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上肢機能障害とは?各等級の認定基準と慰謝料の目安を事例付きで解説

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交通事故のケガで上肢に後遺障害が残ってしまった場合には、後遺障害等級認定を受けて、後遺障害にかかる慰謝料などの損害賠償を請求します。

上肢の後遺障害は、欠損障害、機能障害、変形障害にわけられ、それぞれ障害の程度別に等級が定められています。

今回の記事では、特に上肢の機能障害について、等級の認定基準と、後遺障害慰謝料の目安などについて解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 村松 優子

愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。岡﨑支店長、家事部門の統括者を経て、2018年より交通部門の統括者。同年よりアディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが身近な存在となり、依頼者の方に、水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

上肢機能障害とは?

上肢とは、肩から手指までの部分を指します。
上肢にある、肩関節・ひじ関節・手関節(手首)を「上肢3大関節」と呼んでいます。
手首よりも先の後遺障害は、「手指」の後遺障害として、上肢とは別の項目で後遺障害等級認定の対象となります。

上肢機能障害とは、上肢3大関節のすべてが動かなくなったり、いずれかの関節が動かなくなったり、また動かせる範囲が狭くなったりすることをいいます。

上肢機能障害の等級認定基準

上肢機能障害には、次の表のように、6つの等級が設けられています

等級障害の程度
第1級4号両上肢の用を全廃したもの
第5級6号1上肢の用を全廃したもの
第6級6号1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
第8級6号1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
第10級10号1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
第12級6号1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

上肢の機能障害が後遺障害認定を受けるためには、原則として、画像などにより、上肢の器質的な損傷(骨折、脱臼や神経の損傷など)が原因となり、関節などへの影響が認められることが必要です。

6つの等級について、次で詳しく説明します。

(1)第1級4号:両上肢の用を全廃したもの

「上肢の用を全廃したもの」とは、肩関節・ひじ関節・手関節のすべてが強直し、かつ、手指もすべて動かなくなった状態をいいます。
上腕神経叢の完全麻痺も「上肢の用を全廃したもの」に含まれます。
一方の上肢ではなく、左右両方の上肢の用を全廃した場合に、第1級4号に認定されます。

(2)第5級6号:1上肢の用を全廃したもの

「1上肢の用を全廃したもの」とは、左右どちらかの上肢について、肩関節・ひじ関節・手関節のすべてが強直し、かつ、手指すべて動かなくなった状態をいいます。
左右どちらかの上腕神経叢の完全麻痺もこれに含まれます。

(3)第6級6号:1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの

「関節の用を廃したもの」は、次の1〜3のいずれかに該当するものをいいます。

  1. 関節が強直したもの(ただし、肩関節の場合はエックス線写真により肩甲上腕関節が癒合し骨性強直していることが確認できるものを含む)
  2. 関節の完全弛緩性麻痺、又はこれに近い状態にあるもの(「近い状態」とは、他動では可動するが、自動運動では関節の可動域が、健側(障害のない側)の可動域角度の10%程度以下となったもの)
  3. 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節の可動域が、健側の可動域角度の2分の1以下に制限されているもの(主要運動が複数ある関節に人工関節又は人工骨頭を挿入置換した場合は、主要運動のうち1つの可動域が健側の2分の1以下に制限されているもの)

片方の肩関節・ひじ関節・手関節のうち、2つの関節について上の1〜3のいずれかに該当すれば、第6級6号に認定されます。

(4)第8級6号:1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの

片方の肩関節・ひじ関節・手関節のうち、1つの関節について「関節の用を廃したもの」とされる上記3つの場合のいずれかに該当すれば、第8級6号に認定されます。

(5)第10級10号:1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは、次の1・2のいずれかに該当するものをいいます。

  1. 関節の可動域が、健側の可動域角度の2分の1以下
  2. 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が、健側の可動域角度の2分の1よりも動くもの

