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被害者が高齢者の交通事故における慰謝料の相場や逸失利益の計算方法

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kiriu_sakura

高齢者が交通事故の被害に遭った場合、加齢や病気などが原因で事故の被害が大きくなってしまうことがあります。

実際、日本における交通事故の死者数は減っている一方で、死者数全体に占める高齢者の割合は増加傾向にあります(高齢者人口の増加も原因となっています)。

では、高齢者が交通事故の被害者(ケガ・死亡)となった場合、慰謝料や逸失利益はどのようになるのでしょうか?

結論からいいますと、高齢者が交通事故の被害者の場合であっても、基本的に若い世代と違いはありませんが、家族内での立場(稼ぎ頭であるか)や事故時の就労の有無などによって金額が変わります。

加害者側の保険会社からの慰謝料・逸失利益の提案額を鵜吞みにせずに、慰謝料の相場や逸失利益の計算方法、若い年代との違いなどについて知っておきましょう。そうすれば、根拠をもって適切な額の慰謝料・逸失利益を請求することができ知らず知らずのうちに損してしまうことを回避できるでしょう。

この記事では、

  • 高齢者が被害者の交通事故の慰謝料(ケガ・死亡)
  • 高齢者が被害者の交通事故の逸失利益(ケガ・死亡)

について弁護士が詳しく解説します。

参考:高齢者の歩行中の交通事故を防ぐには|損害保険料算出機構

この記事の監修弁護士
弁護士 岡﨑 淳

早稲田大学、及び明治大学法科大学院卒。2012年弁護士登録。アディーレ法律事務所に入所して以来、佐世保支店長、丸の内支店長、北千住支店長を経て、2022年より交通部門の統括者。交通事故の被害を受けてお悩みの方々に寄り添い、真摯な対応を貫くことをモットーに、日々ご依頼者様のため奮闘している。第一東京弁護士会所属。

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交通事故の被害に遭った場合の3つの慰謝料

交通事故の被害に遭った場合、加害者に対して、治療費のほか、慰謝料も請求することができます。
「慰謝料」とは、交通事故の被害者が受けた精神的損害(=「痛い」・「つらい」などの苦痛)に対して支払われる金銭です。

交通事故の被害者が加害者に請求できる慰謝料には、次の3つがあげられます。

なお、交通事故には人身事故と物損事故がありますが、慰謝料が認められるのは原則として人身事故のみです。車やモノが壊れたことの悲しみやショックは、修理などによって賠償できると考えられているため、通常慰謝料の対象にはならないのです。

交通事故で被害に遭った場合に受け取れる慰謝料の相場

次に、交通事故で被害に遭った場合に受け取れる慰謝料の相場について見ていきましょう。

まず前提として、慰謝料の相場を知るために、慰謝料の金額を決める3つの基準を知っておく必要があります。どの基準を使うかによって慰謝料の金額が大きく異なります。

慰謝料算定基準概要
自賠責の基準自賠責の基準は、自動車保有者が加入を義務付けられている「自賠責保険」で採用されている基準です。
自賠責の基準は被害者への最低限の補償を目的として設けられているので、慰謝料の基準額は基本的に3つの算定基準のうち最も低くなりやすくなります。ただし、自賠責保険金額は、交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、過失が70%以上になってしまったなど過失割合が大きい場合には、自賠責の基準がもっとも高額となることもあります。
任意保険の基準任意保険の基準は、各保険会社が独自に設定している非公開の算定基準です。
加害者側の任意保険会社は、通常は任意保険の基準をもとにして慰謝料を提示してきます。基準額は、自賠責の基準と同程度か、やや高い程度であると推測されます。
弁護士の基準弁護士の基準は、過去の裁判例をもとに設定された基準です。弁護士に示談交渉を依頼した場合などに使われる算定基準です。
弁護士の基準による慰謝料金額(目安)は3つの算定基準のうちでは基本的に最も高額となりやすくなります。

ご紹介した3つの基準で定められている金額(目安)を小さい順に並べると、次のようになることが一般的です。

では、弁護士の基準とその他の基準とで、慰謝料の額(目安)が実際どのくらい変わってくるのか見てみましょう。
なお、任意保険の基準は非公開となっているため、自賠責の基準と弁護士の基準を比較します。いずれも2020年4月1日以降に起きた事故の場合の金額です。

