「不倫は犯罪ではないの?」
不倫をされたら、体も心も傷付き、「不倫を犯罪として刑罰に処してほしい」と考えるのは当然のことといえるでしょう。しかし、残念ながら、不倫は犯罪ではなく、刑罰に処せられることもありません。
ただし、不倫をした責任は、慰謝料請求という形で、「お金」で責任をとらせることができる可能性があります。 不倫をされた場合に責任をとらせるための対処法やその際に注意すべき点について知っておきましょう。
この記事を読んでわかること
- 不倫は「犯罪」ではなく「不法行為」になる理由
- 「不法行為」になる不倫の線引き
- 不倫から「犯罪」になってしまうケース
- 不倫で責任をとらせるための対処法と注意点
ここを押さえればOK!
一方、「犯罪」とは法によって刑罰が科される行為を指します。不倫は法律上「犯罪」とされているわけではないため、警察に逮捕されたり刑罰を受けたりすることはありません。
ただし、不倫をされた配偶者は不倫をした相手に対して慰謝料を請求することができます。不倫は「不法行為」であり、慰謝料を請求することで不倫をした責任を負わせることができます。
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法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件部にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。
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不倫は「犯罪」ではなく「不法行為」になる
まず、「不法行為」とは何か、「不法行為」と「犯罪」の違いについて説明します。
(1)不倫は「不法行為」になる
不倫は、「犯罪」ではなく「不法行為」にあたります。
不法行為とは、故意や過失によって他人の権利や利益を侵害する行為をいいます(民法709条)。
そして、不倫はこの「不法行為」にあたるとされています。
婚姻中にもかかわらず、肉体関係のある不倫をされた場合、不倫をされた側は大きな精神的ショックを受け、夫婦関係にも悪影響を及ぼします。裁判では、この夫婦関係への悪影響を「婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する利益」を害するといいます。
つまり、肉体関係を伴う不倫(いわゆる「不貞行為」)は、不倫をされた側の婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する「不法行為」にあたります。
(2)不倫は「犯罪」ではない|不法行為との違いとは
「不倫=不法行為」と聞くと、法律に反しているのであれば、不倫は犯罪にあたるのではと考える人がいますが、それは違います。
「犯罪」とは、法によって刑罰での制裁が科される行為をいいます。一方、不倫に刑罰を科す法律はないので、不倫は「犯罪」にはあたりません。
例えば、人の物を盗めば窃盗罪(刑法235条)にあたり、警察に逮捕され、有罪になれば刑罰に処せられますが、不倫をしたからといって、警察に逮捕されたり、刑罰に処せられることはありません。
不倫は「不法行為」であり、あくまでも慰謝料などの賠償金を請求できるとするもので、「犯罪」と違い刑罰などの制裁はありません。
不倫は刑罰に処することはできませんが、「不法行為」として慰謝料を請求することで、相手に不倫をした責任を負わせることができます。
不倫はどこから?「不法行為」になる不倫とは
では、「不法行為」となる不倫はどこからなのでしょうか。
隠れて連絡をとっていたり、デートをしたりしたら不倫という人もいますが、そういった不倫も「不法行為」として慰謝料請求することはできるのでしょうか。
(1)「不法行為」になる不倫とは
まず、不倫を理由に慰謝料を請求して責任を負わせることができるのは、あくまでも不倫が「不貞行為」にあたる場合です。
そして、「不貞行為」にあたれば、「不法行為」として慰謝料を請求することができます。
例えば、連絡を取りあったり、デートをしたりすることも不倫だと思われるかもしれませんが、それだけでは、「不貞行為」にはあたりません。
なぜなら、「不貞行為」とは配偶者がいるにもかかわらず、配偶者以外の異性と肉体関係を伴う不倫をすることが原則とされているからです。
ただし、肉体関係に至らないような前戯などの性交類似行為(例えば、一緒に風呂に入る、愛撫するなど)や、婚姻関係を破綻させるような異性との交流(例えば、キスやハグなどを繰り返すなど)も、「不貞行為」といえるかは別としても、「不法行為」にあたる場合があります。
