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右直事故とは?過失割合や慰謝料を増やす方法を弁護士が解説

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リーガライフラボ

右直事故とは、右折車と直進車の事故のことをいいます。

警察庁統計局発表の「令和3年中交通事故の発生状況」によると、車対車の交通事故の類型では、追突事故、出会い頭の事故に次いで、右折時に発生する事故が3番目に多い事故類型となっており、2021年で約2万6158件発生しています。

右直事故の場合、双方に事故の責任(過失)があるとして、慰謝料などの賠償金が減額されてしまう可能性があります。

加害者に対して賠償金を請求する前に、あなたの事故がどの類型にあてはまるのか(減額される可能性があるのか)、慰謝料などの賠償金を増やす方法について知っておきましょう。

これらのことを知っておくことで、知らず知らずのうちに損をしてしまうことを防ぐことができます。

今回の記事では、次のことについて弁護士がくわしく解説します。

  • 右直事故の概要
  • 車・バイク別の右直事故の過失割合
  • 慰謝料などの賠償金を増やす方法
この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

目次

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右直事故とは右折車と直進車の事故のこと

右直事故とは、一般的に、交差点で右折する車(もしくは道路外に出るために右折しようとする車)と直進する車両が衝突する事故のことをいいます。

交通事故における「過失割合」と「過失相殺」

交通事故の賠償額を決めるにあたり、「過失割合」と「過失相殺」が重要になってきます。
交通事故における過失割合と過失相殺についてそれぞれ解説いたします。

(1)過失割合とは「双方の責任の割合」

「過失割合」とは、簡単にいえば、「交通事故が起きたことについて、どっちが、どのくらい悪いのか」ということを示すものです。

例えば、加害者側が70%、被害者側が30%悪い場合には、過失割合は70:30となります。

(2)過失相殺とは「過失割合に応じて損害賠償額を減額する制度」

過失相殺とは、過失割合に基づいて、損害賠償額を減額するというものです。

例えば、被害者の損害賠償の総額が100万円、過失割合が70:30のケースで考えてみます。

この場合、被害者の過失30%分である30万円が損害賠償額から相殺されますので、加害者が実際に被害者に対して支払うのは70万円(100万円-30万円)ということになります。

交通事故における「過失割合」「過失相殺」とは?納得できない場合の対処法は?

右直事故は、事故の当事者双方に過失が認められるケースが多く、自分の過失割合が多ければ多いほど受け取ることのできる賠償金額が減少してしまいます。

右直事故の過失割合はどう判断される?

右直事故は、基本的に直進車優先ルール(道路交通法37条)のなかで発生する事故ですので、原則として右折車の過失割合が大きくなります。

一方、直進車の側にもハンドル・ブレーキの操作ミスなど類型的に一定の過失が認められることがほとんどです。

「制限速度を守り、青信号に従って直進中のどこに過失があるのか」「そもそも気づいたときには回避不可能だった」と感じる直進車のドライバーは少なくないと思われます。

しかし、まったく回避不可能とまで証明することは難しく、また、他の交通事故類型との比較や全国一律の公平な処理の必要性などから、一定の過失があるものとして扱われています。

右直事故の過失割合―四輪車同士の事故

過去の裁判例の積み重ねにより、事故の客観的な態様別に、事故当事者の基本的な過失割合(だいたいの目安となる過失割合)が決まっています(実際の事故状況に応じて、修正される可能性があります)。

まず、車(四輪車)同士の右直事故の一例について、過失割合を解説します。
バイク(二輪車)同士の右直事故の過失割合も同様です。

なお、実務上、別冊判例タイムズ38「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂5版)」(東京地裁民事交通訴訟研究会編)が、裁判例に基づく過失割合が記載されたものとして広く利用されていますので、ここでは、これに沿って説明します。

(1)直進車、右折車どちらの信号も青信号だった場合

例えば、信号機のある交差点で、直進車・右折車とも青信号で交差点に進入し、事故が発生した場合には、右折車が8割、直進車が2割の過失割合が基本とされています(双方四輪車のケース)。

