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残業60時間は長い?短い?違法性や残業代の計算方法なども解説

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「今月の残業時間は60時間だった。これって長いの?」

月の残業(時間外労働)60時間は、長いと感じますか?短いと感じますか?
実は、平均的な残業時間と比べると、月の残業60時間は非常に長く、最悪の場合、過重労働のために過労死に至るリスクがあるほどの時間数です。

今回の記事では、

  • 残業60時間の違法性
  • 残業代の計算方法

などについて、弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

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残業60時間は長い?短い?

月60時間の残業は、残業の多い業界で働く人の場合、その数字が長いのか短いのか、わかりにくい傾向があります。
ここではまず、残業60時間を1日の残業時間に換算し、厚生労働省の基準などと比較をしながら、この数字が長いのか短いのかを考えていきます。

なおここでは、残業とは次のことを指します。

残業=法定労働時間(原則1日8時間、1週40時間)を超える時間外労働のこと

(1)残業60時間を1日の残業時間で換算してみる

月の残業60時間は、1ヶ月20日出勤だとしても1日あたり3時間の残業をすることになります。
朝8時出勤の場合、お昼休憩を1時間入れることで、退社は12時間後(定時の9時間+残業3時間)の20時になります。

ここに朝晩の通勤時間として往復2時間、帰宅後の夕食で2時間、朝の出勤準備に1時間が必要と考えると、仕事がある日の自由時間(睡眠含む)は7時間ほどしかとれません。

残業60時間/月の生活イメージ

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針検討会報告書(平成15年3月)」によれば、20~50代までの快適な睡眠時間は6.5~7.5時間が平均です(ただし個人差があります)。
したがって、帰宅後に自由になる時間が7時間しか取れない場合、快適な睡眠が難しくなる場合もあります。
睡眠不足は、通勤中の交通事故や作業ミスなどにつながる可能性を高めます。

参考:健康づくりのための睡眠指針検討会報告書|厚生労働省

(2)厚生労働省の調査結果と比較してみる

月の残業(時間外労働)60時間は、厚生労働省の調査結果と比べても、平均よりも非常に長い残業時間です。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、令和元年度の「所定外労働時間」(※)の平均は10.6時間でした(パートタイムの方を除いても、平均14.3時間です)。

※「所定外労働時間」…労働契約や就業規則で決められた所定労働時間(定時)を超える労働時間のこと。早出・残業・臨時の呼び出し・休日出勤等の実労働時間数を含みます。

参考:毎月勤労統計調査 令和元年分結果確報|厚生労働省

「毎月勤労統計調査」とは何ですか?

厚生労働省が実施している、賃金や労働時間などの変動を調査しているものです。

参考:毎月勤労統計調査って何?|厚生労働省

したがって、所定外労働時間の月平均10.6時間と比べると、月60時間の残業(時間外労働)は非常に長いといえます。

(3)残業60時間で過労死することはある?

月の残業60時間の場合、脳や心臓の病気になったり、過労死したりするリスクが高まります。

厚生労働省の資料「脳・心臓疾患の労災認定 『過労死』と労災保険」には、おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と病気(脳・心臓疾患)の発症の関連性が徐々に強まっていくとされています。

参照:脳・心臓疾患の労災認定 「過労死」と労災保険|厚生労働省

業務と病気との関連性が徐々に強まっていくとされている「45時間」を大きく超えた、月60時間の残業をしていると、心疾患や脳疾患を引き起こしやすくなります。
また、これらの病気が原因になって過労死する可能性もあります。

厚生労働省によると、令和2年度に脳疾患・心疾患による労災補償の支給が決定した194件(うち死亡67件)の方の時間外労働時間の内訳は次のとおりでした。

※支給決定事案のうち、「異常な出来事への遭遇」又は「短期間の加重業務」を除きます。
※()内の数字は死亡した方です。

参考:脳・心臓疾患の労災補償状況|厚生労働省

残業60時間が短期間であれば大きな問題はないかもしれませんが、長期に及んだ場合には脳疾患・心疾患のリスクがあり、場合によっては過労死することもあることがお分かりかと思います。

残業60時間に違法性はない?

次は、労働基準法の観点から月の残業60時間の違法性を考えます。
残業60時間の場合、違法になるケースとそうでないケースがあります。

(1)36(さぶろく)協定を締結せずに残業させた場合

36協定を締結せずに残業(時間外労働)をさせると違法となります。

すなわち、労働者に法定労働時間を超えた残業や休日労働をさせる場合には、労働基準法36条に基づく「時間外・休日労働に関する労使協定」(36協定)の締結と、所轄労働基準監督署長への届出が必要となります。

36協定を締結するためには、使用者と、全労働者(パートやアルバイトを含む)の過半数で組織する労働組合(過半数組合)が書面による協定を行わなければなりません。
過半数組合がない場合は労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)と、書面による協定をする必要があります(労働基準法36条1項)。

