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交通事故の葬儀関係費用として認められる金額は?算定基準とともに解説

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リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

交通事故が原因で被害者が亡くなった場合、残された遺族の心痛は計り知れないものがあります。

さらに、突然ご家族が亡くなったために、必要となった葬儀や供養についての心配もあることでしょう。

遺族の心痛は、金銭で賠償しきれるものではありませんが、交通事故で亡くなった被害者の葬儀関係費用は、加害者側に賠償金として支払ってもらうことができます。

今回の記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 交通事故の葬儀関係費用とは
  • 交通事故の葬儀関係費用として認められるものと認められないもの
  • 交通事故の葬儀関係費用の算定基準
  • 死亡事故の賠償金請求を弁護士に依頼するメリット
この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

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交通事故の葬儀関係費用とは?

「葬儀関係費用」とは、葬儀やその後の法要(四十九日法要など)・供養などを執り行うために要する費用、仏壇・仏具購入費、墓碑建立費などのことをいいます。

つまり、「お葬式」自体にかかる費用だけでなく、その後一般的に執り行われる儀式に関しての費用なども含むということです。

交通事故の葬儀関係費用として認められるものと認められないもの

交通事故の葬儀関係費用として認められるもの、認められないものについて、具体的な例をあげて説明します。

(1)交通事故の葬儀関係費用として認められるもの

交通事故の葬儀関係費用として認められるものは次のとおりです。

  • 葬儀費用
  • 遺体の処置、遺体搬送料(※)
  • 火葬費用(※)
  • 法要(四十九日忌までの法要など)
  • 供養などを行う費用(お布施、読経、戒名料など)
  • 仏壇・仏具購入費用
  • 墓碑建立費用

※なお、遺体の処置、遺体搬送料、仏壇・仏具購入費用、墓碑建立費用は葬儀費用に含めるべきとした裁判例と葬儀費用とは別の損害であるとした裁判例があります。

(2)交通事故の葬儀関係費用として認められないもの

交通事故の葬儀関係費用として認められないものは次のとおりです。

  • 香典返し
  • 弔問客の交通費
  • 四十九日忌を超える法要費用

香典収入については受け取っても、葬儀費用から香典収入を差し引く必要はありません。
その代わり、香典収入については受け取っている以上、香典返しについては損害とは認められないこととなっています。

交通事故の葬儀関係費用の算定基準

交通事故の賠償金の金額の算定基準には、「自賠責の基準」、「任意保険の基準」、「弁護士の基準」の3つの基準があります。

葬儀関係費用も賠償金の一種ですので、「自賠責の基準」、「任意保険の基準」、「弁護士の基準」によって金額を算定することになります。

(1)自賠責の基準

「自賠責の基準」とは、自動車保有者が加入を義務付けられている「自賠責保険」で採用されている基準です。国土交通大臣および内閣総理大臣が定めます(自動車損害賠償保険法16条の3)。

「自賠責の基準」は、被害者への最低限の補償を目的として設けられているので、基本的に賠償金の基準額は3つの算定基準のうち最も低くなります。

「自賠責の保険」における交通事故の葬儀関係費用

葬儀関係費用として認められるのは100万円とされています(2020年4月1日以降に発生した事故に適用)。

※2020年3月31日までに発生した事故
「自賠責の基準」は、2020年4月1日を基準に改定されており、2020年3月31日までに発生した事故については、葬儀関係費用として認められるのは60万円とされていました。
なお、資料などで60万円を超えることが明らかな場合には100万円までを限度に支払われていました。

(2)任意保険の基準

「任意保険の基準」は、各保険会社が独自に設定している非公開の算定基準です。加害者側の任意保険会社は、通常はこの任意保険の基準をもとにして慰謝料を提示してきます。基準額は、自賠責の基準と同程度か、やや高い程度であることが一般的です。

(3)弁護士の基準

「弁護士の基準」とは、過去の裁判例をもとに設定された基準です。「裁判所の基準」とも呼ばれています。

「弁護士の基準」は、弁護士に示談交渉を依頼した場合などに使われる算定基準であり、慰謝料や賠償金額は3つの算定基準の中で最も高額となることが一般的です。

「弁護士の基準」における交通事故の葬儀関係費用

葬儀関係費用として認められるのは、原則として150万円。ただし、これを下回る場合には、実際に支出した金額となります。

※なぜ150万円が上限とされているのか?

