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残業100時間は違法か?過度な残業を課せられたときの対処法も紹介

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「毎日残業続きで、ろくに寝る時間もない。もう疲れた……」

そんな方は要注意です。
働きすぎて過労死ラインに達しているかもしれません。

月の残業が100時間にも及んでいる場合には、労働基準法に違反している可能性もあります。

今回の記事では、

  • 月の残業100時間の違法性
  • 違法な残業の弊害や対処法

などについて弁護士が解説いたします。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

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月の残業100時間は労働基準法に違反

2019年4月(※)から働き方改革関連法が施行され、時間外労働と休日労働の合計時間が月100時間(以下「月の残業100時間」といいます)以上は、原則として、労働基準法違反となります。
※中小企業への適用は2020年4月~。

また、一部の業種で、月の残業100時間の規制が適用されなかったり、2024年3月末まで適用が猶予されていたります。

参考:働き方改革関連法のあらまし (改正労働基準法編)|厚生労働省

時間外労働……原則として、1日8時間、週40時間を超える労働のこと
休日労働……原則週1回の法定休日における労働のこと

労働者を月100時間を超えて残業させると、それは「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」の対象とされます(労働基準法36条6項2号、119条1号)。

残業時間の上限規制

残業時間の上限規制は、月の残業100時間のほかにも、いろいろありますので、法改正後の残業時間の上限規制の概要について解説いたします。

まず、時間外労働の上限時間は次のとおりです。

原則として月45時間・年360時間(労働基準法36条4項)

※36協定による一般条項の締結が必要です。

36協定について詳しくはこちらをご覧ください。

36協定をわかりやすく解説!締結における時間外労働の上限は何時間?

一定の臨時的な業務上の必要性がある場合は、特別条項を締結すれば、この時間外労働の上限を超えることはできますが、無制限ではありません。
特別条項を締結しても超えられない上限時間が、法律上次のとおり定められています(労働基準法36条5項)。

  • 時間外労働が年720時間以内(労働基準法36条5項前段)
  • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満(同段)
  • 時間外労働と休日労働の合計についてどの2~6ヶ月の平均(複数月平均)をとっても、全て月80時間以内(同6項3号)
  • 時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6ヶ月が限度(労働基準法36条5項後段)

また、特別条項の有無にかかわらず、次の規制もあります。

1年を通して常に、時間外労働と休日労働の合計は、次の時間以内にしないといけないこと(労働基準法36条6項2号、3号)。

  • 月100時間未満
  • どの2~6ヶ月の平均をとっても月80時間以内

さらに、特別条項の有無にかかわらず、「坑内労働その他労働基準法施行規則で定める健康上特に有害な業務」の時間外労働は、1日2時間を超えないことが必要です(労働基準法36条6項1号)。

参考:時間外労働の上限規制 わかりやすい解説|厚生労働省

働き方改革に伴う法改正前の状況

働き方改革に伴う法改正前は、原則として、時間外労働の上限が1ヶ月45時間、1年360時間という上限が告示で定められてはいましたが(平成10年労告154号)、法律による規制ではなかったため、強制力がありませんでした。
そのため、告示に定められている上限を守らなくとも、行政指導がある程度で、罰則はありませんでした。

さらに、法改正以前は、特別条項を締結することで、年6ヶ月の範囲内で、時間外労働の上限規制(一般条項)を超えて従業員を労働させることができました。

この特別条項で定めることができる時間外労働の時間には、上限がありませんでした。
そのため、事実上は制限なく時間外労働をさせることが可能な状態でした。

【改正前後の対比】

項目改正「後」改正「前」
一般条項(原則のルール)上限あり(法律)
→破ると罰則あり
上限あり(告示)
→破っても罰則なし
特別条項(臨時のルール)上限あり(法律)
→破ると罰則あり
上限なし
→事実上無制限

参考:時間外労働の上限規制 わかりやすい解説|厚生労働省

違反した場合、「30万円以下の罰金又は6ヶ月以内の懲役」が科される可能性があります。

労働時間が上限規制を超えているのではないかと思われる方は、次の記事もご参照ください。

労働時間に「時間外労働の上限規制」超過の可能性があるときの対処法

そもそも残業100時間とはどのような状況か?

