退職を考えたとき、手続きの煩雑さや会社との交渉に頭を悩ませることはありませんか?
特に、職場でのストレスが限界に達している場合、早急に退職したいという気持ちから「退職代行」の利用を検討される方もいるでしょう。
しかし、退職代行を利用する際には、適切な業者選びが非常に重要です。業者選びを間違えると、せっかくの退職がスムーズに進まず、さらなるトラブルに巻き込まれる危険性があります。
本コラムでは、退職代行を利用する際に起こりやすいトラブル事例を10選紹介します。これを読むことで、どのようなトラブルが発生し得るのか、そしてその対策について知ることができます。
これから退職を考えている方、または既に退職代行を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。トラブルを未然に防ぎ、安心して退職手続きを進めるための具体的な方法を一緒に学びましょう。
この記事を読んでわかること
- 退職代行で起こりやすいトラブル事例
- 退職代行でのトラブルを起こさないようにする予防策
- 退職代行でのトラブルを避けるための業者を選び方
- 退職代行を弁護士に依頼するメリット
ここを押さえればOK!
本コラムでは、退職代行で起こりやすいトラブル事例を紹介し、その対策を解説しています。
例えば、(1)会社に退職を拒否されたり、(2)会社から直接連絡がきたり、(3)有給休暇が消化できないといった問題が発生することがあります。また、(4)退職金や未払い給与が受け取れない、(5)必要な書類が送られてこない、(6)私物が返還されないなどのトラブルもあります。
退職代行を利用する際にトラブルを避けるためには、就業規則や雇用契約書の内容確認、引継ぎ、会社の備品返却と私物の持ち帰りが重要です。また、費用が明確で、対応範囲が広い業者、特に弁護士を選ぶことがおすすめです。
退職代行を弁護士に依頼するメリットは、(1)全ての手続きを代行し、(2)法的トラブルにも対応できることが挙げられます。
退職代行を検討している方は、トラブルを未然に防ぎ、安心して退職手続きを進めるために、ぜひ弁護士へご相談ください。
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東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。
退職代行で起こりやすいトラブル事例10選
退職代行を依頼する業者を間違えてしまうと、退職代行を依頼しても予期せぬトラブルに巻き込まれるおそれがあります。
ここでは、退職代行で起こりやすいトラブル事例を紹介します。
(1)会社に退職を拒否された
退職代行を利用しても、会社が退職を拒否したり、退職届の受理を拒んだりすることがあります。
例えば「本人が直接退職の意思を伝えない限り、退職代行の業者からの退職は受け入れない」などです。
しかし、日本の法律では、労働者は原則として自由に退職できる権利を持っています。
これは、本人が直接退職の意思を伝えた場合はもちろんのこと、退職代行を利用した場合も同様です。
正社員など期間の定めのない雇用であれば、いつでも退職の申し入れをすることができ、退職の申し入れをしてから2週間経過すると退職できると定められています(民法第627条)。
一方、期間の定めのある雇用であっても、やむを得ない事由がある場合には、期間内であっても退職の申し入れをすることができると定められています(民法第628条)。
このように、労働者が退職の申し入れをしている場合には、会社は退職を受け入れなければなりません。会社が労働者の退職の申し立てを拒否したり、退職届の受理を拒んだりする行為は違法となります。
(2)会社から直接連絡がきた
退職代行を利用したにもかかわらず、会社から直接連絡が来ることがあります。
退職代行を利用すると、会社から退職者に対して直接連絡をしないように伝えます。しかし、会社側が退職者に直接なにか伝えたいと考え、連絡してしまうこともあるようです。
この場合には、退職代行を依頼した業者に相談し、会社に退職者に直接電話をした内容に再度強く伝えてもらう必要があります。
(3)有給休暇を消化できなかった
退職時に有給休暇を消化できないというトラブルもあります。
有給休暇の消化は労働者の権利であり、会社がこれを拒否することは違法です(労働基準法第39条)。
