お電話では土日祝日も休まず朝9時~夜10時まで(Webでは24時間対応)法律相談のご予約を受付けています。 万全な管理体制でプライバシーを厳守していますので、安心してお問い合わせください。

交通事故の実況見分とは?立会いの注意点や納得いかない時の対処法も解説

作成日:更新日:
リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「交通事故の被害にあって、警察から『実況見分に立ち会って欲しい』と言われたけど…。実況見分の立会いってどんなことに注意したら良いの?」

実況見分とは、警察官が捜査の一環として、事故現場の状況などを調べることです。例えば、交通事故が起きた場合に、加害者や被害者の、どこで相手を発見したのか、どこでブレーキを掛けたのか、どこで衝突したのかなどの事故の説明に従い、衝突した地点やブレーキを掛けた地点を特定したり、その距離を計測したり、現場の写真を撮影して走行車両から道路をどのように見通せるのか確認したりします。

実況見分には、可能な限り立ち会うことをお勧めします。

なぜなら、のちのち、加害者やその保険会社との間で過失割合などが争いになる場合など、実況見分調書が重要な証拠となるからです。実況見分に立ち会う際には、事故当時の状況をよく思い出して加害者に一方的に有利な内容が記載されてしまわないように気を付けてください。

今回の記事では、次の内容について弁護士がご説明します。

  • 実況見分調書に記載される内容
  • 実況見分に立ち会う際に注意するポイント3つ
  • 実況見分調書の内容に納得ができない場合の対処法
この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

弁護士による交通事故のご相談は何度でも無料

費用倒れの不安を解消!「損はさせない保証」あり

ご相談・ご依頼は、安心の全国対応。国内65拠点以上(※1)

交通事故における実況見分とは?

実況見分とは警察官が捜査の一環として、聴覚や視覚など五官の作用を使って事故現場の状況を調べることです(刑事訴訟法197条1項本文)。

ドラマ等で「現場検証」と聞いたことがあるかもしれません。
法律上、「検証」は裁判所の発付する令状(検証許可状)に基づく強制捜査で、「実況見分」は令状が不要な任意捜査という違いはありますが、実施する内容はほとんど同じです。
実況見分は、現場検証をイメージするとわかりやすいでしょう。

実況見分に基づき「実況見分調書」が作成される

警察官が事故現場の状況を調べて、認識した情報を記載した書面を実況見分調書といいます
実況見分調書は、本来刑事事件のために作成されるものです。
もっとも、実況見分調書は、刑事事件だけではなく、示談交渉など民事事件においても重要な証拠となります。

刑事事件のために作成した実況見分調書を、民事事件でも証拠にすることができるんですか?

そうなのです。警察が作成した実況見分調書については、被害者側にて開示を請求したり、謄写したりできる可能性があります。謄写した実況見分調書は、そのまま民事事件で証拠として使うことができます。

それでは、実況見分が行われるケースや実況見分調書に記載してある内容について詳しく解説します。

(1)実況見分は基本的に人身事故発生時に行われる

誰かがけがをしたり死亡したという人身事故では、刑事事件として加害者が過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪に問われる可能性があるため、警察は実況見分などの捜査をします。

これに対して、不注意で物を壊しても他人の家屋を壊したような場合を除き犯罪にはならないので、物損事故が刑事事件として扱われることはあまりありません。
そのため、物損事故の場合には、物件事故報告書など簡単な書面が作成されるにとどまり、通常は実況見分までは実施されません。

物損事故の場合、実況見分は実施されないんですか?

全く実施されないわけではありません。
物損事故でも、例えば加害者がその場から逃げてしまう「当て逃げ」などは、道路交通法上の罰則のある刑事事件ですので、実況見分が実施されることもあります。

交通事故が起こると、時折加害者側から被害者がけがをしているにもかかわらず「物損事故として処理して欲しい」と持ち掛けられることがあります。

今ご説明したとおり、物損事故として扱われると、基本的には実況見分は実施されません。

ですが、実況見分調書は、のちのち加害者側と過失割合が争いになる場合などに重要な証拠となる可能性があります。安易に加害者の提案に乗らず、けがをしている場合には、必ずそのことを警察に伝えて人身事故として扱ってもらいましょう。

