交通事故による高次脳機能障害は、目に見えにくい障害であるがゆえに、適切な後遺障害等級の認定を受けることが難しい場合があります。
特に後遺障害等級3級に認定されるためには、高次脳機能障害により「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」(3級3号)とされる必要があります。
本記事では、高次脳機能障害が後遺障害等級3級に認定される基準や適切な補償を受けるためのポイントを、弁護士がわかりやすく解説します。
この記事を読んでわかること
- 高次脳機能障害の代表的な症状
- 高次脳機能障害の後遺障害等級3級の認定基準
- 高次脳機能障害が3級に認定されるための重要なステップ
- 弁護士によるサポートの重要性
ここを押さえればOK!
具体的には、意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力・持久力、社会行動能力の4つ能力のうち、1つ以上が全て失われるか、2つ以上の大部分が失われていることを指します。また、MRIやCTで脳の器質的病変が確認される必要があります。
認定に必要な4つのステップは、1年以上の継続的なリハビリテーション、画像診断、日常生活状況の報告書、主治医による診断書の作成です。さらに、弁護士に依頼すれば、後遺障害等級認定申請手続きを代行してもらえますし、弁護士はあなたの利益を1円でも多く実現するために尽力します。
後遺障害等級3級の慰謝料相場は、自賠責基準で861万円、弁護士基準で1990万円と大きな差があります。弁護士基準で交渉して適切な補償を受けるためには、交通事故を扱う弁護士に依頼することが重要です。
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東京大学法学部卒。アディーレ法律事務所では北千住支店の支店長として、交通事故、債務整理など、累計数千件の法律相談を対応した後、2024年より交通部門の統括者。法律を文字通りに使いこなすだけでなく、お客様ひとりひとりにベストな方法を提示することがモットー。第一東京弁護士会所属。
高次脳機能障害の代表的な症状
高次脳機能障害とは、脳に損傷を負った結果、生じる障害の一種です。
高次脳機能障害の主な症状には以下のものがあります。
- 記憶障害:一時的に新しい情報の記憶が困難、一時的に過去のことを思い出せない、ついさっきのことを思い出せない、過去のことを思い出せない
- 注意障害:いつもぼんやりしている、物事に集中できない、作業を長時間続けられない、周囲の変化に気が付かない など
- 遂行機能障害:言語・記憶・行為などの高次脳機能をうまく活用できなくなる。計画立案や実行が困難、段取りを立てられない、臨機応変な対応ができない など
- 社会的行動障害:感情をコントロールできない、突然怒り出す、相手の気持ちを考えずに行動する など
自賠責保険における高次脳機能障害3級の認定基準
高次脳機能障害の症状が後遺障害等級認定3級3号に認定されるためには、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」である必要があります。
具体的には、高次脳機能障害は、次の4つの能力のうち、1つ以上について全部が失われているとき、又は、いずれか2つ以上の能力の大部分が失われているとき、3級に認定されます。
介護の要否や程度も考慮されます。
なお、高次脳機能障害は、脳の器質的病変に基づくものなので、MRIやCTなどによりその存在が認められることが必要です。
【4つの能力】
- 意思疎通能力:職場で他人とのコミュニケーションを適切に行えるかどうか等
- 問題解決能力:作業課題に対する支持などを正確に理解し適切な判断をお子にない、円滑に業務を行えるかどうか等
- 作業負荷に対する持続力、持久力:一般的な就労時間に対処できるだけの能力があるかどうか等
- 社会行動能力:職場で他人と円滑な共同作業、社会的行動ができるかどうか等
高次脳機能障害は目に見えない症状が多く、適切な等級認定を受けるためには、事前の資料集めや医師の診断書などが大変重要です。この過程で弁護士のサポートを受けて、しっかりと準備するようにしましょう。
参考:神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級認定基準関係資料 (mhlw.go.jp)|厚生労働省
高次脳機能障害3級の認定に必要な4つの重要なステップ
高次脳機能障害3級の認定を受けるためには、以下の4つのステップが重要です。
これらのステップを適切に踏むことで、認定の可能性が高まり、適切な補償を受けられる可能性が向上します。各ステップにおいて、医師や弁護士のサポートを受けることで、より効果的に準備を進められるでしょう。
(1)1年以上の継続的なリハビリテーション
