交通事故に遭ってケガをした主婦の方、慰謝料や休業損害について不安を抱えていませんか?家事や育児で忙しい中、保険会社とのやり取りや複雑な手続きに頭を悩ませている方も多いでしょう。
この記事では、主婦の方が交通事故で3ヶ月通院した場合の慰謝料の相場や計算方法、慰謝料以外に請求できる損害賠償、そして適正な慰謝料を受け取るための重要なポイントまで、交通事故の被害者である主婦の皆さんが知っておくべき情報を解説します。
安心して治療に専念し、適切な賠償を受けられるよう、ぜひ最後までお読みください。
ここを押さえればOK!
慰謝料以外に、家事労働に対する「休業損害(主婦休損)」や、後遺症が残った場合の「逸失利益」も請求できます。休業損害も弁護士のが交渉することで、自賠責基準よりも高額になる可能性があります。
適正な慰謝料を受け取るためには、医師の指示に従い通院を継続すること、必要であれば適正な後遺障害等級認定を受けること、そして弁護士の基準で慰謝料を請求することが重要です。弁護士に依頼することで、慰謝料増額の可能性が高まり、複雑な手続きや交渉を任せて治療に専念できます。また、弁護士費用特約が利用できる場合もあります。
交通事故の被害に遭われた方は、1人で悩まず、一度アディーレ法律事務所にご相談ください。
弁護士による交通事故被害の無料相談はアディーレへ!
費用倒れの不安を解消!「損はさせない保証」あり
ご相談・ご依頼は、安心の全国対応。国内65拠点以上(※1)
交通事故でケガをした主婦が知っておくべき慰謝料の基礎知識
交通事故に遭ってケガをした場合、慰謝料を受け取れる可能性があります。まずは、慰謝料の基本的な考え方と、主婦が請求できる慰謝料の種類について理解を深めましょう。
(1)交通事故の慰謝料とは?主婦でも請求できる3種類の慰謝料
交通事故における慰謝料とは、事故によって受けた精神的・肉体的苦痛に対する賠償金です。交通事故の慰謝料には大きく分けて「入通院慰謝料」「後遺症(後遺障害)慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類があります。
主婦の方が怪我をして通院した場合、まず請求できるのは入通院慰謝料です。もし、治療を続けても症状が改善せず症状固定となって後遺症が残った場合は、後遺症慰謝料も請求できます。
それぞれの慰謝料は、被害者の状況に応じて算定されますので、個々人の状況に応じた適正な金額を受け取ることが重要です。
(2)慰謝料の計算に使われる3つの基準と主婦の慰謝料相場

交通事故の慰謝料算定には、「自賠責の基準」「任意保険の基準」「弁護士の基準(裁判所の基準)」の3つの計算基準があります。
このうち、基本的に、最も低額になるのが自賠責の基準、最も高額になるのが弁護士の基準です(※)。任意保険会社は通常、自賠責の基準に近い金額や、自社の基準である任意保険の基準で算定した慰謝料額を提示してきますが、弁護士基準で計算し直すことで、慰謝料が増額する可能性があります。
主婦の慰謝料相場もどの基準で計算するかによって金額が異なるので、どの基準で計算されているかを確認することが大切です。
※ただし、自賠責保険は、交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、ご自身の過失割合が大きい場合には、自賠責の基準が最も高額となることもあります。
通院3ヶ月の主婦の慰謝料はいくら?具体的な計算例
主婦の方が交通事故で3ヶ月通院した場合の慰謝料は、怪我の程度によっても変わってきます。
以下は、通院3ヶ月の場合の入通院慰謝料の目安です。
基準名 | 金額目安 | 備考 |
---|---|---|
自賠責の基準 | 38万7000円 | ・1日あたり4300円で計算 ・2020年4月1日以降の事故で、通院期間の半数以上実際に通院した場合 |
弁護士の基準(重傷の場合) | 73万円 | 骨折など比較的重い症状の場合(別表Ⅰ) |
弁護士の基準(軽傷の場合) | 53万円 | 他覚所見の無いむちうちなど比較的軽い症状の場合(別表Ⅱ) |
(1)自賠責の基準|3ヶ月の通院慰謝料の上限目安は38万7000円
自賠責の基準では、1日あたりの慰謝料が4300円と定められていて、以下の少ない方の金額が採用されます。
- 治療期間:事故日から治療終了日までの日数
- 実通院日数:実際に病院に通院した日数の2倍
例えば、治療期間が90日(3ヶ月)で、実通院日数が40日の場合、自賠責の基準の慰謝料は「40日 × 2 × 4300円 = 34万4000円」となります。
上限目安は38万7000円(90日×4300円)です。
治療期間が長くても実通院日数が少ないと、実通院日数を基礎に計算されるため慰謝料は低い金額となります。
(2)任意保険の基準|保険会社により異なる
任意保険の基準は、各保険会社が独自に設定しているので、一概にいくらとは言えません。しかし、一般的には自賠責基準と同程度かそれよりも高く、弁護士の基準より低い金額が提示されることが多いです。
保険会社からの提示額が適正な額なのかどうか、示談前に、一度弁護士に相談してみることをお勧めします。