理由は3つあります。

  • 被害者の方および遺族の方の社会的地位などによって葬儀の規模や方法が違うものこともあるかと思いますが、そのような社会的地位などによる格差を全面的に認めると、かえって不公平が生じるおそれがあること
  • 葬儀関係費用は、交通事故の死亡という結果が生じていなかったとしても、いずれ支出するものであること
  • 香典収入などで遺族も最終的な負担が抑えられること(大規模な葬儀を行えば、その分香典収入も大きい)

「自賠責の基準」、「任意保険の基準」、「弁護士の基準」についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

交通事故の慰謝料を「弁護士基準」で受け取るために知っておくべきこと

(4)3つの算定基準のまとめ

3つの算定基準をまとめると次のようになります。

自賠責の基準 任意保険の基準
(未公開のため目安)
弁護士の基準
100万円 自賠責保険と同程度かやや高い程度 原則として150万円が上限

一般的に、弁護士の基準が一番高額となりますが、残念ながら、被害者やその遺族本人が示談交渉する場合には、弁護士の基準での支払いを加害者側の保険会社に合意を取り付けることは困難といえます。

その点、弁護士に示談交渉を依頼すれば、弁護士の基準が示談交渉の出発点となります。

死亡事故の示談交渉はいつはじまる?

死亡事故の場合、四十九日法要が終わったころに、加害者側の保険会社から賠償金額の提示が行われるのが一般的です。

そこで、示談に応じてしまえば、そこで葬儀関係費用を含めた示談金が支払われることになります。

もっとも、そこで示談に応じてしまうことはおすすめしません。

自賠責の基準、任意保険の基準は、弁護士の基準からみると低額であることがほとんどですが、一旦示談に応じてしまうと示談をやり直すことは基本的にできないからです。

最初の提示額での示談に応じるかどうかは、慎重に考えましょう。

150万円以上の葬儀関係費用が認められた裁判例

(1)裁判例1|銀行の支店長が死亡し大規模な葬儀が必要になった事例(200万円)

49歳男性銀行支店長が死亡し、大規模な葬儀が必要となった事案に対して、札幌地裁は次のように判断しました。

亡Aは、本件事故時、勤務会社の支店長をしていたこと、その葬儀には、亡Aの社会的地位からして相当大規模にせざるをえなかったことが認められ、…、葬儀費用として多くの費用を要したと認めることができる。これらの事情を考慮すると、亡Aの葬儀費用は200万円が相当である。

引用:札幌地裁判決平成13年7月11日(交通事故民事裁判判例集33巻4号1343頁)

※なお、この裁判例においては仏壇購入費として、上記葬儀費用200万円とは別に59万円の賠償を認めました。

(2)裁判例2|事故の被害に遭った単身赴任先と地元で葬儀を行った事例(200万円)

50歳男性会社員が単身赴任先で死亡し、単身赴任先と地元2ヶ所で葬儀を行った事案に対し、大阪地裁は次のように判断しました。

亡Aの葬儀は、季節柄遺体の運搬費用が高額に及ぶことなどから、単身赴任先である下関市で執り行われ、同費用として67万0998円を要したこと、同葬儀が遠方で執り行われたことから、亡Aの勤務先関係者が参列することができなかったため、原告X1は、亡きAの地元で再度葬儀が執り行うこととし、同費用として113万9755円を要したこと、亡Aの仏壇及び仏具代として89万3160円要したことが認められる。
以上の事実関係からすれば、亡Aの葬儀が2ヶ所において執り行われたこともやむを得ない事情があったというべきであり、同事情を考慮すると、上記270万3913円のうち200万円をもって本件事故と相当因果関係のある損害と認める。

引用:大阪地裁判決平成28年10月26日(自動車保険ジャーナル1989号174頁)

(3)裁判例3|大学生の被害者で200名を超える友人が弔問に訪れた事例(170万円)

19歳大学生が大学生として生活していた広島で葬儀を行い(なお実家は神戸市内)、葬儀には200名を超える友人が弔問に訪れた事案に対し、神戸地裁は次のように判断しました。

