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交通事故で腕の関節が曲がらない!後遺障害等級と慰謝料について解説

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Nさんは、自動車運転中の交通事故で右腕を骨折しました。長期にわたる治療の結果、骨は無事つながったものの、事故前に比べて肘(ひじ)の関節が曲がりにくくなったことに悩んでいます。
このように、交通事故によって腕の関節などに異常が生じることを、上肢(じょうし)機能障害といいます。上肢機能障害が後遺障害と認定されると、事故の相手方(加害者)に対して後遺症慰謝料などを請求できるようになります。
この記事では、

  • 交通事故による上肢機能障害の種類
  • 上肢機能障害と後遺障害等級
  • 上肢機能障害で請求できる慰謝料の相場
  • 示談交渉などを弁護士に依頼するメリット

について、弁護士が解説します。

目次

上肢機能障害とは

まず、上肢機能障害の「上肢」「機能障害」について説明します。

(1)上肢とは

上肢とは、肩関節・肘関節・手関節(=手首)と、手指までを含めた部分をいいます。私たちが普段「腕」と呼んでいる部分です。

【上肢と上肢3大関節】

後遺障害認定(後述します)においては、肩関節・肘関節・手関節をまとめて特に「上肢3大関節」と呼びます。

(2)機能障害とは

上肢(腕)の後遺障害の種類には、欠損障害・変形障害・醜状障害・機能障害の4つがあります。
欠損障害とは、上肢の一部分を失ったことによる障害です。
変形障害とは、上肢の骨折や脱臼により、骨や関節が変形してしまったことによる障害です。
醜状(しゅうじょう)障害とは、交通事故によって傷あとややけどが残ったことによる障害です。
これらに対し、機能障害とは、関節の可動域が制限され、動きが悪くなることによる障害をいいます。

以下では、上肢機能障害のうち、特に上肢3大関節(肩関節・肘関節・手関節)に関する後遺障害の認定基準について説明します(欠損障害、変形障害、醜状障害、手指の障害については省略します)。

上肢機能障害で認定される後遺障害とは?

腕の関節障害(上肢機能障害)が後遺障害と認定されると、事故の相手方(加害者)に対して後遺症慰謝料や逸失利益(=障害によって得られなくなった将来の収入)を請求できるようになります。
そこでまず、後遺障害等級認定について説明します。

(1)後遺障害等級認定とは

事故後、治療を続けても関節の曲がり具合がもとに戻らず、症状が固定してしまうことがあります(これを「症状固定」といいます)。
この場合、所定の機関(損害保険料率算出機構など)に申請をすることにより、後遺障害の認定を受けることができます。
後遺障害は、症状の部位と程度などによって、1~14級(および、要介護1級・2級)の等級に分類されます。
1級の症状がもっとも重く、症状が軽くなるに従って2級、3級……と等級が下がっていきます。

参考:後遺障害等級表|国土交通省

認定される等級が上位になるほど、加害者に対して請求できる慰謝料なども高額になります。
以下では、上肢3大関節(肩関節・肘関節・手関節)の機能障害に関する後遺障害の認定基準について説明します。

(2)上肢3大関節の機能障害で認定される後遺障害等級とは?

上肢機能障害のうち、上肢3大関節(肩関節・肘関節・手関節)に関して認定される可能性のある後遺障害等級は、以下のとおりです。

等級認定基準
1級4号両上肢の用を全廃したもの
5級6号1上肢の用を全廃したもの
6級6号1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
8級6号1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
10級10号1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
12級6号1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

以下、それぞれについて具体的に説明します。

(2-1)1級4号 両上肢の用を全廃したもの

「上肢の用を全廃したもの」とは、上肢の3大関節(肩関節・肘関節・手関節)のすべてが強直(※)し、かつ、手指の全部の用を廃したもの(※)をいいます。
(※)強直:関節が完全に動かない、またはそれに近い状態
(※)手指の用を廃したもの:手指の末節骨の半分以上を失い、または中手指節関節もしくは近位指節間関節(親指では指節間関節)に著しい運動障害の残すもの
つまり、「両上肢の用を全廃したもの」とは、左右両腕について、3大関節のすべてが強直し、かつ、手指の全部の用を廃した状態をいいます。