適法な36協定で決められた労働時間までは、残業ができるという考え方になります。
では、36協定を締結すると、何時間までの残業が適法になるのでしょうか。
次で解説します。

(2)36協定を締結しても残業60時間が違法になるケース

36協定を締結しても、残業60時間が違法となることがあります。

(2-1)36協定の一般条項しか締結していない場合

36協定(一般条項)を締結した場合、時間外労働の上限時間は原則として月45時間・年360時間です(労働基準表36条4項)。
そのため、この一般条項しか締結していない場合、残業60時間は違法になります。

(2-2)36協定の特別条項の規制に反する場合

臨時的な業務上の必要性がある場合は、36協定の「特別条項」を締結することで、一般条項の残業の上限時間をさらに上回ることができます。
ただし、特別条項にも様々な規制があり、この規制に反して残業60時間をさせた場合には、違法になります。

臨時的に業務上必要と認められるものとしては、例えば次のものがあります。

  • 予算、決算業務
  • ボーナス商戦に伴う業務の繁忙
  • 納期のひっ迫
  • 大規模なクレームへの対応
  • 機械トラブルへの対応

恒常的な業務に対して残業60時間をさせた場合には、「臨時的な業務上の必要性」がないといえますので違法となります。

通常業務が立て込んで、いつもより少し忙しいから、というような理由で残業60時間となるのは違法です。

特別条項を締結しても、残業時間には原則として次のような制限があります(労働基準法36条5項、6項)。

  • 時間外労働が年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
  • 時間外労働と休日労働の合計について、どの2~6ヶ月の平均(複数月平均)をとっても、全て1ヶ月当たり80時間以内
  • 時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6ヶ月が限度

また、特別条項の有無にかかわらず、常に、時間外労働と休日労働の合計は、

  • 月100時間未満
  • どの2~6ヶ月の平均をとっても80時間以内

にしなければなりません(労働基準法36条6項2号、3号)。

なお、特別条項の有無にかかわらず、「坑内労働その他労働基準法施行規則で定める健康上特に有害な業務」の時間外労働は、1日2時間を超えないことが必要です(労働基準法36条6項1号)。

※ただし、医師など一部の業種では、時間外労働・休日労働の上限規制の有無・内容が異なります。

これらの規制に反している場合には、残業60時間は違法になります。
例)(医師など一部の業種を除き)残業60時間が1年につき7ヶ月以上ある場合など。

36協定の要件など詳しくはこちらの記事もご参照ください。

36協定をわかりやすく解説!締結における時間外労働の上限は何時間?

(3)残業60時間に対する残業代が支払われていない場合

残業代がきちんと支払われていない場合も違法になります。
※なお、経営者と一体の立場になって働く管理監督者など、一部の業種の方に対しては、事業主は、時間外労働の割増賃金を支払う義務がありません。

次に、残業60時間における残業代の計算方法を解説します。

残業60時間における残業代の計算方法

残業60時間の残業代を計算するとき、ひとつ注意点があります。
それは、60時間を超えた分の割増率が、現時点(2022年5月時点)では大企業と中小企業で違うということです。
そこでここでは、2021年1月時点における60時間超の残業代引き上げの基礎知識を解説したうえで、月60時間を超える残業を行なった場合の計算方法を紹介します。

(1)時間外労働が60時間を超えた場合の残業代引き上げとは?

月の時間外労働時間が60時間以下までの部分は、25%以上の割増賃金を支払う義務があります。
これに対して、月の時間外労働が60時間を超えた部分に対しては、原則として、50%以上の割増賃金を支払う義務があります。
このように、月の時間外労働が60時間を超えると、割増率の引き上げ(=残業代引き上げ)となるのです。

月60時間を超えた場合の残業代引き上げについては、2022年8月現在は、大企業だけの義務付けです。
中小企業は、2023年3月末までは、1ヶ月60時間を超える時間外労働についても、25%以上の割増賃金を支払えばよいとされています。
2023年4月以降は中小企業も大企業と同じように、1ヶ月60時間を超える時間外労働については、50%以上の割増賃金を払う義務が生じます。

ここでいう中小企業は次の条件に当てはまる場合をいいます。

  • 小売業:資本金5000万円以下または常時使用する労働者が50人以下
  • サービス業:資本金5000万円以下または常時使用する労働者が100人以下
  • 卸売業:資本金1億円以下または常時使用する労働者が100人以下
  • その他:資本金3億円以下または常時使用する労働者が300人以下

残業代の計算方法(2022年8月時点)