片方の肩関節・ひじ関節・手関節のうち、1つの関節について、上記1・2のいずれかに該当すれば、第10級10号に認定されます。

(6)第12級6号:1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

「関節の機能に障害を残すもの」とは、関節の可動域が、健側の可動域角度の4分の3以下に制限されているものをいいます。

片方の肩関節・ひじ関節・手関節のうち1つの関節の可動域が、健側の可動域角度の4分の3以下であれば、第12級6号に認定されます。

上肢機能障害の程度(可動域)の測定方法

上肢の機能障害は、関節の可動域がどの程度制限されているかに応じて評価されます。
機能障害は、原則として、主要運動(各関節における日常の動作において最も重要なもの)の可動域の制限の程度によって評価されますが、例外的に参考運動(日常動作において主要運動ほどには重要でない動き)の可動域の制限の程度も考慮されることがあります。

関節の部位主要運動参考運動
肩関節屈曲、外転・内転伸展、外旋・内旋
ひじ関節屈曲・伸展なし
手関節屈曲・伸展橈屈(とうくつ)・尺屈

可動域は、5度単位で測定されます。

関節別の測定方法については、次のサイトを参考にしてください。

上肢機能障害が認められる場合の後遺障害慰謝料の目安

上肢機能障害として後遺障害の等級認定がなされると、後遺障害慰謝料(後遺症慰謝料)を受け取ることができます。
後遺症慰謝料とは、後遺障害が残ったことにより受ける精神的苦痛に対する金銭的補償です。

後遺症慰謝料の算定方法は、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判所基準(弁護士基準)の3種類あり、どの算定方法で計算するかによって額が変わってきます。

後遺障害等級後遺症慰謝料額
自賠責保険基準任意保険基準裁判所基準
(弁護士基準)
第1級6号1150万円(被害者に被扶養者がいる場合は1350万円)基準は未公開だが、自賠責保険基準と裁判所基準の間の一定の金額となることがほとんど2800万円
第5級7号618万円1400万円
第6級7号512万円1180万円
第8級7号331万円830万円
第10級11号190万円550万円
第12級7号94万円290万円

どの等級をみても、裁判所基準(弁護士基準)は自賠責保険基準の2倍以上となっていることがわかります。
後遺障害は、等級が高ければ高いほど、認められる後遺症慰謝料の額も高くなり、どの算定基準で計算するかによって得られる慰謝料の差も多額になります。

被害者が適切な賠償を受けるためには、被害者にとって一番有利となる裁判所基準(弁護士基準)で計算されることがポイントとなります。

しかしながら、自分で任意保険会社に裁判所基準(弁護士基準)で後遺症慰謝料を算定するよう請求しても、まず応じてもらえないでしょう。

弁護士が、場合によっては訴訟も辞さない姿勢で毅然と保険会社と交渉することによって、裁判所基準(弁護士基準)で話し合うことができるようになりますので、一度弁護士に相談することをお勧めします。

上肢機能障害が認められる場合の逸失利益

後遺障害等級の認定を受けると、等級に応じて、損害賠償の一項目として逸失利益を請求することができます。

逸失利益とは、事故に遭わなければ得られたはずの収入、すなわち後遺障害のために失ってしまう将来得られたはずの収入のことをいいます。

一人一人、将来実際にどれくらいの収入を失うかを正確に計算することはできません。
将来のことであり、失う収入額については不確かであるからです。

そのため、後遺症による逸失利益は、実務上、基礎となる年収額に、後遺症により失われた労働能力の割合(「労働能力喪失率」といいます)と、労働能力を失う期間(「労働能力喪失期間」といいます)の中間利息控除のためのライプニッツ係数を掛けて計算します。