有給休暇が残っている場合には、有給休暇を消化したあとに退職し、少しでも多くの給与を受け取るように交渉してもらう必要があります。
(4)退職金や未払い給与が受け取れなかった
退職金や未払い給与が受け取れないトラブルもあります。
これらの給与は法律で保護されているため、退職後であっても会社は支払う必要があります。
退職したからといって退職金や給与を支払わないことは違法です(労働基準法第24条)。
退職金や給与の未払いがある場合には、受けとれるように交渉したもらう必要があります。
(5)退職に必要な書類を送ってくれなかった
退職後に離職票など必要な書類が送られてこないことがあります。
これらの書類は転職の際必要となります。そのため、これらの書類が送られてこないと次の就職先での手続きが滞ってしまうのです。
会社にはこれらの書類を提供する義務がありますので、会社に対して催促する必要があります。離職票については、ハローワークからも会社に催促してくれます。
(6)会社に置いてある私物を返してくれなかった
退職代行を依頼する場合、会社に置いてある私物を持ち帰る機会もなく、退職後に会社に置いてある私物が返還されないケースがあります。
この場合は、取りに行くか郵送で送ってもらえるように交渉する必要があります。
(7)退職までに嫌がらせを受けた
退職を伝えた後に嫌がらせやパワハラを受けることがあります。
通常は、退職の申し出から2週間すれば退職できますので、2週間は有給消化にあてて、退職を申し出た後は出勤しない方が多いです。
しかし、残っている有給休暇の日数が足りない場合や会社から命令されて、退職を申し出た後も会社に出勤するケースもあります。このような場合、退職を申し出たことで、会社から嫌がらせやパワハラを受けてしまうことがあるのです。
この場合、嫌がらせやパワハラをしないように抗議するか、もしくは通常の欠勤として仕事を休めるように交渉してもらう必要があります。
(8)会社から損害賠償を請求された
会社から損害賠償を請求されるケースもあります。
例えば、契約社員などの「期間の定めのある雇用契約」の方が、雇用期間内に退職し、その方に会社に対する過失があるような場合には、損害賠償請求を受ける可能性があります。
この場合、弁護士に退職代行を依頼していれば、会社からの損害賠償にも対応してもらえます。
(9)会社から懲戒解雇された
退職代行を利用したのに、会社から懲戒解雇されるケースもあります。
例えば、「退職代行を利用したから、懲戒解雇だ」などです。
懲戒解雇は非常に重い処分であり、重要な業務命令違反や横領や機密漏洩などの不正行為など重大な問題がなければ違法です。つまり、退職代行を利用したことで、懲戒解雇となるのは違法といえます。
懲戒解雇されると、退職金が減額または不支給になったり、転職で不利になったりする可能性があります。懲戒解雇をされた場合には、懲戒解雇ではなく、退職で会社を辞められるように交渉してもらう必要があります。
(10)予想より高額な費用を請求された
予想外の高額な費用を請求されることもあります。
例えば、料金システムが難しく、会社とトラブルになったりした場合は追加費用がその都度発生したり、辞めることができなかったのに費用を請求されたりすることがあります。
返金保証がある業者や料金体系が明確な業者は選ぶようにしましょう。
退職代行でのトラブルを避けるためにやっておくべき3つのこと
次に、退職代行で起こりやすいトラブルを避けるために、自分でできる予防策について紹介します。トラブルを避けるためには、退職する前に次の3つのことをやっておきましょう。
(1)就業規則や雇用契約書の内容を確認する
退職前に就業規則や雇用契約書の内容を確認することは不可欠です。これにより、退職金や残業代、退職後の手続きに関する情報を把握することができます。
特に、退職金の有無や計算方法、退職後の給与受け取り方法を確認することは、金銭トラブルを避けるために重要です。
(2)引継ぎをしておく
退職をする前に、仕事の引継ぎをしておくことも、トラブルを防ぐポイントです。
例えば、引継ぎを十分にしないまま会社をやめてしまったことで、会社の業務に損害が出てしまった場合には損害賠償を請求される可能性があります。
退職の申し出でをする前に引継ぎ資料などを作成しておき、会社のパソコンのフォルダなどに保存しておくとよいかもしれません。
