誰もが一度は耳にしたことのある「飲酒運転」という言葉。
しかし、その具体的な定義や基準、そして処分や罰則については、意外と詳しく知られていないことも多いのではないでしょうか。
運転をする予定がある時には、少しでもお酒を飲んではいけないことは当然のことですが、実際には「少しなら大丈夫」「時間を空ければ問題ない」といった誤解が根強く存在しています。しかし、このような誤解があなたや他の人々の命を危険にさらすことになるかもしれないのです。
このコラムでは、飲酒運転となる基準や定義、そしてそれぞれに対する処分や罰則について詳しく解説していきます。さらに、「少し飲んだだけ」「時間を空けたから大丈夫」といった誤った認識の危険性についても触れています。
あなた自身や大切な人々を守るために、正しい知識を身につけ、飲酒運転を未然に防ぐことが重要です。ぜひ、最後までお読みいただき、一緒に安全な運転環境を作り上げましょう。
この記事を読んでわかること
- 飲酒運転とは
- 飲酒運転の基準とは
- 飲酒運転の処分と罰則とは
ここを押さえればOK!
酒気帯び運転は血中や呼気中に一定のアルコール濃度がある場合に該当します。一方、酒酔い運転はアルコールの影響で正常な運転ができない状態を指し、具体的なアルコール濃度は関係なく、体の動きや会話の状況で判断されます。
酒気帯び運転の処分はアルコール濃度に応じて異なり、呼気中0.15mg/L以上で基礎点数13点、免許停止90日、0.25mg/L以上で基礎点数25点、免許取消し欠格期間2年となります。罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
酒酔い運転の処分は基礎点数35点、免許取消し欠格期間3年で、罰則は5年以下の懲役または100万円以下の罰金です。どちらも運転者以外に車両提供者や同乗者も罰則の対象になります。
「少し飲んだだけ」「時間を空ければ大丈夫」といった考えは間違いで、少しでも飲んだら運転しないことが重要です。アルコール分解速度は個人差があり、翌朝の運転にも注意が必要です。飲酒運転によって重大な事故を引き起こすリスクがあるため、自己管理が求められます。
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東京大学法学部卒。アディーレ法律事務所では北千住支店の支店長として、交通事故、債務整理など、累計数千件の法律相談を対応した後、2024年より交通部門の統括者。法律を文字通りに使いこなすだけでなく、お客様ひとりひとりにベストな方法を提示することがモットー。第一東京弁護士会所属。
飲酒運転とは
飲酒運転とは、お酒を飲みアルコールが身体に残っている状態で運転をする行為です。
飲酒運転には、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2つがあり、酒酔い運転の方が処分や罰則が重く定められています。
飲酒運転の基準とは
次に、飲酒運転になる基準について「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」に分けて見ていきましょう。
(1)酒気帯び運転の基準
酒気帯び運転とは、血中や呼気に一定程度以上のアルコールが含まれている状態で運転をする行為です。車を運転した場合に限らず、自転車を運転した場合も酒気帯び運転にあたります。
<酒気帯び運転の基準>
血中アルコール濃度 | 呼気中アルコール濃度 |
1mLにつき0.3mg | 1Lにつき0.15mg |
(2)酒酔い運転の基準
酒酔い運転とは、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれのある状態で運転することをいいます。
酒酔い運転も酒気帯び運転と同じく、体内にアルコールが含まれている状態なのですが、酒酔い運転は体内のアルコール濃度の数値は関係ありません。アルコールの影響をどれだけ受けているかで判断されます。
<酒酔い運転の基準>
正常な運転ができない恐れがあるかどうかを総合的に判断します。
- 直立できるか
- まっすぐに歩行できるかどうか
- ろれつが回っているか、支離滅裂な内容になっていないか
- 会話を正しく聞き取ることができるか など
酒酔い運転は、血液中や呼気中にどの程度のアルコールが残っているかという基準は関係ありません。ですから、ものすごくアルコールに弱くて、一口飲んだだけでふらふらになってしまうという方の場合、「酒気帯び運転」には当たらないけれど「酒酔い運転」に当たるという可能性があります。
飲酒運転の処分と罰則とは
では、飲酒運転をすると、どういう処分や罰則を受ける可能性があるのでしょうか。
「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」に分けて、受ける可能性のある処分と罰則を見ていきましょう。
(1)酒気帯び運転の処分と罰則
酒気帯び運転に対する行政処分と罰則は、体内に残されるアルコール濃度の数値によって違ってきます。アルコール濃度が高い方が行政処分や罰則が重くなります。
<酒気帯び運転の行政処分>
- 呼気中アルコール濃度0.15mg/l以上
- 基礎点数 13点
- 免許停止 期間90日(前歴及びその他の累積点数がない場合)
- 呼気中アルコール濃度0.25mg/l以上
