パートナーの不倫が発覚し、一刻も早くやめさせたいと願う一方で、怒りや不安でどうしていいかわからない状況ではないでしょうか。
感情的に相手を問い詰めても、問題の解決には繋がりません。
この記事では「不倫をやめさせる」ことに焦点を当て、弁護士が具体的な対処法を解説します。
不倫発覚直後にやるべきことから、慰謝料請求に有効な証拠、配偶者と不倫相手への交渉術、そして絶対にやってはいけないNG行動まで、あなたが心の平穏を取り戻すために知っておきたい知識を詳しく解説します。
不倫発覚のあと、感情的になる前にやるべきこと
パートナーの不倫が発覚した直後は、怒りや悲しみで冷静さを失いがちです。
しかし、感情的な行動は状況を悪化させるおそれがあります。まずは落ち着いて、ご自身の将来のためにやるべきことを整理しましょう。
まずは冷静に自分の気持ちを整理する
パートナーの不倫をやめさせるには、まず冷静になることが不可欠です。
怒りや悲しみに任せて相手を問い詰めると、相手が警戒して証拠を隠したり、逆上して話合いがこじれたりするおそれがあります。
まずは深呼吸をし、一度その場を離れるなど物理的に距離を置くことも有効です。
今後どうしたいのか(関係を修復したいのか、離婚したいのか)を自身に問いかけ、気持ちを整理する時間を持つことが、後悔しないための第一歩となるでしょう。
証拠が消える前に!相手を問い詰めない
不倫の事実を突き止めても、すぐに相手を問い詰めてはいけません。
最も優先すべきは、不倫の証拠を確保することです。相手に不倫を認めさせ、やめさせるには客観的な証拠が極めて重要になります。
感情的に問い詰めると、相手は警戒し、スマートフォンやSNSの履歴など、証拠となり得るものを消去してしまう可能性が高くなります。
証拠がなければ、たとえ不倫が事実でも、法的手続(慰謝料請求など)を有利に進めることは困難になるでしょう。
冷静に行動し、まずは証拠保全に努めてください。
今後の目的を決める(関係修復か離婚か)
不倫をやめさせるという目的の先に、あなたがどうしたいのかを明確にすることが重要です。
夫婦関係を再構築したいのか、それとも離婚して新たな人生を歩みたいのかで、とるべき行動や交渉の進め方は大きく変わってきます。
関係修復を目指すなら、不倫相手と別れさせたあとの夫婦関係の再構築がゴールです。
一方、離婚を選ぶなら、慰謝料や財産分与、親権など、有利な条件で離婚するための準備を進める必要があります。
この目的が曖昧なままだと、交渉方針がぶれてしまい、望む結果を得られなくなるかもしれません。
不倫をやめさせるための交渉準備
パートナーや不倫相手との交渉を有利に進め、不倫をやめさせるためには、事前の準備が欠かせません。
特に重要なのが、法的に有効な証拠を集めることです。
なぜ不倫の証拠が必要なのか
不倫をやめさせるために証拠が必要な理由は、相手に言い逃れをさせず、法的な責任を認めさせるためです。
話合いの場で「不倫はしていない」とウソをつかれても、証拠がなければそれ以上追及できません。
また、慰謝料を請求する裁判では、不貞行為(配偶者以外の者と自由な意思で肉体関係を持つこと)の事実を、請求する側が証拠によって証明する必要があります。
十分な証拠があれば、相手も言い逃れができなくなり、不倫関係の解消や慰謝料の支払いに応じやすくなるでしょう。
慰謝料請求で有効な不倫の証拠とは
法的に有効な不倫の証拠とは、配偶者と不倫相手の間に肉体関係があったことを客観的に推測させるものです。
例えば、以下のようなものが有力な証拠となり得ます。
- ラブホテルに出入りする写真や動画
- 性交渉の事実が具体的にわかるメッセージのやり取り(LINEやメール)
- 性交渉の事実がわかる録音データ
頻繁な密会を示す写真や動画、旅行の予約履歴なども、他の証拠と組み合わせることで有効になる場合があります。
単に「好き」というメッセージや、2人きりの食事の写真だけでは、肉体関係の証明としては不十分と判断されることが多いので注意が必要です。
証拠集めが難しい場合は探偵への依頼も
ご自身で不倫の証拠を集めることには、精神的な負担が大きいだけでなく、相手に気づかれるリスクも伴います。
