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逸失利益とは?計算方法や慰謝料・休業損害との違いを弁護士が解説

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リーガライフラボ

交通事故の被害者は、後遺障害が残った場合や亡くなられた場合に、そのために将来仕事ができずに本来得られたはずの収入を得られなくなってしまうことがあります。

この場合、被害者は、減ってしまった収入についても加害者に対して損害賠償請求することができます。これを「逸失利益」といいます。

逸失利益は、将来にわたって得られた収入を換算することになりますので、収入が高額だったり、亡くなられた方が若い方だったりすると、非常に高額になることもあります。

逸失利益や逸失利益の計算方法をしっておくことで、知らず知らずのうちに損してしまうことを防ぐことができます。

この記事では、次のことについて弁護士がくわしく解説します。

  • 逸失利益の計算方法とは
  • 逸失利益を受けとるために必要な後遺障害等級の認定とは
  • 逸失利益と慰謝料・休業損害との違いとは
この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

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交通事故における逸失利益とは?

交通事故によるケガが原因で後遺症が残ってしまった被害者は、例えば首が絶えず痛んだりして以前と同じようには働くことができず、事故に遭わなければ得られたはずの収入を得られなくなってしまうことがあります。

このように、後遺症のために失ってしまう将来得られたはずの収入のことを、「逸失利益」といい、損害賠償請求することができます。

また、被害者が死亡してしまった場合にも、事故に遭わなければ生存して得られたはずの収入を得られなくなったとして、「逸失利益」を損害賠償請求できます。

<コラム> 専業主婦(主夫)でも逸失利益が認められる?

専業主婦(主夫)でも逸失利益を請求することができます。

家事従事者の仕事である家事労働は、ケガのためにすることができなくなったとしても、その対価としての報酬が減るわけではありませんが、家事労働は人を雇えばお金がかかるものであり、経済的な価値があると考えられています。

そこで、専業主婦(主夫)であっても、交通事故が原因で後遺障害が残り、家事労働をできなくなった場合には、逸失利益を請求することができるのです。

【後遺症が残った場合】逸失利益の計算方法

逸失利益の計算方法は、後遺症が残った場合の逸失利益と亡くなられた場合の逸失利益とで、少し違う計算をします。

ここでは、まず後遺症が残った場合の逸失利益の計算方法について説明します。

後遺症が残った場合の逸失利益は、基礎となる事故前の収入額(「基礎収入額」)に、今後どの程度労働能力を失うのかという「労働能力喪失率」と「労働能力喪失期間」の中間利息控除のためのライプニッツ係数を掛けて計算します。

(1)基礎収入額

基礎収入額は、原則として事故前の現実の収入額(年収)を基礎とします。

【具体例】 職業別基礎収入額

職業別基礎収入額の算定方法
給与所得者事故前年の源泉徴収票の金額を基礎とします。
事業所得者前年の確定申告書の所得金額が基礎となります。
家事従事者(専業主婦(主夫)など)原則として、賃金センサスの女性労働者の全年齢平均賃金を基礎とします。男性の場合であっても、女性労働者の全年齢平均賃金を基礎とします。
大学生現在の収入はありませんが、大卒で就職できる蓋然性があるものとして、賃金センサスの大卒の男女別全年齢平均賃金が基礎となります。

※賃金センサスとは、厚生労働省が行っている賃金構造基本統計調査のことで、毎年、性別・学歴・年齢等で分類した平均賃金を公表しています。被害者の実際の基礎収入の計算が困難な場合などでは、この賃金センサスを参考に基礎収入を決めることがあります。

(2)労働能力喪失率

「労働能力喪失率」とは、後遺障害の影響で、労働能力がどれくらい失われたかを数値化し、パーセンテージで表したものです。

労働能力喪失率は、認定された後遺障害等級(第1~14級)に応じて、労働省労働基準局長通牒(昭和32年7月2日基初第551条)別表を参考に、被害者の職業、後遺症の部位、程度、事故前後の職務の状況などを総合的に考慮して判断します。

第1級100%
第2級100%
第3級100%
第4級92%
第5級79%
第6級67%
第7級56%
第8級45%
第9級35%
第10級27%
第11級20%
第12級14%
第13級9%
第14級5%

なお、後遺障害の部位・程度・仕事への影響などを総合考慮した結果によっては、上記の労働能力喪失率がそのまま認められないケースもあります。

(3)労働能力喪失期間

「労働能力喪失期間」とは、後遺障害によって働けなくなった期間のことをいいます。

労働能力喪失期間は、基本的に、症状固定日から、一般的に仕事を辞めて引退する年齢である67歳までの期間か、被害者の平均余命の2分の1の、どちらか長い方の期間となります。

