交通事故の衝撃は、時として身体に目に見えない深刻な影響を及ぼします。
泌尿器障害もその一つです。頻尿や排尿困難、腎臓機能の低下など、日常生活に大きな支障をきたす症状が現れ、将来への不安を抱えることになるかもしれません。
しかし、適切な対応と必要な知識を持てば、適切な額の損害賠償金を受け取ることに繋がります。
本記事では、具体的にどのような泌尿器障害が後遺障害等級にあたるのかどうか、適切な補償を受けるための手順について説明します。
この記事を読んでわかること
- 交通事故による泌尿器障害
- 2級に認定される可能性のある泌尿器障害の例
- 泌尿器障害で適切な補償を受けるための手順
ここを押さえればOK!
例えば、一番重い等級は5級で、尿漏れが生じる場合です。
適切な認定を受けるためには、専門医の診断と弁護士のサポートが重要です。腎臓の障害はGFRの値で等級が決まり、頻尿や失禁の症状も後遺障害等級に影響します。損害賠償金の額は、後遺障害等級によって異なり、弁護士に依頼すると保険会社の提案額より高額になる可能性があります。
損害賠償を受けるための手順は、適切な治療、弁護士への相談、後遺障害等級認定申請、保険会社との交渉です。特に保険会社との交渉は弁護士に依頼することで、公正な補償を受ける可能性が高まります。
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東京大学法学部卒。アディーレ法律事務所では北千住支店の支店長として、交通事故、債務整理など、累計数千件の法律相談を対応した後、2024年より交通部門の統括者。法律を文字通りに使いこなすだけでなく、お客様ひとりひとりにベストな方法を提示することがモットー。第一東京弁護士会所属。
交通事故で起こりうる泌尿器障害
泌尿器とは、尿の排出に関わる器官のことで、腎臓、尿管、膀胱、尿道のことをいいます。
交通事故によって引き起こされる泌尿器障害は、被害者の日常生活に重大な影響を及ぼす可能性があります。主な障害として、は次のものがあげられます。
- 腎臓の障害
- 頻尿
- 尿失禁
- 排尿困難
- 尿路変更術を行ったもの
これらの症状は、事故による直接的な衝撃や、脊髄損傷などの二次的な影響によって生じます。
事故の程度、ケガの程度、症状の内容などを考慮したうえで、泌尿器障害は後遺障害として認定される可能性があります。
【症状別】交通事故による泌尿器障害の後遺障害等級
泌尿器障害は、主に腎臓機能障害、排尿障害、蓄尿障害(失禁・頻尿)の3つに分類されます。
泌尿器障害の後遺障害等級は、症状の種類と程度などを考慮して判断されます。後遺障害として認定されるかどうか、認定されるとして何級になるのかは、結果として受け取れる損害賠償額に大きく影響します。
等級が高いほど重度の障害と判断され、より高額の賠償金を受け取れる可能性があります。
例えば、泌尿器障害で一番重い障害等級は、5級で、非尿禁制型尿路変更術を行い、尿が漏出することによるストマ周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、パッド等の庄着ができないものとされています。
適切な後遺障害等級の認定を受けるためには、専門医による診断と、交通事故を扱っている弁護士への相談が重要です。泌尿器障害が残る場合には、後遺障害等級の認定申請を行う前に、一度弁護士に相談するようにしましょう。
(1)腎臓が亡失したといわれましたが、何級が認められますか?
腎臓の障害については、腎臓が亡失したか否かと、糸球体濾過値(GFR)による腎機能の低下の程度により後遺障害等級を認定します。
一側の腎臓を失った場合、GFRの値により後遺障害等級は次のようになります・
- GFRが30ml/分を超え50ml/分以下:7級
- GFRが50ml/分を超え70ml/分以下:9級
- GFRが70ml/分を超え90ml/分以下:11級
- いずれにも当たらない場合:13級
(2)頻尿の症状が残りましたが、何級が認められますか?
「頻尿」とは、次のいずれにもあたるものを言います。
- 器質的病変による膀胱容量の器質的な減少又は膀胱、もしくは尿道の支配神経の損傷が認められること
- 日中8回以上の排尿が認められること
- 多飲等の他の原因が認められること
これらの条件を見たせば、後遺障害等級11級が認定される可能性があります。
(3)失禁の症状が残りましたが、何級が認められますか?
