あなたの法律のお悩み一発解決サイト
リーガライフラボ

自賠責保険の慰謝料について弁護士が解説!適正額を受け取るには?

作成日:更新日:
リーガライフラボ

自動車事故の加害者は、被害者に対して損害賠償を支払う責任を負いますが、被害者が重度の後遺障害を負ったり、死亡したりすると、損害賠償金は数千万~1億円を超えることもあります。
このような損害賠償を支払える資力のある加害者は、ほとんどいません。
そこで、被害者が最低限の補償を受けられるよう、自動車の保有者は、法律上自賠責保険に加入することが義務付けられています。
この保険を、自賠責保険といいます。
今回の記事では、

  • 自賠責保険で受け取ることのできる慰謝料の種類、
  • 自賠責保険や任意保険会社提案の金額では納得できない場合の対処法

などについて解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 村松 優子

愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。アディーレに入所後,岡﨑支店長,家事部門の統括者を経て,2018年より交通部門の統括者。また同年より、アディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが真の意味において市民にとって身近な存在となり、依頼者の方に水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、各部門の統括者らと連携・協力しながら日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

自賠責保険とはどのような保険か

自賠責保険は、自動車やバイク、原動機付自転車の保有者に、自動車損害賠償法(以下、「自賠法」といいます)上、加入が義務付けられている保険です(自賠法5条)。
加入義務は罰則で担保されており、自賠責保険に加入せずに公道を走行すると、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます(自賠法86条の3第1項)。
また、行政処分として違反点数6点が付加されますので、過去行政処分を受けたことがなくても直ちに免許停止処分となります。

自賠責保険は、交通事故による人的被害の賠償額が多額になることを考慮して、加害者に資力がなくても、交通事故の被害者が自賠責保険により最低限の補償が受けられることを目的にした保険です。
自賠責保険の補償対象は人的被害のみですので、物的被害(車の修理費など)は保障されません。

自賠責保険から受け取ることのできる慰謝料は3種類ある

交通事故の被害者は、ケガをしたことによって、痛みに苦しんだり、治療を強いられたりするなど、様々な精神的苦痛を受けます。
交通事故の慰謝料とは、被害者が交通事故でケガをしたことなどによって受けた精神的な苦痛を「損害」と考えて(民法710条)、その損害を慰藉(いしゃ)するために支払われる金銭です。
自賠責保険から受け取ることのできる慰謝料は次の3種類です。

(1)傷害慰謝料(入通院慰謝料)

交通事故でケガをして、治療のために入院や通院をしたときは、「傷害慰謝料(入通院慰謝料)」を受け取ることができます。
傷害慰謝料は、ケガの部位、ケガの程度、症状固定日(※)までの入通院期間(総治療期間)の長短などを考慮して、ある程度定額化して算定されます。
ケガの程度が重く、入通院期間が長期間にわたれば慰謝料の額は高くなり、軽傷で入通院期間が短期間であれば、慰謝料の額は低くなります。

(※)症状固定日とは、交通事故の損害賠償にまつわる紛争を解決する実務で形成された法的な概念で、「治療を続けても症状の改善が見込めなくなった日」のことを言います。症状固定日がいつになるのかは基本的に主治医が判断して、経過診断書や後遺障害診断書に記載します。しかし、任意保険会社と症状固定日について争いが生じた場合には、最終的には裁判所が、症状固定日がいつであるのかを判断することになります。

(2)後遺症慰謝料(後遺障害慰謝料)

治療をしたけれどもケガが完治せず、後遺症が残ってしまった場合は、「傷害慰謝料」とは別に、「後遺症慰謝料」を請求できることがあります。

後遺症が残ってしまったからといって、すぐに後遺症慰謝料を受け取れるわけではありません。
交通事故による後遺症については、基本的に、自賠責保険により「後遺障害」(第1~14級まで)の等級が認定されたものについて、後遺症慰謝料の支払いがなされます。
したがって、まずは後遺障害等級認定を受けた後、認定された等級を基準として、後遺症慰謝料を請求します。
後遺障害が重いほど後遺症慰謝料の額は高額になります(第1級1150万~第14級32万円)。

(3)死亡慰謝料

交通事故により被害者が死亡した場合に、本人と一定の遺族は死亡慰謝料を請求することができます。

賠責保険から受け取ることのできる慰謝料の算定方法・相場

自賠責保険の傷害慰謝料(入通院慰謝料)、後遺障害慰謝料及び死亡慰謝料について、算定方法と相場(基準額)を紹介します。

(1)傷害慰謝料(入通院慰謝料)