労働能力喪失期間=67歳-症状固定日の年齢
        =被害者の平均余命の2分の1
⇒どちらか長い方の期間

なお、後遺障害の具体的症状や、職種、地位、能力などによって原則と異なる判断がなされることもあります。
例えば、他覚所見の無いむち打ち症の場合は、5年程度に制限されるのが一般的です。

(4)ライプニッツ係数

逸失利益については、将来年月の経過にあわせて順次発生するはずのものを、現在、一括で受け取ることになりますので、加害者は本来支払う時点まで現金を保有し利息を得られた分について損をし、逆に被害者は得をすることになります。
そこで、この不公平を修正するために用いられているのが、一括で受け取る逸失利益から、中間利息の控除をする「ライプニッツ係数」です。

民法改正により、2020年4月1日以降に発生する交通事故の損害賠償請求について、中間利息控除の利率は年3%となります(民法417条の2、722条の2)。
民法改正前は年5%でしたので、改正により中間利息控除額は減ったことになります。

ライプニッツ係数は労働能力喪失期間によって異なりますが、一部を紹介します。

<ライプニッツ係数(年金現価表)3%>

労働能力喪失年数ライプニッツ係数
1年0.9709
10年8.5302
15年11.9379
30年19.6004
50年25.7298
80年30.2008

弁護士に交渉を依頼することで逸失利益の金額を増額できる可能性があります。ここでは、保険会社の当初の提案額より増額できた解決事例を紹介いたします。

被害者後遺障害等級保険会社からの提示(逸失利益)弁護士の交渉による結果(逸失利益)増額した金額
女性・74歳・主婦
併合10級0円318万6590円318万6590円
この事例についてくわしく知りたい方はこちら
女性・37歳・主婦
併合14級0円77万435円77万435円
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男性・18歳・学生
8級相当369万円2969万8780円2600万8780円
この事例についてくわしく知りたい方はこちら

弁護士に相談することで、逸失利益など損害賠償金額が増額できる可能性があります。
被害者本人が保険会社に対し増額を求めて交渉することもできますが、保険会社が増額に応じてくれることはなかなかないでしょう。
一方、被害者に代わり弁護士が交渉する場合には、訴訟も辞さない態度で交渉するため、逸失利益などの損害賠償金を増額が期待できます。

【亡くなられた場合】逸失利益の計算方法

次に、亡くなられた場合の逸失利益の計算方法について説明します。

※「就労可能年数」は、生存していれば働けていたであろう年数のことをさし、労働能力喪失期間と同様に算出します。

亡くなられた場合の逸失利益の計算方法も基本的に後遺症による逸失利益と同じです(被害者が亡くなられた時点で働くことはできず所得が全くなくなりますので、労働能力喪失率は100%となります)。

ただ、被害者が亡くなられた場合は、生きていればかかっていたはずの生活費が不要になるという考えから、算定された逸失利益から、被害者本人が必要とした生活費相当額が控除されることになります。

ここでは、基礎収入額、ライプニッツ係数については既に説明しましたので、生活費控除率について説明します。

生活費控除率

「生活控除率」とは、被害者が生存していた場合にかかっていただろう生活費を調整するための数値です。

被害者が実際に支出を免れた生活費を厳密に把握し、計算することは困難ですので、実務では次の基準が設けられています。

参考:日弁連交通事故相談センター東京支部著『民事交通事故訴訟損害賠償算定基準』公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部

被害者の属性生活費控除率
一家の支柱(被扶養者1人以上の場合)40%
一家の支柱(被扶養者2人以上の場合)30%
女性(主婦・独身・幼児等を含む)30%
男性(独身・幼児等を含む)50%

亡くなられた被害者が年金生活者(老齢厚生年金、老齢国民年金、障害年金など。遺族年金は除く)の場合、通常は平均余命までの年金収入が逸失利益として認められますが、年金部分についての生活費控除率は上記基準よりも高くなる例が多いようです。

弁護士に交渉を依頼することで逸失利益の金額を増額できる可能性があります。ここでは、保険会社の当初の提案額より増額できた解決事例を紹介いたします。

被害者保険会社からの提示(逸失利益)弁護士の交渉による結果(逸失利益)増額した金額
女性・40歳・会社員
5031万1181円5914万8272円883万7091円
この事例についてくわしく知りたい方はこちら
女性・70歳・主婦
962万952円
1424万5184円462万4232円
この事例についてくわしく知りたい方はこちら
男性・81歳・無職
911万5843円1018万2772円106万6929円
この事例についてくわしく知りたい方はこちら

