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運送会社の従業員が物損事故!誰が修理代を負担する?

作成日:更新日:
LA_Ishii

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「運送会社で勤務中に物損事故を起こしてしまった!修理代は、自分ひとりが負担することになる?」

運送会社で働くあなたが、勤務中に物損事故を起こしてしまった場合、修理代は誰が負担するのでしょうか?
突然の事故に動揺し、会社からの対応に不安を感じているかもしれません。
しかし、事故を起こした従業員が、法的に修理代を全額負担すべきとされるケースはめったになく、多くの場合で会社も修理代などの賠償責任を負うことになるでしょう。

本記事では、物損事故における修理代の負担について、法的な観点から弁護士が解説します。
この記事が、あなたが適切に対応し、安心して仕事に取り組むための知識を得る際の役に立てば幸いです。
さあ、一緒に確認していきましょう。

この記事を読んでわかること

  • 業務中の事故で生じた修理代は誰が負担するのか
  • 就業規則に特別な規定がある場合について
  • 会社の対応に納得できない場合の対処法

ここを押さえればOK!

運送会社での物損事故は、主に運送業務中に発生する車両や貨物の損傷事故を指し、交通事故や荷物の積み下ろし時の破損、駐車中の接触事故などが含まれます。
これらの事故は運送業務の特性上避けられないリスクであり、運転ミスや不注意、過労、悪天候などが原因となります。物損事故が発生した場合、その修理代の負担が問題となり、従業員と会社の間でトラブルが生じることがあります。

従業員に故意・過失がある場合、従業員も責任を負うことがありますが、会社も責任を負うことがあります。
従業員が全額負担するケースは稀で、負担割合は事故の状況や過失の程度などに応じて調整されます。

物損事故後の修理代負担について会社と話し合う際には、事故の詳細な状況を記録し、証拠を確保することが重要です。
会社の対応に納得できない場合は、上司や担当部署だけでなく、労働基準監督署や弁護士に相談することも検討してください。
場合によっては転職を検討することも一つの選択肢です。

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些細な疑問や不安、お気軽にご相談ください!

この記事の監修弁護士
弁護士 山内 涼太

東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。

運送会社での物損事故とは?

運送会社での物損事故は、主に運送業務中に発生する車両や貨物の損傷事故です。
これには、運転中の交通事故や荷物の積み下ろし時の破損、さらには駐車中の接触事故などが含まれます。
物損事故は、運送業務の特性上避けられないリスクであり、運送会社と従業員の双方にとって大きな問題となります。
事故の原因としては、運転ミスや不注意、過労による判断ミス、さらには悪天候や道路状況の悪化などが挙げられます。
これらの事故が発生した場合、修理代の負担が問題となり、従業員と会社の間でトラブルが生じることも少なくありません。

物損事故の修理代は誰が負担するのか?

運送会社で勤務中に物損事故を起こした場合、その修理代を誰が負担するのかは多くの運送業従事者にとって重要な問題です。

基本的には、事故の責任がどちらにあるかによって負担者が決まります。
たとえば、運転者に故意・過失がある場合は、運転していた従業員もその責任を負うことになりますが、会社側も一定の責任を負うことがあります。

第三者に生じた損害について

第三者に損害が生じた場合、一次的に責任を負うのは従業員です(民法第709条)。
従業員の故意・過失によって生じた損害は従業員が賠償しなければなりません。

しかし、勤務中の事故であれば、従業員だけでなく会社も責任を負うことになる可能性が高いです(民法第715条)。
これは、会社が従業員を使って利益を得ている以上、そのリスクも負担するべきという考え方(報償責任の原理)です。
また、運送会社は、運転業務という、事故の危険のある行為を従業員にさせているのだから、いざその危険が現実化した際は、その責任も取るべきだ、という考え方(危険責任の原理)もあります。

そのため、従業員が全額負担するケースは稀で、多くの場合は会社と従業員の間で負担割合が調整されます

会社に生じた損害について

従業員が勤務中に会社車両を運転し、物損事故を起こして会社車両を破損した場合、従業員は会社に対してその損害を賠償する責任を負います(民法第709条)。
しかし、前にも述べた通り、会社は従業員を使用して利益を得ているため、従業員の不注意によって生じた損害を全額負担させることは妥当ではありません。
したがって、従業員の会社に対する賠償責任は一部に限定されることが多く、従業員が損害全額を負担する必要はほとんどないでしょう。

会社と従業員、どちらがどの程度負担する?

