「交通事故にあってけがをした。相手の保険会社から示談金が提示されたけど、交通事故の示談金って、相場はあるの?」
交通事故の被害にあってけがをした場合、加害者が任意保険に加入していると、通常は加害者の保険会社から示談の申し入れと示談金の提示があります。
ですが、保険会社の提示する示談金が相場よりも高いのか低いのか、果たして適正な金額なのか分からないという方もいらっしゃるでしょう。
保険会社から示談金の提示があったという方は、すぐに示談に応じるのは少しだけ待ってください。保険会社の提示する示談金は、弁護士が適正と考える相場よりも低額な可能性があります。
まずは、保険会社の提示する示談金がどうやって決まるのか、交通事故の示談金の相場について知っておくと、適正な金額で示談をすることが可能になります。
この記事を読んで分かること
- 交通事故における示談金の項目
- 交通事故の示談金の相場
- 交通事故の示談における4つの注意点
ここを押さえればOK!
示談金の基準には、自賠責保険の基準、任意保険の基準、弁護士の基準の3つがあり、それぞれ金額が異なります。自賠責保険は最低限の補償を目的とし、基本的に最も低額である一方、弁護士の基準は最も高額になるのが通常です。
一度成立した示談は基本的にやり直しができないため、示談交渉は慎重に行う必要があります。
また、示談交渉は適切なタイミングで行うべきで、すべての損害が確定してから示談を進めることが重要です。
さらに、過失割合も重要なポイントであり、被害者の過失が損害額から減額されるため、適正な過失割合を確認することが必要です。
なお、示談金は総額で考えるべきであり、すべての項目にこだわりすぎず、総額で納得できる場合には受け入れることも必要です。
弁護士は、専門知識や交渉力を駆使して保険会社との交渉を進め、被害者の利益を最大限にするためのアドバイスを提供します。
示談金の相場がわからず迷っている場合は、交通事故に詳しい弁護士に相談するとよいでしょう。
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東京大学法学部卒。アディーレ法律事務所では北千住支店の支店長として、交通事故、債務整理など、累計数千件の法律相談を対応した後、2024年より交通部門の統括者。法律を文字通りに使いこなすだけでなく、お客様ひとりひとりにベストな方法を提示することがモットー。第一東京弁護士会所属。
交通事故における示談金の概要
交通事故の被害にあった場合、交通事故によって被った損害を賠償するために、加害者側から被害者側に金銭が支払われます。
示談で解決する場合に被害者に対して支払われる金銭のことを、示談金といいます。
そして、交通事故における示談とは、交通事故による損害賠償の問題を、裁判などではなく、(保険会社や代理人となった弁護士を含む)当事者同士の話合いで解決することです。
示談金は、治療費や修理費、慰謝料など多岐にわたる項目を含みます。そしてその金額は、ケガなど被害の程度、過失割合などに基づいて決定されます。
請求できる示談金の項目

まずは、交通事故でケガをした場合に、加害者やその保険会社に対してどのような項目の損害賠償を請求できるのかについて確認しておきましょう。
交通事故による損害賠償の項目には、主に次のようなものがあります。
- 治療に関する損害
(治療費、薬代、入院雑費、付添看護費、入通院交通費 など) - 休業損害
- 入通院慰謝料 など

これらは、後遺症が残らず、交通事故によるけがが完治した場合であっても請求できる項目です。
さらに、後遺症が残ってしまった場合には、基本的に後遺障害等級認定を受けると次の項目の損害賠償を請求できます。
- 後遺症による逸失利益
- 後遺症慰謝料
後遺症が残っている場合には、必ず後遺障害等級認定をご検討ください。
後遺障害等級に認定されると、後遺症慰謝料や逸失利益を請求できますから、通常は示談金がさらに増額されます!
示談金の相場はどうやって決まる?~知っておきたい3つの基準~
実は、 交通交通事故の示談金には、その金額を決める基準が3つあります。
それが次の3つです。
- 自賠責の基準
- 任意保険の基準
- 弁護士の基準
それぞれの特徴は次のとおりです。
自賠責の基準 | 法令で加入を義務付けられている「自賠責保険」で採用されている基準。 被害者への必要最低限の補償を目的としており、基準額は基本的に3つの算定基準のうち最も低くなる。 上限は法令で決められており、交渉により増額される余地はない。 |
任意保険の基準 | 各保険会社が独自に設定している算定基準。 基本的に公開されておらず、保険会社によって内容・金額は異なる。 一般的には、自賠責の基準と同程度か、やや高い程度であることが多い。 |
弁護士の基準 | 過去の交通事件に関する裁判例をもとに確立した基準。 裁判以外で、弁護士が加害者や保険会社と示談交渉をする際にも用いられる。 金額目安は、3つの基準のうちでは基本的に最も高額となる。 |
(*ただし、自賠責保険は交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、被害者の過失割合が大きい場合などには、自賠責の基準が最も高額となることもあります)。

