お電話では土日祝日も休まず朝9時~夜10時まで(Webでは24時間対応)法律相談のご予約を受付けています。 万全な管理体制でプライバシーを厳守していますので、安心してお問い合わせください。

当たり屋とは?手口の特徴や被害にあった際の対処法について解説

作成日:更新日:
リーガライフラボ

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「いきなり車にぶつかってきて、『時計が壊れたから弁償しろ!』と言われた…これって当たり屋?」

普段冷静な人であっても、交通事故に巻き込まれると気が動転してしまうでしょう。
ましてや、自分が加害者になったかもしれないと思うと頭が真っ白になって、相手に凄い剣幕で「あなたが悪い!弁償して」と言われたら、冷静な判断ができなくなるかもしれません。

もちろん、あなたに落ち度があって、本当に相手に損害が生じているのであれば、損害を賠償する責任があります。
ですが、生じてもいない損害を生じたと言って弁償させようとするのは「当たり屋」で、犯罪です。

今回の記事では、次のことについて弁護士がご説明します。

  • 当たり屋の手口
  • 当たり屋は犯罪であること
  • 当たり屋の被害に備えてしておくべきこと
  • 当たり屋の被害にあった時の対応策

万一当たり屋による被害に巻き込まれたときに、冷静になれるように対応策を覚えておきましょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

当たり屋とは?

自動車の運転中に、運転マナーが悪い人をみると「当たり屋だ!」と思う人がいるかもしれません。
そもそも「当たり屋」とはどういった人をいうのでしょうか。
また、「当たり屋」と「あおり運転」は何が違うのでしょうか。

(1)当たり屋とは?

「当たり屋」とは、交通事故を装うために、わざと車にぶつかってきて、「けがをした」などと因縁をつけたり、「警察に届けると刑事事件になる」などと言って示談を迫ったりして、お金を要求する者(行為)です。

危険な行為だと認識しているにもかかわらず、不当に医療費や慰謝料などを請求するためにこのような行為をします。交通事故の示談金は保険会社から支払われるため、無保険車でない限り、お金を回収できる可能性が高いと考えられているのです。
当たり屋は自動車に限らず、自転車や歩行者であるケースもあります。

参照:当たり屋|警視庁

(2)当たり屋とあおり運転の違い

「あおり運転」とは、車間距離を執拗に詰めたりクラクションを鳴らし続けたりするなどして、他の車の走行を妨害する行為です。
あくまでもあおっているにすぎず、直接接触させようとはしません。
もっとも、運転を少しでも誤ると接触するため、非常に危険な行為といえます。
2020年6月30日以降、「妨害運転罪」が設けられ、悪質なケースには刑罰も科されることになりました。

あおり運転と運転妨害罪について詳しくはこちらの記事もご参照ください。

あおり運転をされないための対策5つ!妨害運転罪についても解説

当たり屋は犯罪になる

あおり運転と異なり、当たり屋行為を直接処罰する規定はありません。
もっとも、当たり屋行為は、本当は被害がないのにあるかのように相手をだましてお金を払わせようとする点で詐欺罪(刑法246条)に当たる可能性があります。

また、相手を脅してお金を払わせる場合には恐喝罪(刑法249条)に該当する可能性があります。
お金を受け取っていない場合でも、当たり屋がお金を請求した時点で詐欺未遂罪または恐喝未遂罪が成立しえます。

先日、「バッグが車に当たってバックルが壊れた。弁償しろ」という当たり屋の被害にあいました。絶対に接触していないので当たり屋だと思ったのですが、要求されたお金も1万円だったし、それより関わり合いになりたくないので払いましたが…これも犯罪になるんですか?

