「最低賃金って何?具体的にはいくらなの?」
「最低賃金」とは、時給換算でその額以上のお金を給料として支払わなければならない最低限の基準のことです。
最低賃金の具体的な額は、都道府県によって異なります。
2024年度は、インフレなどが考慮されて平均上げ幅が過去最大となりました。
この記事を読んでわかること
- 最低賃金とは何か
- 地域別の最低賃金
- 給与が最低賃金より少ない場合の対処法
中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。
最低賃金とは?
「最低賃金」とは、法令で定められた最低限支払わなくてはならない1時間あたりの賃金です。
最低賃金が適用されるかどうかには、雇用形態は関係ありません。
正社員はもちろん、パート・アルバイトの方であっても、正社員と同じ水準の最低賃金が適用されます。
最低賃金を下回る賃金で雇用契約を結んでも、その契約のうち賃金の部分は無効とされます。
この場合、労働者は最低賃金を基準とする賃金を請求することができます。
最低賃金には、地域ごとの「地域別最低賃金」と業種別の「特定最低賃金」の2種類があります。
(1)地域別最低賃金
「地域別最低賃金」とは、地域の物価や業種の特性などを考慮して、都道府県の労働局長が決定する地域別の最低賃金です。
勤務先の地域別最低賃金が適用されるので、例えば、派遣社員の方の派遣元の会社が埼玉、派遣先が東京の場合には、東京の地域別最低賃金が適用されます。
2024年10月の地域別最低賃金で、最低賃金の最も高い東京都と最低賃金の最も低い秋田県の8時間当たりの賃金を比べると、1696円もの差があります(東京都は1時間あたり1163円で計9304円、秋田県は1時間あたり951円で計7608円)。
なかなか大きな差だと感じるのではないでしょうか。
地域別最低賃金【2024年10月以降】
地域別最低賃金は、例年10月に改定されています(発効日は各都道府県によって異なります)。
最新の地域別最低賃金は、2024年10月に改定されたものです。
2024年10月以降の地域別最低賃金は、次の表のとおりです。
都道府県 | 2023年10月からの最低賃金(円) | 前年の最低賃金(円) |
---|---|---|
北海道 | 1010 | 960 |
青森 | 953 | 898 |
岩手 | 952 | 893 |
宮城 | 973 | 923 |
秋田 | 951 | 897 |
山形 | 955 | 900 |
福島 | 955 | 900 |
茨城 | 1005 | 953 |
栃木 | 1004 | 954 |
群馬 | 985 | 935 |
埼玉 | 1078 | 1028 |
千葉 | 1076 | 1026 |
東京 | 1163 | 1113 |
神奈川 | 1162 | 1112 |
新潟 | 985 | 931 |
富山 | 998 | 948 |
石川 | 984 | 933 |
福井 | 984 | 931 |
山梨 | 988 | 938 |
長野 | 998 | 948 |
岐阜 | 1001 | 950 |
静岡 | 1034 | 984 |
愛知 | 1077 | 1027 |
三重 | 1023 | 973 |
滋賀 | 1017 | 967 |
京都 | 1058 | 1008 |
大阪 | 1114 | 1064 |
兵庫 | 1052 | 1001 |
奈良 | 986 | 936 |
和歌山 | 980 | 929 |
鳥取 | 957 | 900 |
島根 | 962 | 904 |
岡山 | 982 | 932 |
広島 | 1020 | 970 |
山口 | 979 | 928 |
徳島 | 980 | 896 |
香川 | 970 | 918 |
愛媛 | 956 | 897 |
高知 | 952 | 897 |
福岡 | 992 | 941 |
佐賀 | 956 | 900 |
長崎 | 953 | 898 |
熊本 | 952 | 898 |
大分 | 954 | 899 |
宮崎 | 952 | 897 |
鹿児島 | 953 | 897 |
沖縄 | 952 | 896 |
2024年10月の最低賃金の引き上げ額は、全国平均で51円と大幅に上昇しました。
(2)特定最低賃金
「特定最低賃金」とは、鉄鋼業、各種商品小売業、自動車小売業、非鉄金属製造業など特定の職業に定められている地域別最低賃金よりも高い最低賃金です。
2024年3月時点で、全国で224件の最低賃金が定められています
給与が最低賃金より少ない場合の対処法
自分がもらっている給与が最低賃金より少ない場合の対処法について解説します。
対処法には、次のようなものがあります。
- 労働基準監督署に相談する
- 労働トラブルを扱う弁護士に相談する
(1)労働基準監督署に相談する
最低賃金額よりも低い賃金しか支払わないというのは、最低賃金法という法律に違反する行為で違法です。
もっとも、自分のもらっている賃金が最低賃金を下回っていたとしても、自分で雇い主に改善するよう言うのはなかなか難しいという方も多いでしょう。
そのような場合には、各都道府県の労働基準監督署に相談しましょう。
労働基準監督署は、企業が最低賃金法を含めた労働基準に関する法令を守っているかを監督する役割の公的機関です。
労働基準監督署に相談すると、労働基準監督署が最低賃金法に違反する企業に対し、最低賃金以上の額の賃金を支払うよう勧告をすることがあります。
これにより、企業から最低賃金と実際に支払われた賃金の差額の支払がなされる可能性があります。
(2)労働トラブルを扱う弁護士に相談する
労働者は、原則として過去3年間分の賃金について、最低賃金と実際に支払われた賃金の差額を請求することができます。
とはいえ、ご自身で交渉するのはなかなか難しいかもしれません。
そのような場合には、労働問題を扱う弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は法律と交渉の専門家であり、労働トラブルを積極的に扱っている弁護士に相談・依頼すれば、あなたに代わって会社に対して最低賃金法を守った賃金を支払うように請求してくれます。
【まとめ】最低賃金は国が定めた賃金の最低額
この記事のまとめは次のとおりです。
- 最低賃金とは、国が定めた最低限支払わなければならない1時間当たりの賃金のこと。
- 地域別最低賃金は、地域の物価などを考慮して決定される地域別の最低賃金で、例年10月に改定される(発効日は各都道府県によって異なる)。
- 特定最低賃金は、特定の職業に定められている最低賃金。
- 自分のもらっている給与が最低賃金より少ない場合には、労働基準監督署や労働問題を扱う弁護士に相談するなどの方法がある。
最低賃金に関するルールは、企業が必ず守らなければならないものです。
最低賃金を上回る賃金をもらうことは、労働者の権利です。
もし自分がもらっている賃金が最低賃金を下回っていると感じたら、労働者基準監督署や労働問題を扱う弁護士に相談しましょう。