「交通事故でケガを負って首が痛い…。近くに交通事故の治療で評判の良い整骨院があるけれど、整形外科じゃなくて整骨院に通ってもいいのかな?」
交通事故の治療で評判の良い整骨院があれば、少しでも早く良くなるためにそちらに通いたくなってしまいますよね。
ですが、交通事故の治療で整形外科ではなく整骨院に通うことにはリスクがあります。
交通事故で負ったケガの治療は、まずは整形外科(病院)に通うべきであり、最初から整骨院に通うべきではありません。
なぜなら、最初から整骨院に通った場合には、交通事故でもらえる損害賠償金が少なくなってしまう可能性があるからです。
この記事を読んでわかること
- 交通事故の治療はまず整形外科(病院)に行くべき理由
- 交通事故の治療で整骨院に通う際の注意点
- 整骨院への通院でも入通院慰謝料はもらえるか
- 交通事故の賠償金請求を弁護士に依頼するメリット
東京大学法学部卒。アディーレ法律事務所では北千住支店の支店長として、交通事故、債務整理など、累計数千件の法律相談を対応した後、2024年より交通部門の統括者。法律を文字通りに使いこなすだけでなく、お客様ひとりひとりにベストな方法を提示することがモットー。第一東京弁護士会所属。
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交通事故の治療はまず整形外科(病院)に行こう!
交通事故の治療は、まずは「整形外科」(病院)に行くべきであり、最初から「整骨院」に通うべきではありません。
整骨院と整形外科の違いや、整形外科で治療すべき理由などについてご説明します。
(1)整骨院と整形外科は何が違う?
整骨院と整形外科は何が違うの?
整形外科は医師が治療にあたるのに対して、整骨院では医師が診てくれるわけではありません。
整骨院と整形外科の違いについてご説明します。
(1-1)整骨院とは?
「整骨院」とは、「柔道整復師」が施術にあたる施設です。
整骨院は、「接骨院」「ほねつぎ」などとも呼ばれます。
「柔道整復師」は、その名のとおり柔道(柔術)から派生した日本独自の伝統医療を行う資格者のことで、医師ではありません。
柔道整復師は、レントゲン検査や投薬治療などの医療行為を行うことはできず、代わりに次のような施術を行ってくれます。
- マッサージなどの手技療法
- 温めたり熱を与えたりする温熱療法などの物理療法
- 身体を動かすことで症状の軽減や機能の回復を目指す運動療法 など
(1-2)整形外科とは?
「整形外科」とは、医師(整形外科医)が治療にあたる医療機関(病院)のことです。
レントゲン検査やMRI検査などを基にケガがどのような状態であるか診断したり、ケガの診断に基づいて注射や投薬、手術などにより治療を行うことができます。
また、交通事故で保険会社などに提出する診断書を作成できるのは医師だけです。
(2)交通事故の治療はまず整形外科で行うべき3つの理由
交通事故の治療は、まず整形外科で行うべきです。
その理由には、主に次のようなものがあります。
- 整形外科なら医師による検査・治療が受けられる
- 整形外科なら後遺障害診断書を作成できる
- 整骨院では治療費がもらえない可能性がある
(2-1)理由1|整形外科なら医師による検査・治療が受けられる
交通事故で負ったケガの根本的な治療ができるのは、医師がいる病院だけです。
整形外科では、MRIなどの検査機器を使ってケガの状態を検査し、ケガの状対に応じた治療を行ってくれます。
これに対して、整骨院では医療行為を行うことができないため、根本的な治療は行ってくれず、痛みに対してマッサージをするなどのことしかできません。
(2-2)理由2|整形外科なら後遺障害診断書を作成できる
整形外科なら、「後遺障害診断書」を作成できます。
後遺障害診断書とは、「後遺障害」の認定に必要な書類です。
後遺症とは、交通事故で負ったケガがこれ以上治る見込みがなくなり、障害が残ってしまった場合のその症状のことを言います。
後遺症が残り後遺障害として認定されれば、通常、もらえる損害賠償金が増えます。
交通事故で負ったケガがこれ以上治る見込みがなくなることを「症状固定」と言いますが、症状固定の診断を下して後遺障害診断書を作成できるのは整形外科などの医師に限られており、整骨院の柔道整復師は後遺障害診断書を書くことができません。
後遺障害診断書について、詳しくはこちらをご覧ください。
(2-3)理由3|整骨院では治療費がもらえない可能性がある
整骨院に通っている場合、交通事故でもらえる損害賠償金の項目のひとつである「治療費」がもらえない可能性があります。
「治療費」とは、その名のとおり、交通事故で負ったケガの治療のために支出したお金のことであり、交通事故と相当因果関係がある範囲で補償が認められます。
整骨院の柔道整復師は医師ではないため法律上医療行為ができず、このために保険会社は整骨院に通って支払ったお金は交通事故で負ったケガの治療には必要ないと考えることがあります。
さらに、場合によっては、「入通院慰謝料」を算定する際に、整骨院への通院実績は考慮されないケースもあり得ます。
「入通院慰謝料」とは何ですか?