(2-2)5級6号 1上肢の用を全廃したもの

「1上肢の用を全廃したもの」とは、右腕または左腕のいずれか一方において、3大関節のすべてが強直し、かつ、手指の全部の用を廃した状態をいいます。

(2-3)6級6号 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの

「関節の用を廃したもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

ア 関節が強直したもの
イ 関節の完全弛緩性麻痺(※)またはこれに近い状態(※)にあるもの
(※)完全弛緩性麻痺:体を動かそうとしても筋肉を動かせず、常にだらんとした状態
(※)これに近い状態:外から力を加えると動くものの、自力では関節の可動域が健側(=正常な側)の可動域角度の10%程度以下となったもの
ウ 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されているもの

つまり、左右いずれかの腕の3大関節中、2関節において

ア 関節が強直したもの
イ 関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態にあるもの
ウ 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の2分
の1以下に制限されているもの

のいずれかにあたると、6級6号に該当することになります。

(2-4)8級6号 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの

左右いずれかの腕の3大関節中、1関節において

ア 関節が強直したもの
イ 関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態にあるもの
ウ 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されているもの

のいずれかにあたると、8級6号に該当することになります。

(2-5)10級10号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは、次のいずれかの状態をいいます。

ア 関節の可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されているもの、または
イ 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されていないもの

したがって、左右いずれかの腕の3大関節中、1関節において

ア 関節の可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されている、または
イ 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されていないもの

のいずれかにあたると、10級10号に該当することになります。

(2-6)12級6号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

「関節の機能に障害を残すもの」とは、関節の可動域が健側の可動域角度の4分の3以下に制限されているものをいいます。
したがって、左右いずれかの腕の3大関節中、1関節の可動域が健側の可動域角度の4分の3以下に制限されているものが12級6号に該当することになります。

(3)上肢3大関節の機能障害の検査

関節の機能障害の検査は、関節の可動域を測定し、健側(=正常な側)の可動域または参考可動域の角度と比較することによって評価します。測定値は、5度単位の切り上げで記載します。
原則として他動運動(=医師が外部から力を加えて動かす)により測定しますが、他動運動による測定が適切でないものについては、自動運動(=自力で動かす)による測定値を参考にします。
測定の対象となる運動には主要運動と参考運動がありますが、関節の機能障害は、原則として主要運動の可動域制限の程度によって評価します。
ただし、上肢3大関節については、主要運動の測定値がわずかに(=原則として5度以内、「著しい機能障害」にあたるかを判断する場合は10度以内)2分の1または4分の3を上回る場合は、参考運動の可動域の2分の1または4分の3以下に制限されていれば「関節の著しい機能障害」または「関節の機能障害」と評価されます。

(3-1)肩関節の可動域測定

肩関節は、「屈曲」と「外転・内転」が主要運動、「伸展」と「外旋・内旋」が参考運動となります。「外転・内転」、「外旋・内旋」は合計値で評価します。

【肩関節の参考可動域角度】

運動方向屈曲伸展外転内転外旋内旋
参考可動域角度1805018006080

(3-2)肘関節の可動域測定

肘関節は、「屈曲・伸展」が主要運動となります。「屈曲・伸展」の合計値で評価します。なお、肘関節には参考運動はありません。

【肘関節の参考可動域角度】

運動方向屈曲伸展
参考可動域角度1455

(3-3)手関節

手関節は、「屈曲・伸展」が主要運動、「橈屈」と「尺屈」が参考運動となります。
「屈曲・伸展」は合計値で評価します。

【手関節の参考可動域角度】

運動方向屈曲伸展橈屈尺屈
参考可動域角度90702555

(3-4)前腕(3大関節に準じて扱われます。)

前腕は、「回内・回外」が主要運動となります。「回内・回外」の合計値で評価します。
なお、前腕には参考運動がありません。

【前腕の参考可動域角度】

運動方向回内回外
参考可動域角度9090

交通事故による上肢機能障害の慰謝料の相場は?