(1)入通院慰謝料の相場

まず、入通院慰謝料の相場について見ていきましょう。

例えば、骨折で1ヶ月入院し、その後6ヶ月通院した場合(約3日に1度通院し、実通院日数60日)で比較してみましょう。

なお、これから紹介する金額はあくまで目安ですので、実際の状況に応じて金額が変わる可能性があります。

(1-1)自賠責の基準の場合

自賠責の基準の計算式では、次のイ・ロのうち少ない金額のほうが採用されます。

イ)実入通院日数×2×4300円
ロ)入通院期間×4300円

1ヶ月入院し、6ヶ月通院した場合(約3日に1度通院し、実通院日数60日)で計算すると、

イ)90日(入通院日数の合計)×2×4300円=77万4000円
ロ)210日×4300円=90万3000円

イとロを比べると、イのほうが少ないため、イの77万4000円(目安)が採用されます。

(1-2)弁護士の基準の場合

弁護士の基準では、入院と通院の期間によって定められた算出表があり、その表に従って慰謝料額が算出されることになります。
2種類の算定表があり、骨折などの重症の場合は別表Ⅰ、むち打ち症でレントゲンやMRIといった他覚所見がないなどの軽傷の場合は別表Ⅱを用います。
縦軸が通院期間、横軸が入院期間で、それぞれの期間が交差する箇所が慰謝料額の目安となります。

入通院慰謝料(別表Ⅰ)(単位:万円)

入院1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月13月14月15月
通院53101145184217244266284297306314321328334340
1月2877122162199228252274291303311318325332336342
2月5298139177210236260281297308315322329334338344
3月73115154188218244267287302312319326331336340346
4月90130165196226251273292306316323328333338342348
5月105141173204233257278296310320325330335340344350
6月116149181211239262282300314322327332337342346
7月124157188217244266286304316324329334339344
8月132164194222248270290306318326331336341
9月139170199226252274292308320328333338
10月145175203230256276294310322330335
11月150179207234258278296312324332
12月154183211236260280298314326
13月158187213238262282300316
14月162189215240264284302
15月164191217242266286

入通院慰謝料(別表Ⅱ)(単位:万円)

入院1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月13月14月15月
通院356692116135152165176186195204211218223228
1月195283106128145160171182190199206212219224229
2月366997118138153166177186194201207213220225230
3月5383109128146159172181190196202208214221226231
4月6795119136152165176185192197203209215222227232
5月79105127142158169180187193198204210216223228233
6月89113133148162173182188194199205211217224229
7月97119139152166175183189195200206212218225
8月103125143156168176184190196201207213219
9月109129147158169177185191197202208214
10月113133149159170178186192198203209
11月117135150160171179187193199204
12月119136151161172180188194200
13月120137152162173181189195
14月121138153163174182190
15月122139154164175183

この表をみるに、骨折等の場合(別表Ⅰ)で1ヶ月入院し、6ヶ月通院した場合の入通院慰謝料(目安)は、149万円となります。

表について引用:民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)2020(令和2年)版|公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部193頁別表Ⅰ、194頁別表Ⅱ

(2)後遺症慰謝料の相場

続いて、後遺症慰謝料の相場について見ていきましょう。

後遺症慰謝料について自賠責の基準と弁護士の基準の相場は次のとおりになります。

自賠責の基準と弁護士の基準どちらの基準を使うかによって後遺症慰謝料の金額が大きく変わることがわかります。

弁護士の基準を使って慰謝料を算定し、請求するためには弁護士へ依頼することをおすすめします。
被害者本人が加害者側の保険会社と示談交渉すると、加害者側の保険会社は自賠責の基準や任意保険の基準による低い慰謝料額を提示してくるのが通常です。これに対し、弁護士が被害者本人に代わって示談交渉や裁判を行う場合は、通常は最も高額となる弁護士の基準を使いますので、弁護士の基準に近づけた形での示談が期待できます。