人身事故として扱われるべき理由などについて詳しくはこちらの記事もご参照ください。

交通事故の人身切替えは必要?人身事故にすべき3つの理由と切替方法

(2)実況見分調書の記載内容

実況見分調書には、次のようなことが記載されます。

  • 実況見分を行った日時
  • 実況見分に立ち会った人の氏名
  • 事故の起きた場所
  • 事故時の天候
  • 事故時の路面の状態(路面が乾燥しているか、交通規制はどうか等)
  • 事故現場の道路状況(道路に勾配があるか スリップ痕があるか、障害物はあるか等)
  • 運転車両の状況
  • 事故発生時の状況(最初に相手を発見した地点、ハンドルを切った地点、ブレーキをかけた地点、衝突した地点、転倒した地点等)

実況見分は基本的に被害者・加害者が立ち会う

実況見分には、基本的に被害者、加害者がともに立ち会います。もっとも、被害者、加害者が1人の警察官から同時に話を聞かれるケースは少ないでしょう。

口論になるのを避けるために、少し離れた場所で話を聞かれるのが通例です。交通事故から時間が経ってしまうと、事故現場の状況が変わってしまうため、実況見分は事故直後に実施されることが多いです。

ただし、被害者がけがをして救急車で病院に運ばれたケースのように、事故現場に被害者がいないこともあります。このような場合には、加害者に立ち会わせて実況見分が行われます。

その場合には、警察官が加害者の話を聞き、残された現場の状況・目撃者の証言から得た情報を記載するので、被害者の認識と異なる内容が実況見分調書に記載される可能性があります。

事故直後に救急搬送されて、実況見分には立ち会えませんでした。
もしも被害者である私の認識と違う実況見分調書ができていたら、どうしたら良いですか?

後日、被害者立会いの上で実況見分が実施される場合には、あなたの記憶に従って警察に事故の状況などを説明してください。
被害者立会いの実況見分を改めて実施しない場合であっても、警察から「供述調書」の作成を求められた際には、実況見分調書のうち、あなたの記憶と違う点をしっかりと説明し、調書に記載してもらいます。

「供述調書」について詳しくはこちらの記事もご参照ください。

交通事故で警察が作成する調書とは?実況見分と調書の注意点

実況見分に立ち会ううえで注意するべき3つのポイント

実況見分に立ち会ううえで押さえておきたい3つのポイントをお伝えします。

(1)曖昧に答えない・記憶どおりに正直に答える

事故のショックから、事故当時の記憶が曖昧になっているかもしれません

特に、交通事故は一瞬の出来事です。加害者の車両に気が付いた次の瞬間にはぶつかっていた、と言うことも少なくありませんから、事細かに事情を聞かれても答えられない、ということもあるでしょう。

ですが、そのような場合であっても、実況見分が始まったらあなたが記憶していることを具体的にはっきり伝えます。

警察官から「こうではなかったですか」、「加害者はこう言っています」などと言われても、もしもあなたの記憶と違うのであれば、違うと言いましょう。実況見分調書が重要な証拠となることを忘れないでください。

警察が来る前に、交通事故の相手と話をする機会があるでしょう。しかし、なかなか冷静に話し合うことは難しいでしょうから、なるべく距離を置いておきたいところです。相手との会話は最低限に留めましょう。相手と話をするとしても、相手の言い分に流されないように注意してください。

(2)感情的にならない・冷静に対応する

事故直後は感情が高ぶって冷静になれないことも多いです。
しかし、感情的になると正確に伝わらない可能性があるので、冷静に対応しましょう。
例えば、加害者が事故の状況について、あなたの認識と違うことを言っていると思うことがあるかもしれません。

ですが、実況見分は、まずは交通事故の現場の状況などを客観的に調べるもので、加害者の言っている内容が本当なのかどうか、その場で詳細に確認するものではありません。あくまでも加害者や事故に対する感情とは切り離して考え、あなたはあなたの認識する事故の状況を警察に説明しなくてはいけません。

加害者に対する怒りなどは、供述調書の中で存分に訴えましょう。

(3)証拠になるものを確保する

交通事故の状況を客観的に示す証拠として有用なのがドライブレコーダーです。自車にドライブレコーダーを取り付けていた場合には、実況見分に先立って、ドライブレコーダーの映像を警察に提出しましょう。

相手の車にドライブレコーダーが取り付けられているかも確認しておいてください。相手がなぜかドライブレコーダーの映像を提出しない場合には、交通事故の原因は自分にあると思っているにもかかわらずそれを隠そうとしている可能性があります。