保険会社が提示する示談金は同社の基準に従った金額であって、受け取れる最大限の金額というわけではありません。
つまり、保険会社が適正と考える示談金の相場と、弁護士が適正と考える相場は違うのです。
保険会社の提示する示談金は、弁護士が弁護士の基準により交渉した場合の示談金の相場より一般的に低いといえるでしょう。
交通事故における示談金の具体例と相場
具体的に、保険会社の相場と弁護士の相場はどのくらい違うのですか?
「後遺症慰謝料」が、等級ごとに金額が決まっていて分かりやすいので、「後遺症慰謝料」について自賠責の基準と弁護士の基準を比較してご説明します!
後遺症慰謝料の基準は、認定される後遺障害等級によって金額が異なります。
具体的には、次の表の金額のとおりです。

後遺障害等級は、一番低くて14級です。
後遺障害等級14級の後遺症慰謝料の相場は、自賠責の基準では32万円、弁護士の基準では110万円です。
一番等級の低い14級であっても78万円もの差があり、一番等級の高い1級では、なんと1650万円もの差があります。
任意保険会社の基準は、各社によって異なるうえ、基本的には公開されていないため金額は確定できませんが、一般的には自賠責の基準より高いものの弁護士の基準には及びません。
そのため、保険会社が提示する示談金は、決して増額される余地がないという金額ではありません。
もちろん、全ての案件について弁護士が交渉すれば弁護士の基準の金額まで増額されるわけではありません。ですが、保険会社の考える相場と弁護士の考える相場は違っており、弁護士が交渉することにより、保険会社の提示する示談金から増額されることは本当に多いのです。
弁護士の基準というのは、弁護士でなければ使えませんか?
私が自分で交渉して、弁護士の相場に近づけることはできないのでしょうか。
もちろん、ご自身で弁護士の基準が相場と主張して保険会社と交渉することは可能です。
ただ、保険会社は、弁護士でない方が弁護士の基準を主張しても応じないことがほとんどです。
交通事故の示談における4つの注意点

交通事故の被害にあい、加害者の保険会社と示談をする際、知っておくべき注意点をご説明します。
示談における注意点は、主に次の4つです。
(1)いったん成立した示談は、基本的にやり直しができない
(2)示談交渉は適切なタイミングで行うべき
(3)過失割合もポイント
(4)示談金は総額で考える
それぞれご説明します。
(1)いったん成立した示談は、基本的にやり直しができない
交通事故の被害にあい、加害者やその保険会社と示談が成立すると、次のようなケースを除き、基本的には示談のやり直しはできません。
【示談のやり直しができる場合】
- 脅されて示談をした
- 騙されて示談をした
- 正義に反するような、著しく不当な条件で示談をした
- 示談時には全く予期していない後遺症が示談後に発覚した など
上記のような、極めて例外的なケースでは示談をやり直すことができる可能性があります。
ただし、そのような場合でも、相手が任意で示談のやり直しに応じるとは限らず、応じてもらえなければ、基本的には裁判になります。
示談をする前には、本当にすべての損害について、適正な金額の示談金が支払われているのかしっかりと検討することが必要です。
保険会社の提示する示談金額で示談をしたあとで、弁護士の基準に基づく相場はもっと高いことに気が付いても、そのような理由で示談のやり直しはできません。
保険会社から示談金の提示があった際は、弁護士の相場ではいくらなのか、弁護士に交渉を依頼したらどの程度増額の見込みがあるのかなど、まずは弁護士にご相談ください。
示談のやり直しについて詳しくは次の記事をご参照ください。
(2)示談交渉は適切なタイミングで行うべき
示談交渉は、一般的には次のタイミングで始めるのが良いでしょう。
【示談のタイミング】

示談をする際は、交通事故により生じたすべての損害について賠償金が支払われているかを確認しましょう。
示談を急いでしまうと、示談後に新たな損害が生じた(あるいは判明した)場合に対応してもらえないおそれがあります。
焦らずに、適切なタイミングで示談をすることが大切です。
交通事故により仕事を休まざるを得ず、収入が減ってしまった場合などには、保険会社に対して休業損害の先払いをしてもらえないか確認してみてもよいでしょう。
全体について示談をするのは、全ての損害額が確定した後にしてくださいね!
(3)過失割合もポイント
過失割合とは、交通事故が起こったことや損害が拡大したことについて、被害者と加害者にそれぞれどの程度の原因や責任があるのかを示す割合のことです。
過失割合は、交通事故の示談の際にはとても重要な意味を持ちます。
というのも、交通事故により被害者に損害が発生しても、被害者が最終的に受け取れる金額は、被害者の過失割合に応じて損害額から減額されてしまうからです。
これを「過失相殺」といいます。
たとえば、交通事故により被害者に100万円の損害が生じたとしても、被害者に1割の過失があった場合には、1割分(10万円)が減額されて、被害者が受け取れる金額は90万円になります。