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【107】

(2)直進車、右折車どちらの信号も黄信号だった場合

信号機のある交差点で、直進車・右折車とも黄信号で交差点に進入し、事故が発生した場合には、右折車が6割、直進車が4割の過失割合が基本とされています。

双方青信号の場合よりも、直進車の過失が2割も重くなっていますが、これは、双方とも信号違反であること、青信号で侵入した場合より直進車の優先性の程度は低いと考えられるため、過失割合が重くなったと考えられます。

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【109】

なお、直進車、右折車どちらの信号も赤信号だった場合には、直進車が5割、右折車が5割の過失割合が基本とされています(双方信号違反であるため)。

(3)直進車が黄信号、右折車が青信号で進入後に黄信号で右折した場合

信号機のある交差点で、直進車が黄信号で交差点に進入、右折車が青信号で交差点に進入後黄信号で右折し、事故が発生した場合、右折車が3割、直進車が7割の過失割合が基本とされます。

この場合、直進車の過失割合の方が大きくなります。
これは、右折車に信号違反がない一方で、直進車に信号違反があることから、直進車の過失割合が増えたものと考えられます。

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【108】

(4)直進車は赤信号、右折車が青信号で進入後に赤信号で右折した場合

信号機のある交差点で、直進車が赤信号で交差点に侵入し、右折車が青信号で交差点に進入後赤信号で右折し、事故が発生した場合、右折車が1割、直進車が9割の過失割合が基本とされます。

この場合、ほぼ直進車の責任となります。

右折するために青信号で交差点に進入したけれども、対向車線が混んでいてなかなか右折できず、赤信号となってやっと右折できたという経験は、多くの方がしているものと思われます。
直進車の信号違反と、右折車が赤信号で右折せざるを得ない実情を考慮し、直進車の過失割合を高くしたものと考えられます。

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【111】

なお、直進車は赤信号、右折車が黄色信号で進入後に赤信号で右折した場合、直進車が7割、右折車が3割の過失割合が基本とされます。

(5)直進車が赤信号で、右折車は右折の矢印信号で右折した場合の過失割合

右折の青矢印信号のある交差点で、直進車が赤信号で交差点に進入し、一方、右折車が右折の青矢印信号で交差点に進入して事故が発生した場合には、基本的に右折車の過失はゼロとされています(直進車の過失が10割)。

直進車は赤信号で交差点での進入が禁止されており、右折のみが許されていることから、赤信号を無視した直進車の一方的な過失で事故が発生したと考えられるためです。

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【113】

(6)信号機がない同幅員の交差点の右直事故の場合

信号機のない同幅員の交差点において右直事故が発生した場合には、右折車が8割、直進車が2割の過失割合が基本となります(直進車と対向する右折車が衝突した場合)。

※ 「同幅員の交差点」とは、交差する道路の一方が優先道路もしくは明らかに広い道以外である交差点であって、一時停止の規制のないものをいいます。

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【114】

右直事故の過失割合―車対バイクの事故

四輪車同士の右直事故の過失割合と、車対バイク(自動二輪車及び原動機付自転車)の右直事故の過失割合は、同じではありません。

右折しようとするバイクにも、四輪車と同様に、直進車の進行を妨害してはならない義務があり、直進車優先ルールがあることには変わりがありません。

しかし、事故が発生すると、車よりバイクの運転手・同乗者の方がより被害が大きくなりやすいため、車の運転手の方がより運転に注意すべきとも考えられ、車同士の右直事故と比べると、バイク側の過失割合が少し小さくなる傾向があります。