また、尾行や撮影などの調査活動は、方法を誤るとプライバシー侵害やストーカー規制法に抵触するおそれもあります。
より確実な法的に有効な証拠を安全に手に入れたい場合は、調査のプロである探偵事務所や興信所に依頼することも有効な選択肢です。
費用はかかりますが、裁判でも通用する質の高い証拠(調査報告書)を得られる可能性が高まり、その後の法的手続をスムーズに進めることにつながります。
【配偶者向け】不倫をやめさせる具体的な方法
証拠が揃い、今後の目的も定まったら、次はいよいよ配偶者に対して不倫をやめさせるための具体的な行動に移ります。
感情的にならず、冷静に進めることが大切です。
冷静に話合いの場を設ける
不倫をやめさせる第一歩は、配偶者と冷静に話し合うことです。
感情的に罵ったり、一方的に要求を突きつけたりするだけでは、相手も心を閉ざしてしまいます。
まずは確保した証拠を示しながら、不倫の事実を認めさせましょう。
そのうえで、あなたがどれほど傷ついたか、そして今後どうしてほしいのか(不倫相手と別れてほしい、二度と会わないでほしいなど)を具体的に伝えます。
この話合いは、内容を録音しておくと、あとのトラブル防止につながります。
二度と裏切らせないための「誓約書」を作成する
話合いで合意した内容は、必ず「誓約書」や「合意書」といった書面の形で残しましょう。
口約束だけでは、あとで「そんな約束はしていない」と言い逃れされるおそれがあります。
誓約書には、以下のような内容を明記しましょう。
- 不倫の事実を認める言葉
- 不倫相手と別れること
- 今後一切接触しないこと(接触禁止条項)
- 再度不倫をした場合の違約金(ペナルティ)
この誓約書に当事者双方が署名・捺印し、「公正証書」にすれば、法的な効力がより強固なものになります。
万が一約束が破られても、裁判を経ずに違約金を強制的に回収できることもあります。
夫婦関係の再構築を目指すなら
不倫をやめさせたうえで夫婦関係の再構築を目指すのであれば、一方的に相手を責めるだけではうまくいきません。
なぜ不倫に至ったのか、夫婦双方でその原因を考える必要があります。
コミュニケーション不足や家庭内の不満など、関係が悪化した背景に目を向け、お互いに改善努力をすることが不可欠です。
もちろん、裏切った側の責任は重大ですが、関係をやり直すと決めた以上は、未来志向で対話を重ねることが大切です。
必要であれば、夫婦カウンセリングなどを利用し、専門家のサポートを受けながら関係修復に取り組むのもよいでしょう。
【不倫相手向け】関係を断ち切らせる社会的・法的制裁
配偶者だけでなく、不倫相手にも責任を取らせ、二度とあなたの家庭に関わらせないようにするための法的手段があります。
これにより、不倫関係を完全に断ち切らせる効果が期待できるでしょう。
慰謝料請求で不倫の責任を自覚させる
不倫相手への慰謝料請求は、金銭的な賠償を得るだけでなく、自らの行為が他人の家庭を壊し、人を深く傷つけるものであるという社会的・法的な責任を自覚させるうえで、非常に有効な手段といえるでしょう。
慰謝料請求は、内容証明郵便で交渉を始めるのが一般的ですが、相手が支払いに応じない場合は裁判を起こすこともできます。
請求によって不倫関係を清算する強いきっかけとなり、再発防止にも繋がるでしょう。
慰謝料の額は、不倫の期間や頻度、婚姻期間、受けた精神的苦痛の程度などを考慮して決まります。
示談交渉で「接触禁止」と「違約金」を約束させる
慰謝料の示談交渉では、慰謝料の支払いだけでなく、「配偶者と今後一切、私的・公的な接触をしない」という接触禁止条項を盛り込むことが重要です。
これにより、不倫関係の再発を防ぎます。
さらに、この約束を破った場合の違約金(ペナルティ)も定めておくことで、約束の実効性を高めることができます。
これらの合意内容は、必ず「示談書」として書面に残し、可能であれば公正証書にしておきましょう。
公正証書にすれば、相手が支払いや約束を怠った場合に、裁判を経ずに強制執行の手続をとれるようになります。
不倫相手を会社から辞めさせることはできる?
