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残業の定義とは何か?所定時間外労働と法定時間外労働との違いについて詳しく解説

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定時の労働時間を超えて働くと、所定時間外労働(残業)になります。
所定時間外労働が、原則として1日8時間、週40時間を超えると法定時間外労働となり、反対にこれらを超えない所定時間外労働は法内残業となります。

法内残業と法定時間外労働は残業代の計算方法において異なります。

残業の定義や所定時間外労働と法定時間外労働の違いについて、弁護士が解説いたします。

残業の定義

残業とは、労働契約で定められた「所定労働時間」を超えて働いた業務のことをいいます(所定時間外労働)。
残業には、このほかに「法定時間外労働」というものもありますが、「所定時間外労働」と「法定時間外労働」は異なるものなので、混合しないようにする必要があります。
両者の違いについて説明します。

(1)所定労働時間とは?

所定労働時間とは、労働契約で定められた労働時間のことです。

(例1)週5日勤務で9~18時(休憩1時間)の場合、所定労働時間は「1日8時間・週40時間」となります。

(例2)週6日勤務で16~20時(休憩なし)の場合、所定労働時間は「1日4時間・週24時間」となります。

(例3)週3日勤務で10~17時(休憩1時間)の場合、所定労働時間は「1日6時間・週18時間」となります。

所定労働時間を超えると残業になる

所定労働時間以上に働くと、残業となります。

(例1)週5日勤務で9~18時(休憩1時間)の労働契約の場合、20時まで働くと、2時間残業となります。
(例2)週6日勤務で16~20時(休憩なし)の労働契約の場合、21時まで働くと、1時間残業となります。
(例3)週3日勤務で10~17時(休憩1時間)の労働契約の場合、22時まで働くと、5時間残業となります。

(2)法定労働時間とは?

法定労働時間とは、労働基準法で定められている労働時間の原則的な上限時間です。
法定労働時間は、<原則として1日に8時間、1週間に40時間>となっており、法定労働時間を超えた労働は原則として禁止されています。

※なお、変形労働時間制など、一部の勤務形態の方は、法定労働時間の定義が異なります。
また、常時10人未満の労働者を使用する商業、映画・演劇業(映画の製作は除く)、保険
衛生業、接客業については、法定労働時間は週44時間となります。

参考:法定労働時間|厚生労働省 徳島労働局

所定時間外労働と法定時間外労働の違い

所定時間外労働と法定時間外労働は、どちらも残業ですが、次のように内容が異なります。

所定時間外労働:
所定労働時間を超えた労働時間のことです。
所定労働時間は、企業によって異なります。
所定労働時間を超えるものの、法定時間外労働にはならない場合は、「法内残業」となります。
このように、所定時間外労働という言葉は、法内残業と法定時間外労働の双方を指しています。

法内残業に対する残業代につき、どの程度割り増すのか(通常の賃金×1.25倍など)、それとも通常の賃金と同じ単価にするのかについても、企業によって異なります。

法定時間外労働:
法定労働時間を超えた労働時間のことです。
法定労働時間は、法律によって決められ、原則として、「1日8時間・週40時間」です。
法定時間外労働に対する残業代につき、最低、どの程度割り増さなければならないのか、についても法律で決められています。

所定時間外労働と法定時間外労働の比較

例を用いてそれぞれの違いを比較します。

(例1)週5日勤務、所定労働時間が9~18時(休憩1時間)の労働契約で20時まで働く場合
→所定時間外労働=法定時間外労働=2時間

(例2)週6日勤務、16~20時(休憩なし)の労働契約で21時まで働く場合
→所定時間外労働:1時間
法定時間外労働:なし(1日8時間の法定労働時間を超えていないため)

(例3)週3日勤務、10~17時(休憩1時間)の労働契約で22時まで働く場合
→所定時間外労働:5時間
法定時間外労働:3時間(1日8時間の法定労働時間を超えた分)

残業代の割増率

残業代の割増率を解説いたします。
また、残業には、時間外労働以外に、休日労働、深夜労働もありますので、併せて解説いたします。

(1)法内残業の場合

法内残業の場合は、会社が独自に定めた割増率に従うことになります。
割増率が定められていない場合は、所定時間内労働(定時)の賃金と同じ賃金が払われるということになります。

(2)法定時間外労働・休日労働・深夜労働の場合

法定時間外労働、休日労働、深夜労働については、法律上、次のように割増率が決まっています。

残業の種類残業の定義割増率
時間外労働1日8時間・週40時間(一部の企業は週44時間)のいずれかを超えて労働時間外労働が月60時間までの部分1.25倍以上
時間外労働が月60時間を超えた部分1.5倍以上
(※1)
深夜労働22時~5時の労働1.25倍以上
休日労働法定休日の労働1.35倍以上
重複する部分時間外労働(月60時間までの部分)と、深夜労働が重複する部分1.5倍以上
時間外労働(月60時間を超えた部分)と、深夜労働が重複する部分1.75倍以上
(※2)
休日労働と深夜労働が重複する部分1.6倍

