を進めると、気づかないうちに自身が不利になることを言ってしまったり、配偶者が財産を隠しているのに気づかないまま財産分与してしまったりすることがあります。このような場合、本来受け取れるはずのお金を受けとれないなど納得のいかない結果となります。

しかし、弁護士に依頼すれば、あなたの味方となって、あなたが一番有利となる形での離婚を目指してくれます。誰にも相談できず、一人で悩んでしまう前に、一度その悩みを弁護士に相談してみてください。

早くこの苦しい生活から抜け出したいと、焦る気持ちはわかります。しかし、子供、住居など先々のことを考えると、先立つものは必要不可欠です。
少しでもあなたにとって有利な条件で離婚したいのであれば、弁護士へ相談しましょう。

【まとめ】ペアローンの解消は「一本化」OR「売却」どちらか

今回の記事のまとめは、次の通りです。

  1. 住宅ローンを一本化する
    ・どちらかが住宅ローンを引き受ける:一方がもう一方のローンを引き受ける方法。ただし、金融機関の承諾が必要で、収入や資産が高い場合に限られます。
    ・住宅ローンの借り換えを行う:新たにローンを借りて既存のローンを返済する方法。借り換え先の銀行の審査が必要です。
  2. 住宅を売却する
    ・アンダーローンの場合:住宅の査定金額がローン残額を上回る場合、売却してローンを返済し、利益を分けます。
    ・オーバーローンの場合:査定金額がローン残額を下回る場合、売却してもローンが残るため、解消が難しいです。

この記事を読んで、「離婚したいけど、ペアローンの解消できないかも…」と不安な気持ちになったかもしれません。

しかし、弁護士に相談すれば、あなたに見合った解決策を提示してくれ、あなたにとってベストな結果を目指してくれます。

アディーレ法律事務所では、離婚問題について、ご依頼の目的を全く達成できなかったような場合には、ご依頼時にお支払いいただいた基本費用などを原則として返金いたします。そのため、費用倒れになることは原則ありませんので、安心してご依頼していただけます(2024年6月時点)。

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※ なお、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。