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交通事故で警察が作成する調書とは?実況見分と調書の注意点

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交通事故が起こると、事故現場において警察官による事故状況の確認や、当事者の言い分の聴取が行われます。
その際に作成されるのが、実況見分調書や供述調書などの「調書」と呼ばれる書面です。

交通事故で作成される調査は、簡単にいえば、「どんな交通事故だったか」記載したものです。

「実況見分調書」や「供述調書」に何が書かれているかによって、刑罰だけでなく、損害賠償の金額を左右することがあります。

損害賠償の場面で損しないためにも、警察が作成する調書の意味や事前に気を付けるべき点について知っておきましょう。

この記事では、

  • 交通事故で作成される調書の種類
  • 警察が作成する調書が賠償請求に与える影響
  • 実況見分の際に被害者が気を付けるべきポイント
  • 交通事故の供述調書を作成するときの注意点

について、弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 村松 優子

愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。アディーレに入所後,岡﨑支店長,家事部門の統括者を経て,2018年より交通部門の統括者。また同年より、アディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが真の意味において市民にとって身近な存在となり、依頼者の方に水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、各部門の統括者らと連携・協力しながら日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

交通事故で作成される調書の種類は?

交通事故が起こった場合、警察官の調査のもとで調書が作成されることになります。

ここでは、この調書のうち

実況見分調書

供述調書

について解説します。

(1)実況見分調書とは?

交通事故が発生すると、当事者にはその場で警察に事故の連絡を入れる義務があります(道路交通法72条1項)。

連絡を受けて現場に臨場した警察官により、「実況見分」が行われます。
「実況見分」とは、事故現場において、当事者や目撃者の立ち会いのもと事故の状況を検証することをいいます。実際、事故現場で警察が当事者と話ながら、メジャーで測定をしたり、指を指したりしている現場を見たことがあるかもしれません。

この実況見分をもとに作成されるのが、「実況見分調書」です。

実況見分調書には、次のような事項が記載されます。

  • 事故発生の日時、場所
  • 事故現場の状況
    • 信号機や横断歩道の位置
    • 道路の最高速度、交通規制
    • 路面の状態(乾燥しているか、濡れているか)
    • 道路の見通し、勾配、幅
    • 照明の有無(夜間の事故の場合)
    • スリップ痕、ブレーキ痕の有無
  • 運転車両の状況
    • 車両番号
    • 損害の部位、程度
  • 当事者・目撃者の説明
    • 相手を発見した地点
    • ブレーキを踏んだ地点
    • 衝突した地点
  • 添付書類
    • 現場見取り図、写真など

など

なお、実況見分は主に人の死傷を伴う人身事故の場合に行われます。

ただし、物の損壊のみに留まる物損事故の場合であっても、絶対に実況見分が行われないというわけではありません。
物損事故であっても、後で事故原因などに争いが生じそうな場合には、警察官に対して実況見分の実施を申し入れてみましょう。

「実況見分」については、こちらもご覧ください。

交通事故の「実況見分」とは?納得いかない場合の対処法も紹介

(2)供述調書とは?

「供述調書」とは、交通事故の当事者や目撃者から事故に関する供述を警察や検察官が聴き取りし、警察や検察官がその内容をまとめた書面です。通常は、警察署や検察庁での取り調べのときに作成されるのが一般的です。「供述調書」は、交通事故の加害者、被害者や目撃者ごとに作成され、各当事者がそれぞれどういった供述をしているのかを明らかにします。
加害者や被害者が話していることに食い違いがある場合でも、加害者や被害者が話しているそのままを記載されることになります。

警察官が作成した供述調書を供述者自身に読み聞かせて、内容に誤りがなければ供述者が署名・押印をします(実況見分調書には、当事者の署名・押印は必要ありません)。

警察が作成する調書が賠償金請求で持つ役割

警察の作成する調書が、被害者が加害者に対して賠償金請求をする場面でも大きな役割を持つことがあります。

例えば、次のとおりです。

  1. 過失割合に影響する
  2. 交通事故の立証に影響する
  3. 加害者の嘘を防ぐことができる

詳しく説明します。

(1)過失割合に影響する

警察が作成する調書が過失割合に影響することがあります。

過失割合とは、事故の当事者それぞれに交通事故について、どのくらいの過失(例えば、前方不注意やスピード違反など)があったのかを表す割合をいいます。

例えば、交通事故が起きたことについて、加害者が20%悪い場合には、加害者20:被害者80となります。

そして仮に、被害者と加害者の過失割合が20:80の場合に、被害者に生じた損害額が1000万円だったとすると、1000万円のうち200万円は被害者自身が負担し、加害者は800万円を被害者に支払うことになります。

過失割合は、実況見分調書や過去の事例、裁判所の判例などを参考にして決めることになりますが、これにより加害者が被害者に支払う賠償額が変わってくるため、当事者間で争いが生じることが特に多くなります。

実況見分調書や供述調書に誤った記載があると、それを基に、誤った過失割合が認定されてしまうこともあります。

適正な過失割合で事件を解決するためには、実況見分において警察官に事故発生状況などを正確に伝えることが重要です。

交通事故の「過失割合」について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

交通事故における「過失割合」「過失相殺」とは?納得できない場合の対処法は?