高次脳機能障害の症状は時間とともに症状が軽減する可能性があるため、一定期間の継続的なリハビリテーションと経過観察が必要です。
成人だと、受傷後1年半~2年程度のリハビリをする例が多いようです。
(2)画像診断
高次脳機能障害の後遺障害の認定には、基本的に事故直後のCT画像と3~6ケ月後のMRI画像で、脳の異常を画像で確認できることが特に重要です。
画像診断結果は、障害の程度や永続性を示す重要な証拠となりますので、後遺障害等級認定申請時に必ず提出するようにします。
(3)日常生活状況の報告書
高次脳機能障害が日常生活にどのような影響を与えているかを具体的に示すことが重要です。
被害者の日常生活動作を把握するため、ご家族が被害者の日常生活状況報告書を作成して提出することで、認定に役立つことがあります。
例えば、「以前は問題なくできていたが毎日の服薬管理ができず、家族の声かけが必要」「料理中に火の管理ができず、常に見守りが必要」といった具体的な事例を記録します。
これらの記録は、障害の実態を示す重要な証拠となります。
(4)主治医による診断書の作成
MRI検査やCT検査などで脳に異常が確認され、医師により症状固定(これ以上症状が回復しないこと)の診断を受けたら、医師に後遺障害診断書を作成してもらいます。
後遺障害診断書は、最も重要な書類ですので、高次脳機能障害に精通した専門医に記載してもらうことが重要です。
(5)弁護士に依頼して交渉してもらう
後遺障害等級3級に認定された後、具体的な賠償金額について加害者側の保険会社と交渉することになります。
高次脳機能障害は、治療やリハビリが長期間になりますので、加害者側の保険会社との付き合いも長くなります。そのような関係から、「今までよくしてくれたし、提案額も高額だからこれくらいでいい」「なかなか示談金の増額を言い出しにくい」と思うかもしれません。
しかし、加害者側の保険会社が提案してきた示談金は、交渉により増額できる可能性が高いです。
交通事故の被害者が、残ってしまった障害の程度に応じて適切な金額の損害賠償金を受け取ることは、被害者の大切な権利です。これまでの保険会社との関係にとらわれず、どうか示談前に、示談金額が妥当かどうかについて、一度弁護士に相談するようにしてください。
弁護士に相談することで、提案額がどれほど低いのか、どの程度増額可能性があるのかなどの説明を受けることができます。説明に納得したら、弁護士に依頼して、今後の生活や家族のためにも適切な賠償金を受け取るようにしましょう。弁護士は、あなたの利益を1円でも多くするために、最大限努力するでしょう。
高次脳機能障害で後遺障害等級3級の慰謝料相場
後遺障害等級3級の慰謝料相場は、どの基準で計算するかによって異なります(2020年4月1日以降に起きた事故)。
- 自賠責の基準:861万円
- 任意保険の基準:各保険会社によって異なる(自賠責の保険よりやや高い程度)
- 弁護士の基準:1990万円
どの基準で計算するかによって、慰謝料だけでも、これだけ金額が異なります。
弁護士の基準で計算するためには、弁護士に依頼して代わりに交渉してもらう必要があります。
慰謝料だけでなく、逸失利益や将来介護料を請求できるケースがありますが、これらも弁護士が交渉することで高額になる可能性が高いです。
加害者側の保険会社との示談交渉は、弁護士に依頼する方がよいでしょう。結果として受け取れる賠償金額が増える可能性が高くなるだけでなく、後遺障害認定などの手続きも任せることができます。
【まとめ】自動車事故の被害で高次脳機能障害でお悩みの方は弁護士に相談を
高次脳機能障害3級の認定のためには、1年以上の継続的なリハビリ、画像による病変の確認、専門的な診断書など、多くの準備が必要です。
適切な認定と補償を受けるためには、弁護士のサポートをうけることが重要です。症状や生活への影響を具体的に立証し、適切な額の損害賠償金を受け取るためには、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、あらかじめご用意いただく弁護士費用は原則ありません。
すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。
また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様にあらかじめご用意いただく弁護士費用は原則ありません。
実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。
なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各法律事務所へご確認ください。
(以上につき、2024年12月時点)
交通事故の被害にあい損害賠償請求を検討されている方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。