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働き方改革で残業関連のルールはどう変わった?6つのポイントを解説

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近年、「働き方改革」という言葉をいろいろな場所で耳にすることが多くなったのではないでしょうか。

時代背景や価値観が変化し、働く人々の生活スタイルも多様化したことなどによって、古くから続いてきた「働き方」についてのルールを見直す必要があることについては、従来から議論が続けられてきました。
それは、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や、育児や介護との両立といった働く人々のニーズへの対応など、日本が直面しているさまざまな課題を克服するための環境づくりへの努力でもあります。

そして、「働き方改革」を推進するための法律が成立・施行され、理念の実現に向けた取り組みが動き始めました。
この働き方改革によって、残業に関連したルールはどう変わったのでしょうか。
働く人々の労働環境には、具体的にどのような影響が及んでくるのでしょうか。

今回は、そうした点について、解説していきます。

長時間労働の是正は、働き方改革の目標のひとつ

2019年4月、「働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)」の施行に関連して、次の8つの労働法が改正されました。

  1. 労働基準法
  2. じん肺法
  3. 雇用対策法
  4. 労働安全衛生法
  5. 労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運用の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)
  6. 労働時間等設定改善法(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法)
  7. パートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)
  8. 労働契約法

働き方改革の目的は、国を挙げて「一億総活躍社会」の実現を目指すことにあります。

働き方改革の具体的な目標としては、「長時間労働の是正」「多様で柔軟な働き方の実現」「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」が挙げられています。

参考:働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて~│厚生労働省

今回は、「長時間労働の是正」に向けて見直されたルール(法的な規制や努力義務)のうち、残業に関する6つのポイントについて解説していきます。

働き方改革で変わった残業関連のルール(1)時間外労働の上限規制が厳格化

労働基準法では、「法定労働時間」は、原則として1日8時間以内・週40時間以内と定められています(労働基準法32条1項、2項)。
労働者に時間外労働(法定労働時間を超えた労働)をさせる場合には、使用者は、「労働基準法第36条に基づく労使協定(以下、36協定)」を、労働組合や労働者の代表との間で締結する必要があります。

働き方改革関連法の施行前は、時間外労働の上限については、厚生労働大臣が基準を定め、この基準に関し、行政指導が行われるのみで、法的に強行的な効力は認められておりませんでした。

働き方改革関連法の施行によって、時間外労働の上限が罰則付きで法的に設けられました。

(1)いわゆる「残業」と法律的な「時間外労働」の違い

いわゆる「残業」というと、会社ごとの「所定労働時間」を超える労働時間を指す言葉として使われることが多いでしょう。

例えば、就業規則で始業時刻9時、終業時刻17時、休憩時間12〜13時と定められているケースでは、所定労働時間は7時間であり、9~19時まで勤務したときのいわゆる「残業」は2時間ということになります。

一方で、法律的には、労働基準法で定められている「法定労働時間(1日8時間・週40時間)」を超える時間のことを「時間外労働」と呼んでいます。
上述のケースであれば、9~19時まで勤務したときの「時間外労働」は1時間となります。

法定労働時間内の「残業」には通常の賃金が、「時間外労働」には所定の割増率が加算された賃金が、それぞれ残業代として支払われることになります。
なお、就業規則等で法定労働時間内の「残業」にも所定の割増率が加算された賃金を支払うとの定めがあれば、割増率が加算された賃金が支払われます。

休日出勤についても、注意すべき点があります。
会社ごとの「所定休日」と、法律上の「法定休日(1週間につき少なくとも1日の休日)」は別個のものであり、法律上の「休日労働」は法定休日に勤務することを指しています。

そのため、法定休日以外の所定休日の勤務は、法定労働時間内での労働や時間外労働としてカウントされ、法律上の「休日労働」にはあたらないことになります。

休日労働の時間は、法定労働時間や時間外労働には含まれない部分のことを指しており、その部分に対応する賃金にのみ、休日労働独自の割増賃金率35%が適用されます。

(2)時間外労働の上限は、原則として月45時間・年間360時間

時間外労働の上限規制は、大企業に対しては2019年4月から、中小企業に対しては2020年4月から適用されています。

また、一部の業種や業務は、適用が2024年4月まで猶予されたり、適用が除外されたりしています。

「中小企業」の範囲や、「時間外労働の上限規制が猶予・除外となる業種・業務」の具体的な詳細などについては、厚生労働省が作成しているパンフレットが参考になります。

参考:時間外労働の上限規制 わかりやすい解説|厚生労働省

働き方改革関連法で設けられた「時間外労働の上限」の内容は、以下のようになっています。

時間外労働の上限は、原則として、月45時間・年間360時間です。

繁忙期やトラブル対応等、36協定で定めた「特別な事情」に該当する場合も、以下の条件を守らなければいけません。

  • 時間外労働の年間合計が720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計が月間100時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計について、2〜6ヶ月平均がいずれも80時間以内
  • 時間外労働が月間45時間を超えて良いのは、年間6回まで

参考:働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて~|厚生労働省

働き方改革で変わった残業関連のルール(2)労働時間の記録と把握が義務化

従来も厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」は存在していましたが、使用者に労働時間の適正な把握及びその管理の義務があることを明文化した法律は存在しませんでした。又このガイドラインでは、「裁量労働制」の適用者や、いわゆる管理職等の「管理監督者」は、労働時間把握の対象外となっていました。