(2)損害賠償請求の立証に影響する

交通事故の被害者が加害者に対して、損害賠償を請求するためには、被害者が交通事故により被害にあったことを立証する必要があります。
そのため、実況見分調書・供述調書は過失割合の判断だけでなく、事故の被害者が加害者に損害賠償請求をする際の重要な資料になります。
当事者の間で、事故の状況や発生した損害に関する言い分が食い違う場合、実況見分調書や供述調書に記された事故当時の状況が動かぬ証拠となります。

(3)加害者の嘘を防ぐことができる

事故当時は自身の過失を認めていたはずの加害者が、いざ示談交渉の場になると賠償を免れよう(または賠償額を減らそう)と事故の状況について嘘をつくケースがあります。

このような場合、事故直後に作成する供述調書の内容により、加害者の嘘が発覚する、あるいは真の事故状況を明らかにできるというメリットがあります。

【コラム】 交通事故の被害者は、調書を閲覧することが可能

ここまで説明してきた通り、実況見分調書や供述調書は、交通事故の被害者が加害者に対して治療費や慰謝料などの損害賠償を請求する際に重要な資料となります。

そこで、一定の要件を満たした場合、事故の被害者がこれらの調書を閲覧・謄写(コピー)し、損害賠償請求に役立てることができます。

警察の実況見分で被害者が注意すべきポイント

実況見分は、基本的には加害者・被害者立会いのもと、事故の当日に行われるのが原則です。

どちらか一方の立ち合いのみだと、相手が不利なことをいっている場合があり、それに基づき、実況見分が行われてしまう可能性があります。実況見分に立ち会える場合には、極力立ち会うようにしましょう。

ここで、交通事故の被害者が実況見分を受けるときのポイントについて説明します。

警察官に事実をしっかり主張する

被害者としては、自分が見た、または経験した事故の状況を正確に主張することが重要です。

実況見分で曖昧な回答をしたり、自分の落ち度を認めるような発言をしたりすると、後の損害賠償請求の際に不利になってしまうことがあるので注意が必要です。

実況見分に立ち会えなかった場合の注意点

事故によるケガで実況見分にどうしても立ち会うことができなかった場合、後日警察署で聴取を受けて供述調書が作成されることになります(被害者立ち合いで後日、実況見分が行われることもあります)。
この場合は、記憶が薄れる前に事故の状況や主張をメモに書いたり、写真を撮っておくなどして保存しておきましょう。

交通事故の供述調書を作成するときの注意点

供述調書を作成する際には、警察や検察官があなたにいろいろ質問しますので、嘘をつかず正直に話すようにしましょう。

警察による聴取で自分の主張と異なる内容が供述調書に書かれたときは、その場で直ちに誤りを主張し、訂正してもらうようにしましょう。

【まとめ】調書の内容で、賠償額が左右されることも

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 交通事故で作成される調書には、実況見分調書と供述調書があります。
  • 「実況見分」では、当事者や目撃者が事故の状況を説明し、警察がそれらの証言をもとに事故状況を図面に書き込んだりして、事故状況を明らかにします。このときに警察が作成するのは「実況見分調書」です。
  • 「供述調書」とは、交通事故の当事者や目撃者から事故に関する供述を警察や検察官が聴き取り、警察や検察官がその内容をまとめた書面のことをいいます。
  • 警察の作成する調書が、被害者が加害者に対して賠償金請求をする場面で次のような大きな役割を持つことがあります。

    1. 過失割合に影響する
    2. 交通事故の立証に影響する
    3. 加害者の嘘を防ぐことができる

  • 実況見分調書に正しい内容が記載されるよう、警察による実況見分の際には自分が見た、または経験した事故の状況を正確に主張することが重要です。
  • ケガで事故当日の実況見分に立ち会えない場合は、後日の調書作成や実況見分に備えて、事故状況などについてメモを残したり、写真を撮っておきましょう。
  • 実況見分調書や供述調書に、事実と異なる内容や自分の主張と異なる内容が書かれていたら、ただちに警察に連絡して訂正を依頼しましょう。

なお、交通事故で作成された調書について疑問や不安があるときは、交通事故を取り扱う弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

この記事の監修弁護士
弁護士 村松 優子

愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。アディーレに入所後,岡﨑支店長,家事部門の統括者を経て,2018年より交通部門の統括者。また同年より、アディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが真の意味において市民にとって身近な存在となり、依頼者の方に水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、各部門の統括者らと連携・協力しながら日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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