労働時間が月250時間に達することがあるかもしれません。
あなたの職場でそんな状況に直面したことはありませんか?
長時間労働が健康に及ぼす影響や法的なリスクについて、具体的に考えたことはあるでしょうか。
この記事では、労働基準法が定める労働時間の上限や、36協定による特別条項、さらに過労死ラインについて解説します。また、長時間労働がもたらす健康リスクや、適切な残業代の請求方法、そして過酷な労働環境を改善するための手段についても触れていきます。
この記事を読むことで、今すぐにでも労働環境を見直し、改善に向けて行動を起こすきっかけになるでしょう。
この記事を読んでわかること
- 法律で定められている労働時間の上限とは
- 労働時間月250時間は過労死ラインを超える可能性があること
- 労働時間月250時間の残業代が適切に払われていない可能性があること
- 月250時間の労働時間が減らす方法があること
ここを押さえればOK!
過労死ラインは、(1)発症前1ヶ月に100時間、(2)2-6ヶ月にわたって月80時間の時間外・休日労働が基準です。月250時間労働が続くとその基準を超えることになりうるため、過労死リスクが非常に高いといえます。具体的なリスクには、脳血管疾患、心疾患、うつ病、過労自殺、事故やケガのリスク増大などがあります。
労働時間が月250時間に達する場合、適切な残業代が支払われていないケースも多く、労働者は未払いの残業代を請求する権利があります。請求の際には証拠の収集、会社への請求、労働基準監督署への相談、弁護士への依頼などが必要です。
労働時間を減らすためには、まず上司や会社に相談し、労働基準監督署に改善指導を求めることが有効です。労働基準監督署は企業に対して改善命令を出す権限があり、証拠を揃えて相談することで適切な対応を期待できます。
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東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。
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労働時間月250時間は法的に問題ないの?
労働時間が月250時間に達する場合、法的には大きな問題が存在します。
労働基準法では、労働時間の上限が厳密に定められており、これを超える労働は原則違法です。特に、長時間労働は従業員の健康に重大な影響を及ぼす可能性が高く、過労死リスクも増大します。
労働基準法における労働時間の上限とは?
労働基準法では、法定労働時間は原則として1日8時間、週40時間以内と定められています。これを超える労働は、基本的に違法です。
- 法定労働時間: 1日8時間、週40時間以内
- 法律で定められた休日:毎週少なくとも1回
- 例外: 労働基準法第36条による36協定の締結が必要
労働時間が月250時間に達する場合、法定労働時間を大幅に超えることになります。
(1)36協定(一般条項)における労働時間の上限
36協定とは、法定労働時間を超える時間外労働や休日労働の残業を労働者に命じる場合に必要な労使協定のことです。
使用者が労働者との間で36協定を締結し、所轄の労働基準監督署に届け出れば、36協定で定めた基準を超えない範囲の時間外労働又は休日労働を労働者にさせることができるようになります。
- 36協定(一般条項)の上限: 時間外労働は月45時間・年360時間が上限
月250時間の労働をしている場合、1ヶ月あたり約70~90時間の時間外労働をしている可能性性が高いです。そうした月250時間の労働時間は、36協定(一般条項)の上限を大幅に超えており、基本的に違法です。
(2)特別条項付き36協定の上限
特別条項付き36協定は、特別な事情がある場合に限り、1ヶ月の時間外労働の上限を80時間まで延長することができますが、これも厳しい条件が付されています(一部の事業・業務を除く)。
- 特別条項付き36協定: 1ヶ月の時間外労働は80時間が上限
- 条件
- 時間外労働は年720時間以内
- 時間外労働及び休日労働の合計が月100時間未満
- 時間外労働及び休日労働の合計が、複数月平均で80時間以内
- 時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6か月が限度
休日労働は命じられないものの、勤務日に所定労働時間(8時間)に加えて時間外労働を命じられ、毎月250時間労働が続けば、8~10ヶ月で「年720時間」のラインに到達します。そうなると「月45時間を超えられるのは年6回まで」という規制にも引っかかり原則として違法となります。
これらの条件に違反した場合には、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることになります。
過労死ラインとは?