交通事故による上肢3大関節の機能障害が上記の後遺障害等級のいずれかに認定されると、事故の相手方(加害者)に対して後遺症慰謝料を請求できるようになります。
通常は、後遺障害等級が認定された後、加害者が加入する保険会社と金額などについて示談交渉を行うことになります。

後遺症慰謝料の金額(相場)を決める基準には、次の3つがあります。

  • 自賠責基準……自動車損害賠償保障法(自賠法)で定められた、必要最低限の賠償基準
  • 任意保険基準……各保険会社が独自に定めた賠償基準
  • 弁護士基準……弁護士が、加害者との示談交渉や裁判の際に用いる賠償基準(「裁判所基準」ともいいます)

どの基準を用いるかによって慰謝料の額が変わります。
3つの基準を金額の大きい順に並べると、一般に、

弁護士基準>任意保険基準>自賠責基準

となります。
上肢3大関節の機能障害が後遺障害と認定された場合の後遺症慰謝料(相場)を、自賠責基準と弁護士基準で比べてみると、下の表のようになります。

等級自賠責基準弁護士基準
1級4号1150万円2800万円
5級6号618万円1400万円
6級6号512万円1180万円
8級6号331万円830万円
10級10号190万円550万円
12級6号94万円290万円

(2020年4月1日以降に起きた事故の場合)

いずれの場合にも、弁護士基準のほうが自賠責基準よりも高額となることがお分かりでしょう。
被害者が、自分自身(または加入している保険会社の示談代行サービス)で示談交渉を行うと、加害者側の保険会社は、自賠責基準や任意保険基準を用いた低い金額を提示してくるのが通常です。
これに対し、弁護士が被害者の代理人として交渉する場合、金額の最も高い弁護士基準が用いて交渉します。
つまり、示談交渉を弁護士に依頼すると、後遺症慰謝料を含む賠償金の増額が期待できるのです。
こちらの記事もご確認ください。

交通事故慰謝料の「弁護士基準」とは?増額のポイントも解説

交通事故による上肢機能障害で逸失利益も請求できる

交通事故による腕の関節障害(上肢機能障害)が後遺障害として認定されると、加害者に対して逸失利益も請求することができます。
逸失利益とは、後遺障害によって得られなくなった将来の利益のことをいいます。
例えば、大工として生計を立てている人が、交通事故による肘の関節障害のため大工の仕事ができなくなってしまった場合、大工業により将来得られるはずだったのに得られなくなってしまった収入をいいます。
逸失利益の金額は、

基礎収入×後遺障害による労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

という計算式で算出します。

「基礎収入」は、原則として事故発生前の収入の金額が採用されます。
「労働能力喪失率」とは、後遺障害により労働能力がどれだけ失われたのか、その割合をいいます。後遺障害等級ごとに目安が定められており、上肢の3大関節の機能障害(1~12級)の場合は次のとおりです。

【労働能力喪失率】

1級5級6級8級10級12級
100%79%67%45%27%14%

つまり、100%の労働能力のうち、1級では100%、5級では79%、6級では67%……が失われたとみなされることになります。
ライプニッツ係数」とは、被害者が将来得られたはずの利益を前もって受け取ったことで得られた利益(利息など)を控除するための数値です。

逸失利益の計算についても、特に労働能力喪失期間について加害者側と争いになることが多くなります。
その際も、弁護士に依頼すれば法律的な観点から妥当な労働能力喪失期間を算定し、適正な逸失利益額を主張することができます。