交通事故は弁護士に依頼しないと損?弁護士への依頼でもらえる示談金が増える可能性も

(3)死亡慰謝料の相場

最後に、死亡慰謝料の相場について見ていきましょう。

(3-1)自賠責の基準の場合

自賠責基準では、亡くなられた方本人の死亡慰謝料は400万円です。
これに加え、ご遺族の慰謝料は次のとおりです。

ご遺族の慰謝料

ご遺族の人数金額
1名550万円
2名650万円
3名以上750万円
亡くなられた方に扶養されていた方がいた場合上の金額に+200万円

なお、ご遺族とは、原則として死亡者本人の父母・配偶者・子に限られます。

(3-2)弁護士の基準の場合

弁護士の基準では、亡くなられた本人の死亡慰謝料とご遺族の慰謝料を合算して算定します。
自賠責の基準と異なり、慰謝料の金額は、亡くなられた本人の家族内における立場によって変わりますので注意が必要となります。

具体的には、次のようになります。

亡くなられた方が一家の支柱であった場合に死亡慰謝料額が高いのは、家族が亡くなった悲しみが大きいことはもちろんのこと、さらに残された家族が経済的に困窮してしまうことが考慮されています。

高齢者であっても、一家の支柱である場合には、高額な慰謝料を受け取れる可能性があります。

後遺症が残った場合の逸失利益(将来にわたって得られるはずだった利益)

後遺症のある被害者の方は、たとえば仕事中ずっと首が痛くて仕事に集中できなかったり、ひどいときには仕事に行くことすらできなかったりすることがあります。そうなると、そのような後遺症がなければ得られたはずの収入が失われてしまいます。
このような、後遺症があるために失った、被害者の方が将来にわたって得られるはずであった利益のことを「後遺症による逸失利益」といいます。

(1)逸失利益の計算方法とは?

後遺症が残った場合の逸失利益の計算方法は、次のとおりです。

後遺症による逸失利益 = 基礎収入額 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

後遺症による逸失利益は、実務上、基礎収入に、後遺症により失われた労働能力の割合(これを「労働能力喪失率」といいます)と、労働能力喪失期間に対応した中間利息控除係数というものを掛けて計算します。

(2)高齢者で無職の場合の逸失利益はどうなる?

被害者が高齢者で無職であっても、「就労の蓋然性」がある場合には、後遺症による逸失利益が認められる可能性があります。

就労の蓋然性とは、労働能力や労働意欲があることを意味します。

例えば、定年退職後具体的な就労予定がなくても、事故当時、就労のための研修を受けていた事情などがあれば、労働能力や労働意欲があるとして逸失利益を認められる可能性があります。

なお、高齢者であっても家事従事者(主婦(夫))であった場合には、女性の平均年収額(賃金センサス)を基礎収入として逸失利益が認められる可能性があります。

賃金センサスについては次のサイトを参考にしてください。

参考:令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

<コラム>高齢者の場合の労働能力喪失期間はいつまで?

高齢者はいつまで働くのか(働けるのか)未知数の部分があります。そのため、高齢者の場合の労働能力喪失期間はいつまでとして計算するのかが問題となります。

一般に、労働能力喪失期間は原則として67歳までとされています。
後遺症が残った時点(症状固定時)で67歳を超えている場合には、簡易生命表の平均余命の2分の1までの期間を労働能力喪失期間として計算するのが原則となります(職種や健康状態、地位などに左右される可能性があります)。

なお、67歳以下であっても被害者の平均余命の2分の1よりも短くなる場合には、平均余命の2分の1までを労働能力喪失期間とします。

参考:令和2年簡易生命表の概況|厚生労働省

交通事故により亡くなられた場合の逸失利益(将来にわたって得られるはずだった利益)

交通事故で被害者が亡くなられた場合でも、被害者が将来にわたって受けられるはずであった利益(逸失利益)を受け取れることがあります。

(1)逸失利益の計算方法とは?

交通事故で被害者が亡くなられた場合の逸失利益の計算方法は、後遺症が残った場合の逸失利益の計算方法とは少し異なり、次のとおりになります。

死亡逸失利益 = 基礎収入額 × (1-生活費控除率) × 就労可能年数に対応するライプニッツ係数(※)

※「就労可能年数」は、生存していれば働けていたであろう年数のことをさし、労働能力喪失期間と同様に算出します。

<コラム>生活費控除率ってなに?