(1)直進車、右折車どちらの信号も青信号だった場合

信号機のある交差点で、直進、右折のどちらの信号も青だった場合の過失割合を2パターンにわけて説明します。

(1-1)直進車がバイク、右折車が車の場合

直進車がバイクで右折車が車の場合の過失割合は、バイク1.5割、右折車8.5割が基本となります。

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【175】

(1-2)直進車が車、右折車がバイクの場合

直進車が車で右折車がバイクの場合の過失割合は、バイク7割、直進車3割が基本となります。

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【176】

(2)直進車、右折車どちらの信号も黄信号だった場合

信号機のある交差点で、直進車、右折車ともに黄信号で交差点に進入して事故が発生合の過失割合を2パターンにわけて説明します。

(2-1)直進車がバイク、右折車が車の場合

直進車がバイクで右折車が車の場合の過失割合は、バイク3割、右折車7割が基本となります。

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【179】

(2-2)直進車が車、右折車がバイクの場合

直進車が車で右折車がバイクの場合の過失割合は、バイク5割、直進車5割が基本となります。

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【180】

なお、直進車、右折車どちらの信号も赤信号だった場合、バイクが直進車であれ、右折車であれ、バイクが4割、車が6割、が基本になります。

(3)信号機がない同幅員の交差点での過失割合

信号機のない同幅員の交差点で、直進車、右折車が交差点に進入して事故が発生した場合の過失割合を2パターンにわけて説明します(直進車に対して対向する右折が衝突した場合)。

(3-1)直進車がバイク、右折車が車の場合

直進車がバイクで右折車が車の場合の過失割合は、バイク1.5割、右折車8.5割が基本となります。

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【189】

(3-2)直進車が車、右折車がバイクの場合

直進車が車で右折車がバイクの場合の過失割合は、バイク7割、直進車3割が基本となります。

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【190】

基本的な過失割合が修正されるのはどのような場合か

事故の態様別の基本的な過失割合について解説しましたが、事故が発生した個別具体的な事情や天候や見通しなどの状況を考慮することで、基本的な過失割合が修正され、過失割合が増えたり減ったりすることがあります。

(1)直進車の過失割合が修正されて増える例

右直事故において、直進車の過失割合が増える事情の例を紹介します。
基本の過失割合への修正がどの程度になるかは、二輪車同士の事故なのか、車対バイクの事故なのか、信号機のある交差点での事故なのか、交差点進入時の信号機の色などの事情によって異なります。

  • 直進車に15km以上の速度違反がある場合
  • 直進車に30km以上の速度違反がある場合
  • 右折車がすでに右折を開始していた場合 など

(2)右折車の過失割合が修正されて増える例

右直事故において、右折車の過失割合が増える事情の例を紹介します。これも同じように、基本の過失割合への修正がどの程度になるかは、二輪車同士の事故なのか、車対バイクの事故なのか、信号機のある交差点での事故なのか、交差点進入時の信号機の色などの事情によって異なります。

  • 右折車が交差点進入時に徐行していない場合
  • 右折車が右折の合図をしていない場合
  • 右折車が直進車の至近距離で右折した場合 など

右直事故で過失割合を弁護士に相談する3つのメリット

交通事故の被害に遭ったとき、過失割合など不明な点について弁護士に相談・依頼して解決を目指すことには、主に次の3つのメリットがあります。

  1. 適正な過失割合の認定が期待できる
  2. 慰謝料などの賠償金の増額が期待できる
  3. 保険会社の対応や手続きを一任できる

それぞれ説明します。

(1)適正な過失割合の認定が期待できる

交通事故が発生した具体的状況によって、基本的な過失割合が複雑に修正されるケースもあり、過失割合の判断が難しいこともあります。

相手方の保険会社から過失割合の提案があっても、その過失割合が正しいとは限りません。自分に有利となる事情や事故の状況が見落とされて、過失割合できちんと考慮されていないかもしれません。