(3)会社の備品を返却し、私物は持ち帰る
退職代行を利用する前に、会社の備品を返却し、私物を持ち帰ることを忘れないようにしましょう。会社の備品が返却されていないと、トラブルの原因となるだけでなく、損害賠償を請求される可能性もあります。
ただし、会社の備品を返却するために会社に出向く必要はありません。会社宛に郵送等によって返却することができます。
私物についても、退職後に会社に残しておくと返却してもらうことが難しくなる可能性があります。特に大事なものは事前に持ち帰っておきましょう。
トラブルを避けるための退職代行業者の選び方
次に、トラブルを避けるための退職代行業者の選び方を紹介します。
適切な退職代行業者を選ぶことで、退職代行で起こりやすいトラブルを避けることができます。
(1)費用が明確かどうかを確認する
退職代行業者を選ぶ際、費用が明確かどうかを最初に確認しましょう。料金体系が不透明な業者は、後から高額な請求をされるリスクが高まります。
信頼できる業者は、料金体系を明示してくれます。具体的には、基本料金、追加料金、キャンセル料などが明確に記載されているかを確認します。
一律の金額を設定し、追加料金のない業者や返金保証をしている退職代行業者もいますので、あなたに合った業者を選ぶとよいでしょう。
(2)どこまで対応してくれるのかを確認する
退職代行がどの範囲まで対応してくれるのかを確認することも重要です。一部の業者は、退職の意思を伝えるだけで後のフォローが不十分な場合があります。
具体的には、退職届の提出、有給休暇の消化、未払い給与の請求など、全ての手続きを代行してくれるか確認しましょう。対応範囲が広い業者を選ぶことで、安心して退職手続きを進めることができます。
(3)弁護士を選ぶ
トラブルを避けるためには、弁護士による退職代行を選ぶことが最も確実です。弁護士は法的知識が豊富であり、未払い給与の請求や損害賠償の対応、労働条件の交渉など、幅広い問題に対応できます。
一方で、弁護士資格を持たない者が、報酬を得る目的で法律事務を行うことは違法であり、罰則も定められています。つまり、弁護士資格を持たない一般企業や労働組合が、退職に関する交渉を行った場合、弁護士法違反(非弁行為)となる危険があるのです。
例えば、有給の消化、会社からの損害賠償請求主張への対応、残業代請求などでは、法的主張を含む「交渉」が原則必要になります。そして、そのような「交渉」は法律上、弁護士のみが行えるのです。
退職代行を弁護士に依頼するメリット
トラブルを避けるためには、弁護士による退職代行を選ぶことが最も確実です。
最後に、退職代行を弁護士に依頼するメリットを紹介します。
(1)退職に伴う手続きの全てを代行できる
退職代行を弁護士に依頼することで、退職に伴う手続き全てを代行してもらえます。退職届の提出、有給休暇の消化、未払い給与の請求、退職金の受け取りなど、全てのステップを一手に引き受けてくれます。
これにより、複雑な手続きを全て弁護士に任せることができるため、安心して退職を進めることができます。
(2)損害賠償請求などの法的トラブルにも対応できる
会社から損害賠償を請求されるなどの法的トラブルが発生した場合でも、弁護士なら適切に対応できます。裁判を起こされた場合でも、弁護士に依頼していれば、あなたの権利を守ってくれます。
弁護士に退職代行を依頼することで、法的トラブルを恐れることなく、安心して退職を進められます。
(3)未払い退職金や給与の請求もできる
退職時に未払いの退職金や給与がある場合、弁護士に依頼することでその請求もスムーズに行えます。未払い金を確実に回収することができ、経済的な不安を解消できます。
【まとめ】退職代行で起こるトラブルを防ぐには、弁護士への依頼がおすすめ!
退職代行を利用する際には、適切な業者選びが非常に重要です。特に料金が明確であり、対応範囲が広い弁護士を選ぶのがおすすめです。
退職代行を弁護士に依頼することで、退職手続きにトラブルが起きても対応してくれますので、安心して退職手続を進めることができます。
退職を考えている方、または既に退職代行を検討中の方は、相談料が無料のアディーレ法律事務所への相談がおすすめです。
退職代行でお悩みの方は、退職代行を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。