入通院慰謝料とは、交通事故によって負ったケガの治療のため医療機関への入院・通院を強いられたこと等により生じた精神的損害に対する慰謝料です。
医師の指示や許可なく、整骨院に通うことにしたために入通院慰謝料が減ってしまう可能性があるのです。
交通事故の損害賠償金について、詳しくはこちらをご覧ください。
それでも交通事故の治療で整骨院に通いたい!整骨院に通う際の注意点
整骨院ではなく整形外科に通ったほうがいいことは分かりましたが、それでも整骨院に通いたいです。
整骨院に通うにあたっての注意点はありますか?
どうしても整骨院に通うという場合には、いくつかの注意点を守ることが大切です。
注意点を守れば整骨院に通っても問題ないのですね?
いいえ、そうとも言い切れません。
保険会社としては、整骨院での通院期間が長くなり支払う損害賠償金が高くなるのを避けたいのが本音でしょう。
「本当に整骨院に通う必要があるのか」と保険会社から追及されたり施術内容を細かくチェックされたり、「整骨院での施術は必要ない」と思われて治療費の支払を打ち切られることもあります。
整骨院に通うのであればこれらのリスクを十分に認識したうえで通うようにしましょう。
ここからは、整骨院に通う際の主な注意点についてご説明します。
- 交通事故の後、初めは整形外科に行くこと
- 整形外科で医師から整骨院に通う指示・許可を得ること
- 整骨院に通い始めても整形外科に通うのをやめないこと
- 交通事故のケガの治療に適した整骨院を選ぶこと
(1)注意点1|交通事故の後、初めは整形外科に行くこと
交通事故に遭って最初にかかるのは、整骨院ではなく整形外科にしましょう。
交通事故の損害賠償金をもらうには、整形外科で必要な検査を受け、ケガと交通事故との因果関係があることを証明する必要があります。
整骨院ではMRIなどの精密な検査ができませんし、なにより損害賠償金をもらうために必要な診断書を作成することができません。
そのため、まずは医師のいる病院を受診するようにしましょう。
(2)注意点2|整形外科で医師から整骨院に通う指示・許可を得ること
整骨院に通いたい場合には、整形外科で整骨院に通うことについて医師の指示や許可を得る必要があります。
医師の指示や許可なく整骨院に通うと、保険会社から「整骨院への通院は治療に必要のない行為だった」とみなされ、治療費がもらえなくなる可能性があります。
整形外科の医師に整骨院に通いたい理由を伝え、指示・許可を受けたうえでそれを保険会社に伝えるようにしましょう。
(3)注意点3|整骨院に通い始めても整形外科に通うのをやめないこと
整骨院に通い始めると、ついついもう整形外科には通う必要がなくなったと思って、自己判断で整形外科に通うのをやめてしまうかもしれません。
しかし、整形外科に通うのをやめれば治療を続ける必要性がないのではないかと保険会社に疑われるおそれがあります。
また、整形外科でのみ書いてもらえる後遺障害診断書を入手することができず、後遺障害認定が受けられなくなるリスクもあります。
そのため、整骨院に通う事となった後も、医師の指示に従い病院へ通院しましょう。
(4)注意点4|交通事故のケガの治療に適した整骨院を選ぶこと
大前提として、柔道整復師の国家資格を持つ人が施術する整骨院に通うことが必要です。
できれば、医療機関と提携しているような整骨院を選ぶとよいでしょう。
「整体院」や「カイロプラクティック」の評判が良いのでそちらも考えているのですが、これらは整骨院とは何が違うのですか?
「整体院」や「カイロプラクティック」を開くには、柔道整復師などの国家資格が必要ありません。
国家資格なく開院できるため、「整体院」や「カイロプラクティック」などに通っても、治療を行っているものと認められない可能性が高まります。
整骨院への通院でも入通院慰謝料はもらえる?