自賠責保険の入通院慰謝料は、1日4300円と決まっており(2020年4月1日以降に発生した交通事故。それ以前は1日4200円)、基本的な計算方法は、4300円×通院日数です。
通院日数は、被害者のケガの態様、実通院日数などの事情を考慮して計算します。
通常は、実通院日数(実際に通院した日数)×2と、総治療期間(治療を開始した日から治療を終えた日までの総日数)の少ない方を通院日数として算定します。

仮に、総治療期間=6ヶ月、実通院日数=70日間だとすると、180日と70日間×2=140日の少ない方が通院日数として採用されます。この場合の入通院慰謝料の計算は、次のようになります。
4300円×140日=60万2000円

ただし、自賠責保険には受け取ることのできる保険金額(慰謝料のほか、治療費、休業損害などすべての合計)の上限があり、傷害の場合には、120万円を超えて受け取ることはできません。不足分については、加害者に直接請求することができますが、加害者が任意保険に加入していれば、通常は任意保険会社に請求することになります。

(2)後遺障害慰謝料

後遺障慰謝料は、等級によって次のように基準額が決まっているため、入通院慰謝料のように計算する必要はありません。

等級自賠責保険の後遺障害慰謝料
第1級1150万円(1350万円※)
第2級998万円(1168万円※)
第3級861万円(1005万円※)
第4級737万円
第5級618万円
第6級512万円
第7級419万円
第8級331万円
第9級249万円
第10級190万円
第11級136万円
第12級94万円
第13級57万円
第14級32万円

※被害者に被扶養者がいる場合

ただし、自賠責保険には受け取ることのできる保険金額(慰謝料のほか、逸失利益、介護費などすべての合計)の上限があり、後遺障害の場合は、等級別に限度額が定められおり、最大で4000万円です。
不足分の損害については、加害者に直接請求することができますが、加害者が任意保険に加入していれば、通常は任意保険会社に請求することになります。

後遺障害慰謝料について詳しくはこちらの記事もご確認ください。

交通事故における慰謝料の相場や計算方法、請求手順について詳しく解説

(3)死亡慰謝料

死亡慰謝料は、次のように基準額が決まっています。

  • 被害者本人の慰謝料 400万円
  • 遺族の慰謝料

請求権者1人の場合 550万円
請求権者が2人の場合 650万円
3人以上の場合 750万円
※被害者に被扶養者がいる場合 上記の額に各200万円加算

例えば、被害者に配偶者と子供2人(幼児)がいた場合の死亡慰謝料を計算してみましょう。
400万円(本人の慰謝料)+750万円(遺族の慰謝料・請求権者は3人以上)+200万円(被扶養者あり)=1350万円
となります。
ただし、自賠責保険には受け取ることのできる保険金額(慰謝料のほか、逸失利益、葬儀費用などすべての合計)の上限があり、被害者死亡の場合は、3000万円となっています。
不足分の損害については、加害者に直接請求することができますが、加害者が任意保険に加入していれば、通常は任意保険会社に請求することになります。

交通事故の後遺症慰謝料について詳しくはこちらの記事もご確認ください。

交通事故における慰謝料の相場や計算方法、請求手順について詳しく解説

自賠責保険の慰謝料を請求する方法

自賠責保険に慰謝料を含む損害賠償を請求する方法にはいくつかありますので、紹介します。

(1)一括払い

加害者は、多くの場合自賠責保険の他に任意保険にも加入しています。
自賠責保険の補償だけでは、被害者が被った損害すべてがカバーされない場合には、不足分について、加害者の加入する任意保険会社に対して支払いを請求することができます。
しかしながら、通常は、自賠責に保険にまず請求し、足りない部分について任意保険会社に請求するという手順を踏まず、任意保険会社が一括して損害賠償について話し合う窓口となり、示談成立後、任意保険会社から賠償金を受け取ることになります。
これを、「一括払い」と言っています。

被害者にとっては、話し合うべき窓口が一つとなり、まとめて賠償金を受け取ることができるというメリットがあります。
一方で、示談成立後に損害賠償金を受け取ることになりますので、加害者側と賠償金額に争いがあるなどして示談が成立しないと、被害回復が遅くなるというデメリットがあります。

示談交渉が長引きそうなときは、一括払いではなく、先に自賠責保険に請求し、一部でも被害回復を受けることをお勧めします。

(2)被害者請求

加害者加入の自賠責保険に対して、被害者自身が、慰謝料を含む損害賠償について保険金を支払うよう請求することができます。
これを、「被害者請求」といいます。
加害者が、自主的に被害者に対して賠償金を支払わない場合には、加害者の対応を待つ必要はなく、被害者が自分で直接、加害者加入の自賠責保険に対して支払いを請求することができます。

(3)加害者請求

加害者が、直接被害者に慰謝料などの損害賠償を支払った場合、加害者は自身が加入する自賠責保険に対して、支払った額を限度として保険金の支払いを請求することができます。
これを、「加害者請求」といいます。

(4)加害者が判明しない場合は?