全くだまされずにお金を払ったという場合であっても、基本的には詐欺未遂罪が成立します。
当たり屋は、一度うまくお金を手に入れると、その後も当たり屋を続けることが多いので、当たり屋だと思った時は警察にご連絡ください。

「怪我をしてまで、あるいは自分の物を壊してまでお金を取ろうとする人はいないだろう」と考えてしまうかもしれません。しかし、実際にその事故で怪我をしたのか、物が壊れたのかは慎重に見極めなければなりません。

また、世の中には怪我をしてでも、物を壊してでもお金を受け取りたいと考える人が少なからずいますので、注意してください。

当たり屋の手口の特徴

当たり屋というと、どのような手口を想像しますか。道路を走行中の車の目の前にいきなり飛び出してくるケースをイメージする人が多いかもしれません。

しかし、その方法だと大けがをしてしまうリスクがあります。
また、近年のドライブレコーダーの普及で、いきなり車の前に飛び出してくるような方法では、後から当たり屋だとすぐにバレてしまいます。近年では当たり屋の手口も巧妙化しているため、注意が必要です。

(1)スマートフォンを使った手口(歩行者の当たり屋)

これは、徐行中の車に接触又は接触を装ってスマホや携帯電話などを落とし、「壊れた」と言って修理代や弁償を要求する手口です。
元々壊れていたスマホなどを、あたかも接触によって壊れたかのように装うのが特徴です。

高額なスマホなどを用意しており、修理代などとして10万円を超える高額な費用を請求するケースも多くあります。壊れた携帯電話を用意すればいいだけなので、同様の手口で何度でも犯罪を行えてしまうのです。

優者(ゆうしゃ)危険負担の法則により、自動車対歩行者のケースでは弱者である歩行者の過失(不注意)の方が小さいと判断される傾向にあります。

自動車の運転手の中には「歩行者とぶつかれば、絶対に自動車が悪い」と勘違いをしている人さえいます。そのため、歩行者から「修理代を払え!」と言われると、応じてしまう人が多いのでしょう。

後でご説明しますが、このようなことを言われたら、まずは警察を呼びましょう。
スマホがもともと壊れていたかどうかは、すぐに分かることも多いです。相手の言いなりに支払うことは避けましょう。

(2)駐車場や狭い道でわざと走行中の車にぶつかってくる(歩行者の当たり屋)

一般道路にいきなり飛び出せば死亡するリスクがありますので、当たり屋が狙うのは駐車場でのバック中や狭い道で走行中の車です。このような場合、自動車の運転手は慎重に運転しており、速度も低速であるため、接触しても死亡するリスクは高くありません。

たとえば、車のミラーに接触して所持品が傷ついたなどと言って修理費を請求する可能性があります。当たり屋が請求するのは数千円から数万円程度なので、後々のトラブルを避けるためその場で支払ってしまう人が多いといわれています。

(3)後続車の追突を誘う(車の当たり屋)

わざとノロノロ運転をして後続車が車間距離を詰めてきたところで、急にサイドブレーキを引き、後続車に接触させるケースがあります。また、ブレーキランプをわざと点灯させずに走行し、後続車の追突を誘うケースもあります。

さらに悪質なのがあおり運転と当たり屋行為が合わさっているケースです。当たり屋の運転手がノロノロ運転をして、ターゲットの後続車がターゲットの車をあおります。

あおり行為によって苛立ったターゲットが車間距離を詰めたところで、当たり屋の運転手が急ブレーキをかけます。

自動車に限らず、走行中の自転車にぶつかってくる当たり屋もいます。
当たり屋は、車の運転中だけの問題と思わず、自転車を運転している時にも気を付けてくださいね!

当たり屋の被害に遭わないための対応策

当たり屋被害に遭わないための対応策をご紹介しましょう。

(1)ドライブレコーダーを設置して事故当時の状況を録画できるようにしておく

当たり屋の被害にあった場合、当たり屋だと示す証拠があるかが重要になります。

そこで、ご自身の車両にドライブレコーダーを設置して事故当時の客観的な状況を後々確認できるようにしておきましょう。前方に限らず後方から接触されるケースもあるので、できれば後方も録画できるタイプのドライブレコーダーを設置しておくことをおすすめします。

また、相手との会話を録音しておくのも有用です。車の外に出て相手方と話をする場合には、スマホの録音機能などをオンにしておきましょう。
組織的に当たり屋行為を行っている場合、用意周到に目撃者役まで手配していることがあります。
そのため、当たり屋被害に遭わないように証拠を確保しておく必要があるのです。

ドライブレコーダーは、当たり屋に限らず本当の交通事故の際にも、事故の原因や加害者と被害者の過失割合などを確認するために有用です。
ご自身の車にドライブレコーダーがないという場合には、これを機に設置をご検討ください。