具体的な負担割合は、事故の状況や従業員の過失の程度など、さまざまな事情を考慮して決定されると考えられます。
なお、過去の裁判例をみると、従業員の側に大きな過失がない限り、従業員の責任は30%以下と判断されるケースが多いようです。

就業規則に特別な規定がある場合

たとえば、運送会社の就業規則に次のような規定がある場合はどうなるでしょう。

  • 従業員が会社に損害を与えた場合は、違約金(罰金)として○万円支払う

このような定めは、労働基準法第16条に違反しているため、無効です。

労働基準法第16条は、従業員の退職の自由を奪うことを防ぐため、事前に損害賠償額を定めることを禁止しています。
たとえば、「従業員が会社に損害を与えたときは、全額、従業員が賠償する」といった規定があると、従業員は支払いが終わるまで退職が難しくなるでしょう。

ただし、これは事前に賠償金額を定めることを禁止しているにすぎず、従業員がその過失によって会社に損害を与えた場合における損害賠償請求自体が禁止されているわけではありません。

給料からの天引きは可能か?

従業員が勤務中に物損事故を起こし、会社に損害を与えた場合、その修理代を給料から天引きすることはできるのでしょうか。
労働基準法第24条では、賃金の全額払いが原則とされており、従業員の同意なしに給料から天引きすることは禁止されています。
従業員の生活を保護するためです。

また、就業規則に「損害賠償額を給料から天引きする」といった規定があったとしても、労働基準法に反するため無効になる可能性があります。

もし、給料から修理代金などが勝手に(同意なく)天引きされている場合には、労働基準監督署に相談するとよいでしょう。

会社との話合いで気を付けるべきポイント

物損事故後の修理代負担について会社と話し合う際には、いくつかのポイントに注意する必要があります。

まず、事故の詳細な状況を記録し、証拠を確保することが大切です。写真等により事故の原因や状況を明確にする資料を集めましょう。

次に、事故の原因について会社の責任がないかを十分に検討することも重要です。
たとえば、車両の整備不良や過剰な業務指示が原因であれば、会社にも責任がある可能性があります。

そして、会社が提示する修理代や賠償額に納得できない場合は、すぐに同意せず、詳細な説明を求めることが必要です。
話合いの内容や合意事項は書面で残すことが重要ですが、無理にサインを求められた場合は、安易にサインしないようにしましょう。

納得できないならサインすべきではありませんが、話合いの内容や合意事項を書面で残すことは重要です。
記載事項に疑問点がある場合は、サインする前に弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

会社の対応に納得できない場合の対処法

会社の対応に納得できない場合、まずは冷静にその理由を整理し、具体的な問題点を明確にすることが重要です。
次に、上司や担当部署に再度相談し、詳細な説明や再検討を求めることも考えられます。
この際、事故の詳細や証拠を提示し、自分の主張を裏付ける資料を用意しておくとよいでしょう。

もし、社内での解決が難しい場合は、労働基準監督署などに相談することも検討してください。これらの機関は、労働者の権利を守るためのサポートを提供しており、適切なアドバイスや介入が期待できる場合があります。

さらに、法的な問題が絡む場合は、弁護士などの専門家に相談することも一つの方法です。専門家の意見を聞くことで、法的な観点から適切な対応策を見つけることができるかもしれません。

場合によっては転職も検討しよう

会社の対応に納得できず、問題が解決しない場合、転職を検討することも一つの選択肢です。特に、会社が不当な要求を続けてくる場合は、自分の心身の健康を守るためにも、新しい職場を探す必要があるかもしれません。

転職を考える際には、まず自分のスキルや経験を整理し、どのような職場が自分に適しているかを明確にしましょう。
また、転職活動を始める前に、現在の職場の問題点や不満を具体的にリストアップし、新しい職場で同じ問題が発生しないように注意することも大切です。
面接までに、自分の希望する労働条件や職場環境についてしっかりと確認しておきましょう。

【まとめ】運送会社の従業員が、全額負担する必要はない

運送会社の従業員が物損事故を起こした場合の修理代の負担は、従業員と会社の間で複雑な問題となり得ます。
第三者や会社に生じた損害については、法律上の原則に基づき、従業員と会社が共同で責任を負うことが多いです。

もし、会社の対応に納得できず、問題が解決しない場合は、転職を検討することも一つの選択肢です。
しかし、なかには仕事を辞めづらい状況であったり、会社が退職を認めず、強引な引き止めにあったりすることもあるようです。

そのような場合は、退職代行サービスを利用するとよいでしょう。
弁護士による退職代行サービスであれば、退職にともなう交渉事も任せられるため安心です(弁護士や法律事務所によって、退職代行サービスの内容は異なるため、あらかじめご確認ください)。

アディーレ法律事務所では退職代行に関するご相談は何度でも無料です。

退職代行を利用して退職をお考えの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 山内 涼太

東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。

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