ひき逃げの被害に遭った場合、警察の捜査によっても加害者が特定できないケースもあります。
加害者が特定できないと、加害者加入の自賠責保険も不明ですので、自賠責保険から補償を受けることはできません。
そこで、このような場合には、政府補償事業の利用により被害回復を目指すことになります。
詳しくはこちらの記事もご確認ください

ひき逃げの被害者が使える保険を解説!加害者不明でも諦めないで!

自賠責保険・任意保険の賠償額に納得できない!弁護士に相談するべき?

被害者が受けた損害について、自賠責保険や任意保険から受け取ることのできる賠償金が、その損害をカバーしてくれるのであればよいのですが、被害者が不十分だと感じることは少なくありません。
そのような場合には、任意保険会社との示談成立を急ぐ必要はありません。示談を成立させる前に、一度弁護士に損害賠償金の増額可能性の有無について相談することをお勧めします。

(1)弁護士に相談すると慰謝料などが増額できる可能性が高い

慰謝料などの損害賠償の算定基準には、次の3つがあります。

  • 自賠責の基準
  • 任意保険の基準
  • 弁護士の基準

通常、弁護士の基準で算定することが被害者にとって一番有利となりますが、自賠責保険が弁護士の基準の支払いに応じることはありません。また、任意保険会社も、被害者本人が弁護士の基準で交渉しても、応じないことがほとんどです。
弁護士が被害者の代理人として、裁判にすることも辞さない姿勢で説得的に弁護士の基準が妥当であると交渉することで、任意保険会社との示談において、弁護士の基準に近づく形で慰謝料などの損害賠償金が増額する可能性があります。

(2)弁護士費用が心配なときは?

弁護士に依頼すると、弁護士費用がかかります。
しかしながら、被害者が「弁護士費用特約」に加入していれば、保険会社が弁護士費用を負担してくれますので、実質的な弁護士費用の負担なく弁護士に依頼することができます。弁護士費用の上限はありますが(通常は300万円)、300万円を超えることは稀ですし、弁護士費用が300万円を超えるような場合には死亡事故など重大な結果が発生しているケースだと考えられますので、弁護士費用を負担したとしても増額できる割合の方が高いことがほとんどです。
まずは、自身が加入している保険に弁護士費用特約の付帯がないか確認してください。
また、自身は保険に加入していなくても、配偶者や同居の親族、別居の両親(自身が未婚に限る)、事故車両の所有者が弁護士費用特約の付帯する任意保険に加入していれば、その弁護士費用特約を利用できる可能性があります。

弁護士費用特約が利用できない場合であっても、相談料がかからず、報酬について成功報酬制(最終的に受け取る示談金額から弁護士費用を支払う)を採用している法律事務所に依頼すれば、弁護士費用で赤字になったり、経済的に苦しいのに示談成立前に弁護士費用を支払ったりする必要はありませんので、安心です。

【まとめ】適正額かどうか疑問に思ったら弁護士への相談がお勧め

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 自賠責保険は交通事故の被害者が最低限の補償を受けられることを目的としたもので、車両保有者に加入が義務付けられている。
  • 自賠責保険の賠償額や、加害者加入の任意保険会社が提案する賠償額に納得できない場合には、示談の成立を急ぐ必要はない。
  • 示談成立前に、慰謝料などの損害賠償額について、増額可能性の有無などを弁護士に相談する。

アディーレ法律事務所では、交通事故の被害に遭った方の損害賠償請求についてご相談を承っております。

自賠責保険や任意保険会社提案の損害賠償についてお悩みの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。

交通事故に関するメリット満載

弁護士による交通事故のご相談は何度でも無料

朝9時〜夜10時
土日祝OK
まずは電話で無料相談 0120-250-742
メールでお問い合わせ
ご来所不要

お電話やオンラインでの法律相談を実施しています