参考:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定)|厚生労働省

働き方改革関連法の施行によって、2019年4月以降は、裁量労働制の適用者や管理監督者も含めた労働者の労働時間を把握することが、使用者に対して義務付けられました(労働安全衛生法(労安衛法))。

ある行為が「労働時間」にあたるかどうかは、「客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうか」で判断されます。
例えば、業務時間前後の清掃、研修参加、業務時間外の学習などに費やした時間についても、それが会社の指示のもとで行われているものであれば、「客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれている」と評価できるため、労働時間に含まれることになります。

労働時間の把握は、原則として、タイムカードやPC使用時間等を記録して客観的に行うことが求められます。
客観的な記録が難しい場合には、使用者が記録した始業・終業時刻や、労働者が自ら記録した労働時間報告書等による自己申告も、止むを得ないものとして認められることがあります。
使用者は、労働時間の状況を記録した上で、3年間保存する義務があります。

働き方改革で変わった残業関連のルール(3)中小企業の時間外労働での割増賃金率アップ

時間外労働(1日8時間・週40時間を超える労働時間)に対しては、所定の割増賃金が給与に加算されます。
この際の割増賃金率は、これまで、60時間以下は大企業も中小企業も25%、60時間を超える部分については大企業が50%、中小企業が25%とされていました。

これが、働き方改革関連法の施行によって、中小企業でも、60時間を超える労働時間分に対する割増賃金率が50%に引き上げられることになりました。

この点については、適用が2023年4月1日とされていますので、実際に引き上げられるのは同日以降ということになります。

参考:働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて~(P.11)│厚生労働省

働き方改革で変わった残業関連のルール(4)フレックスタイム制での時間外労働の算出方法

フレックスタイム制とは、就業規則や労使協定で一定の条件を定めた上で、労使協定にて定めた一定の期間(清算期間)を平均した1週あたりの労働時間が週の法定労働時間を超えない範囲で、使用者が1週または1日の法定労働時間を超えて労働者を就労させることが可能とされると同時に、労働者が各労働日における始業・終業の時刻を決めることができる制度です。労働者が自ら労働時間の調整を行うことができることに大きな特徴があります。

フレックスタイム制適用者のいわゆる所定労働時間は、「清算期間」単位で定めることとなっています。
時間外労働の算出にあたっては、一定の期間(清算期間)を区切って、実際の労働時間と、当該清算期間における法定労働時間の総枠とを比較します。
清算期間内で計算した結果、法定労働時間の総枠から超えた部分として算出された労働時間が時間外労働時間となります。
フレックスタイム制においては、特定の労働日に8時間を超えて労働した、あるいは特定の週において40時間を超えて労働したとしても、時間外労働と扱われず、あくまで清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間のみが時間外労働として扱われます。

清算期間の上限については、従来は1ヶ月でしたが、働き方改革関連法の施行によって、2019年4月以降は、3ヶ月まで引き上げられました(労働基準法第32条の3第1項第2号)。

清算期間が1ヶ月を超える場合は、労使協定の届出が必要です。

また、清算期間が1ヶ月を超える場合には、以下の基準を守る必要があります。

  • 清算期間全体の労働時間が、週平均40時間以下
  • 1ヶ月の労働時間が、週平均50時間以下

働き方改革で変わった残業関連のルール(5)「勤務間インターバル」制度の導入を努力義務化

残業には直結しないポイントではありますが、残業を含む労働に関するルールのひとつとして、ここでも触れておきたいと思います。

働き方改革関連法の施行によって、2019年4月以降、使用者には「勤務間インターバル制度」の導入が努力義務化されました(労働時間等設定改善法)。

勤務間インターバル制度とは、労働者の生活時間や休息時間の確保を目的として、前日の終業時刻から翌日の始業時刻までの間に、一定時間の空白(インターバル)を設けることを内容としています。

フレックスタイム制適用者については、インターバルを確保することで翌日の労働時間数が変動するような場合には、清算期間内で労働時間の清算が行われます。

参考:勤務間インターバル制度|厚生労働省

働き方改革で変わった残業関連のルール(6)5日以上の年次有給休暇の取得が義務化

これも残業に直結するポイントではありませんが、労働に関連するルール改正であることから、ここで触れておきたいと思います。

働き方改革関連法の施行によって、2019年4月以降、年次有給休暇を10日以上保有している労働者(管理監督者を含む)に対しては、年間5日は有給休暇を与えて消化させることが、すべての企業における使用者に対して義務化されました(労働基準法39条7項)。

この「5日」については、使用者が、労働者の意見を尊重した上で、取得させる時季を指定することとなっています。
ただし、すでに5日以上の有給休暇を取得済み・もしくは取得予定が決まっている労働者に対しては、使用者は時季指定をする必要はありませんし、することもできません。

参考:年次有給休暇の時季指定義務|厚生労働省

もっとも、年次有給休暇は、原則としては「労働者が請求する時季に」与えなければならないこととなっています。
使用者には、その時季の有給休暇の取得が事業の正常な運営を妨げる場合にのみ、取得時季を変更する「時季変更権」が認められます(労働基準法37条5項)。

【まとめ】長時間残業や残業代請求でお困りの方は弁護士にご相談ください

働き方改革では、今回取り上げたようなポイントで、長時間労働の是正に向けた法的措置が取られています。

使用者が法律にのっとった残業運営を行ってくれずに困っている場合などは、弁護士にご相談ください。

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