具体的な計算式は、次の通りです。

【有職者または就労可能者】
1年あたりの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

下肢機能障害の後遺障害等級別の労働能力喪失率は、次の表のとおりです。

後遺障害等級労働能力喪失率
第1級100%
第5級79%
第6級67%
第8級45%
第10級27%
第12級14%

また、労働能力喪失期間とは、後遺障害によって働けなくなった期間のことをいいます。

労働能力喪失期間は、基本的に、症状固定日から、一般的に仕事を辞めて引退する年齢である67歳までの期間か、被害者の平均余命の2分の1の、どちらか長い方の期間となります。

18歳未満の未就労者の場合は、仕事を開始するであろう18歳または22歳を就労の始期として計算することがあります。この場合の労働能力喪失期間は、「67歳-22歳(又は18歳)」となります。

労働能力喪失率や喪失期間は、基本的には上記のように計算しますが、個別具体的な事例では、任意保険会社と見解が異なり争いが生じることがあります。

上肢機能障害が認められ、賠償金に反映された事例

アディーレ法律事務所は、交通事故の被害者からの損害賠償請求について取り扱っております。

解決事例のなかから、上肢機能障害の後遺障害等級認定を受けて、それが賠償金に反映された2つの事例を紹介します

(1)弁護士のサポートで後遺障害等級の認定を受け、賠償金1500万円以上を獲得した事例

<事案>
交通事故の被害に遭ってケガをしたMさんは、半年程度治療しましたが、手に痛みが残って完治しなかったことから、不安になりアディーレ法律事務所に相談し、後遺障害等級認定申請と、示談交渉について依頼しました。

<弁護士による後遺障害等級認定申請・示談交渉>
弁護士が必要な資料を収集し、後遺障害等級認定申請を行ったところ、「1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」として第12級6号の後遺障害等級認定を受けました。

その後、弁護士は任意保険会社と示談交渉を行い、後遺症慰謝料については裁判所基準の満額、入通院慰謝料も150万円以上を獲得しました。逸失利益についても、労働能力喪失期間について粘り強く交渉した結果、1000万円以上を獲得することが出きました。

<最終的な賠償額>
総額1500万円以上で示談成立となりました。

(2)弁護士の主張により、収入減がなくても1200万円以上の逸失利益が認められた事例

<事案>
横断歩道を自転車で走行していたUさんは、右折してきた自動車に衝突され左肩骨粉砕骨折などのケガを負いました。
半年間治療しましたが、左肩に痛みが残ってしまったため、後遺障害等級認定申請をしたところ、「1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」として第12級6号の後遺障害等級認定を受けました。

その後、任意保険会社から示談案が提示されましたが、逸失利益が一切認められなかったことに納得がいかなかったUさんは、アディーレ法律事務所に相談し、示談交渉を依頼しました。

<弁護士による示談交渉>
Uさんは事故により仕事内容が変わりましたが、実際の収入は減っていませんでした。このような場合、任意保険会社は逸失利益を認めない傾向にあります。

しかしながら、弁護士は、Uさんがリハビリや仕事を懸命にこなしてきたために収入が減らなかったものであり、収入減がないからといって逸失利益が認められないのはおかしいと粘り強く交渉しました。

また、入通院慰謝料と後遺症慰謝料については裁判所基準で算定するよう強く求めました。
その結果、0円であった逸失利益を1200万円以上認めさせることができました。
入通院慰謝料も弁護士交渉前の約3倍となりました。

<最終的な賠償額>
保険会社の提示金額から1300万円以上増額し、1900万円以上で示談が成立しました。

【まとめ】上肢機能障害についてはアディーレ法律事務所にご相談ください

上肢機能障害とは、肩関節・ひじ関節・手関節のすべてやいずれかが動かなくなったり、動かせる範囲が狭くなったりする後遺障害のことをいいます。

後遺障害が残った時には、被害回復のために適切な損害賠償を受け取ることが極めて重要です。

交通事故の損害賠償や任意保険会社からの示談案について、適切な額がいくらなのか不明だったり、納得できない点があったり、示談交渉がストレスなどお悩みの点がありましたら、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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