保険会社の担当者は、会社の方針に基づいて交渉を進めるため、被害者が適切な知識を有していないと、被害者にとって適正な金額よりも低い金額で示談が成立してしまうケースも少なくありません。
(3)弁護士の基準(裁判の基準)|3つの基準で一番高額
弁護士の基準は、過去の裁判例に基づいて算定されるため、基本的に最も適正で高額な慰謝料を算定できる基準です。むちうちなどの軽傷の場合と、骨折などの重傷の場合で計算方法が異なります。
一般的に、通院3ヶ月の弁護士の基準での慰謝料は、軽傷で53万円、重傷で73万円が目安となります。
個人で交渉して、弁護士の基準での慰謝料を獲得できる可能性は低いです。
弁護士が交渉にあたることで、この弁護士の基準での慰謝料獲得を目指すことが可能となります。
適正な慰謝料を受け取るためには、弁護士に依頼して、弁護士の基準で交渉してもらうのがよいでしょう。
通院3ヶ月で後遺症が残った場合の慰謝料
通院治療を続けてもその効果が見込まれず、症状が残ってしまった状態(症状固定)と診断された場合、「後遺障害」に認定される可能性があります。
症状固定とされると、その後通院しても治療費や入通院慰謝料は支払われません。
ただし、後遺障害等級認定を受けると、入通院慰謝料とは別に後遺症慰謝料と逸失利益を請求できるようになります。
3ヶ月通院での後遺障害認定の可能性
症状固定の診断時期は、ケガの程度や治療経過など個々の状況により異なります。
ただ一般的には、頸椎捻挫などによるむちうち症状の場合、交通事故から3~6ヶ月程度で症状固定とされることが多いようです。
また、骨折による痛みや可動域制限などは、骨折の回復にかかる時間はケースによって異なるので一概には言えませんが、交通事故から6ヶ月から1年程度で症状固定とされることが多いようです。
後遺障害等級14級の後遺症慰謝料の相場について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
主婦が慰謝料以外に請求できる損害賠償金
交通事故の被害者が請求できるのは慰謝料だけではありません。
交通事故によりケガをしてしまい、いつも通り働けずに収入が減ってしまった場合、被害者は加害者側に対し、減ってしまった収入を「休業損害」として請求することができます。
後遺症が残って後遺障害等級が認定されれば、「逸失利益」も請求することができます。
(1)主婦の休業損害(主婦休損)の基本と計算方法
主婦の休業損害とは、交通事故による怪我のために家事労働ができなくなったことに対する損害賠償です。専業主婦の方でも、家事労働は経済的価値があるとされ、休業損害を請求できます。
ただし、自分のためだけの家事労働は、誰しも生活するために行うものであり、経済的価値がないと考えられますので、家事労働ができなくなったことを理由として休業損害を請求することは困難です。
自賠責の基準と弁護士が算定する場合の休業損害を比べてみます。
(1-1)自賠責の基準
自賠責の基準だと、原則として1日あたりの損害額は6100円(2020年4月1日以降の交通事故)です。
3ヶ月の間に、40日の通院があった場合には、6100円×40日=24万4000円になります。
(1-2)弁護士が算定する場合
通常、賃金センサス(厚生労働省が行っている賃金構造基本統計調査)の女性労働者の全年齢平均給与額を基礎収入として算定します。
例えば、40歳の専業主婦(主夫)が交通事故の被害に遭ってケガをした場合、1日当たりの基礎収入は次の計算式により計算します。
<計算式>
賃金センサスによると、2022年の学歴計の全年齢平均賃金(女性)(年収)は、394万3500円です。
394万3500円(女性の平均賃金) ÷ 365日 = 1万804円(小数点以下切り捨て)
自賠責の保険の1日当たり6100円に比べると、高額になるのが分かりますね。
兼業主婦については、現実の収入額と女性労働者の平均賃金額と比べて、高い方を基準に基礎収入額を算出します。
主婦と休業損害の関係や計算方法について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(2)後遺障害が残った場合の逸失利益
治療を続けても残念ながら症状が完治せず、後遺症が残ってしまい後遺障害等級認定を受けた場合、逸失利益を請求できます。
これは、後遺障害によって将来得られるはずだった収入(主婦業による経済的価値を含む)が減少することに対する補償です。
逸失利益は、基礎となる事故前の収入額である「基礎収入額」に、今後どの程度労働能力を失うのかという「労働能力喪失率」と「労働能力喪失期間」の中間利息控除のためのライプニッツ係数を掛けて計算します。
逸失利益は、将来の経済的損失を補償する重要な賠償項目となりますので、提案された額にすぐ応じることなく、増額可能性について事前に弁護士に相談するようにして下さい。
逸失利益の計算方法について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