月の残業100時間以上は、原則として労働基準法違反となりますが、そもそも月の残業100時間とはどのような状況なのか、解説します。

わかりやすくするため、週1回の法定休日には労働をしておらず、月30日のうち、25日労働したという例で考えてみましょう。
この場合、残業100時間を25日で割ると、平均1日4時間の時間外労働ということになります。

すなわち、この例の場合、毎日4時間以上の時間外労働をすると、月100時間以上の時間外労働をしていることになるのです。
原則として1日8時間が法定労働時間のため、月の残業100時間以上している場合、この例では、平均して「1日12時間以上×25日間」も働いている計算になります。

8~17時(内、休憩時間1時間)の勤務体系の場合、営業日に1日4時間ずつ、夜に時間外労働をすると、8~21時の間労働することになります。
職場への通勤時間も考えると、1日の自由な時間はほぼありません。
月の残業100時間以上の場合、睡眠時間もわずかといったケースもあります。

(1)月の残業100時間超えは「過労死ライン」にあたることも

一般的に、労働時間が次の時間を超えると、「過労死ライン」(※)と評価されるとされています。

  • 発症前2~6ヶ月間の時間外労働が平均月80時間を超える
    または、
  • 発症1ヶ月間の時間外労働が月100時間を超える

(※)「過労死ライン」とは法律上の用語ではありませんが、通常、「過労死等(脳血管疾患・心臓疾患による死亡等)のリスクが高い労働時間」のことをいいます。

過度な残業は身体的、精神的に多大な影響を与えるため、要注意です。

参考:過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ|厚生労働省

(2)残業100時間以上になりやすい背景

残業が月100時間以上になりやすい会社には、主に次の特徴があります。

  • 慢性的な人員不足
  • 1人あたりの仕事量が多い
  • 自分の仕事が終わっても帰りにくい雰囲気がある
  • クライアントに24時間対応する必要がある
  • 長時間労働が評価される雰囲気がある
  • 仕事の割り振りに偏りがある

上記のような特徴のある会社は要注意です。

残業100時間以上による健康への影響

2~6ヶ月間の時間外労働が平均月80時間、または、1ヶ月の時間外労働が100時間以上は「過労死ライン」ということを紹介しましたが、実際には次のよう身体的・精神的影響がありえます。

過度な労働による脳・心臓への負担

※質量ともに極めて過重な病院での業務によって内因性心臓死が生じたと認めた事例(長崎地裁令和元年5月27日)や、量的・質的に過重な業務に従事して疲労を蓄積させた上、極度に強い精神的ストレスにより致死性不整脈を発症させて心停止したと認めた事例(名古屋地裁平成19年11月30日・トヨタ自動車事件)などがあります。

うつ病などの精神病を発症するリスク

※長時間にわたる時間外労働などによって、睡眠障害や自殺念慮などの症状を発症し、その影響で薬物依存傾向から過量服薬に及んだ結果死亡した事例(東京地裁平成23年3月25日・富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ事件)

月の残業100時間以上になる場合の対処法

万が一、月の残業100時間以上を課せられてしまう会社で働いている場合の対処法は、主に次のとおりです。

1.休職・退職を検討する

2.労災保険の申請を検討する

3.「労働条件相談ほっとライン」に電話をする

4.労働基準監督署に相談する

5.弁護士に相談する

(1)休職、退職を検討する

過労死ラインに達し、違法状態になっている場合は、休職や転職活動を検討することも大切です。

休職が認められない場合は、身体的、精神的に影響がでる前に退職を検討してもよいでしょう。

休職について詳しくは、こちらをご覧ください。

休職とは?必要な手続きや手当についてくわしく解説

退職したいのに、会社がしつこく退職を引き止めるといった場合には、弁護士に退職代行サービス(※)を依頼することも検討してみましょう。
※弁護士による退職代行:退職に関する交渉などを弁護士が代わりに行うサービス

退職代行について詳しくは、こちらをご覧ください。

退職代行とは?サービスの内容や未払賃金・残業代も請求できるか解説

(2)労災保険の申請を検討する

長時間労働(月の残業100時間など)により、病気になった場合は、労災保険の申請を検討しましょう。
一定の要件を満たせば、労災保険より保険給付がなされます。

参考:労災保険給付の概要|厚生労働省

過労による労災保険の申請について詳しくは、こちらをご覧ください。

過労による労災申請をしたい!認定要件や手続きの方法を解説

(3)「労働条件相談ほっとライン」に電話する

「労働条件相談ほっとライン」は、厚生労働省委託事業であり、違法な長時間労働・賃金不払残業などの労働基準関係法令に関する問題について、専門知識を持つ相談員に、電話相談することができます。
相談は無料で、匿名でも相談に応じてもらえます。