原則として、不倫を理由に不倫相手を解雇させることはできません。
不倫はあくまでプライベートな問題であり、会社の秩序を著しく乱すなどの特段の事情がない限り、それを理由とした解雇は不当解雇とみなされる可能性が高いでしょう。
もし、不倫相手の職場に乗り込んだり、不倫の事実を言いふらしたりすると、逆にあなたが名誉毀損で訴えられ、損害賠償を請求されるリスクがあります。
社内不倫であっても、懲戒処分を下すかどうかは会社の判断であり、第三者が介入できる問題ではないのです。
これだけはダメ!事態を悪化させるNG行動
パートナーの不倫を知り、感情的になるあまり、事態をさらに悪化させてしまう行動に出ることがあります。
以下の行為は、あなた自身が法的な責任を問われる可能性があり、絶対に避けるべきです。
不倫相手の職場や家族への連絡
不倫の事実を不倫相手の職場や家族に知らせる行為は、絶対にやめましょう。
怒りのあまり、相手を社会的に追い詰めたい気持ちはわかりますが、この行為はプライバシー侵害や名誉毀損にあたる可能性が非常に高くなります。
結果として、あなたが不倫相手から損害賠償を請求されるという、本末転倒の事態にもなりかねません。
不倫の責任追及は、あくまで当事者間で行うべきであり、無関係の第三者を巻き込むことは、問題を複雑にし、あなたの立場を不利にするだけでしょう。
SNSでの暴露や誹謗中傷
SNSやネット掲示板などで、パートナーや不倫相手の実名を挙げて不倫の事実を暴露したり、誹謗中傷したりする行為も、絶対に避けるべきでしょう。
たとえ書かれた内容が事実でも、不特定多数の人が見られる状態に置くことで、以下のような罪に問われるおそれがあります。
- 名誉毀損罪(刑法第230条)
- 侮辱罪(刑法第231条)
- 民事上の損害賠償請求
感情的な復讐は何も解決せず、あなた自身を犯罪者にしてしまう危険性があることを肝に銘じておきましょう。
過度な嫌がらせや暴力・脅迫
不倫をやめさせる目的であっても、不倫相手の自宅に押しかけたり、執拗に電話をかけ続けたりする行為は、ストーカー規制法に抵触するおそれがあります。
また、相手に暴力を振るえば暴行罪・傷害罪に、金銭を要求する際に脅すような言動があれば脅迫罪・恐喝罪に問われるおそれがあります。
正当な慰謝料請求であっても、その手段や方法が社会的にみて度を超していると判断されれば、あなた自身が法的な責任を負うことにもなりかねません。
どんなに腹が立っても、法的な一線は越えないようにしましょう。
一人で解決できないときは専門家へ相談を
不倫問題は精神的な負担が大きく、法的な知識も必要になるため、一人で抱え込んですべてを解決するのは非常に困難です。
それぞれの分野の専門家の力を借りることで、よりよい解決につながります。
法的手続なら弁護士
慰謝料請求や誓約書の作成、離婚協議など、法的な手続を進めるのであれば、弁護士への相談が不可欠です。
弁護士は、あなたの代理人として相手方と交渉できる唯一の専門家です。
法的な観点から最適な解決策を提案し、あなたの精神的な負担を軽くしながら、有効な書面の作成や、不利にならない交渉を進めてくれるでしょう。
特に相手が交渉に応じない場合や、事態がこじれた場合には、心強い味方となるでしょう。
確実な証拠集めなら探偵
不倫をやめさせ、法的な責任を追及するには、客観的で有力な証拠が何よりも重要です。
しかし、ご自身で証拠を集めるのは精神的にも肉体的にも負担が大きく、法に触れるリスクも考えられます。
探偵は、尾行や張込みといった調査のプロであり、法的に有効な証拠を安全かつ効果的に収集することが期待できます。
裁判でも通用する詳細な調査報告書を作成してくれるため、その後の弁護士との交渉や法的手続を非常にスムーズに進めることにつながるでしょう。
心のケアならカウンセラー
不倫によって受けた心の傷は、法的な問題が解決しても、すぐには癒えないことが少なくありません。
怒り、悲しみ、喪失感、裏切りによる人間不信など、複雑な感情に苛まれ、日常生活に支障をきたすこともあります。
カウンセラーは、あなたの気持ちに寄り添い、傷ついた心を整理し、回復へ向かうサポートをしてくれる存在です。
誰にも話せない苦しい胸の内を打ち明けるだけでも、気持ちが楽になることもあるでしょう。
今後の人生を前向きに歩むために、心のケアも非常に重要です。
まとめ
パートナーの不倫をやめさせるには、感情的にならずに法的に有効な証拠を確保することが不可欠です。
そのうえで、配偶者とは「誓約書」を、不倫相手とは慰謝料や接触禁止を定めた「示談書」を交わし、法的な形で関係を断ち切らせます。
一方で、SNSでの暴露といったNG行動は、逆にあなたを不利な立場に追い込むため絶対に避けましょう。
正しい手順を踏むことが、心の平穏を取り戻すための第一歩です。
不倫問題は一人で抱え込まず、弁護士にご相談ください。
アディーレ法律事務所では、不倫の慰謝料に関するご相談は何度でも無料です。
あなたに代わって交渉を進め、最善の解決を目指しますので、まずはお気軽にお問合せください。