(2)当たり屋のターゲットにされない行動を意識する

運転に十分注意していても、当たり屋の被害に遭う可能性はあります。
しかし、その場合は警察に連絡すれば当たり屋が引き下がってくれる可能性が高いでしょう。
問題なのは、「ながら運転」をしていたなど自分にも落ち度のあるケースです。何らかの落ち度があると相手の言い分を否定しきれないかもしれません。

そこで、車を運転する際は、次のような交通ルールを守って、当たり屋に付け入るスキを与えないようにしましょう。

  • 車間距離を十分にあける
  • スマートフォンを操作しながらの運転を避ける
  • バックをするときには左右を十分に確認する

特に、スマホなどを操作しながら運転している場合には、当たり屋の前後の行動が分からず、当たり屋の主張に反論できないことも少なくありません。
スマホを操作しながら運転していると当たり屋のターゲットにされる可能性が高くなりますので、スマホを操作する必要が生じたら必ず一旦停車することが大切です。

実際に当たり屋被害にあったときの対処法は?

「事故を起こした」と言われたら警察に連絡

まず、車を運転中に事故を起こした場合、運転手には次の義務があります(道路交通法72条1項)。

  1. 負傷者の救護義務
  2. 道路の安全確保義務
  3. 警察への報告義務

つまり、法律上、事故の規模を問わず、また、物損事故か人損事故かに関係なく、事故を起こした以上は警察に報告しなければいけないのです。当たり屋は、事故を起こした運転手の警察に連絡したくないという心理を逆手にとり、「警察に連絡しないから示談金を払え」などと言ってきます。

ですが、決して当たり屋の口車に乗ってはいけません。逆に、「警察に連絡する」と言うとおとなしく引き下がる当たり屋も大勢いるのです。

先ほどご説明したとおり、当たり行為は犯罪です。
警察を呼ばれて困るのは、むしろ当たり屋です。

くれぐれも「警察に連絡しない」という当たり屋の申し出に応じないようにしてください。
当たり屋であったとしても、事故直後に警察に連絡しなかったことで、当たり屋行為であることの立証が難しくなる可能性もあります。

さらに、事故の相手方から慰謝料や修理代を含め示談金の請求があっても、事故の現場で応じてはいけません。示談は書面にしなくても、口頭の約束で成立するので、注意しましょう。「相手との話し合いはめんどくさいし、保険が下りるからいい」と考えてしまうかもしれません。

しかし、任意保険に加入していても、相手の求める示談金で合意した場合にその示談金相当額の保険金が下りるとは限りません。そのため、事故の相手との話し合いはほどほどに、警察が来るのを待ちましょう。

また、「今後話し合いたい」という理由で、相手方の連絡先や相手方の加入している保険会社を聞き出しておきましょう。相手方が連絡先を教えてくれない場合でも、車のナンバーや相手方の特徴をメモしておくことをおすすめします。

逆に、当たり屋と関わりたくないとの理由で、その場を立ち去るのはやめましょう。
警察に報告するのが事故を起こした運転手の義務である以上、その義務を果たさなければ何か不利な事情があったからだと推測されてしまうリスクがあります。自分に非がないことをはっきりさせるためにも、警察の捜査に協力することが大切です。

【まとめ】自身では対処しきれない当たり屋被害に関するご相談は弁護士へ

当たり屋被害に遭ったとしても、その場でお金を払わずに警察に連絡すれば大人しく引き下がる可能性があります。しかし、目撃者を手配していた場合などお金を受け取れる見込みがある場合には、その後話し合いが長引くかもしれません。

事故の相手方がわざとぶつかってきたことを示す証拠がなく当たり屋だと証明できない場合には、両方の当事者に一定程度の過失が認められるでしょう。その場合には相手方や保険会社との示談交渉が重要となってくるので、弁護士に相談することをおすすめします。

この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

交通事故に関するメリット満載

弁護士による交通事故のご相談は何度でも無料

朝9時〜夜10時
土日祝OK
まずは電話で無料相談 0120-250-742
メールでお問い合わせ
ご来所不要

お電話やオンラインでの法律相談を実施しています