弁護士が交渉することで、逸失利益などの損害賠償金が増額できる可能性があります。
遺族が保険会社に対し増額を求めて交渉することもできますが、保険会社が応じてくれることはなかなかないでしょう。
一方、遺族に代わり弁護士が交渉する場合には、訴訟も辞さない態度で交渉するため、逸失利益などの損害賠償金を増額が期待できます。

特に、被害者が亡くなられた場合の逸失利益は、非常に高額になりやすい傾向にあり、増額分が大きくなることもあります。

弁護士に依頼すると示談交渉や裁判などを弁護士に任せることができます。示談交渉や裁判にかかる負担やストレスを軽減し、ご遺族が自分の生活を取り戻すことに集中する時間を確保することができます。

逸失利益を受け取るためには後遺障害認定が必要

後遺症による逸失利益を受け取るためには、原則、後遺症について適切な後遺障害等級の認定を受ける必要があります。

「後遺障害等級」とは、後遺障害の内容に応じて、重篤なものから順に1~14級に割り振られたものをいいます。後遺障害等級次第で、慰謝料や賠償金の金額が決められることになります。

後遺障害等級認定の手続きは、次の2通りの方法があります。

  • 加害者側の保険会社に手続きを依頼して申請してもらう方法(事前認定)
  • 自分で資料を収集して資料と共に自分で申請する方法(被害者請求)

この2つの方法の違いについてまとめると次のようになります(どちらの方法によるかは自分で選ぶことができます)。

後遺傷害等級認定に不安がある場合には、資料をきちんとチェックできる被害者請求によるべきでしょう。後遺障害等級に認定されるか否か、より上位の後遺障害等級に認定されるか否かは、後遺症に関する慰謝料や賠償金を決めるさいに、大きな影響を与え、金額が大きく変わってしまいます。

交通事故の被害者請求とは?必要書類と申請の手順を分かりやすく解説

逸失利益と休業損害・慰謝料の違い

交通事故によって被害者に生じる損害は多種多様ですが、ケガの程度や、後遺障害認定の有無などで発生する損害は異なってきます。

逸失利益と混同されがちな損害として、例えば「休業損害」と「慰謝料」がありますが、それぞれ別の内容の損害ですので、それぞれ損害が発生しているか否かを個別に検討する必要があります。

(1)逸失利益と休業損害の違い

「休業損害」とは、交通事故によるケガのため、通常通り働くことができずに収入が減少したことによる損害のことを指します。

逸失利益も休業損害も、「事故でケガをしなければ得られたはずの収入」という意味では、同じ種類の損害です。

ただ、実務では、完治又は症状固定前の収入減少については「休業損害」をいい、症状固定後の後遺障害による収入減少については「逸失利益」といい、別項目として損害賠償請求します。

(2)逸失利益と慰謝料の違い

交通事故における「慰謝料」とは、事故の被害者が受けた様々な精神的苦痛に対して認められる賠償のことをいいます。

一般的に、入通院慰謝料(傷害慰謝料)・後遺症慰謝料・死亡慰謝料の3種類があり、そのうち後遺症慰謝料は、逸失利益と同じく後遺障害認定を受けることが前提となっており、混同してしまうことがあります。
後遺症慰謝料は、残ってしまった後遺障害により受ける精神的苦痛に対する慰謝料のこといいます。
そのため、後遺障害による収入減を補償するための逸失利益とは意味が違います。

【まとめ】逸失利益とは事故のケガ(死亡)を理由に失ってしまった収入のことで、とても高額になることも

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 逸失利益の計算方法

【後遺障害による逸失利益】
後遺障害逸失利益=基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
【死亡による逸失利益】
死亡逸失利益=基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

  • 後遺障害認定の申請の手続きには、被害者請求と事前認定の2つの方法がある。後遺障害認定を有利に進めたい方は、「被害者請求」がおすすめ。
  • 完治又は症状固定前の収入減少については「休業損害」をいい、症状固定後の後遺障害による収入減少については「逸失利益」という。
  • 交通事故における慰謝料とは、事故の被害者が受けた様々な精神的苦痛に対して認められる賠償のことをいう。

逸失利益は、後遺障害が重度の場合や、被害者が亡くなられた場合には非常に高額になるケースもあります。加害者側の保険会社から提示された金額も、ある程度の金額ではありますので、適正な基準を知らなければ、「こんな程度か」と納得して示談に応じてしまうかもしれません。
しかしながら、弁護士が示談交渉を行えば、弁護士の基準を利用して逸失利益を算定しますので、当初の提案額よりも増額する可能性があります。

適切な逸失利益を受けとるためには、事前に弁護士に相談して、手続きや交渉についてアドバイスを受けるのがおすすめです。

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(以上につき、2022年9月時点)

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