過労死ラインは、労働者が過労による健康障害や死亡のリスクが高まるとされる労働時間の基準を指します。
一般的には、次の時間外・休日労働時間を超えると過労による健康障害や死亡の関連性が強いと評価できるとされています。
- 発症前1ヶ月間におおむね100時間
- 発症前2か月間ないし6か月間にわたって1か月当たりおおむね80時間
月250時間の労働をしている場合、1ヶ月あたり約70~90時間の時間外労働・休日労働をしている可能性が非常に高いです。過労死ラインも超える可能性もあり、過労死のリスクも高いといえるでしょう。
(1)長時間労働が病気や過労死につながる理由
長時間労働が病気や過労死につながる主な理由は、身体的・精神的なストレスの蓄積と、それに伴う健康状態の悪化です。
- 身体的ストレス: 長時間のデスクワークや肉体労働は、身体に過度な負荷をかけます。
- 精神的ストレス: 長時間労働は、ストレスホルモンの分泌を増加させ、精神的な疲労を引き起こします。
- 睡眠不足: 十分な休息が取れないことで、免疫力が低下し、病気にかかりやすくなります。
これらの要因が重なることで、病気や過労死のリスクが増大します。
(2)長時間労働で起こりうる病気
長時間労働は、さまざまな健康リスクを伴います。具体的には、次のような病気が発生する可能性があります。
- 脳血管疾患・心疾患:長時間労働は、血圧の上昇や心拍数の増加を引き起こし、脳卒中や心筋梗塞などの脳血管疾患や心疾患のリスクを高めます。
- うつ病・過労自殺:精神的ストレスが長期間続くと、うつ病や過労自殺のリスクが増大します。特に、仕事のプレッシャーや長時間労働が精神的な健康を蝕むことが多いです。
- 集中力や判断力の低下による事故やケガ:長時間労働により集中力や判断力が低下し、事故やケガのリスクが高まります。特に、運転や機械操作を伴う仕事では、重大な事故を引き起こす可能性があります。
労働時間月250時間の残業代はどうなるの?
労働時間が月250時間に達する場合、通常の法定労働時間を大幅に超えるため、相当な額の残業代が発生します。しかし、適切に支払われていないケースも少なくありません。
ここでは、長時間残業と残業代、そして残業代の請求方法について解説します。
(1)長時間残業と残業代
長時間残業が発生する場合、残業代の計算は非常に重要です。労働基準法では、法定労働時間を超える労働には追加の賃金が支払われることが義務付けられています(一部業務のを除く)。
- 法定労働時間: 1日8時間、週40時間
- 時間外労働の割増率: 基本賃金の25%以上
- 時間外労働が月60時間を超えた場合の割増率:基本賃金の50%以上
- 休日労働(法定休日に勤務)の割増率:基本賃金の35%以上
- 深夜労働(22時から5時に勤務)の割増率:基本賃金の25%以上
月250時間働いた場合、法定労働時間を超える部分については割増賃金が発生します。適切に支払われていない場合、労働者は未払いの残業代を請求する権利があります。
(2)残業代の請求方法
残業代が適切に支払われていない場合、労働者はその請求を行うことができます。ここでは、残業代を請求するための基本的な手順を説明します。
- 証拠の収集: タイムカード、勤務表、給与明細など、労働時間を証明する書類を揃える。
- 会社に請求: まずは会社に対して残業代の支払いを求める。
- 労働基準監督署に相談: 会社が対応しない場合、労働基準監督署に相談する。
- 弁護士に依頼: 専門の弁護士に依頼し、法的手続きを進める。
ただし、労働基準監督署には、労働者から相談を受けたからと言って、当然に、調査等の措置を取る義務を負うわけではありません。会社が対応しない場合には、弁護士への相談がおすすめです。
月250時間の労働時間を減らす方法は?
月250時間の労働時間は、法的にも健康的にも問題が大きいです。
このような過労状態を改善するためには、まず上司や会社に相談し、労働基準監督署に改善指導を求めることが有効です。ここでは、この状態を改善するための方法を紹介します。
(1)上司や会社に相談する
労働時間の問題を解決する第一歩は、上司や会社に直接相談することです。適切なコミュニケーションを通じて、労働環境の改善を図ることができます。
(2)労働基準監督署に会社への改善指導を求める
会社が適切な対応を行わない場合、労働基準監督署に改善指導を求めることが有効です。労働基準監督署は、法に基づき企業に対して適切な指導や改善命令を出す権限があります。
- 証拠の収集: タイムカードや勤務表など、長時間労働を証明する書類を用意する。
- 労働基準監督署に相談: 労働基準監督署に訪問し、状況を説明し、改善指導を求める。
- 改善指導の実施: 労働基準監督署が会社に対して改善指導や是正勧告を行う。
【まとめ】労働時間月250時間は違法の可能性が高い
労働時間が月250時間に達することは、労働基準法の定める法定労働時間を大幅に超え、法的に問題があります。
36協定による特別条項でも上限を超える可能性があるばかりか、過労死ラインに達する可能性が高いです。長時間労働は健康リスクを伴い、脳血管疾患や心疾患、うつ病、過労自殺などを引き起こす恐れがあります。また、適切な残業代が支払われていない場合には法的手続きを進める必要があります。
アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。そして、原則として、この報酬は獲得した金銭(例:残業代、示談金)からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。
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(以上につき2024年8月時点)
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