電話番号:0120-811-610
相談時間:月~金 17~22時
     土日祝日 9~21時
     ※12月29日~1月3日を除く。

ただし、「労働条件相談ほっとライン」では、会社に対して指導等はしてもらえません。

参考:労働条件相談「ほっとライン」に相談してみよう|厚生労働省

「こころの耳電話相談」に電話してみる

「こころの耳電話相談」では、精神的な不調や、長時間労働による健康障害の防止対策などについて無料で電話相談することができます。
労働者やその家族、会社の人事労務担当者が相談の対象です。

電話番号:0120-565-455
相談時間:月曜日・火曜日 17~22時
     土曜日・日曜日 10~16時
     ※祝日、年末年始はのぞく

ただし、「こころの耳電話相談」では、医療行為にあたる内容や、法律、税務等専門的知識が必要な相談には応じてもらえません。

参考:働く人の「こころの耳電話相談」|厚生労働省

(4)労働基準監督署に相談してみる

月の残業100時間は、労働基準法に違反しているため、管轄の労働基準監督署に相談してみることも一つの方法です。

労働基準監督署では、法律に基づくアドバイスをしてくれたり、場合によっては会社に対する立ち入り調査や指導などを行ってくれることがあります。

労働基準監督署が動いてくれれば、問題の解決につながる可能性があります。

ただし、労働基準監督署には、労働者から相談を受けたからと言って、必ず、調査等の措置を取る義務はありません(東京労基局長事件(東京高裁判決昭和56年3月26日))。

労働基準監督官の数にも限りがあるからか、労働基準監督署に相談しても、なかなか調査・指導まではしてくれないことが多いのが実情です。

労働基準監督署に相談に行く際、「事業場が違法行為をしていることを示す明確な証拠」を持参すると、労働基準書に動いてもらいやすくなりますので、相談の際は証拠を持参することをおすすめします。

長時間労働を示す証拠としては、例えば次のようなものがあります。

  • タイムカード
  • タコグラフ(トラック運転手などの方)
  • 日報
  • web打刻ソフトのスクリーンショット
  • 出勤簿
    など

(5)弁護士に相談する

月の残業時間が100時間といった場合には、法律の専門家である弁護士に相談することもお勧めです。
弁護士に相談することで、長時間残業の問題の解決の他に、未払いの残業代を勝ち取れることもあります(未払いの残業代には一定の消滅時効があることに注意)。
長時間労働を理由として、慰謝料の請求ができるケースもあります。

会社を相手に個人で交渉しても、太刀打ちできないこともありますが、弁護士に相談・依頼することで、強力な味方を得ることができます。
弁護士に相談する際にも、証拠があった方が、スムーズに話が進みますので、証拠があれば持参するようにしましょう。
なお、証拠が手元になくとも、弁護士に相談は可能ですので、一人で悩まずにまずは弁護士に相談してみましょう。

残業が100時間/月に及んでいた方が弁護士に相談して残業代を獲得できた事例についてもご紹介していますのでご参照ください。

【まとめ】月の残業100時間は原則として労働基準法違反

今回の記事のまとめは、次のとおりです。

  • 2019年4月から、「働き方改革」により、時間外労働と休日労働の合計時間が月100時間以上は、原則として、労働基準法違反となる(中小企業は2020年4月~)。
  • 36協定による一般条項を締結しても、時間外労働の上限時間は原則として月45時間・年360時間。
  • 36協定による特別条項を締結しても、時間外労働は年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満などの上限がある。
  • 「働き方改革」により、36協定による一般条項及び特別条項について法律が定める上限の時間外労働時間を超えると、罰則がある。
  • 月の残業100時間(時間外労働+休日労働の合計)は「過労死ライン」に達し、身体的、精神的に悪影響がでることもある。
  • 月の残業が100時間以上に及んでいる場合には、次の方策を検討すべき。
    • 退職や休職
    • 「労働条件相談ほっとライン」、「こころの耳電話相談」などの電話相談
    • 労働基準監督署
    • 法律の専門家である弁護士
  • また、健康被害がでているようであれば、労災保険の申請を検討すべき。

時間外労働にお悩みの方は労働問題を取り扱う弁護士や労働基準監督署にご相談ください。

また、アディーレ法律事務所は、残業代請求を取り扱っています。アディーレ法律事務所は、残業代に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみを報酬をいただくという成功報酬制です。

そして、原則として、この報酬は獲得した金銭(例:残業代、示談金)からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。

※以上につき、2022年8月時点

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