肉体関係のない不倫で慰謝料請求ができるのかについてさらにくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
(2)肉体関係を伴う不倫でも慰謝料請求ができないケース
肉体関係を伴う不倫であっても慰謝料請求ができないケースもあります。
例えば、次のようなケースです。
- 不倫が始まった時点で、夫婦の仲が悪く、共同生活がすでに破綻していた(夫婦が別居している場合、婚姻関係が破綻していたと判断される可能性が高い)
- 出会い系サイトなどで知り合い、お互いの素性をまったく知らず、既婚者であることに気づく余地のないまま肉体関係を持った
不倫が始まった時点で、すでに夫婦仲が悪く、共同生活がすでに破綻していた場合には、不倫によって夫婦仲が壊されたとはいえませんので、慰謝料を請求することはできないとされています。
また、既婚者だと知らずに肉体関係を持った場合も、悪気があって不倫をしたわけではないので、慰謝料請求をするのは酷であると考えられ、慰謝料を請求することはできません。

不倫をした責任を負わせたい!とるべき対処法とは
不倫が「犯罪」にならないとしても、不倫をした責任を負わせたいと考えるのは当然のことです。
しかし、あなたの配偶者や不倫相手に不倫を追及しても、「不倫はしていない」「慰謝料は払わない」などと言い逃れされてしまうことがあります。
このような場合に備えて、事前に証拠を集めたり、慰謝料についての知識を知っておいたりすることが重要です。
(1)不倫の証拠を集める
不倫に気づいたら、相手に気づいていることが知られていないうちに、証拠を集めておきましょう。
例えば、肉体関係を示す写真や動画、肉体関係をうかがわせるSNSのやり取りなどが証拠となります。
証拠は早めに集めておくことをおすすめします。後から証拠を集めようと思っても、証拠を隠されたりして、うまく証拠が集められない可能性があります。
(2)慰謝料を請求する
証拠が集まったら、慰謝料を請求しましょう。
慰謝料を請求することで、相手に不倫をした責任を負わせることができます。
離婚をする場合には、あなたの配偶者と不倫相手双方に慰謝料を請求し、離婚しない場合には、不倫相手に慰謝料を請求することが多いです。
ただ、離婚しない場合であっても、あなたの配偶者に慰謝料を請求してはいけないということではありません。家計を同じにしている場合にただお金が同じ家計内で移動しているだけになってしまうから、しないというだけです。離婚をしない場合には、あなたの配偶者に対し、慰謝料の代わりにあなたの好きなもの(例:服やバッグ、趣味の物など)を買ってもらっても良いかもしれません。
そして、慰謝料の相場(裁判になった場合)は、不倫を理由に離婚をする場合としない場合で変わります。
【不倫の慰謝料相場(裁判になった場合)】
- 不倫を理由に離婚をする場合:100万~300万円程度
- 離婚をしない場合:数十万~100万円程度
相場を大きく超える慰謝料は、相手から「慰謝料の金額が高すぎる」として支払を拒まれてしまう可能性があります。あくまでも相場なので、この相場より高い金額を請求してはいけないということではないですが、慰謝料を請求する場合には、相場の範囲内で行うことをおすすめします。
不倫の慰謝料請求ができるのか不安がある方は、弁護士へ相談がおすすめです。弁護士に依頼すると、依頼者の方にすこしでも有利になれるよう交渉し、適正な慰謝料を獲得できるように全力を尽くしてくれます。きっとあなたの「心強い味方」になってくれるでしょう。
不倫から「犯罪」になってしまうケース
これまで不倫は「犯罪」にならないと説明してきましたが、例外的に、不倫から「犯罪」になってしまうケースもあります。
例えば、次のようなケースです。
- 未成年と肉体関係を伴う不倫をした
- 相手の合意なく、無理やり肉体関係を持った
- 相手に「不倫をバラすぞ」などと脅した
- 「不倫をしている」と周囲に言いふらした
- 相手につきまっとた
このように不倫そのものは「犯罪」にならなくても、不倫相手の年齢や肉体関係に至った経緯などによって「犯罪」になってしまうケースもあります。それぞれ見ていきましょう。
(1)未成年と肉体関係を伴う不倫をした
未成年者と肉体関係を伴う不倫をした場合には、犯罪に当たる可能性があります。
そもそも21歳以上の者が16歳未満と肉体関係を持つことは、同意の有無にかかわらず、不同意性交等の罪(刑法177条3項)にあたりうる可能性があります。そして、この罪に当たる場合には、5年以上の有期拘禁刑に処せられる可能性があります。
一方、肉体関係を持った相手が16歳以上であっても18歳未満であれば、都道府県が定める青少年保護育成条例に反し、刑罰に処せられる可能性があります。