亡Aの葬儀は、平成26年5月11日に広島市西区で行われたこと、広島や神戸から200名を超える友人が弔問に訪れたこと、葬儀費用として177万5768円を要し、…、このうち170万円を被告らに負担させるべき相当額と認める。

引用:神戸地裁判決平成28年10月27日(交通事故民事裁判判例集49巻5号1304頁)

示談金の交渉を弁護士に依頼しましょう

被害者遺族も自ら示談金の交渉をすることはできます。
しかし、保険会社は示談金交渉を仕事とするプロです。素人である被害者(あるいはその遺族)を相手に、すんなり増額を受け入れてくれることはほぼないでしょう。また、知らない間に低い金額に合意させられていることも少なくありません。

そのため、示談交渉は、交通事故の示談に精通した弁護士に任せることをおすすめします。

(1)示談交渉を弁護士に依頼する3つのメリット

示談交渉を弁護士に依頼するメリットは次のとおりです。

  • 示談交渉を弁護士に任せて、被害者遺族の負担を減らすことができる
  • 弁護士は依頼者の正当な利益のために交渉するのが仕事であり、不当な主張には的確に反論することができる
  • 交通事故事件を扱っている弁護士には交通事故に関する豊富な知識がある

交通事故に関する豊富な知識がある弁護士に示談交渉を依頼することで、被害者遺族が保険会社に応対する必要がなくなり、精神的にも肉体的にも負担を減らすことができます。

さらに、交通事故事件を扱っている弁護士には交通事故に関する豊富な知識があり、交渉のプロですので、加害者側の保険会社の主張を検討し、必要な反論をすることとなります。被害者遺族にとって一番いい形で示談交渉を行ってくれることでしょう。

(2)弁護士費用特約が利用できれば、特約の範囲内で保険会社が弁護士費用を負担してくれる

弁護士に依頼すると弁護士費用がかかってしまいます。
しかし、弁護士費用特約が利用できれば、特約の範囲内で保険会社が弁護士費用を負担してくれます。

そもそも「弁護士費用特約」とは、被害者や被害者遺族が入っている自動車保険や火災保険のオプションとして設けられている制度です。自動車事故の賠償請求を行う際に発生する弁護士費用を保険会社が支払ってくれるのです。

被害者本人が入っている自動車保険や火災保険に弁護士費用特約がなくても、遺族が入っている自動車保険や火災保険に弁護士費用特約がオプションとして入っていれば利用できることがありますので、確認してみてください。

また、弁護士費用特約を使用しても、保険料が値上がりすることや保険の等級が下がることはありませんのでご安心ください。

【まとめ】交通事故の葬儀関係費用は葬儀にかかった費用から法要にかかった費用までさまざま

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 「葬儀関係費用」とは、葬儀やその後の法要(四十九日法要など)・供養などを執り行うために要する費用、仏壇・仏具購入費、墓碑建立費などのこと
  • 交通事故の葬儀関係費用として認められるもの
  • 葬儀費用
  • 遺体の処置、遺体搬送料(※)
  • 火葬費用(※)
  • 法要(四十九日忌までの法要など)
  • 供養などを行う費用(お布施、読経、戒名料など)
  • 仏壇・仏具購入費用
  • 墓碑建立費用
  • 交通事故の葬儀関係費用として認められないもの
  • 香典返し
  • 弔問客の交通費
  • 四十九日忌を超える法要費用
  • 葬儀関係費用についての3つの算定基準のまとめ
自賠責の基準 任意保険の基準
(未公開のため目安)
弁護士の基準
100万円 自賠責保険と同程度かやや高い程度 原則として150万円が上限
  • 事情によっては150万円を越える葬儀関係費用を獲得することも可能。
  • 個人の交渉では弁護士の基準で加害者側保険会社が応じることは難しい場合が多く、弁護士が交渉した場合にようやく弁護士の基準で応じるということが多いのが実情である。
  • 死亡事故の示談交渉がはじまる時期は、四十九日法要が終わったころに、加害者側の保険会社から賠償金額の提示が行われ、提示額をもとに示談交渉が本格化するのが一般的。

交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。

すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという完全成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。

また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様に手出しいただく弁護士費用は原則ありません。

※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。
実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。
なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各弁護士事務所へご確認ください。

(以上につき、2022年10月時点)

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