なお、逸失利益については、詳しくはこちらの記事もご確認ください。

逸失利益とは?休業損害や慰謝料との違いと逸失利益の計算方法を解説

交通事故による上肢機能障害で後遺障害認定を受けるポイント

後遺障害認定を受けるためには、等級に関わらず

  • 交通事故と後遺症の間に因果関係があること
  • 医師により、症状固定(=これ以上治療しても改善も悪化もしないこと)の診断を受けること
  • 医師により後遺障害診断書を作成してもらうこと

の3つが必要となります。
この点を踏まえた上で、交通事故による腕の関節障害(上肢機能障害)で後遺障害認定を受けるポイントを説明します。

(1)検査を早めに受ける

上肢機能障害の原因が交通事故にあると証明するためには、事故後すぐに検査する必要があります。期間があくと、本当に交通事故が原因なのか因果関係を疑われてしまうからです。
上肢機能障害を診断するための検査としては、レントゲンやCT、MRI検査などがあります。これらの精密検査を、事故後すみやかに受けるようにしましょう。

(2)後遺障害診断書の内容が肝心

後遺障害の認定を受けるためには、医師により、これ以上治療しても改善の見込みがない(これを「症状固定」といいます)という診断を受ける必要があります。
後遺障害の認定を申請する際には、後遺障害診断書に症状固定の旨を記載してもらう必要があります。
また、後遺障害の認定を受けるためには、交通事故と上肢機能障害との因果関係を記載してもらうことが特に重要となります。

【後遺障害診断書】

(3)上肢機能障害の程度がわかる証拠集め

後遺障害診断書の中に、腕の関節障害(上肢機能障害)により仕事に支障が生じているとの記載があると、後遺障害認定がされやすくなります。
もっとも、後遺障害診断書に単に「仕事に支障がある」と記載するだけでは不十分です。
この場合、後遺障害診断書に加えて、経過診断書などの書類を別途用意して、仕事への支障を説明する必要があります。

交通事故の上肢機能障害について弁護士に依頼するメリット

これまで述べてきたとおり、腕の関節障害(上肢機能障害)も後遺障害に認定される可能性がありますが、簡単に認定されるわけではありません。
以下では、後遺障害の認定手続きについて、弁護士に依頼するメリットをご紹介します。

(1)弁護士は、後遺障害が認定されやすくなるコツを知っている

交通事故案件を担当してきた弁護士は、後遺障害の認定率を高める後遺障害診断書の作成方法や、資料収集のコツを知っています。
適正な等級認定がなされるよう、後遺障害診断書の内容に何を書くべきかアドバイスを受けることができます。つまり、認定されるべき後遺障害が、記載漏れや資料不足等により認定されないといった事態を防ぐことができます。
したがって、後遺障害認定の手続きを被害者本人でするよりも、弁護士に依頼するほうが認定される確率は高まります。

(2)後遺障害認定の手続きをすべて任せられる

また、後遺障害認定の手続きを弁護士に依頼すれば、申請のための面倒な作業の多くを任せられ、ご自身は治療に専念できます。

(3)慰謝料などの増額が期待できる

上で述べたように、加害者側との示談交渉などを弁護士に依頼すると、弁護士基準を用いた金額の算定により慰謝料などを増額できる可能性があります。
実際に、交通事故で上肢機能障害が生じた被害者が弁護士に依頼することによって、賠償金が増額したケースがこちらです。

【まとめ】交通事故による腕の関節障害にお悩みの方は弁護士にご相談ください

交通事故による腕の関節障害(上肢機能障害)で後遺障害が認定されるかどうかは、加害者に対して後遺症慰謝料や逸失利益を請求できるかどうかに関わるため、非常に切実な問題です。
上肢機能障害が後遺障害に認定されるためには、適切な治療・検査の受け方、後遺障害診断書の書き方にも工夫が必要です。
また、後遺障害に認定された後、加害者側との示談交渉を弁護士に依頼すれば、賠償額を増額できる可能性が高まります。
交通事故による腕の関節障害でお悩みの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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