そのほか、中立的な立場から事故について話してくれる目撃者を確保すること、事故現場や事故車両を自分のカメラで撮影しておくことも大切です

警察が写真をたくさん撮っていたとしても、全ての写真が実況見分調書に使われるわけではありません。後からこんな写真があれば良かった、と後悔することのないように、スマホのカメラなどで撮影しておくことをお勧めします。事故現場や事故車両の写真が、後々、加害者やその保険会社に賠償を請求する際に役に立つこともあります。

実況見分調書の内容に納得できない場合の対処法

事故直後、病院に緊急搬送されて立ち会えなかった場合など仕上がった実況見分調書の内容に納得できないことがあるかもしれません。

しかし、警察に実況見分のやり直しを求めても応じてもらえないことがほとんどでしょう。そこで、実況見分調書の内容は信用できないと主張して、過失割合を争っていくことになります。

実況見分調書の内容に納得できない場合の対処法をお伝えします。

(1)弁護士に相談する

加害者の話に基づいて実況見分調書が作成され被害者やその遺族が実況見分調書の内容に納得いかない場合には、専門知識の豊富な弁護士に相談することをおすすめします。

過失割合については、専門的な知識や経験がないと、その割合が適切かどうかの判断が難しいです。

ですが、被害者の過失が1割認められると、その分、受け取れる賠償額が1割分減額されてしまいますので、不当な過失割合を割り当てられないことはとても重要です。

(2)自分の主張を供述調書や陳述書として形にする

警察は、必要に応じて実況見分調書と別に当事者の主張をまとめた供述調書を作成します。供述調書は、警察からの質問に答えた内容を一人称で記載したものです。

もし自分の伝えたい内容と違う内容が記載されていたら、警察に訂正を申し入れましょう。さらに、実況見分調書の納得できない部分を説明して調書に残してもらってください。

「何となくニュアンスが違うような気がするけれど、もう警察が作ってくれたから…」などと警察に遠慮して訂正を控えることは得策ではありません。調書の内容に違和感がある時は、必ず訂正を求め、納得できる内容でないなら署名押印を拒否しましょう。

民事裁判になったときには、自分の主張を陳述書として弁護士にまとめてもらい、提出することになります。

【まとめ】実況見分とは、警察官が捜査の一環として、事故現場の状況などを調べること

今回の記事のまとめは、次のとおりです。

  • 交通事故が起こった際、刑事事件の捜査のために、警察が実況見分を実施し、事故現場の状況などを調べた上で実況見分調書を作成する。
  • 実況見分調書は、後に加害者やその保険会社との間で、事故の過失割合について意見が食い違った時などに重要な証拠となる。
  • 実況見分に立ち会う際の注意点は次の3つ。
    1. 曖昧に答えない・記憶どおりに正直に答える
    2. 感情的にならない・冷静に対応する
    3. 証拠となるものを確保する
  • 実況見分調書の内容に納得できない場合には、弁護士に相談したり、警察の作成する「供述調書」の中で訂正を求める必要がある。

交通事故の被害にあってけがをしたという時、加害者が任意保険に加入している場合、実際には加害者の保険会社と示談交渉をすることになるでしょう。

示談交渉をする際、まずは保険会社から示談金の提示があるのが通常ですが、その際、ご自身の過失割合が思ったよりも高いと感じることがあるでしょう。保険会社に過失割合の根拠を説明されても、釈然としない…そんなことは珍しくありません。

ですが、保険会社の提示する過失割合は、あくまでも保険会社の考える過失割合であって、それが絶対に正しいわけではありません。今回の記事でご紹介したとおり、弁護士において実況見分調書などの刑事記録を取り寄せて検討した結果、過失割合を修正できることも決して少なくありません。

被害者側の過失割合は、そのまま受け取れる賠償額に影響します。1割分の過失は、1割分の賠償額の減額です。

あなたが交通事故によって受けた損害を不当に減額されることは、あってはならないことです。保険会社の提示する示談金額に納得できない、過失割合がおかしいと思う、そんな方は、適正な賠償金を受け取るためにも、弁護士に相談されることをお勧めします。

交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。

すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという完全成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。

また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様に手出しいただく弁護士費用は原則ありません。

※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。

実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各法律事務所へご確認ください。

(以上につき、2022年10月時点)

交通事故の被害にあって賠償金請求のことでお悩みの場合は、交通事故の賠償金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。

交通事故に関するメリット満載

弁護士による交通事故のご相談は何度でも無料

朝9時〜夜10時
土日祝OK
まずは電話で無料相談 0120-250-742
メールでお問い合わせ
ご来所不要

お電話やオンラインでの法律相談を実施しています