損害賠償請求を考えている方にとって、時効は見逃せない重要なポイントです。
不法行為に基づく損害賠償請求権には、法律で定められた消滅時効の期間があります。
不法行為の被害者が、損害及び加害者を知ったときから3年間請求しなければ、時効で消滅してしまいます。また、不法行為のときから20年が経過しても同様です。
本記事では、具体的な消滅時効の期間や時効がある理由について解説します。さらに、交通事故の被害に遭った方が、示談で損をしないためのポイントも紹介します。
ここを押さえればOK!
交通事故の被害者は、時効を意識しながらも急がず、慎重に示談交渉を行うことが重要です。示談を急ぐと、適切な賠償金を得られないリスクがあります。
弁護士に相談・依頼することで、時効を把握し、適切な準備を整えた上で示談交渉を進めることができるでしょう。
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不法行為に基づく損害賠償請求権の時効期間
不法行為の損害賠償請求権は、次のいずれかに当たるとき、時効によって消滅します。
- 損害及び加害者を知った時の翌日から3年
- 不法行為の時から20年
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
引用:民法|e-Gov 法令検索
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。
参考:事件や事故に遭われた方へ 2020年4月1日から 事件や事故によって発生する 損害賠償請求権に関する ルールが変わります|法務省
生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権の時効期間
生命や身体を害する不法行為の場合、被害者がケガなどで請求に時間を要することもあることなどから、時効期間が3年から5年に延長されています。
第七百二十四条の二 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用については、同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする
引用:民法|e-Gov 法令検索
不法行為に基づく損害賠償請求権に消滅時効がある理由
消滅時効とは、権利者が一定期間権利を行使しない場合に、その権利が消滅する制度のことです。
不法行為に基づく損害賠償請求権に消滅時効がある理由は、権利の上に眠る者は法律の保護を失うところ、加害者と被害者双方を法的な不確実性から解放することにあると考えられています。
ただし、消滅時効によって利益を受ける側は、「消滅時効にかかっているから支払わない」と主張するためには「時効を援用」する必要があります。
借金のケースですが、時効援用について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
損害賠償請求権の時効の起算点~時効はいつ進行を始める?
時効の進行は、被害者又はその法定代理人が、損害及び加害者を認識した時から始まります。
正確には、初日は時効期間に算入しませんので、原則としてその翌日が、消滅時効期間のスタート時点です(民法140条)。
第百四十条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
引用:民法|e-Gov 法令検索
交通事故では、通常、加害者の分からないひき逃げなどを除けば、すぐに加害者を知ることができます。
ただ、交通事故被害者が、加害者に対して有する損害賠償請求権の時効の進行時点は、次のようにケースにより異なる点に注意が必要です。
(1)物損事故のケース|3年
物損事故は、人的被害のない事故です。
被害者は、加害者に対して故障した車の修理代などを損害賠償請求することができます。
この場合の時効期間は、損害及び加害者を認識した翌日から3年です。
(2)人身事故のケース|5年
人身事故は、人がケガなどの被害を受けた事故です。
被害者は、ケガの治療費や慰謝料、休業損害等の損害賠償を請求できる可能性があります。人身事故で後遺障害が残らなかった場合の時効期間は、損害および加害者を認識した翌日から5年です。
(3)後遺障害が残ったケース|5年
交通事故のケガが完治せず何らかの障害が残り、症状固定となって後遺障害等級が認定された場合、等級に応じた後遺障害の慰謝料などを請求することができます。
後遺障害が残った場合の時効期間は、症状固定日の翌日から5年です。
(4)死亡事故のケース|5年
交通事故で被害者が亡くなられた場合、加害者に対して、死亡慰謝料や逸失利益などを請求することができます。
被害者が亡くなられた場合の時効期間は、死亡日の翌日から5年です。
(5)加害者が分からない場合|20年
ひき逃げなどで加害者が分からない場合でも、事故日の翌日から20年たつと損害賠償請求権は時効にかかって消滅します。
警察の捜査などで人身事故後しばらくたって加害者が判明した場合には、加害者を知った翌日から5年、又は、事故の翌日から20年のいずれか早い方の時効にかかります。
時効に配慮しつつ示談は急がず弁護士に相談を
示談交渉は慎重にしっかりと検討したうえで行う必要があります。
「早く交渉を終わりにして日常に戻りたい」と思うかもしれません。
しかし、まずは時効を把握したうえで、しっかりと必要な時間をかけて治療することが大切です。
後遺障害が残るかもしれないのに、示談を急いでまとめてしまうと、後になって「損をした」ということになりかねず、適切な賠償金を得られないリスクがあります。
交通事故の被害にあったら、まずは弁護士に相談し、時効を意識しつつ、示談に必要な準備を整えましょう。
弁護士はあなたの利益を第一に考え、適切な額の賠償金を獲得するために、適切なタイミングで、加害者側の保険会社と毅然と交渉します。
弁護士は、あなたの強い味方となり、あなたの権利を実現するために尽力します。
【まとめ】
不法行為の損害賠償請求権は、損害及び加害者を知った時から3年、または不法行為の時から20年で時効にかかり消滅します。ただし、生命や身体を害する場合は、特則により5年に延長されます。
交通事故の被害にあったら、時効を把握しつつも、急がずしっかりと検討したうえで示談交渉を行いましょう。
弁護士は、あなたの強い味方になるはずですので、一度是非ご相談ください。
交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、弁護士費用をあらかじめご用意いただく必要はありません。
すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。
また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様にあらかじめご用意いただく弁護士費用は原則ありません。
※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです(実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各法律事務所へご確認ください。)
(以上につき、2025年5月時点)
交通事故の被害にあって賠償金請求と時効のことでお悩みの方は、交通事故の賠償金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。