- 基礎点数 25点
- 免許取消し 欠格期間2年(前歴及びその他の累積点数がない場合)
<酒気帯び運転の罰則>
- 車両などを運転した者
- 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 車両などを提供した者
- 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 酒類を提供した者または同乗した者
- 2年以下の懲役または30万円以下の罰金
車両を運転した人はもちろんのこと、飲酒運転になることを知りながら車両を提供した人や酒類を提供した人、車両に同乗した人も罰則の対象です。飲酒運転にならないように、周囲の人も気を付ける必要があります。
(2)酒酔い運転の処分と罰則
次に、酒酔い運転に対する行政処分と罰則を見ていきましょう。
<酒酔い運転の行政処分>
- 酒酔い運転の行政処分
- 基礎点数 35点
- 免許取消し 欠格期間3年(前歴及びその他の累積点数がない場合)
<酒酔い運転の罰則>
- 車両などを運転した者
- 5年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 車両などを提供した者
- 5年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 酒類を提供した者または同乗した者
- 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
酒酔い運転も酒気帯び運転と同じく、酒酔い運転であることを知りながら車両を提供した人や酒類を提供した人、車両に同乗した人も罰則の対象です。酒酔い運転の場合、運転した者以外の人も罰則が重くなりますので、注意が必要となります。
少し飲んだだけでも飲酒運転?時間を空ければ問題ない?
「少し飲んだだけなら問題ない」「時間を空ければアルコールも分解されるし問題ない」
こんな言葉を聞いたことがあるかもしれません。しかし、間違いです。
詳しく見ていきましょう。
(1)少しでも飲んだら乗らないが原則
少しでも飲んだら乗らないのが原則です。
アルコール分解速度や個人の体質や体調によっても異なるため、どの程度お酒を飲むと基準値を超えるのか、お酒を飲んだ後どのくらい時間をおけばいいのかは一概にいえません。
例えば、過去にお酒を飲んで、酒気帯び運転に当たらなかった経験があっても、あなたの体調次第で、今日も酒気帯び運転に当たらないとは限りません。酒気帯び運転をしないためには、少しでも飲んだら運転しないのが重要です。
(2)翌朝の運転にも注意が必要
翌朝の運転であれば問題ないと思われているかもしれませんが、それも注意が必要です。
お酒を飲んだ当日に運転しないのはもちろん、翌朝車を運転する際には、前日の夜にお酒を飲まないようにすることが大切です。
酒気帯び運転や酒酔い運転によって、被害者をも巻き込む事故を起こし、大きく後悔することになるかもしれません。「少しなら大丈夫」「翌日だから大丈夫」という少しの過信があなたの人生を終わらせることになるおそれもあります。
【まとめ】飲酒運転とはアルコールが残った状態で運転する行為|被害者は弁護士に相談へ
飲酒運転は、お酒を飲んでアルコールが身体に残っている状態で運転をする行為で、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」に分類されます。
酒気帯び運転は体内のアルコール濃度で判断され、酒酔い運転はアルコールの影響をどれだけ受けているかで判断されます。どちらも厳しい処分と罰則があり、他人を巻き込む事故を引き起こすリスクが高いです。
「少しなら大丈夫」「時間を空ければ問題ない」という誤解は非常に危険です。少しでも飲んだら運転を避け、翌朝の運転にも注意が必要です。あなた自身や他人の安全のために、飲酒運転のリスクを理解し、絶対に飲酒後の運転を避けましょう。
また、飲酒運転で交通事故の被害にあった方にとっては、「飲酒運転」は事故の原因ともいえる行為です。近年は飲酒運転に厳しい目が向けられ、厳罰化も進んでいます。
飲酒運転をしていた加害者にきちんと賠償金を支払ってもらうようにしましょう。
飲酒運転の被害にあい、賠償金請求でお悩みの方はアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼ください。ご依頼いただいた場合、弁護士費用をあらかじめご用意いただく必要はありません。
弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。
また、弁護士費用特約を利用する方であっても、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様にあらかじめご用意いただく弁護士費用は原則ありません。
※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多く、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各法律事務所へご確認ください。(以上につき、2025年3月時点)
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