例えば、東京都青少年の健全な育成に関する条例18条の6には、「何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行ってはならない」と定めています。そして、この規定に違反すると、2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります(東京都青少年の健全な育成に関する条例24条の3)。
なお、この場合、不倫相手である18歳未満の未成年は、青少年保護育成条例上は被害者という立場になりますので、刑事罰を受けることはありません。
(2)相手の合意なく、無理やり肉体関係を持った
相手の合意なく無理やり肉体関係を持てば、不同意性交等の罪(刑法177条1項)に当たりうる可能性があります。
例えば、暴行や脅迫で無理やり肉体関係を持った場合はもちろんのこと、お酒で酔わせて肉体関係を持った場合や社会的地位を利用して、相手の合意なく肉体関係を持った場合も当てはまります。
この罪に当たる場合には、5年以上の有期拘禁刑に処せられる可能性があります。
(3)相手に「不倫をバラすぞ」などと脅した
相手に「不倫をバラすぞ」などと脅し、お金を要求したり、相手に義務のないことを行わせたりした場合には、脅迫罪(刑法222条)や恐喝罪(刑法249条)、強要罪(刑法223条)に当たる可能性があります。
これらの罪に当たる場合には、次のような刑罰に処せられる可能性があります。
- 脅迫罪:2年以下の懲役または30万円以下の罰金
- 恐喝罪:10年以下の懲役
- 強要罪:3年以下の懲役
(4)「不倫をしている」と周囲に言いふらした
相手の周囲に「不倫をしている」と言いふらした場合には、名誉棄損罪(刑法230条1項)に当たる可能性があります。この罪に当たる場合には、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
(5)相手につきまとった
不倫相手から別れを切り出されているにもかかわらず、納得できずにつきまっとっているような場合には、ストーカー行為等の規制等に関する法律(略してストーカー規制法)に違反し、1年位以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります(同法2条、18条)。
不倫が発覚!気を付けるべき2つのこととは
不倫が発覚すると、「なんとか責任をとらせたい」「痛い目にあわせたい」と考えて、感情的になってしまうものです。しかし、感情的な対応をしてしまうと、相手に足元をすくわれて、こちらが慰謝料請求をされてしまう立場になってしまう可能性があります。
相手にきちんと責任をとらせるために、次の2つのことに気を付けておきましょう。
(1)不倫相手への執拗な連絡や強要はしない
不倫に対する怒りから不倫相手に執拗に連絡したり、自宅や会社を直接訪ねたりする行為は、不倫相手から後々「脅された」などと逆にクレームを受ける可能性がありますので、注意が必要です。
また、社内不倫だからといって、不倫相手を退職させることはできません。話し合いによって自主的に退職してもらうことはできますが、不倫相手によりますので、必ず辞めてもらえる保証はありません。
(2)違法な証拠集めはしない
違法性を疑われる方法で集めた証拠は、証拠として認められません。また、あなたが罪に問われてしまうおそれもあるため、注意が必要です。
具体的には、次のような行為が挙げられます。
- 位置情報やデータを盗める不正アプリを勝手に配偶者のスマホにインストールする
- 盗聴・盗撮・住居への侵入をする
どのように証拠を集めればよいかわからない場合は、弁護士に相談しアドバイスをもらうことをおすすめします。
【まとめ】不倫は「犯罪」ではなく慰謝料請求ができる「不法行為」
今回の記事をまとめると次のようになります。
- 不倫が「不法行為」として損害賠償請求の対象となるのは、原則、肉体関係を伴う不倫である。
- 不倫であっても、未成年者との不倫や社会的地位を利用して、同意なく無理やり肉体関係を持った場合には、「犯罪」になる可能性がある。
- 不倫の責任をとらせるためには、証拠の集めをしてから慰謝料を請求するようにする。
不倫をされた側は、配偶者に信頼を裏切られてしまったことで怒り、悲しみ、恨み、妬み、自己嫌悪など様々な感情に苦しみ、当然不倫をした配偶者や不倫相手にもその責任をとってほしいと考えます。
ただ、慰謝料を請求したくても、「どうすればいいかわからない」「不倫相手と連絡をとるのがこわい」と一歩を踏み出すことにためらってしまう気持ちもあることでしょう。
この場合には、アディーレ法律事務所の弁護士にご相談ください。
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