慰謝料を適正額で受け取るための重要なポイント
交通事故の慰謝料は、単に治療期間が長ければ良いというものではありません。適正な慰謝料を受け取るためには、いくつか重要なポイントがあります。
(1)医師の指示に従い通院を継続する
交通事故による怪我の治療では、医師の指示に従い、適切な頻度で通院を継続することが非常に重要です。
通院期間や通院頻度が少ないと、保険会社から「症状が軽かった」「治療の必要性がなかった」と判断され、慰謝料が減額されるリスクがあります。特に、通院3ヶ月という期間でも、定期的な通院は慰謝料の算定において重要な要素となります。また、自身の症状を正確に医師に伝え、診断書に反映してもらうことも大切です。
(2)適正な後遺障害等級認定を受ける
治療を続けても症状が改善せず、後遺症が残ってしまった場合、後遺障害の等級認定を受けることが必要です。この等級によって、後遺障害慰謝料や逸失利益の金額が大きく変わります。
後遺障害等級認定は書面審査が中心となるため、症状を裏付ける客観的な検査結果などの書類が不可欠です。適切な検査を受け、症状を正確に医師に伝え、診断書や医学的資料をしっかりと準備することが、適正な等級認定には欠かせません。
後遺障害の認定で必要な書類について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(3)弁護士の基準で慰謝料を請求する
前述の通り、基本的に弁護士の基準で計算する慰謝料が最も高額になります。
しかし、被害者自身が保険会社と交渉しても、なかなか弁護士の基準での支払いは認められないでしょう。
弁護士に依頼することで、保険会社との交渉を弁護士が代理し、弁護士の基準での慰謝料獲得を目指すことができます。
法律の専門家である弁護士が介入することで、適正な金額での解決につながりやすくなるのです。
主婦の交通事故慰謝料に関するよくある質問(Q&A)
主婦の方からよく寄せられる、交通事故の慰謝料に関する疑問を解消します。
(1)兼業主婦の場合の休業損害はどうなるの?
パートやアルバイトなどで収入を得ている兼業主婦の場合、休業損害は、現実の収入額と女性労働者の平均賃金額と比べて、高い方を基準に基礎収入額を算出します。
つまり、もし働いて得ていた現実の収入額が、女性労働者の平均賃金額よりも高い場合には、現実の収入額を基本にします。逆に、現実の収入額が、女性労働者の平均賃金額よりも低い場合には、女性労働者の平均賃金額を基本にします。
(2)家事育児で忙しくて、通院する時間がありません。それでも慰謝料は受け取れる?
入院や通院をしなければ、入通院慰謝料を受け取ることはできません。
入通院慰謝料は、入通院を余儀なくされたことに対する精神的苦痛を賠償するために支払われるお金だからです。
忙しくても、ケガの治療のために、医師の指示に従いしっかりと通院するようにしましょう。
慰謝料請求は弁護士に相談すべき?弁護士に依頼するメリット
交通事故の慰謝料請求において、弁護士に依頼することには、通常多くのメリットがあります。
(1)弁護士に依頼することで慰謝料が増額する可能性
最も大きなメリットは、弁護士の基準(裁判所の基準)で計算した慰謝料を請求できるため、保険会社からの提示額よりも高額な慰謝料を受け取れる可能性があることです。
交通事故を扱う弁護士は、過去の判例や実務、経験に基づいて、弁護士の基準で算定した適正な慰謝料額を算出し、保険会社と交渉します。
これにより、被害者自身が交渉するよりも、慰謝料の増額が期待できます。
(2)複雑な手続きや交渉を任せて治療に専念できる
交通事故の示談交渉は、保険会社との煩雑なやり取りや書類作成・提出など、被害者にとって大きな負担となります。
特に、交通事故の被害から普段の生活を取り戻そうとする時期にこうした手続きを行うことは精神的にも肉体的にも大きなストレスです。
弁護士に依頼すれば、交渉や書類作成などを任せられるため、被害者は治療や家事、育児に専念できるでしょう。
(3)弁護士費用特約の活用
自動車保険には「弁護士費用特約」が付帯している場合があります。
この特約を利用すれば、弁護士費用を保険会社が負担してくれるため、自己負担なしで弁護士に依頼できるケースが多いです。通常、特約を使っても保険料が上がることはないため、まずはご自身の保険に弁護士費用特約が付いているかを確認してみましょう。
特約がない場合でも、成功報酬型など依頼しやすい費用形態を採用している法律事務所もありますので、費用の不安なく相談・依頼できる弁護士を探しましょう。
弁護士費用特約について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【まとめ】
保険会社が提示する慰謝料額は弁護士の基準と比べて低額な場合が多く、知らずに示談してしまうと損をしてしまう可能性があります。
主婦の方が適切な額の慰謝料を受け取るためには、正しい知識を持ち、弁護士に依頼したうえで、弁護士の基準での交渉を目指すことが非常に重要です。
交通事故の被害に遭われた方は、1人で悩まず、一度アディーレ法律事務所にご相談ください。