※1 次の企業(中小企業、以下同じ)は、2023年3月末までは、割増率は1.25倍以上です。
・小売業:資本金5000万円以下または常時使用する労働者が50人以下
・サービス業:資本金5000万円以下または常時使用する労働者が100人以下
・卸売業:資本金1億円以下または常時使用する労働者が100人以下
・その他:資本金3億円以下または常時使用する労働者が300人以下
※2 中小企業では2023年3月末までは、割増率は1.5倍以上です。

(3)法律が定める基準を超える割増率が就業規則などで定められている場合

法外時間外労働につき、法律が定める最低限度の基準を超える割増率が、就業規則等で定められている場合は、就業規則などで定められた割増率が適用されます。

労働契約別の残業について解説

みなし労働時間制など、労働契約ごとの残業について解説いたします。

(1)みなし労働時間制における残業

労働時間の算定が難しい場合などに、実際の労働時間にかかわらず、一定の時間を働いたことにする制度のことです。
例えば、実際は4時間しか働いていないが、一定の労働時間(例えば8時間)勤務したとみなされて賃金が支払われるというものです。

みなし労働時間制でも、「一定時間働いたとみなされる労働時間」が、所定労働時間や法定労働時間を超える場合には、残業代の支払いが必要となります。
また、深夜労働・休日労働に対しても割増賃金の支払いが必要です。

みなし労働時間制には、「事業場外のみなし労働時間制」と「裁量労働時間制」の2種類があります。

(1-1)事業場外のみなし労働時間制

事業場外のみなし労働時間制とは、営業職の外回りや出張中、テレワークなど、正確な労働時間を把握することが難しい場合に適用されるものです。
ただし、事業場外で労働しているだけではなく、「労働時間の算定が困難」な場合でない
と、事業外労働のみなし時間制の適用は受けません。

例えば、次の場合には、「労働時間の算定が困難」とはいえません。

  • 複数人で事業場外労働をする場合で、その中に労働時間の管理をする者がいる場合
  • 携帯電話等によって、随時上司の指示を受けながら事業場外労働をしている場合
  • 上司から、事業場外労働の場所、時刻など、具体的指示を受けた後、その指示通りに事業場外労働をした場合

裁判例でも、労働時間の算定が困難でないと認定されたものが多々存在します(「阪急トラベル・サポート事件(最高裁第二小法廷判決平成26年1月24日)、レイズ事件(東京地判平成22年10月27日)等)。

(1-2)裁量労働時間制

裁量労働時間制とは、一定の専門的・裁量的労働をする労働者に対して、実際の労働時間に関係なく、一定の労働時間だけ働いたとみなす制度です(労働基準法38条の3第1項、労働基準法38条の4第1項)。

労働時間が労働者の裁量にゆだねられている時に適用されます(設計者や企画・立案・調査・分析の業務に従事するものなど)。

(2)みなし手当の残業

残業の有無にかかわらず、一定時間の残業をしたとみなして、あらかじめ固定の残業代を給料に組み込んでおく手当のことを、みなし手当(固定残業代)といいます。

固定残業代において、みなされていた残業時間を超えて残業をした場合には、企業は超えた分の残業に対し、別途残業代の支払いが必要です。

(3)年俸制職種の残業

年俸制でも、残業代発生の仕組みは、月給制と同じです。
そのため、年俸制であっても、原則として、所定労働時間を超えた分の残業代を支払う必要があります。

(4)管理監督者の残業

管理監督者とは、労働条件の決定その他の労務管理について、経営者と一体の立場にある人のことをいい、管理職の一部の方が該当します。

管理監督者に当たる場合、会社は、法定時間外労働に対する割増賃金、休日労働に対する割増賃金を払う義務はありませんが、深夜労働に対する割増賃金は管理監督者であっても支払う必要があります。

また、部長などの肩書があっても、その実態は管理監督者には当たらないとされた裁判例が数多くありますので、管理職であるからといって残業代請求を諦めず、弁護士に相談することをお勧めします。

タイムカード打刻後の残業

タイムカード打刻後に残業を強要することは違法であり、サービス残業させられた分の残業代を請求することができます。

タイムカード打刻後に残業を強要されている場合は、毎日、手帳に1分単位で、出退勤時間を正確にメモするなど実際の労働時間の証拠を残すことが大切です。

また、次のようなものも証拠となる可能性があります。

  • 業務日報のコピー
  • 残業中に発信した業務メールやFAX
  • 帰社直後に乗ったタクシーなどの領収書
  • PCのログ記録
  • 運転手の方であれば入出庫記録など

残業代の計算は、手間がかかり、また複雑ですし、交渉も難航することが多々あるため、未払いの残業代を請求したい場合は、弁護士に相談すると良いでしょう。

【まとめ】残業代の未払いについてお困りの方はアディーレ法律事務所へ

所定時間外労働は、法定時間外労働のみならず法内残業も指す言葉です。

法内残業と法定時間外労働とでは、残業代の計算方法が異なるため、区別する必要がありますが、混在してしまうことも多く、自身では、残業代の把握はなかなか難しいです。

そして、労働契約の形態によっても、残業時間のカウント方法は異なってくるものの、みなし手当制でも、別途残業代が発生していることは多々あります。

また、管理職の肩書がついている方でも、実は残業代の請求ができることが数多くあります。

残業代の未払いでお困りの方は、アディーレ法律事務所へご相談ください。

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