「年度末の繁忙期に、有給消化なんて非常識だ」 「退職するなら、引き継ぎを完璧にしてから休め」
退職を申し出た際、上司からこのような言葉を投げかけられ、有給休暇の取得を諦めてしまってはいないでしょうか?
真面目な方ほど、「立つ鳥跡を濁さず」の精神で我慢をしてしまいがちです。
しかし、退職時の有給休暇の取得は、労働基準法で守られた労働者の「正当な権利」です。
感情論や職場の空気に流されず、法律を味方につけて、損をせずに次のキャリアへ進むための正しい知識を解説します。
3月末の退職、残った有給休暇を「放棄」する経済的損失
まず、感情の話を抜きにして「数字(損得)」のお話をしましょう。有給休暇を消化せずに退職することは、経済的に見れば、受け取れるはずの現金を受け取り拒否して、会社に寄付しているのと同じ状態です。
有給休暇とは、文字通り「給料が有る休暇」です。労働の義務を免除されながら、賃金請求権が保障されている日です。
たとえば、月給30万円(月20日勤務として計算)であれば、有給休暇1日あたりの価値は約1万5,000円です。 もし有給が20日残っている場合、約30万円分の権利を手放して退職することになります。
退職後の新生活や転職活動にはコストがかかります。
これだけの金額を「気まずいから」という理由だけで放棄するのは、あまりに大きな損失ではないでしょうか。
「有給消化は認めない」という会社側の主張への法的な反論
会社側はしばしば、「繁忙期だから」「就業規則で決まっているから」という理由で有給消化を拒否しようとします。しかし、これらの主張の多くは、退職時の有給消化においては法的な効力を持ちません。
(1)「時季変更権」は退職時には使えない
会社には、従業員の有給取得日をずらす「時季変更権」という権利があります。
しかし、これはあくまで「別の日に変更する」権利です。
退職日が決まっている場合、「退職日以降に変更する日」が存在しないため、会社は時季変更権を行使できません。
つまり、退職日まで有給休暇をまとめて消化するという申し出に対して、会社側は時季変更権を理由に拒否することはできないのです。
(2)「引き継ぎ」は有給拒否の理由にならない
「引き継ぎが終わらないなら有給は認めない」という主張もよく見受けられます。
もちろん、信義則上、退職に伴う最低限の引き継ぎを行う義務はありますが、「引き継ぎ完了」を有給取得の条件とすることは法律上できません。
本来、業務の引き継ぎや人員配置は、退職日までの期間内に会社側が管理・調整すべき事項だからです。
解決事例はこちらをご覧ください。
ご自身での交渉が難しい場合の「退職代行(弁護士)」の活用
法的に正しいと分かっていても、実際に上司を前にして「権利です」と主張するのは、精神的に大きな負担がかかります。
「損害賠償請求するぞ」「懲戒解雇にするぞ」といった、強い言葉で引き止めにあうケースもあるようです。
そうした精神的な消耗を避けるために、弁護士による退職代行という選択肢があります。
「民間業者」と「弁護士」の違い
退職代行サービスには、民間企業が運営するものと、弁護士が運営するものがあります。この違いは非常に重要です。
- 民間業者(一般企業): 「辞めます」という意思を伝えることしかできません。本人の代理人として有給消化や退職日の「交渉」を行うことは、弁護士法に抵触するためできません。( ※労働組合が運営するケースを除く)
- 弁護士: 法律に基づき、あなたの代理人として会社との「交渉」が可能です。「有給を全て消化して、〇月〇日に退職扱いとする」といった具体的な協議ができます。
会社側が無理な主張をしていたとしても、弁護士が出てきた時点で「法的に通じない」と判断し、事務的な手続きへ移行するケースが大半です。
有給期間中の過ごし方と注意点
晴れて有給消化期間に入った場合、その期間は「会社に籍はあるが出勤していない」状態となります。
有給期間中に次の会社で働き始める場合、社会保険(健康保険・厚生年金)の手続きが重複する可能性があります。
また、現職の就業規則で「副業禁止(二重就労禁止)」となっている場合、就業規則違反として懲戒処分の対象となったり、退職金の減額などのトラブルに発展したりするリスクもゼロではありません。
新しい会社への入社日は、基本的に退職日より後とすべきでしょう。
【まとめ】トラブルを未然に防ぎ、適正な退職を実現するために
3月末の退職は、会社にとっても決算や人事異動が重なる繁忙期であり、トラブルになりやすいタイミングです。
しかし、だからといってあなたが正当な権利を犠牲にする必要はありません。
「上司と直接話すのが怖い」「残っている有給をうやむやにされそうだ」と感じたら、一度弁護士にご相談ください。
弁護士は、あなたが平穏な日常を取り戻し、損をすることなく新しい一歩を踏み出すための「法的な盾」となります。 まずは一度、ご自身の状況をお聞かせください。
退職代行でお悩みの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。






