被害者が亡くなられた場合、逸失利益という損害が発生する一方で、被害者が生きていた場合に支出していたはずの生活費がかからなくなります(生活費は収入を得るための経費であるとして控除するという考えもあります)。そのため、亡くなられたことによる逸失利益の算定では、収入から被害者本人が必要としたであろう生活費相当額が控除されます。

(2)被害者が受給していた年金はどうなる?

被害者が受給していた年金が、本人が亡くなられたことによって受け取れなくなった場合、年金について逸失利益に考慮されるのでしょうか。

被害者が亡くなられた時に年金等の支給を受けていた場合には、年金の受給について、逸失利益が認められるのが原則です。

もっとも、障害年金などについては、逸失利益として認められますが、子や配偶者の加給分については、逸失利益として認められていません。
また、遺族年金なども、逸失利益として認められていません。その理由としては、被害者自身の生計の維持を目的とした給付という性格を有するものであること、被害者自身が保険料を出しておらず、給付と保険料との関係性が間接的であり、社会保障的性格が強い給付であること、が挙げられています。

このように、「年金」とひとことでいっても、多数の種類があるため、被害者が年金を受給されていた場合には、どの年金が逸失利益として認められるのかどうか、一度弁護士にご相談ください。

なお、死亡事故が起きたときにご遺族が行うべき相続手続きなどについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

交通死亡事故が起きたときの相続の流れ・遺族がやるべきこととは

高齢者が被害者の場合に賠償金請求を弁護士に依頼するメリット

高齢者が交通事故被害者となった場合には、賠償金請求を弁護士に依頼することをおすすめします。

高齢者自身が、治療やリハビリを行いながら賠償金交渉を行うことは、精神的・肉体的負担が大きいケースも少なくなくありません。また、ご遺族も、家族が亡くなられて大変な時期に、相続手続きを行ったりしなければならないなどで忙しく、それと並行して適切な額の賠償金交渉を行うことはかなりの労力がかかります。
弁護士に賠償金請求を依頼することで、交通事故被害者である高齢者(亡くなられた場合にはご遺族)にかかる負担を減らすことができます。

また、賠償金請求を弁護士に依頼することには次のようなメリットがあります。

  • 慰謝料の金額が一番高額となりやすい「弁護士の基準」を使うことができる
  • 加害者側の保険会社からの提示に対して適切なアドバイスを受けることができる
  • 保険会社からの言葉や提案額を鵜吞みにし、知らず知らずのうちに損してしまうことを回避することができる

高齢者の方が被害者の場合に弁護士がサポートしたことによって高額な賠償金を獲得できた事例についてはこちらをご覧ください。

【まとめ】高齢者が交通事故の被害者の場合であっても基本的には若い世代と同じ|家族内での立場(稼ぎ頭であるか)や就労状況によって変わることも

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 交通事故の被害に遭った場合の慰謝料とは、入通院慰謝料・後遺症慰謝料・死亡慰謝料の3つ。
  • 慰謝料の相場には、自賠責の基準・任意保険の基準・弁護士の基準の3つの算定基準があるが、基本的に弁護士の基準が一番高額となりやすい。
  • 後遺症が残った場合の逸失利益は高齢の無職者(就労の蓋然性がある場合)や家事従事者であっても認められることがある。
  • 交通事故により死亡した場合の逸失利益は被害者が受給していた年金が考慮されることがある。

その他、交通事故被害者の方がよくされる質問についてこちらにまとめておりますので、ご覧ください。

高齢者が被害者の場合には、弁護士に依頼し、被害者本人やご遺族にかかる賠償金交渉の負担を少しでも軽減されることをおすすめします。また、弁護士に依頼することで慰謝料の金額が一番高額となりやすい弁護士の基準を使うことができます。

高齢者が交通事故被害者となった場合の賠償金請求は、アディーレ法律事務所にご相談ください。

アディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。

すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという完全成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。

また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様に手出しいただく弁護士費用は原則ありません。
※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。
実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。
弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各弁護士事務所へご確認ください。

(以上につき、2022年3月時点)

交通事故の被害にあって賠償金請求のことでお悩みの場合は、交通事故の賠償金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。

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