そのような場合に、過失割合について検討せずに示談を成立させてしまうと、適切な損害賠償を受け取れなくなるおそれがあります。

交通事故の経験が豊富な弁護士に示談交渉を依頼したりすると、弁護士は、道路状況や車の損傷部分・損傷具合、目撃者の証言などのさまざまな証拠をもとに正しい事故状況を検討します。そして、弁護士はその結果を基に保険会社と交渉します。これにより、妥当な過失割合で保険会社と示談できる可能性が高まります。

(2)慰謝料などの増額が期待できる

過失割合が妥当なものとなることで、賠償額の増額が期待できます。
また、弁護士に依頼すると過失割合の他にも慰謝料の面で、賠償額の増額が期待できます。

慰謝料の算定基準には「自賠責の基準」「任意保険の基準」「弁護士の基準(裁判所の基準ともいいます)」の3種類あり、基本的には、弁護士の基準で算定すると最も高額になりやすくなります。

被害者本人が保険会社との示談交渉で弁護士の基準による慰謝料の支払いを要求しても、任意保険会社がそれに応じることはほとんどありません。

他方、弁護士が交渉すると、弁護士は最終的には訴訟も辞さない姿勢で、弁護士の基準を基本として賠償額を計算し、加害者側の任意保険会社と示談交渉を行います。

任意保険会社も、訴訟となれば最終的な解決までに時間がかかり、弁護士費用もかかりますので、早期解決という利益を重視し、弁護士の基準に近づける形で示談金を増額する可能性があるのです。

(3)保険会社の対応や手続きを一任できる

交通事故の被害者は、ケガの痛みや苦痛、ケガの治療、仕事への影響、収入減少や完治するかどうかの不安など、通常多大なストレスを感じています。
ケガの治療をしながら、いつも通りの生活を取り戻そうと必死で努力している中で、さらに保険会社との交渉もしなければならないとなると、心身への負担となることが少なくありません。
また、保険会社から示談金を提示され、漠然と納得できない気持ちがあっても、説得的に「この金額は低すぎる」と反論するためには、知識や経験が必要です。
弁護士に示談交渉を依頼すれば、弁護士が窓口となって保険会社と話し合いますので、依頼者は自分で交渉することによるストレスを感じることはありません。また、弁護士は依頼者に有利な方法で賠償額を計算し、毅然と保険会社と適切な賠償額について交渉することができます。

【まとめ】右直事故とは右折車と直進車の事故のこと

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 「過失割合」とは、簡単にいえば、「交通事故が起きたことについて、どっちが、どのくらい悪いのか」ということを示すもの。過失割合に応じて、慰謝料などの賠償金が減額される可能性がある。
  • 右直事故においては、直進車優先ルールにより、原則として右折車の過失が多くなりますが、具体的事情によって過失割合は修正され、右折車の過失割合の方が低くなる場合もある。
  • バイク事故の場合には、車よりバイクの運転手・同乗者の方がより被害が大きくなりやすいため、車の運転手の方がより運転に注意すべきとも考えられ、車同士の右直事故と比べると、バイク側の過失割合が少し小さくなる傾向がある。
  • 右直事故で過失割合を弁護士に相談する3つのメリット
  1. 適正な過失割合の認定が期待できる
  2. 慰謝料などの賠償金の増額が期待できる
  3. 保険会社の対応や手続きを一任できる

右直事故の過失割合について、加害者側の保険会社の判断について納得できない場合や、提案された示談金が適切かどうかの判断に悩んだ場合には、示談を成立させる前に、一度弁護士にご相談ください。

弁護士は、事情を詳しく伺ったうえで、過失割合が修正される事情がないかどうか、損害賠償額が増額できる余地はないかどうかについて、専門的に検討し、見通しを説明することができます。

右直事故の被害に遭い、賠償金請求にお悩みの方は、交通事故の賠償金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。

アディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。

すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという完全成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。

また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様に手出しいただく弁護士費用は原則ありません。

※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。

実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。

弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各法律事務所へご確認ください。

(以上につき、2022年9月時点)

交通事故の被害にあって賠償金請求のことでお悩みの場合は、交通事故の賠償金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。

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