加害者と被害者の過失割合は、事故の態様によってある程度類型化されていますが、絶対的なものではありません。
事故が起こった場所や時間帯、被害者の年齢などによって、過失割合の修正が必要になります。
保険会社から提示された示談金が、あなたの過失を前提としている金額であれば、本当にそれが適正な過失割合なのか、よく検討してください。
過失割合がおかしいと思う場合は、弁護士にご相談ください。 弁護士が交渉により、過失割合を適正な割合に修正できる可能性があります。
過失割合と過失割合の修正について詳しくは次の記事をご参照ください。
(4)示談金は総額で考える
最初にご説明したとおり、交通事故の損害賠償項目は多岐にわたります。
もちろん、不当に低額な金額で示談する必要はありませんが、 すべての項目にこだわり納得できる金額でないと示談をしないとすると、まとまるものもまとまりません。
交通事故の示談が成立するには、お互いに譲歩することも大切なのです。
そのため、ある項目については納得できないところもあるけれど、総額でみれば悪くないという場合には、最終的に受け入れることも必要です。
裁判をすれば、もらえる賠償金額が上がると聞いたこともあります。
示談をせずに裁判をすれば良いのではないですか?
確かに、どうしても交渉がまとまらなければ裁判などをする必要があります。
しかし、裁判をしたからと言って、交渉時に提示されている示談金額以上のお金が支払われるとは限りません。
裁判では医療記録を細かく検討することになるため、むしろ交渉時には明らかとなっていなかった、被害者に不利な事情が明らかとなるケースもあります。
たとえば、交渉では保険会社が不問としていた被害者に不利な事情を裁判で主張されるリスクもあるのです。
示談のプロセスと弁護士の役割
交通事故における示談は、基本的に被害者と加害者が連絡を取り合うことから始まります。
その後、保険会社が介入し、示談交渉が進められることになるでしょう。
示談交渉では、治療費や修理費、慰謝料などの具体的な金額について話し合い、合意が得られれば示談書などの書面が作成されます。
弁護士は、専門知識や交渉力を駆使して、保険会社との交渉を進めます。
また、過失割合の見直しや賠償項目の追加など、被害者の利益を最大限にするためのアドバイスを提供します。
弁護士の助けを借りることで、示談交渉のスムーズな進展や、適正な金額の示談金を得ることが期待できるでしょう。
交通事故は1件1件内容が異なるため、すべての案件において示談金が同じになることはありません。
もっとも、交通事件を数多く扱っている弁護士であれば、裁判所が適正と考える相場も知っているため、大体どの程度の示談金が適正か判断できます。
示談金の相場がわからず、示談に応じていいか迷っている…そんな方は、まずは交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。
【まとめ】交通事故の示談金について、保険会社が適正と考える相場と弁護士が適正と考える相場は異なる
今回の記事のまとめは、次のとおりです。
- 交通事故の示談金の項目は多岐にわたる。まずは、自分のケガについてどの項目の賠償を請求できるかしっかり把握しておくことが大切
- 交通事故の示談金には、「自賠責保険の基準」「任意保険の基準」「弁護士の基準」の3つの基準がある
- 3つの基準のうち、通常は自賠責保険の基準が最も低額で弁護士の基準が最も高額になる
- 保険会社から提示される示談金は、保険会社が適正な相場と考える金額であって、それ以上増額の余地のない金額ではない
- 弁護士に依頼すると、弁護士が適正と考える相場の金額に近づけるべく、保険会社と交渉をしてもらえる
- 保険会社との示談にあたっての注意点は次の4つ
(1)いったん成立した示談は、基本的にやり直しができない
(2)示談交渉は適切なタイミングで行うべき
(3)過失割合もポイント
(4)示談金は総額で考える
保険会社から示談金を提示された方は、果たして示談金の相場はいくらなのだろう、とお悩みかもしれません。
今回ご説明したとおり、交通事故の示談金の相場というのは、1つの決まった基準があるわけではありません。
保険会社の考える相場と、弁護士の考える相場はそれぞれ違い、基本的には保険会社の考える相場は弁護士の考える相場よりも低いです。
弁護士に依頼して少しでも示談金額が増額される余地があるのであれば、あえて保険会社の提示する示談金額ですぐに示談をする必要はありません。
交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、弁護士費用をあらかじめご用意いただく必要はありません。
すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。
また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様にあらかじめご用意いただく弁護士費用は原則ありません。
※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各法律事務所へご確認ください。
(以上につき、2024年12月時点)
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