持続性尿失禁(残尿のため、膀胱にたまった尿が徐々に漏れてしまう)の場合、7級が認定される可能性があります。
切迫性尿失禁(尿意が突然生じ、トイレに間に合わず尿が漏れてしまう)、腹圧性尿失禁(くしゃみなどの動作でおなかに力が入ったときに尿が漏れてしまう)の場合、症状により後遺障害等級が異なります。
- 終日パッド等を装着し、かつ、パッドをしばしば交換しなければならない:7級
- 常時パッド等を装着しなければならないが、パッドの交換までは要しないもの:9級
- 常時パッド等の装着は要しないが、下着が少しぬれるもの:11級
交通事故による泌尿器障害の慰謝料の目安
交通事故で泌尿器障害が残ったときに、加害者側の保険会社から受け取れる損害賠償には、次のように様々な種類があります。
- 治療費
- 入院費
- 入院雑費
- 通院費用
- 休業損害
- 逸失利益
- 入通院慰謝料
- 後遺症慰謝料 など
そのなかでも慰謝料額は、障害等級によって大きく異なります。また、慰謝料をどの基準で算定するかによっても、金額が異なります。
慰謝料を算定する基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3種類ありますが、通常、弁護士に依頼して弁護士の基準で計算すると、最も高額になります。
5級の場合、自賠責基準だと618万円、弁護士基準だと1400万円なので、その差は782万円にもなります(2020年4月1日以降に発生した事故で被害者に過失がない場合)。
このことを知らずに、保険会社からの提案額で示談してしまうと、結果として損してしまうことになりかねません。
適切な補償を受けるためには、示談前に必ず交通事故を扱っている弁護士に相談し、増額可能性があるのかどうか確認することが重要です。
交通事故による泌尿器障害で適切な損害賠償を受け取るための手順
泌尿器障害で適切な損害賠償金を受けとるためには、以下の手順を踏むことが重要です。
- 医療機関での適切な治療
- 弁護士への相談
- 後遺障害等級認定申請
- 保険会社との交渉
これらの手順を適切に踏むことで、泌尿器障害に対する公正な補償を受ける可能性が高まります。また、専門医や弁護士のサポートを受けることで、複雑な法的手続きや交渉のストレスを軽減することができます。
以下、各手順について詳しく説明します。
(1)医療機関での適切な治療
適切な医療機関で適切な治療を受けることは、補償を受ける上で非常に重要です。
- 専門医による診断と治療
- 泌尿器科専門医の診察を受ける
- 必要に応じて、神経内科や整形外科など他科との連携診療を受ける
- 定期的な検査と経過観察
- 尿検査、血液検査、画像診断などを定期的に受ける
- 症状の変化を詳細にカルテに記録する
- 詳細な診断書や医療記録の保管
- 初診時からの全ての診断書、検査結果を保管する
- 治療経過や日常生活への影響を記録したメモを残す
適切な検査と治療記録は、後遺障害認定や交通事故との因果関係の証明に不可欠です。また、症状固定の判断や将来の治療費の算定にも重要な役割を果たします。
医師とのコミュニケーションを密に取り、症状や生活への影響を詳細に伝えることが大切です。
(2)弁護士への相談
弁護士への早期相談は、適切な補償を受けるために非常に重要です。
- 早期の段階で弁護士に相談する
- 事故直後または治療開始後早期に相談する
- 弁護士費用特約を利用できれば基本的に費用はかからないし、弁護士費用特約を利用できなくても初回相談料は無料の法律事務所も多いので、躊躇せずに相談する
- 今後の流れについて説明を受ける
- 治療中から今後の流れを把握することで不安軽減につながる
- 後遺障害認定申請の適切なタイミングを相談する
- 損害賠償額の算定や交渉戦略を立てる
- 個々の状況に応じた適切な額を算出する
- 保険会社との交渉方針を決定する
交通事故を扱う弁護士は、交通事故関連の法律や判例を把握し、保険会社との交渉の経験もあります。その知識と経験を利用して、被害者のために尽力します。また、交渉や訴訟の代理人として、被害者の精神的肉体的負担を軽減しつつ、最大限の損害賠償金を得るために努力します。
1人で悩むことなく、早めに弁護士に相談するようにしましょう。
(3)後遺障害等級認定申請
後遺障害等級認定の申請は、自分で行う方法と、加害者側の保険会社を通じて行う方法があります。
保険会社に任せると便利ですが、自分で行う「被害者請求」で行うようにしましょう。
加害者側の保険会社が、後遺障害等級に認定されるために十分な記載や書類があるかどうか、被害者の立場に立って精査してくれるとは限らないからです。
弁護士に依頼すれば、代わりに被害者請求を行います。
弁護士は、後遺症の内容から、適切な後遺障害等級は何級か、認定されるために書類に必要な事項が記載されているか、資料は十分かなどを検討したうえで、申請を行いますので、適切な等級が認定される可能性が高まります。
(4)保険会社との交渉
保険会社との交渉は、症状固定の診断が出て障害が残った場合には、通常後遺障害等級が認定されたあとに行います。
保険会社からの提案額を、妥当かどうか検討せず示談してはいけません。
漏れている項目はないか、適切な額の損害賠償となっているかの検討は不可欠です。不当に低額の場合には、増額を目指して交渉しなければなりません。増額交渉は、被害者が公正な補償を受けるために大変重要です。
- 弁護士を通じて保険会社と交渉する
- 弁護士基準で交渉するために弁護士に依頼して交渉する
- 交渉内容を文書で記録し、保管する
- 適切な補償額を主張し、必要に応じて反論する
- 医療記録や判例などを活用して主張する
- 保険会社の提示額が不当に低い場合は、根拠を示して反論する
- 合意が得られない場合は、裁判も視野に入れる
- 示談交渉が難航する場合、訴訟提起を検討する
- 訴訟によって、より公正な判断を求めることができる
弁護士に依頼し、戦略的に交渉を進めることで、公正な補償を受ける可能性が高まります。
【まとめ】交通事故で泌尿器障害が残ったときには弁護士に相談を
交通事故による泌尿器障害は、症状によっては後遺障害として認定される可能性があります。専門医の治療を受け、診察ごとに詳細な症状を伝えるようにしましょう。
被害者が受け取れる損害賠償金は個々の状況で異なります。
弁護士なしで示談を成立させてしまうと、「もっともらえるはずだった」と後で後悔することになりかねません。
なるべく早い段階で、一度弁護士に相談し、損害賠償金がどの程度になるのか、今後の保険会社との交渉の流れなどを把握しておくと、将来の計画も立てやすくなるでしょう。
交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、あらかじめご用意いただく弁護士費用は原則ありません。
すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。
また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様にあらかじめご用意いただく弁護士費用は原則ありません。
実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。
なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各法律事務所へご確認ください。
(以上につき、2024年12月時点)
後遺障害等級2級相当の後遺症が残り、損害賠償請求を検討されている方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。