(2)残業60時間を超えた場合の残業代を計算してみよう

まず、残業代(時間外労働の割増賃金)の基本計算式は、次のとおりです。

(2-1)基礎賃金とは

「1時間当たりの基礎賃金」とは、要はご自身の給料が1時間当たりいくらになるか(=時給に換算する)ということです。

給料は、月給で決められている方が多いと思いますが、その場合は、家族手当や通勤手当などの手当てや、賞与などを差し引いて計算します。

次のサイトで、残業代の目安を簡単に試算してみることができます。
残業代の未払いがある方は、是非お試しください。

(2-1)割増率とは

割増率は、時間外労働や深夜労働、休日出勤をする時の賃金増加率のことです。
基本的には、割増率は次の表の通りとなります。

残業の種類割増賃金が発生する条件(※1)最低限度の割増率
時間外労働1日8時間・週40時間のいずれかを超えて労働。
(法定休日の労働時間は含まず)(※2)
時間外労働が月60時間までの部分1.25倍
時間外労働が月60時間を超えた部分1.5倍
(※3)
深夜労働22~5時の間の労働1.25倍
休日労働法定休日の労働1.35倍
重複する部分時間外労働が0時間を超えて月60時間までの部分と、深夜労働が重複する部分1.5倍
時間外労働が月60時間を超えた部分と、深夜労働が重複する部分1.75倍
(※4)
法定休日に深夜労働した部分1.6倍

※1 残業時間として認められるためには、「会社の指示によって労働させられた」ことが必要です。
※2 時間外労働の例外
常時10人未満の労働者を使用する商業、映画・演劇業(映画の製作は除く)、保険衛生業、接客業については、週44時間を超えた労働
※3 中小企業は、2023年3月末までは、最低の割増率は1.25倍となります。
※4 中小企業では2023年3月末までは、最低の割増率は1.5倍となります。

残業時間が月60時間に及んでいるという場合、その残業が違法でないかご確認ください。
36協定を締結していたとしても、一般条項しかないという場合には、月60時間の残業は違法です。

特別条項付きの36協定であったとしても、月60時間の残業が6ヶ月を超えている場合には、医師などの一部の業種を除いて違法です。

さらに、どんな業種であっても、残業代の請求は可能です。
中には、ご自身の業種では残業代の請求は出来ないのではないか、一定の手当てが支払われているため、残業代の請求はできないのではないかと考えている方も多いです。

残業代を請求するポイントは次の4つです。まずはご確認ください。

残業代請求のポイント

  1. 1日8時間、週40時間を超えて働いていれば残業代を請求できる

  2. みなし残業代・残業手当をもらっていても、超過した分の残業代を請求できる

  3. 未払残業代は、法改正により、最大3年分までさかのぼって請求することが可能とされる(※)。

  4. シフト表、出退勤のメモ、タコグラフなども残業の証拠とできる

※法改正により、2020年4月1日以降に支払日が到来した賃金請求権(残業代請求権)について、その消滅時効期間は3年に変更となりましたが、2020年3月31日までに支払日の到来した賃金請求権(残業代請求権)については、従前のとおり、消滅時効期間は2年のままとなります。
例えば、賃金が20日締・当月末日払いの会社に対し、2022年6月25日に同月分までの残業代を請求したとき、それから3年前の2019年6月分まで遡って請求することができるようになった訳ではありませんのでご注意ください(2020年3月分までは2年で消滅時効にかかるからです)。このケースで遡って請求することができるのは2020年4月分までです。

残業時間が60時間/月~に及んでいた方が弁護士に依頼して残業代を請求した事例について、詳しくはこちらの解決事例もご参照ください。

【まとめ】残業60時間は健康被害のリスクがある。未払残業代があれば請求を!

今回の記事のまとめは、次のとおりです。

  • 残業60時間は、1ヶ月20日出勤の会社で1日3時間の時間外労働をする状態。
  • 厚生労働省によれば、時間外労働が45時間/月を超えると、脳疾患・心疾患の発症と業務との関連性が強くなるとされている。
  • 実際に発症する前2~6ヶ月間の時間外労働時間の平均が60~80時間に及ぶ場合、脳疾患・心疾患を発症する場合もある。
  • 労働基準法の定める法定労働時間は1日8時間・週40時間。36協定を締結していない状態で月60時間の残業をさせるのは違法。
  • また、36協定の一般条項のみ締結している場合も違法。
  • さらに、36協定の特別条項を締結していたとしても、60時間の残業が違法になることもある。
  • 残業代の計算方法は1時間あたりの基礎賃金×割増率×時間外労働の時間。
  • 割増率について、残業時間が60時間を超えた場合、大企業と中小企業とでは割増率が異なる(2022年5月時点)
  • みなし残業代や残業手当が支払われていたとしても、それを超える分については残業代の請求はできる。

自分で実際に残業代の計算をしてみて、正しい金額が支払われていなかったり、残業時間の負担が大きく退職を考えている場合は、残業代請求をご検討ください。

アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみを報酬をいただくという成功報酬制です。

そして、原則として、この報酬は獲得した金銭(例:残業代、示談金)からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
※以上につき、2022年8月時点

残業代請求でお悩みの方は、残業代請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。

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