整骨院への通院でも、入通院慰謝料をもらえる可能性はあります。
入通院慰謝料の計算方法や、整骨院への通院で適正な慰謝料を受け取る方法についてご説明します。
(1)入通院慰謝料の計算方法と「3つの基準」
先ほどもご説明したとおり、「入通院慰謝料」とは、交通事故により医療機関への入院・通院を強いられたこと等により生じた精神的損害に対する慰謝料です。
整骨院は病院ではないものの、整骨院で施術を受ける必要があると認められれば、整骨院であっても整形外科に通ったときと同様に入通院慰謝料をもらえる可能性があります。
入通院慰謝料は、「通院日数」や「通院期間」を基にして計算します。
もっとも、通院回数が多いからといって、それだけで入通院慰謝料が増えるわけではありません。
交通事故の損害賠償金の「3つの基準」とは
入通院慰謝料を含めた交通事故の損害賠償金には、「自賠責の基準」「任意保険の基準」「弁護士の基準」という基準に従った3種類の計算方法(3つの基準)があります。
「自賠責の基準」は、自賠責保険で採用されている基準であり、被害者への最低限度の補償を目的としているため損害賠償金の額は3つの算定基準の中で通常は最も低くなります。
(*ただし、自賠責保険は交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、被害者側の過失割合が大きい場合など、自賠責の基準がもっとも高額となることもあります。)
「任意保険の基準」は、各保険会社が独自に定めた算定基準であり、保険会社は基本的にこの基準に従って損害賠償金を提示してきます。
これらに対して、「弁護士の基準」は、過去の裁判例を基に設定された基準であり、損害賠償金の額は基本的には3つの算定基準の中で最も高額となります。
このことは、後でご説明する「交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット」と深くかかわってきます。
3つの基準について、詳しくはこちらをご覧ください。
(2)整骨院への通院で慰謝料を受け取る条件
整骨院への通院でも、治療の一環として認められれば、治療費や通院期間に応じた入通院慰謝料を請求できます。
整骨院への通院で慰謝料を受け取るためには、医師の指示・許可があることや施術の効果があることなど、整骨院における施術の必要性・相当性があることが必要です。
整骨院を含めた賠償金の請求は弁護士に相談しよう
交通事故で負ったケガの治療のために現在整骨院に通っていますが、治療費が打ち切られたり入通院慰謝料が減額されたりしないか、心配になってきました。
どうすればよいでしょうか?
整骨院に通っているからと言って、一律に入通院慰謝料などがもらえなくなるわけではありません。
まずは交通事故を扱っている弁護士に相談してみましょう。
交通事故の賠償金請求を弁護士に依頼するメリットや、弁護士費用特約についてご説明します。
(1)交通事故の賠償金請求を弁護士に依頼するメリット
交通事故の賠償金請求を弁護士に相談・依頼するメリットとして、次のようなものが見込まれます。
- 整骨院への通院の必要性を主張してくれ、適正な賠償金を獲得できる可能性が高まる
- 「弁護士の基準」での算定により、慰謝料の増額が期待できる
- 後遺症が残ってしまった場合には、適正な後遺障害等級が認定されるようにサポートしてくれる
(2)「弁護士費用特約」を使えば弁護士費用の心配は不要!
弁護士費用が支払えるか心配です……弁護士費用は高いのですか?
あなたが契約している保険に「弁護士費用特約」がついていないか確認してみてください。
弁護士費用特約が利用できれば、弁護士費用特約を使うことで限度額までの弁護士費用を保険会社が負担してくれます。
もし、弁護士費用特約が利用できなかったとしても、相談料無料・着手金無料の成功報酬制で依頼できる法律事務所もあるので、そのような法律事務所を選べば安心ですよ。
弁護士費用特約は、あなた自身の保険に付帯している特約だけでなく、一定の範囲の同居親族や別居している両親の自動車保険に付帯しているものをあなたのために使えるケースもあります。
ご自身の保険だけでなく親族の保険も確認して、あなたのために弁護士費用特約を使えないか確かめてみましょう。
また、一般的に弁護士費用特約を使っても保険料は上がらないため、安心して弁護士費用特約を使うことができます。
※弁護士費用特約による補償には上限があります。また、弁護士費用特約の利用には、被害者本人に重過失がないなどその他一定の条件を満たす必要がある場合が多いです。
【まとめ】交通事故でケガを負ったら「整形外科」に通院しよう
この記事のまとめは次のとおりです。
- 交通事故の治療は、まずは整骨院ではなく整形外科(病院)に行くべき。
- 整形外科に通うべき理由は、「医師による検査・治療が受けられる」「整形外科なら後遺障害診断書を作成できる」ことなどがある。
- 整骨院への通院でも、一律に入通院慰謝料などがもらえなくなるわけではない。
- 弁護士に依頼するメリットとして「弁護士基準での算定により慰謝料の増額が期待できる」「適正な後遺障害等級が認定されるようにサポートしてくれる」ことなどがある。
交通事故で負ったケガは、ぜひとも早く治したいもの。
早く治すためには、医師が治療にあたってくれる整形外科に行くのが一番です。
また、治療と同じくらいに、交通事故で生じた損害賠償金をしっかりと受け取ることも大切です。
適正な損害賠償金を受け取るためには、医師の指示に従い病院に通うべきと言えます。
交通事故による損害賠償金の請求は、弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。
交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、弁護士費用をあらかじめご用意いただく必要はありません。
すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。
また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様にあらかじめご用意いただく弁護士費用は原則ありません。
※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各法律事務所へご確認ください。
(以上につき、2024年9月時点)
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